JPS6230730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、継竿における竿杆の製造法、詳し
くは外形をほゞ楕円形とし、継部を円形とした継
竿における竿杆の製造法に関する。

一般に釣竿は、次のような理由から外形をほゞ
楕円形状となすことが望ましい。即ち、釣竿を
ほゞ楕円形状となすことにより、釣竿が手に馴染
んで握り易くなり、かつ釣竿の振込み時に、釣竿
の長軸方向を振込み方向に向けて振込むことによ
り、釣竿の空気抵抗を小として、釣糸を遠距離ま
で投擲できると共に、前記振込み時に釣竿に方向
性を与えて、釣糸を正確な位置に投擲できるなど
の利点があるからである。

ところで前記のごとき釣竿のうち、特に外径の
異なる複数本のテーパー状竿杆を連継して使用す
べくした継竿において、前記場のごとく各竿杆を
外形ほゞ楕円形状となすときには、各竿杆の連継
が非常に行ないにくいのである。

また前記のごとく外形がほゞ楕円形状をなすテ
ーパー状の竿杆を製作する場合、従来では断面
ほゞ楕円でテーパー状のマンドレルを用意し、該
マンドレルの外周に、ガラス、カーボンなどの耐
強度繊維に合成樹脂を含浸させて成るプリプレグ
を巻装して成形するのであるが、この従来手段で
はマンドレルの製作に精密加工を要して、該マン
ドレルひいては製品が高価となるのであり、特に
継竿における穂先側の細径竿杆を製作する場合、
該細径竿杆用のマンドレルは、短軸方向の径が極
めて小径となるため、折損頻度が高く、製造原価
の上昇を招くのである。

しかもプリプレグをマンドレルに巻装すると
き、断面真円形の一般的な竿杆にあつては、断面
真円のマンドレルを成形台上で機械的に転動さ
せ、この転動時にプリプレグをマンドレルに自動
巻装させるのであるが、前記のごとく断面ほゞ楕
円形のマンドレルを用いる場合には、成形台上で
該マンドレルを円滑に転動させることができず、
従つて前記自動巻装手段を採用することができな
いのであり、プリプレグの巻装に面倒で複雑な作
業と多大な労力を必要とするのである。

本発明は以上のごとき各種問題を解決すべくな
したものであり、各竿杆の連継が簡単かつ確実に
できる外形がほゞ楕円形の竿杆を、極めて簡単に
製造可能としたものである。

さらに詳しくは、耐強度繊維に合成樹脂を含浸
させたプリプレグを円形に巻装して、円形管状体
を成形した後、この円形管状体の少なくとも一側
に、断面三ケ月状で、前記管状体より長さを短か
く形成した添体をその長さ方向一端を、前記管状
体の端部に付合させて添設し、然る後前記円形管
状体と添体との外周に、合成樹脂を含浸させたプ
リプレグを少なくとも１プライ巻装し、加圧、加
熱して、前記管状体と添体とを一体的に結合し、
前記管状体により、前記継部を形成するごとくし
たことを特徴とするものである。尚本発明におい
てほゞ楕円形とは、楕円形の他流線形も含むもの
である。

以下本発明の製造法を図面の実施例によつて説
明する。

先ず、第１図に示すごとく、ガラス、カーボン
などの耐強度繊維に、エポキシ、ポリエステル或
はフエノールなどの合成樹脂を含浸させて成るプ
リプレグを巻装して、断面真円形でテーパー状の
管状体１を成形する。

この管状体１は、断面真円形でテーパー状をな
す一般的なマンドレルを用い、該マンドレルに前
記プリプレグを巻装し、このプリプレグの外周に
セロフアンテープなどを巻付けて、焼成炉などで
焼成加熱した後、前記マンドレルを引抜いて形成
する。

次に前記管状体１の外周面一部と同一曲率の内
周円弧面２ａをもつ断面三ケ月形状をなし、かつ
前記管状体１より長さを短かくした添体２を形成
する。

前記添体２は、幅寸法の異なる細幅プリプレグ
を複数層重ね、該各プリプレグを成形固化させて
形成するか、又は紙などを前記のごとく重ねて形
成し、若しくは塩化ビニールなどの合成樹脂によ
り一体成形して形成する。

しかして第１及至第４図に示すごとく、前記管
状体１における半径方向一側の外周に前記添体２
を、その内周円弧面２ａを接触させ、かつ添体２
の長さ方向一端を前記管状体１の大径側端部に付
合させて添設させ、前記管状体１の小径側一側に
添体２が添設されない空白部を形成して、後述す
る竿杆の継部となすのである。

前記添体２は管状体１に接着剤などで一体に固
定することが望ましい。

しかる後、前記管状体１と添体２との外周に、
耐強度繊維に合成樹脂を含浸させて成るプリプレ
グ３を１プライ以上巻装し、該プリプレグ３の外
周にセロフアンテープなどを巻付けて加圧した
後、焼成炉などで焼成加熱して、前記管状体１と
添体２とを一体に結合し、第２及至第４図に示す
ごとき竿杆４を形成する。

この竿杆４は、円形管状体１の外周に三ケ月形
状の添体２を添設させることにより、外形をほゞ
楕円形状となし、かつ前記管状体１の小径側一側
に、添体２が添設されない空白部を設けることに
より、この管状体１の一側に竿杆４の円形継部４
ａを形成するのである。

またテーパーを附した円形管状体１の外周に、
長さ方向の肉厚を均一とした前記添体２を添設さ
せることにより、この添体２の外周面と該添体２
が添設されない管状体１の外周面とでもつて、前
記竿杆４の外周に先細のテーパー面を形成するの
である。

そして前記のごとくして径の異なる複数本の竿
杆４を形成し、その継部４ａを第４図に示すごと
く、他方竿杆４の継部４ａとは反対側の管状体端
部に順次連継して、継竿となすのである。

前記実施例では、管状体１の半径方向一側に添
体２を添設させて竿杆４を形成すべくしたが、本
発明は前記管状体１の半径方向両側に前記添体２
の２個を添設させるべくしてもよく、この場合に
は竿杆４の外形が楕円形状となり、かつ管状体１
が両添体２の中心部に位置されるため、該管状体
１による継部４ａが竿杆４の中心部に形成される
のである。

以上説明したごとく本発明では、外形をほゞ楕
円形となし、かつ継部を円形とした継竿の竿杆
を、簡単かつ効率的にしかも安価に製造できるの
である。

具体的には、断面真円のテーパー状管状体を成
形した後、この管状体の外周面に三ケ月状の添体
を添設させて、ほゞ楕円形のテーパー状竿杆を形
成すべくしたから、楕円形状の竿杆を形成するの
に従来のごとく楕円マンドレルを必要とせず、マ
ンドレルの製作費用が安価となるばかりか、マン
ドレルの折損度合を著しく小となして、製造原価
を低廉ならしめ得るのであり、しかも管状体は一
般的に使用されているプリプレグの自動巻装手段
を利用して形成できるため、竿杆の製作が効率的
に行なえるのである。

また本発明で製作する竿杆は、管状体の一側に
添体を添設させることなく、この管状体の一側に
より円形の継部を形成するのであり、従つて複数
の竿杆を連継するとき、前記継部を他方竿杆の継
部とは反対側の管状体端部に差込むことにより、
各竿杆を簡単かつ確実に連継できるのである。

さらに本発明の竿杆は、外形をほゞ楕円形とな
し、かつ一側に継部を設けているため、各竿杆の
連継時及び取外し時に、前記楕円外周面を握つて
行なうことにより、力が入り易く、連継及び取外
しを簡単に行なえるのであり、また前記竿杆は前
記添体により外形を楕円形状としているから、竿
杆にガイドなどを取付けるとき、そのガイドなど
の位置合せが容易にできるばかりか、各竿杆の振
込み時における空気抵抗が小となつて、釣糸の投
擲距離を伸ばし、かつ各竿杆に方向性を与えて釣
糸を正確に投擲できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による竿杆の製造工程を示す斜
面図、第２図は本発明により製造した竿杆の斜面
図、第３図はその縦断面図、第４図は同竿杆の連
継状態を示す断面図である。 １……管状体、２……添体、３……プリプレ
グ、４……竿杆、４ａ……継部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外形をほゞ楕円形とし、継部を円形とした継
   竿における竿杆の製造法であつて、耐強度繊維に
   合成樹脂を含浸させたプリプレグを円形に巻装し
   て、円形管状体を成形した後、この円形管状体の
   少なくとも一側に、断面三ケ月状で、前記管状体
   より長さを短かく形成した添体をその長さ方向一
   端を、前記管状体の端部に付合させて添設し、然
   る後前記円形管状体と添体との外周に、合成樹脂
   を含浸させたプリプレグを少なくとも１プライ巻
   装し、加圧、加熱して、前記管状体と添体とを一
   体的に結合し、前記管状体により、前記継部を形
   成するごとくしたことを特徴とする継竿における
   竿杆の製造法。