JPS6231681B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規な化粧料の製造法、更に詳細に
は、化粧料用油性原料をサイクロデキストリンで
変性せしめて得られる粉状、ワツクス状あるいは
軟固体状物（これらを以下変性油性原料と称す
る）を他の化粧料基剤に配合して化粧料を製造す
る方法に関する。 従来、油性原料は皮膚に対する保護作用、湿潤
効果、クレンジング作用等の機能を利用してクリ
ーム、乳液、化粧水、頭髪化粧料に、また、硬
さ、成型性などの性質を利用して口紅、固型アイ
シヤドウ、固型アイブロウ等に、さらに、粉体原
料の粘結剤として固型白粉、粉白粉等種々の形態
の化粧料に添加使用されている。 しかしながら、クリーム、乳液等に油性原料を
添加する場合には、一般にアニオン系の界面活性
剤を使用して乳化しなければ安定なものを得るこ
とは困難であつた。このアニオン系界面活性剤は
皮膚に好ましからざる影響を与えるので、近時そ
の使用が制限されている。口紅についてはベタつ
き、油つぽさ等が改善しにくかつた。また化粧水
等にあつては油性原料を添加すると濁りを生じ、
暫時放置すると油性原料が分離して外観を著しく
損い、仕方なく、界面活性剤を使用して可溶化し
たり、多層型ローシヨンの形態をとつたりしてい
る。更にまた、固型白粉、粉白粉等へ油性原料を
多量に配合すると、油つぽさあるいはべたつきが
あり、これまた満足できるものではない。 そこで、本発明者は斯る欠点を解決し、油性原
料を有利に化粧料中に添加する方法について長期
にわたり鋭意研究を重ねた結果、当該油性原料を
サイクロデキストリンで変性せしめた変性油性原
料を他の化粧料基剤と混合すれば上記欠点が完全
に解決され、しかも極めて優れた特性を有する化
粧料が得られることを見出し、本発明を完成し
た。 本発明のサイクロデキストリンとしては、α，
βまたはγの何れのものも使用できる。また油性
原料としては、例えば、鯨ロウ、蜜ロウ、キヤン
デリラロウまたはセタノール等の固体油；ラノリ
ン、ワセリンまたはソノジエル（低分子炭化水素
混合物）等の軟固体油；流動パラフイン、スクワ
ラン、ヒマシ油、オリーブ油、イソプロピルミリ
ステート、イソステアリン酸トリグリセライド、
イソセチルステアレート、イソステアリン酸、２
−エチルヘキシル酸トリグリセライドまたはシリ
コーンオイル等の液体油が挙げられる。 変性油性原料は例えば次のようにして製造され
る。 サイクロデキストリンの水溶液に油性原料を
撹拌混合し、生ずる微粒子状固形物を過、乾
燥する。 サイクロデキストリンの水溶液に、水と混和
する有機溶媒に溶解した油性原料を添加混合
し、生ずる微粒子状固形物を過、乾燥する。 サイクロデキストリンに0.5〜５倍量の水を
加え、これに油性原料を混合し、乾燥する。 油性原料に対するサイクロデキストリンの量は
等モルが好ましいが、必要に応じて変えることも
できる。斯くして得られる変性油性原料中の油性
原料の含有量は、油性原料の種類、処理温度、撹
拌時間等によつて変化するので、これは変性油性
原料の使用目的によつて適宜選択できる。 以上の如くして得られる変性油性原料は、油性
原料の有する特性を保持し、しかも次に示すよう
な種々の特長を有する。 (イ) 油性原料を均一かつ微粒子状に変性している
ので、本変性油性原料を配合した化粧料の塗膜
は薄く均一となる。 (ロ) 変性油性原料は白色〜淡黄色であるが、油性
原料の選択によつては、従来の粉体原料にはな
い純白原料（無色透明の炭化水素、高級アルコ
ール、高級脂肪酸等）も得られ、白さを要求さ
れる特殊化粧水等には特に有用である。 (ハ) 変性油性原料は通常の粉体原料に比較すると
透明感があり、透明感のある自然な仕上りを要
求される化粧料には特に有用である。 (ニ) 油性原料を変性しているので、通常の粉体原
料では得られない湿潤効果を付与することがで
きる。 (ホ) 油性原料の選択により、親油性と親水性を調
整できるので、分散性、乳化性、洗浄性の幅を
もたせることができる。したがつて、本変性油
性原料を化粧料に配合する場合に製造が容易と
なる。さらに、界面活性剤的に使用した場合で
も、皮膚機能に悪影響を及ぼさないので、本発
明の化粧料は、皮膚トラブルのある人も安心し
て使用できる。 (ヘ) 従来の粉体原料は重金属を含む場合がある
が、本変性油性原料はサイクロデキストリン
（バイオ原料）を利用したものであり安全であ
る。 (ト) 従来の粉体原料は、油分・水分を多く吸着
し、肌アレやカサカサの原因になつていたが、
本変性油性原料は余り吸着しないので、これを
配合した化粧料は、肌アレやカサカサを起こさ
ず、年令、肌質、季節に関係なく使用できる。 (チ) 本変性油性原料は粉体と油の二面性を有して
いるので、配合した化粧料はベタつきがなく、
さつぱり、かつ、しつとりしている。 従つて、この変性油性原料は、従来の化粧用粉
体と同様にして他の化粧用基剤に配合することが
でき、しかも従来の粉体にない油性特性を付与す
ることが可能である。すなわち、種々の化粧料用
基剤に配合し、後述の実施例に示すような優れた
特性を有する粉末含有液状化粧料、乳液状化粧
料、エアゾール化粧料等の基礎化粧料；ホホ紅、
固型白粉等のメークアツプ化粧料を得ることがで
きる。 次に参考例および実施例を挙げて説明する。 参考例 １ 水２中にβ−サイクロデキストリン60ｇを加
え、撹拌して飽和水溶液とする。これにイソプロ
ピルミリステート14ｇを加え、室温で３時間撹拌
し、生ずる微粒子状固形物を取し、減圧乾燥す
る。得られた白色粉体は約17％のイソプロピルミ
リステートを含有する。 参考例 ２ 水２中にβ−サイクロデキストリン60ｇを加
え撹拌して飽和水溶液とする。別にセタノール13
ｇをエタノール13ｇに溶解し、これを上記水溶液
に添加し、室温で３時間撹拌する。生ずる微粒子
状固形物を取、乾燥すれば約15％のセタノール
を含む白色粉体が得られる。 参考例 ３ β−サイクロデキストリン120ｇに水360ｇを加
え、さらにイソプロピルミリステート28ｇを加え
てボールミルにて３時間混合し、ペースト状物を
減圧乾燥する。得られた白色粉体は約17％のイソ
プロピルミリステートを含有する。 参考例 ４〜15 参考例１または２と同様に操作して、次のよう
な変性油性原料を得た。

【表】 実施例１ （特殊化粧水） １ エタノール 15.0（重量部） ２ グリセリン 4.0 ３ クエン酸 0.2 ４ クエン酸ナトリウム 0.1 ５ 参考例１の変性油性原料 2.0 ６ 色 素 適量 ７ 香 料 0.2 ８ 精製水 78.5 (a)７を１の一部に溶解する。(b)１の残りに２〜
４および６，８を加え、更に５を加えて均一に分
散させる。(b)に(a)を加え製品とする。 この特殊化粧水は、従来の粉体入りローシヨン
の機能に加え、湿潤性があり、肌あれ防止に顕著
な効果を示す。 実施例２ （化粧水） １ エタノール 10.0（重量部） ２ グリセリン 2.0 ３ プロピレングリコール 6.0 ４ 参考例14の変性油性原料 4.0 ５ 色 素 適量 ６ 香 料 0.2 ７ 精製水 77.5 (a)６を１の一部に溶解する。(b)１の残りに２，
３，５，７を加え、更に４を加えて均一に分散さ
せる。(b)に(a)を加えて製品とする。 この化粧水は、界面活性剤を使用しなくても、
均一で分離しない白濁状態を保ち、肌に油性を付
与することができる。 実施例３ （乳液） １ ステアリン酸 2.5（重量部） ２ セタノール 0.5 ３ 流動パラフイン 6.0 ４ ラノリン 1.2 ５ シリコーンオイル 0.2 ６ セスキオレイン酸ソルビタン 0.5 ７ モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタ
ン 0.5 ８ ポリエチレングリコール 2.0 ９ プロピレングリコール 8.0 10 参考例15の変性油性原料 2.0 11 香 料 0.2 12 精製水 76.4 (a)１〜７を加熱溶解混合し、10を加えて均一に
する。(b)８，９，12を加熱混合する。(a)に(b)を加
えて乳化し、11を加えて製品とする。 この乳液は、従来使用しているステアリン酸−
トリエタノールアミン石鹸を使用しなくても安定
であり、湿潤作用を有し、さつぱりした使用感を
示す顕著な効果が認められた。 実施例４ （リキツドホホ紅） １ キヤンデリラワツクス 14.0（重量部） ２ マイクロクリスタリンワツクス 5.0 ３ ラノリン 10.0 ４ イソプロピルミリステート 30.0 ５ 流動パラフイン 30.0 ６ 澱粉脂肪酸エステル 1.0 ７ 参考例３の変性油性原料 8.0 ８ 色 素 適量 ９ 香 料 0.6 (a)１〜６を加熱溶解混合し、更に７を加える。
(a)に８を加えて撹拌し均一にし、９を加えて製品
とする。 このリキツドホホ紅は、油つぽさ（べたつき）
がなく、艶があり、化粧膜が均一である等の顕著
な効果を示した。 実施例５ （固型白粉） １ ラウリン酸亜鉛 5.0（重量部） ２ 澱 粉 10.0 ３ ポリエチレン末 15.0 ４ シルクパウダー 10.0 ５ ポリビニルピロリドン 1.0 ６ グリセリン 5.0 ７ 参考例11の変性油性原料 52.0 ８ 香 料 2.0 １〜４，７，８を均一に混合し、更にこれに
５，６を加えて混合し、プレスして製品とする。 この固体白粉は、粉つぽさがなく、肌がかさつ
かず、透明感のある化粧膜が得られると共に、異
和感のない使用感と仕上がりが得られる。 実施例６ （ボデイスプレー） １ エタノール 10.0（重量部） ２ プロピレングリコール 6.0 ３ アイリツシユモス 0.5 ４ 参考例10の変性油性原料 4.0 ５ 色 素 適量 ６ 防腐剤 適量 ７ 香 料 0.5 ８ 精製水 79.0 (a)１の一部に７を溶解する。(b)１の残りに２，
３，５，６，８を加えて均一にする。(b)に(a)を加
え、更に４を加えて製品とする。これはデイスペ
ンザータイプ容器に充填して使用する。 このボデイスプレーは、単独では配合不可能な
油剤の配合を可能とし、皮膚刺激が全くなく、特
に肌をなめらかにする顕著な効果を奏する。 実施例７ （口紅） １ セレシンワツクス 3.0（重量部） ２ キヤンデリラワツクス 10.0 ３ カルナバワツクス 10.0 ４ 流動パラフイン 10.0 ５ ヒマシ油 51.0 ６ イソプロピルミリステート 5.0 ７ 参考例11の変性油性原料 5.0 ８ 色 素 5.0 ９ 防腐剤 適量 10 酸化防止剤 適量 11 香 料 0.6 (a)１〜６を加熱溶解混合し、さらに７を加え
る。(a)に８を加え均一に分散させ、さらに９〜11
を加え均一にし、口紅型に充填成型し製品とす
る。 この口紅は油つぽさ（べたつき）がなく、透明
感及び艶があり、のびがよい等に顕著な効果を示
した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 化粧料用油性原料をサイクロデキストリンで
   変性せしめて粉状、ワツクス状あるいは軟固体状
   物となし、次いでこれらの一種または二種以上を
   他の化粧料基剤に配合することを特徴とする化粧
   料の製造方法。 ２ 変性を、サイクロデキストリンの水溶液に化
   粧料用油性原料をそのままあるいは水と混和する
   有機溶媒に溶解して添加混合し、生ずる微粒子状
   固形物を採取乾燥することによつて行う、特許請
   求の範囲第１項記載の方法。 ３ 変性を、サイクロデキストリンに0.5〜５倍
   量の水を加え、これに油性原料を混合し、乾燥す
   ることによつて行なう、特許請求の範囲第１項記
   載の方法。