JPS6229182Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はパルスアーク溶接のアークブロー抑制
装置、特にパルスアーク溶接時に発生するアーク
ブローを抑制するパルスアーク溶接のアークブロ
ー抑制装置に関するものである。

パルスアーク溶接はアーク溶接ワイヤ或いはチ
ツプヘアークパルス電流を供給し、これらアーク
溶接ワイヤまたはチツプと母材間にアーク放電を
行い、このアーク熱によりアーク溶接ワイヤを母
材上に溶融せしめ、母材に所望の被溶接部材を結
合固定するものであり、作業が容易であり、また
結合部の機械的特性が優れている等からパルスア
ーク溶接は各種製造部門において広く利用されて
いる。

しかしながら、この種のパルスアーク溶接にお
いては、アーク電流の変動時に起因して、溶接時
にアークの磁気吹き現象、すなわちアークブロー
現象が発生し、溶接不良となる欠点があつた。

すなわちパルスアーク電流の変動によりアーク
電流が低下しアークが弱められるとこのアークが
被溶接部材に生じる磁気の吸引力により曲げら
れ、アーク１００が第１図の正常状態から第２図
の異常状態となりいわゆる磁気吹き現象と言われ
るアークブローが発生する。さらにこの磁気吹き
現象が進むと第３図に示すようにアーク１００が
消滅しこのときアーク溶接ワイヤ２００からスパ
ツタが飛散して周囲に付着固化し、また溶接ビー
ドが乱れ、いわゆる溶接不良が生じるという欠点
があつた。

本考案は前述した従来の課題に鑑みなされたも
のであり、その目的は溶接時におけるアークブロ
ーを事前に検知しアークブローの発生を抑制し極
めて円滑にかつ良好なパルスアーク溶接を行うこ
とができるパルスアーク溶接のアークブロー抑制
装置を提供することにある。

上記目的を達成するために本考案は、アークブ
ローの前駆現象を電気的に検知して前駆信号を出
力する検知回路と、前駆信号により一定期間通常
アーク信号出力を抗アークブロー信号出力に切換
える切換器と、抗アークブロー信号によりアーク
ブローの抑制作用を行う抗アークブロー回路とを
含むことを特徴とする。

以下図面に基づいて本考案の好適な実施例を説
明する。

第４図には本考案に係るパルスアーク溶接のア
ークブロー抑制装置が示され、アーク溶接電流を
供給するアーク電流供給回路１０の出力端にアー
クブローの前駆現象を電気的に検知する検知回路
１２が接続されている。この検知回路１２はパル
スアーク電圧を検出するアーク電圧検出器１４と
このアーク電圧検出器１４によつて検出されたア
ーク電圧を設定基準値と比較しアーク電圧が設定
基準値を越えた時に前駆信号を出力する比較器１
６とから構成されており、アーク電圧の異常、す
なわちアークブローの前駆現象を確実に検知する
ことが可能である。

すなわち、アークブロー現象は第５図に示すよ
うにパルスアーク電圧波形に異常電圧、すなわち
ひげ状の突出高電圧３００が生じた時に発生する
ことが知られており、従つてこの異常電圧、すな
わち前駆現象を検知し所望のアークブロー抑制作
用を行うことによりアークブローを効果的に抑制
することが可能となる。

本実施例において、前記比較器１６から出力さ
れた前駆信号は切換器１８に出力され所望の信号
処理が行われる。

本実施例において、この切換器１８は前駆信号
の入力により一定期間信号を出力するタイマ２０
と前記タイマ信号によりアークブローの抑制指令
を行う切換部２２とから構成されており、前記切
換部２２は通常時、すなわちアーク電圧に異常が
発生しない通常溶接時においては通常アーク信号
が出力されており、アーク電圧に前駆現象が生じ
た時、すなわちタイマ２０からの時刻信号が入力
した時に前記通常アーク信号出力をアークブロー
の抑制指令を行う抗アークブロー信号出力に切換
える。

この抗アークブロー信号は抗アークブロー回路
２４に出力されこの回路２４により所望のアーク
ブロー抑制作用が行われる。

前記アークブローの抑制作用は各種態様の抗ア
ークブロー回路２４により行うことが可能であ
り、本第１実施例における抗アークブロー回路２
４は抗アークブロー信号によりパルスアーク電流
のベース電流を増加する回路から成り、これによ
り第６図に示すようにタイマ２０からの信号の一
定出力期間、すなわち磁気影響期間Ｔだけベース
電流の増加作用が行われる。

従つて、パルスアーク電流のベース電流が増大
しアークの勢力が強められる結果、被溶接部材の
磁気吸引力によりアークが偏向されることがな
く、効果的にアークブロー現象を抑制することが
可能となる。

前述の如く、ベース電流を増加することにより
アークブローを抑制することが可能となるが、一
方ベース電流の増加より磁気影響期間Ｔの平均電
流が増大する結果、ワイヤの溶融量が増加しこの
ため溶接ビード幅が太くなり、前記アークブロー
の抑制作用の有無に伴つて溶接ビード幅が変動す
るという不都合が生じることとなる。

本第１実施例においてはこのような不都合を除
去するため第６図に示すように磁気影響期間Ｔに
おけるパルスアーク電流のパルス幅を狭くするよ
うに電流制御が行われ、この結果本第１実施例に
おいては磁気影響期間Ｔにおけるアーク電流の平
均値を通常時における平均電流値と同一にするこ
とが可能であり、溶接ビード幅が変動することな
くアークブローを効果的に抑制することが可能と
なる。

前述したようにアークブローの抑制は抗アーク
ブロー回路２４を他の構成とすることにより行う
ことが可能であり、本第２実施例においては抗ア
ークブロー回路２４を磁気影響期間Ｔだけ溶接ワ
イヤと母材との間隔を狭くすることによりアーク
ブローの抑制作用を行つている。

すなわち、本第２実施例においては切換器１８
からの抗アークブロー信号によりアーク電圧が低
下するように構成されており、本第２実施例にお
いてはアーク溶接ワイヤと母材との間隔から成る
放電間隔とアーク電圧とが比例関係になるように
アーク電圧に対応して溶接ワイヤの送り速度機構
が制御されており、この結果前駆現象を検出して
アーク電圧を低くすることにより放電間隔を狭く
することが可能であり、これにより溶接ワイヤか
らのアーク放電の発生が促進されアークブローを
効果的に抑制することが可能となる。

なお本第２実施例において、アーク電圧の高低
制御はアークパルス電流のパルス幅を広狭制御す
ることにより達成され、本第２実施例においては
前駆現象を検出してパルス幅を狭くすることによ
りアーク電圧を低下することが可能であり、この
結果溶接ワイヤと母材間との距離を狭くすること
が可能となる。

この場合、パルス幅を狭くするとアーク電流の
平均電流が小さくなるが、前述の如く放電間隔が
狭くなる結果、アークの勢力を増加することがで
き、これにより溶接ワイヤの溶融量を一定、すな
わち溶接ビード幅を一定に維持することができ
る。

以上説明したように本考案によればパルスアー
ク溶接時に発生するアークブロー現象を効果的に
抑制することが可能であり、この結果良好な溶接
状態を常時維持することが可能であり溶接不良の
ない良好な溶接を行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図はパルスアーク溶接時の通常アーク溶接
状態を示す説明図、第２図〜第３図はパルスアー
ク溶接時のアークブロー現象を示す説明図、第４
図は本考案に係るパルスアーク溶接のアークブロ
ー抑制装置を示すブロツク構成図、第５図はパル
スアーク溶接時のアークブロー前駆現象を示すパ
ルスアーク電圧波形図、第６図は本考案抑制装置
に係る第１実施例のアークブロー抑制作用を示す
アーク電流波形図である。 各図中同一部材には同一符号を付し、１２は検
知回路、１８は切換器、２４は抗アークブロー回
路図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) アークブローの前駆現象を電気的に検知して
   前駆信号を出力する検知回路と、前駆信号によ
   り一定期間通常アーク信号出力を抗アークブロ
   ー信号出力に切換える切換器と、抗アークブロ
   ー信号によりアークブローの抑制作用を行う抗
   アークブロー回路とを含むことを特徴とするパ
   ルスアーク溶接のアークブロー抑制装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲(1)記載の装置におい
   て、抗アークブロー回路は抗アークブロー信号
   によりパルスアーク電流のベース電流を増加し
   てアークブローを抑制することを特徴とするパ
   ルスアーク溶接のアークブロー抑制装置。 (3) 実用新案登録請求の範囲(1)記載の装置におい
   て、抗アークブロー回路は抗アークブロー信号
   によりアーク溶接ワイヤと母材との間隔を狭く
   することによりアークブローを抑制することを
   特徴とするパルスアーク溶接のアークブロー抑
   制装置。