JPS6231287B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車両室内に入射する日射量を光量一電
気変換を行なう日射量検出器によつて検出し、こ
の検出信号に応じて車両内温度を上昇させないよ
う空気調和要素を電気制御する車両用空調制御装
置に関する。

従来この種の装置としては、車両室内に入射す
る日射量を室内温度検出用の温度一電気変換器を
兼用して検出することによつて日射量に応じた空
調制御を行なうようにした装置が実用に供されて
いる。また別に光量一電気変換を行なう光導電セ
ル、ホトトランジスタ等の光応答素子を用いて日
射量を検出し、検出信号を空調制御に使用するこ
とも提案されてはいる。

後者の光量―電気変換器を用いると、前者の温
度―電気変換器に比して応答性を速くできる点お
よび車室内温度の影響を受けずに日射量を検出で
きる点で利点がある。ところが、光量一電気変換
器は車両室内の空調制御に係る日射量検出器とし
ては実用段階のものが提供されておらず、日射量
がある程度大きいと検出信号が飽和したり、逆に
太陽が水平線付近に位置するときには検出信号が
不足するため実際の日射量に応じた検出信号のみ
を取り出すことができない等の問題があり、所望
の空調制御を期待できない。

本発明は上記に鑑みて、光量―電気変換器を用
い、かつ日射量に対し正確で安定な空調制御を行
ない車両用空調制御装置を提供することを目的と
するものである。

以下本発明を添付図に示す一実施例に基いて説
明する。

全体構成を示す第１図において、１は車室前部
に設置された通風ダクトで、このダクト内には上
流側から下流側に向つて、送風機２、冷却用熱交
換器３、温度調節ダンパ４、加熱用熱交換器５が
配設してあり、温度調節ダンパ４で温度調節され
た空気を車両室内に吹出すようになつている。こ
の構成になる空気調和装置は周知であり、通風ダ
クト１の上流側に公知の導入空気切替機構、下流
側に公知の吹出口切替機構を設けてもよい。

６は温度調節ダンパ４の開を制御回路７からの
制御信号によつて調節する公知のものでよい作動
器である。制御回路７はcds光導電セル、または
ホトトランジスタからなる日射量検出器８、車室
内温度検出器９、車室外温度検出器１０、および
温度設定器１１からの各信号に応じて、温度調節
ダンパ４の開度を決める制御信号を生じる。この
制御回路７は公知のものでよく、例えば実公昭49
―6021号公報に示されるような増幅器を用いたも
のでもよい。

日射量検出器８は第２図に示すように、遮光性
の樹脂で成形した上端開放の筒状ケース９の凹部
に載置されており、このケース９は車両ダツシユ
パネル１０の表面に突出して接着固定されてい
る。日射量検出器８の信号取出端子８ａは筒状ケ
ース９の底部を貫通して図示しない制御回路７に
電気的に接続される。１１および１２は日射量検
出器８を覆い到達する光線に対して作用を及ぼす
窓部材をなすもので、それぞれ減光作用および分
光作用を分担した減光フイルタと分光フイルタで
ある。減光フイルタ１１は透明または白色半透明
の樹脂またはガラスからなり、その表面に粗面処
理が施されており、筒状ケース９の上端に接着固
定されている。この粗面処理は入射光線を散乱さ
せて減光作用のほとんどまたは一部を担うととも
に、散乱作用によつて入射角の大小による屈折率
の変化、あるいは筒部９の遮光範囲の変化によつ
て日射量検出器８に到達する光量が大きく変化す
るのを是正するために施されている。分光フイル
タ１２は暖色系の着色ガラスからなり、減光フイ
ルタ１１に接着固定されており、太陽から車両室
内に入射して温度上昇に対する寄与度が大きい比
較的長波長領域の光線を多く透過させる。９ａは
通気孔である。

減光フイルタ１１と分光フイルタ１２の作用は
第３図に示されるように、通常の太陽日射の強度
スペクトル１３を特性１４まで減少させ、さらに
短波長領域の光線を遮断することにより必要とす
る長波長領域のスペクトル１６を抽出し、日射量
検出器８に照射する。１５は日射量検出器８の応
答特性であり、スペクトル１６の領域をカバーし
ている。

上記の構成において、制御回路７は日射量検出
器８、車室内、外温度検出器９，１０、および温
度設定器１１からの各信号に応じて、温度調節ダ
ンパ４の開度を制御する。しかして、日射量検出
器８は窓部材の減光、分光作用によつて車室内温
度の上昇に対する寄与度の大きい波長領域に応答
して検出信号を生じるため、また入射角が大きい
ときすなわち太陽が比較的水平線に近いときにも
散乱作用によつて日射量検出路８に充分な光量を
与えることができ、日射によつて車両室内に供給
される熱量に対応して温度調節ダンパ８を制御す
ることができる。

なお、本発明は上述した実施例に限定されるも
のではなく、例えば次のような変形実施例によつ
て実施してもよい。

(1) 減光フイルタ１１と分光フイルタ１２には上
下関係を逆にしてもよい。この場合分光フイル
タの表面に粗面処理を施してもよい。

(2) 適当な材質の選定により分光フイルタと減光
フイルタとを兼務させてもよい。例えば分光フ
イルタとしての着色ガラスの表面に粗面処理を
施して減光作用をもたせてもよい。

以上述べたように本発明においては、散乱機能
を有する粗面処理を施した窓部材により日射量検
出器を覆つているから、入射光は粗面処理が施さ
れている部分によつて散乱され、車室内に入射す
る入射光の角度が変化しても日射量検出器に到達
する日射量の大きな変動を抑制できる。したがつ
て、日射量検出器は、正確で安定した検出信号を
出力し、日射に対し車室内の空気の温度を適切に
制御することができるという効果がある。

また前記窓部材は、平板形状であるため窓部材
を車室内に設ける場合において、乗員の目に付き
にくく、乗員の手指が接触する可能性が小さいた
め、車室内の美観を保ち、手指等によつて窓部材
がよごされたり、破損されたりすることが防止で
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明装置の一実施例を示すもの
で、第１図は全体構成図、第２図は日射量検出器
の縦断面図、第３図は窓部材の減光および分光作
用を表わす特性図である。 ４……温度調節ダンパ、６……作動器、７……
制御回路、８……日射量検出器、１１，１２……
窓部材をなす減光フイルタと分光フイルタ、１１
ａ……粗面処理。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入射光量に応答して検出信号を生じる日射量
   検出器を備え、この日射量検出器からの検出信号
   を含む各種制御条件に応答して車両室内の空気温
   度を制御する車両用空調制御装置において、 前記日射量検出器は、車室内の日射を受ける位
   置に配設されたケースの凹部に載置され、かつ表
   面に散乱機能を有する粗面処理が施された平板形
   状の窓部材により覆われていることを特徴とする
   車両用空調制御装置。