JPS6231233Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は転造盤における工作物位相決め装置に
関するものである。

転造盤において、工作物の位相を規制して加工
位置までシフトし、加工位置においては位相規制
を解除してから転造を開始させ、工作物に対する
転造歯部の位相を規制するようにしている。しか
しながら、工作物の軸線回りに自重による回動モ
ーメントが作用する場合には、加工位置において
位相規制を解除すると位相ずれを起し、正確な位
相に転造ができない不具合がある。

本考案は、工作物の自重による回動モーメント
が作用しても転造工具が工作物に係合するまでは
位相を規制し、係合後に規制を解除すると共に、
位相規制部材を工作物の係合位置より退避させる
ようにし、正しい位相にスプライン、セレーシヨ
ン等を転造成形する工作物の位相決め装置を提供
するものである。

以下本考案の実施例について図面に基き説明す
る。第１図及び第２図において、１は転造盤本体
（以下本体と略称する）である。２は本体１側に
設けられたセンタ、３は後述する心押台７のセン
タ８と前記本体１側のセンタ２とに支持した工作
物Ｗを転造成形する加工位置、４ａ，４ｂは図略
の駆動装置により同期して相対移動するツールス
ライド、５ａ，５ｂはツールスライド４ａ，４ｂ
に対向して固定されている転造工具である。

７は心押台であり、本体１の前方に設置した支
持台１３と本体１の前面に固設されている支持部
材２１間に水平方向に架設したパイロツトバー６
に進退移動可能に案内されている。９は心押台７
の進退用シリンダであり、その基端が支持台１３
に枢着されている。１０は支持台１３に心押台７
の進退方向に回動可能に枢支した作動アームであ
り、前記進退用シリンダ９のピストンロツドが結
合されている。作動アーム１０の先端には係合溝
１１が設けられ、心押台７より突設した係合ピン
１２が係合している。さらに、心押台７のセンタ
８の前方には図略のローテイング装置によつて搬
入される工作物Ｗを仮受けする工作物受台１４が
設けられている。この工作物受台１４は心押台７
に摺動自在に支持した案内軸１５に取付けられ、
スプリング１６により常に前進端に押動位置さ
れ、心押台７の前進移動に対し相対移動を許容す
べく設置されている。

本考案装置は、工作物受台１４上に支持された
工作物Ｗにおいて、その軸線より偏心した方向に
突起部W₁が存在し、この突起部W₁の自重により
回動する工作物Ｗの回動モーメントに対して前記
突起部W₁と係合して回動を規制し、かつ第４図
で示すように転造工具５ａ，５ｂによる回動方向
Ｔには工作物Ｗの回動を拘束しない位相規制部材
１７を心押台７に設けたものである。この位相規
制部材１７は、心押台７に心押台７の進退方向に
軸線を持つ一対の平行な摺動軸１９の先端に固着
され回り止めされている保持部材１８に取付けら
れている。この取付け構造は第４図に示すよう
に、保持部材１８に工作物受台１４上に支持され
ている工作物Ｗの軸心を中心とする円弧状の長孔
２７を開設し、この長孔２７を挿通するボルト２
８にて締付固定されている。これは、工作物Ｗの
突起部W₁の位置により所定の位相となるよう位
相規制部材１７を調整するためである。２０は位
相規制部材１７を工作物Ｗの突起部W₁との係合
位置の前進端に位置させるスプリングである。

さらに、本体１には加工位置３にシフトされた
工作物Ｗと転造工具５ａ，５ｂとが係合した後に
おいて位相規制部材１７を突起部W₁との非係合
位置に退避させる押動装置が設けられている。そ
の構造は、支持部材２１に保持ブロツク２２が固
設され、これに保持部材１８の前面に当接し、か
つ押動するプランジヤ２３が保持されている。こ
のプランジヤ２３の後端（保持部材１８に当接す
る側とは反対側）にローラ２４が軸支され、また
スプリング２５によりプランジヤ２３を常に後退
方向に付勢している。また、ツールスライド４ａ
には前記ローラ２４に当接しプランジヤ２３を前
進作動させるドツグ２６が設けられている。この
ドツグ２６の取付け位置は、転造工具５ａ，５ｂ
が工作物Ｗに係合した後にローラ２４に当接する
よう配置している。

本考案は上記の通りの構造であるから、後退端
に位置している工作物受台１４上にローデイング
装置によつて搬入支持した工作物Ｗは、その突起
部W₁が位相規制部材１７に係合して正しく位相
が決められ、かつ突起部W₁による工作物Ｗの回
動モーメントの作用の位相ずれを規制する。

かかる状態で工作物受台１４とともに心押台７
が前進移動し、工作物受台１４が本体１の前面に
当接したところで工作物受台１４は停止し、心押
台７と位相規制部材１７とがその後も前進端まで
移動し、工作物Ｗを加工位置３で両センタ２，８
により支持する。従つて両センタ２，８に支持さ
れた加工位置においても工作物Ｗは位相規制部材
１７によつて正しく位相が保持されているのであ
る。しかる後に転造が開始され、転造工具５ａ，
５ｂが工作物Ｗに係合し、工作物Ｗを第４図で示
す転造回転方向に回転する。この段階でツールス
ライド４ａに取付けられているドツグ２６がロー
ラ２４に当接し、プランジヤ２３を前進移動さ
せ、保持部材１８を押動して後退移動させる。こ
れにより位相規制部材１７は工作物Ｗの突起部
W₁との非係合位置に退避し、工作物Ｗの360度転
造回転に支障のないようにするものである。

上記本考案装置によると、工作物の自重による
回動モーメントに対してのみ拘束作用を有する位
相規制部材を転造工具と工作物が係合した後に逃
すようにしたものであるから、自重による工作物
の位相ずれは防止され、正しい位相状態で転造す
ることができる。また、位相規制部材は、転造に
よる回転方向には位相拘束作用を持たないので、
完全に工作物と転造工具が係合して位相ずれのお
それがなくなつた後で１回転しない間に位相規制
部材を逃せば良く、逃すタイミングの設定が容易
であり確実な作動が達成できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置を示す側面図、第２図は平
面図、第３図は位相規制部材の退避押動装置の断
面図、第４図は第１図−矢視図である。 １……転造盤本体、４ａ，４ｂ……ツールスラ
イド、５ａ，５ｂ……転造工具、７……心押台、
１４……工作物受台、１７……位相規制部材、１
８……保持部材、１９……摺動軸、２０……スプ
リング、２２……保持ブロツク、２３……プラン
ジヤ、２４……ローラ、２５……スプリング、２
６……ドツグ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 転造盤方向に進退移動する心押台のセンタ前方
   に工作物受台を設けたものにおいて、前記工作物
   受台上の工作物の自重による回動モーメントに対
   して工作物の一部と係合して回転を規制し、転造
   工具による回転方向には工作物の回転を拘束しな
   い位相規制部材を前記工作物の一部と係合する前
   進位置に弾機付勢して進退自在に心押台に設け、
   転造盤には前記位相規制部材を工作物と転造工具
   とが係合した後に非係合位置に退避させる押動装
   置を設けて成る工作物位置決め装置。