JP2973711B2 - 自動アーク溶接方法 - Google Patents

自動アーク溶接方法

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JP2973711B2
JP2973711B2 JP4165037A JP16503792A JP2973711B2 JP 2973711 B2 JP2973711 B2 JP 2973711B2 JP 4165037 A JP4165037 A JP 4165037A JP 16503792 A JP16503792 A JP 16503792A JP 2973711 B2 JP2973711 B2 JP 2973711B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動アーク溶接方法に係
り、特にアーク発生確認信号に基づいて、放電状態を推
定しながらアーク溶接を行う自動アーク溶接方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ロボット等を用いてアーク溶
接を自動で行う方法が知られている。このような自動ア
ーク溶接方法では、アーク放電の開始・停止と、溶接ト
ーチ等の移動・停止とを互いに同期させて行う必要があ
る。
【0003】ここで、溶接トーチ等の移動・停止及びア
ーク放電の停止についてはそれらを制御する制御信号と
ほぼ同期しているため問題はない。しかし、アーク放電
の開始については、制御系から放電開始の指令があって
から、放電系において実際に放電が形成されるまでに若
干の時間を必要とし、ワークの状態等により放電がされ
ない場合がある。このため、アーク放電の開始について
は、その制御信号を直接溶接トーチ等を制御するための
同期信号として使うことができない。
【0004】このため、一般にアーク放電の開始につい
ては、実際になされたアーク放電の検知信号であるアー
ク発生確認信号(WCR信号)を、溶接トーチ等との同
期信号として使用している。
【0005】図8は、一般的な自動アーク溶接方法にお
ける放電系及び制御系が送受する信号のタイムチャート
を示す。以下同図沿って、従来の自動アーク溶接方法に
ついて詳しく説明する。
【0006】同図(A)は制御系から放電系に向けて送
信されるアーク放電指令信号を示す。この信号はアーク
放電の開始・終了を指令する信号で、ハイレベルが放
電、ローレベルが放電停止の指令である。従って、同図
中、時刻t1 において信号がローレベルからハイレベル
に切り替わると、放電系はこれを受けてアーク放電を開
始しようとし、時刻t4 においてローレベルになると放
電を停止する。
【0007】同図(B)は、アーク放電が開始されたこ
とを放電系から制御系に知らせるためのWCR信号を示
す。
【0008】放電系は、時刻t1 にアーク放電開始の指
令をうけると、アーク放電を開始するため、溶接トーチ
から溶接棒に相当するワイヤを送り出し、所定の電位差
が与えられているワークと短絡させる。
【0009】その後ワイヤとワークが離間すると、この
ワイヤとワークの間にアーク放電が生じ、その熱のため
溶接が行われる。このとき、アーク放電の熱のためにワ
イヤは溶融してワークに溶着するため、これを補給する
ため溶接トーチから順次ワイヤが送りだされる。
【0010】上記したように、溶接開始時においては、
アーク放電が開始されたことを検知する必要がある。こ
のため、放電系は、ワイヤを流れるアーク電流をピック
アップコイルで検出して、所定の電流が発生したら、ア
ーク放電が開始されたことを知らせるための信号を送信
する。
【0011】同図(B)に示すWCR信号は、このアー
ク放電の開始を知らせるための信号で、時刻t1 にアー
ク放電指令が出されてから、トーチがワイヤを送り出
し、ワークと短絡すると、ワイヤを流れる電流を検出
し、所定のディレイタイム(オンディレイ)の後時刻t
2 にハイレベル信号を制御系に送信している。また、同
様に時刻t4 でアーク放電が停止した後、所定のディレ
イタイム(オフディレイ)の後時刻t5 においてローレ
ベル信号を送信している。
【0012】尚、一般に、オンディレイは22〜26m
s、オフディレイは170〜230msである。これ
は、アーク放電の開始は、WCR信号から検知する必要
があるのに対して、アーク放電の停止は、アーク放電を
制御する信号からでも検知することが可能であり、かつ
WCR信号がアーク電流の変化に対して敏感にオフを検
知しすぎると、アーク電流の僅かな変動に対してWCR
信号が変動して、制御に使用しにくい信号となるためで
ある。
【0013】すなわち、オンディレイは、高速性が要求
されるため、アーク電流を検出してWCR信号に変換す
るのに要する最短時間に設定してあり、オフディレイ
は、WCR信号が、アーク電流の僅かな変動によりロー
レベルに切り替わらないように長時間に設定してある。
【0014】同図(C)は、制御系内に設けられている
開始時アーク切れ検知のタイマを示す。
【0015】制御系は、時刻t1 においてアーク放電開
始指令を出すと同時にこのタイマのカウントを始める。
このタイマは、アーク放電の発生を知らせるWCR信号
によりクリアされるタイマで、T1 秒以内にクリアされ
ない場合、制御系は、開始時アーク切れ異常が生じたと
判断して異常信号を出力する。
【0016】同図(D)は、一旦アーク放電が開始され
て、途中でアークが切れた場合を検知する途中アーク切
れ検知回路の動作状態を表す。この回路は、放電系から
ハイレベルのWCR信号が送信されると(同図中、時刻
2 )、これを受けて動作を開始し、アーク放電停止指
令がでるまで(同図(A)中、時刻t4 )常時WRC信
号を監視する。この監視期間中に、WCR信号がローレ
ベルとなった場合、放電系において途中アークが切れ異
常が生じたと判断して異常信号を出力する。
【0017】また、同図(E)はアーク発生記憶の状態
を示す。同図にように、放電系からハイレベルのWCR
信号が入力されると(同図中、時刻t2 )制御系内にお
いて、アーク放電の発生が記憶され、加工終了を示すア
ーク放電停止指令が生じるまで(同図(A)中、時刻t
4 )記憶が保持される。
【0018】同図(F)は、溶接トーチ等を保持するキ
ャリジの移送を制御するキャリジスタート信号を示す。
【0019】この信号は、制御系からキャリジに送信さ
れる信号で、上記のアーク発生記憶と同期している。す
なわち、時刻t2 においてアーク発生が記憶されると、
これを受けて、まずキャリジスタート信号のタイマが作
動する。
【0020】このタイマは安定したアーク放電が形成さ
れるまでに要するであろう予想時間で、一般に0.1〜
0.3秒とされている。このタイマの設定時間経過後、
制御部はワークの溶接を行うため、キャリジスタート信
号を送信して、加工が終了する時刻t4 までキャリジを
移送させる。
【0021】このように、溶接トーチ等はキャリジによ
り、ワイヤとワーク間にアーク放電が確実に形成されて
から移送され、加工開始点から確実に溶接ビードが形成
された良好な溶接品質が維持される。また、仮に放電が
されなかったり、加工途中で途切れてしまった場合で
も、これらを異常として検知するため、不良品が流通す
ることがない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の自
動溶接方法では、アーク放電発生の確認をワイヤを流れ
るアーク電流より検出しており、これが所定電流に達し
ていればWCR信号が送信される。このため、アーク放
電を開始させるため上記したようにワイヤとワークを短
絡させた際、ワイヤに電流が流れたことにより制御系に
対してWCR信号が送信され、何らかの原因によりアー
クが生じなかった場合でもWCR信号が送信されること
になる。
【0023】アーク放電が生じない現象の代表例として
スティック現象がある。これは、放電回路の接地不良や
ワイヤへの給電不良等により発生し、アーク溶接におい
ては、比較的頻繁に起こる現象である。このスティック
現象においては、一般に、ワイヤとワークの短絡時に5
0〜70msの間電流が流れ、その後溶接トーチに送り
出されたワイヤが再びワークに接触して短絡するまでの
時間が100〜150msかかり、この間は電流が流れ
ない。
【0024】一方、上記したように従来の方法では、ワ
イヤが再びワークに接触して短絡するまでの時間が10
0〜150msかかるのに対してWCR信号のオフディ
レイ時間は長く、170〜230msに設定されてい
る。このため、従来の方法では、スティック現象が生じ
た場合でもWCR信号は連続信号として送信され、制御
系は放電系の異常を検知することができない。
【0025】従って、キャリジは、アーク放電が正常に
行われているものとして溶接トーチを移送し、溶接不良
を引き起こしていた。同様に、加工途中でワーク環境が
急激に変化したり溶接トーチのチップ給電ポイントが変
化した場合には、正常放電状態からスティック現象に移
行する。このような場合にもWCR信号は正常な場合と
同様に送信され、自動で異常を検知することができな
い。このため、溶接不良のワークが正常品として流通す
る危険があり、従来これに対する外観検査を必要として
いた。
【0026】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、アーク発生確認信号のオフディレイを適正な範
囲に設定して、スティック現象発生時には、これを異常
として検知する自動アーク溶接方法を提供することを目
的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、溶接棒と
溶接すべきワークとの間に流れる電流が所定のしきい値
以上である場合、アーク発生確認信号をオンとし、該ア
ーク発生確認信号がオンである場合に前記溶接棒を移送
するキャリジを溶接終了位置に向けて動かす自動アーク
溶接方法において、図1の原理図に示すように、前記溶
接棒と前記ワークとの間に流れる電流と前記所定のしき
い値との比較を行う第1の処理1と、前記電流が前記所
定のしきい値以上から所定のしきい値未満に変化したと
きに、スティック現象の際に前記電流が前記所定のしき
い値未満に保持される時間より短くかつ前記電流の変動
周期より長い所定の時間の経過後に、前記アーク発生確
認信号をオンからオフに切り替える第2の処理2と、前
記アーク放電確認信号の継続性を判断する第3の処理3
と、前記アーク発生確認信号に基づいて前記キャリジを
動かす第4の処理4とを有する構成とすることにより解
決される。
【0028】
【作用】上記の構成によれば、前記第1の処理1では前
記溶接棒と前記ワーク間にアーク放電に必要な電流が存
在しているか否かが判別される。このため、正常にアー
ク放電が形成されている場合の他に、溶接棒とワークが
短絡している場合にも、前記電流は前記しきい値以上で
あるとされる。
【0029】前記第2処理において、前記アーク発生確
認信号は、オンからオフに切り替わるのに前記電流の変
動周期より長い時間を要するため、前記電流の変動によ
ってはオンからオフに切り替わららない。また、前記ア
ーク発生確認信号は、スティック現象発生時には前記電
流が前記しきい値より小さくなった後、前記電流が再び
前記しきい値以上となるまでにオンからオフに切り替わ
る。従って、前記溶接棒と前記ワークとの間に正常なア
ーク放電が形成されていれば、アーク発生確認信号は継
続したオンとなり、スティック現象が起きている場合に
は、オン、オフが繰り返される。
【0030】前記第3工程では、このアーク発生確認信
号の継続性から、前記溶接棒と前記ワークとの間に、正
常なアーク放電が形成されているか、スティック現象が
起きているかが判断される。
【0031】前記第4工程では、スティック現象が起き
ている限りキャリジは動かない。すなわち、ワークの溶
接は、アーク発生確認信号が所定時間継続してオンとな
る程度に安定したアーク放電で行われる。
【0032】
【実施例】図2は、本発明に係る自動アーク溶接方法に
より溶接を行う装置の一実施例の構成図を示す。
【0033】同図において、符号10はキャリジで、溶
接トーチ11を保持している。キャリジ10はモータで
駆動されるリードスクリューにより溶接トーチ11を高
精度に所定方向に移送させることができる。
【0034】溶接トーチ11は先端部に溶接棒に相当す
るワイヤを備えており、必要に応じてこのワイヤを送り
出すことができる。また、ワイヤ12は、溶接トーチ1
1を介して溶接電源13の正極端子13aと接続されて
おり、ワイヤ12の先端部は溶接電源13の正極端子1
3aと等電位に保たれている。
【0035】また、溶接電源13の負極端子13bは、
被溶接物であるワーク14に接続されて、負極端子13
bとワーク14は等電位に保たれている。このため、ワ
イヤ12の先端部とワーク14との間には、正極端子1
3aと負極端子13bとの間の電位差が生じている。
【0036】同図中、符号15は制御盤で、キャリジ1
0及び溶接電源13と接続されている。溶接電源13は
制御盤15の指令を受けて、ワイヤ12とワーク14間
のアーク放電を開始または停止させる。
【0037】また、溶接電源13は、ワイヤ12を流れ
る電流をピックアップコイル等で検出して、第1の工程
に相当する電流値比較を行い、その結果に応じて第2の
工程に相当するWCR信号の切り換えを行う。このた
め、ワイヤ12とワーク14との間を流れる電流が所定
のしきい値以上である場合にはそれらの間にアーク放電
が形成していると判断して、制御盤15にWCRオン信
号を送信する。制御盤15は、このWCR信号を同期信
号として、溶接トーチ11を移動または停止させる指令
をキャリジ10に送信する。
【0038】図3、図4はそれぞれ上記実施例装置のタ
イムチャート及び制御盤15内で行われる処理のフロー
チャートを示す。以下、各図に沿って本実施例装置の動
作について説明する。
【0039】本実施例装置において、図4に示すルーチ
ンが起動すると、まず、アーク放電がすでに開始されて
いるか否かを表すアーク開始済フラグをみる(ステップ
100)。今回が初回の処理であるとすると、まだアー
ク放電が開始されておらずこのフラグはセットされてい
ない。従って、まだアーク放電は開始されていないと判
別され、制御盤15から溶接電源13に向けてアーク放
電開始指令を送信するためのリレーがオンとされる(図
3(A)時刻t1 、図4ステップ101)。
【0040】このアーク放電開始指令に対して、所定時
間内にアークが形成されるかどうかを監視するために、
開始時アーク切れタイマのカウントを開始し(図3
(C)時刻t1 、図4ステップ102)、次いで溶接電
源13から送信されるWCR信号を監視する(ステップ
103)。
【0041】溶接電源13から送信されるWCR信号が
オンとなっていない場合、まだアークが形成されていな
いと判断して、開始時アーク切れタイマが所定時間T1
に達しているか否かを判別する(ステップ104)。ま
だT1 に達していない場合は開始時アーク切れの検査途
中であるため、そのまま処理を終了し、WCR信号がオ
ンとなるか、開始時アーク切れタイマがカウントアップ
されるまで上記のステップを繰り返し実行する。
【0042】所定時間T1 の間にWCR信号がオンとな
らず、開始時アーク切れタイマがカウントアップされた
場合(ステップ104)、ワイヤ12とワーク14間に
所望のアーク放電が形成されていないと判断して、開始
時アーク切れ異常を出力後(ステップ105)、処理を
終了する。
【0043】一方、溶接電源13が、ワイヤ12を流れ
る電流からアーク放電の発生を認め、WCR信号をオン
として送信してきた場合(図3(B)時刻t2 )、開始
時アーク切れタイマをクリアすると共に、アーク開始済
フラグを“開始済”にセットする(ステップ106)。
このため、以後このルーチンが起動すると、ステップ1
00でアーク放電が開始済であると判別し、ステップ1
01〜106をジャンプする。
【0044】以上でアーク放電の開始とアーク放電の開
始時異常とが制御される。これらのステップにおいて、
アーク放電が正常に開始されたと判別された場合、溶接
加工を進めるために、今度は溶接トーチ11の移送制御
を行う。
【0045】溶接トーチ11の移送制御においては、ま
ずキャリジ10が原位置であるか否かをみる(ステップ
107)。今回の処理においては、キャリジ10はまだ
溶接トーチ11の移送を開始していないため原位置にあ
る。従って、このまま先に進み、アーク発生記憶用タイ
マのカウントを開始する(図3(E)時刻t2 、ステッ
プ108)。
【0046】このアーク発生記憶用タイマは所定時間T
2 をカウントするタイマで、WCR信号が継続して所定
時間T2 の間オンであるかを監視し、所定時間T2 の間
継続してオンとなるまで、後述のアーク発生記憶用リレ
ーをオンにしないためのタイマである。尚、本実施例装
置においては、T2 を0.3秒としている。
【0047】すなわち、ステップ108でアーク発生記
憶用タイマをカウントした後、まず、WCR信号がオン
であるかをみる(ステップ109)。WCR信号がオフ
となっている場合、まだ安定したアークが発生していな
いと判断して、このタイマをリセットした後処理を終了
する(ステップ110)。以後、上記のステップ10
0、107、108及び109を繰り返し実行して、W
CR信号がT2 時間以上オンとなるまで続ける。
【0048】WCR信号がオンである場合は、アーク発
生記憶用タイマがカウントアップしているか否かをみる
(ステップ111)。タイマがカウントアップしていな
い場合は、まだアーク放電の安定性の検査中であるた
め、一旦処理を終了して所定時間T2 が経過するまで上
記のステップ100、107〜109を繰り返し実行す
る。
【0049】従って、本実施例装置においては所定時間
2 の間WCR信号が継続してオンとなるまで、上記の
ステップを繰り返すことになる。上記のステップ108
〜111は第3の工程に相当し、WCR信号の継続性を
判断することにより、アーク放電の安定性を監視してい
る。
【0050】ステップ111でアーク発生記憶用タイマ
がカウントアップしていると判別された場合、所定時間
2 の間WCR信号が継続したことになり、ワイヤ12
とワーク14との間に安定したアーク放電形成されたと
判断できる。従って、次には、第4の工程に相当するキ
ャリジ10の移動を行うため、アーク発生記憶用のリレ
ーをオンとする(図3(F)時刻t3 、ステップ11
2)。
【0051】このアーク発生記憶用リレーは、制御盤1
5からキャリジ10にむけてキャリジスタートの指令を
出すためのリレーである。このため、アーク発生記憶用
リレーがオンとなるとキャリジスタート指令(キャリジ
移動命令)がオンとなり(ステップ113)、図3
(F)(G)に示すようにアーク発生記憶用リレーがオ
ンである期間中、キャリジ10に対してキャリジスター
ト指令が出され続ける。
【0052】図5は、従来の方法によりアーク溶接され
たワークの斜視図を示す。同図(A)は、正常に溶接が
行われた場合のワーク14を示し、その表面には、溶接
開始位置から終了位置に至るまで均一なビード14aが
形成されている。
【0053】同図(B)は、開始時アーク切れ異常が生
じた場合のワーク14を示し、溶接開始位置近傍に、不
良ビード14bが形成されている。
【0054】また、同図(C)は溶接の途中でアーク放
電が一旦切れる、途中アーク切れ異常が生じた場合のワ
ーク14を示し、ビード14aの途中に不良ビード14
cが形成されている。
【0055】上記したように、本実施例装置によれば、
従来の方法を使用する装置と異なり、WCR信号が所定
時間T2 間継続してオンとならない限り、キャリジ10
が動きだすことはない。このため、アーク放電開始初期
において放電が不安定であるような場合でも、放電が安
定するまで溶接トーチ11が移送されることがなく、図
5(B)に示すような溶接不良を引き起こすことがな
い。
【0056】更に、本実施例装置においては、アーク放
電開始指令の直後に、安定したアーク放電が得られず、
WCR信号がオン・オフを繰り返すような場合でも、ア
ーク発生記憶のリレーがこれにつられてオン・オフする
ことがない。従って、アーク発生記憶用リレーを長寿命
化することができる。
【0057】また、上記図4のステップ109〜111
において安定したと判別されたWCR信号が、何らかの
原因でオフになると、図5(C)に示す途中アーク切れ
異常による溶接不良が生じるため、これを検知する必要
がある。このために、本実施例装置では、途中アーク切
れ検出回路を設けて、ステップ114でこの回路をオン
としている(図3(D)時刻t3 )。
【0058】次いで、この回路がWCR信号のオフ信号
を検出しているか否かを判別して(ステップ115)、
溶接途中でオフを検出した場合には、途中アーク切れで
あると判断して異常を出力している(ステップ11
6)。
【0059】また、ステップ113で送信が開始された
キャリジスタート指令は、溶接トーチ11が溶接終了位
置に達して、進行端信号を送信してくるまでオン状態が
保持される。このため、溶接途中におけるWCR信号の
正常、異常にかかわらず、溶接トーチ11が溶接終了位
置に達したか否かをみて(ステップ117)、溶接終了
位置に達するまで上記のステップを繰り返し実行する。
【0060】尚、キャリジ10はこの移動により原位置
から外れるため、以後この処理の起動時には、ステップ
107でキャリジ10は原位置ではないと判別されて、
ステップ108〜114はジャンプされる。
【0061】ステップ117でキャリジ10が溶接終了
位置に達したと判別された場合、溶接を終了するため、
溶接電源13及びキャリジ10に溶接終了指令を送信す
る(ステップ118)。
【0062】この溶接終了指令において、溶接電源13
に対してはアーク放電を停止する指令を(図3(A)時
刻t4 )、キャリジ10に対しては移送停止及び原点復
帰等の指令が送信される(図3(G)時刻t4 )。
【0063】また、これと同時に、次回以降の溶接加工
に備えるため、制御盤15内でも途中アーク切れ監視回
路用リレーやアーク発生記憶用リレーがオフとされたり
(図3(D)(F)時刻t4 )、フラグクリアが実行さ
れる。
【0064】一方、溶接電源13においては、時刻t4
にアーク放電が消滅すると、図3(B)に示すように、
WCR信号が所定のオフディレイの後、時刻t5 にオフ
となる。本実施例装置においては、このWCR信号のオ
フディレイを従来の方法を使用する場合に比べて短く設
定してある。
【0065】図6及び図7はワイヤ電流等とWCR信号
との関係を表す図を示す。以下各図に沿って、本実施例
の要部であるWCR信号の説明をする。尚、各図におい
て(A)は溶接電源13の正極端子13aに接続された
ワイヤ12に流れる電流波形を、(B)はワイヤ12と
ワーク14にかかる電圧波形を、(C)は従来の方法に
よるWCR信号波形を、また(D)は本実施例の方法に
よるWCR信号波形を示す。
【0066】図6は、アーク放電開始の指令に対して正
常にアーク放電が開始された場合の波形を示す。同図中
時刻t1 は、アーク放電開始指令に対して溶接トーチ1
1から送りだされたがワイヤ12と、ワーク14とが短
絡した時刻である。
【0067】このため、同図(A)(B)に示すよう
に、時刻t1 においてワイヤ電流は急増して、ワイヤ電
圧はほぼ0Vまで急減している。その後、ワイヤ12が
ワーク14から離間すると、それらの間にアークが形成
する。正常にアークが形成する場合は、ワイヤ12とワ
ーク14との間隔が離れるにつれて、同図(A)に示す
ようにワイヤ電流は徐々に減少して、所定のベース電流
値となる(時刻t4 )。
【0068】尚、本実施例装置は、公知のパルスアーク
溶接を行うため同図に示すように、5mS〜10mS周
期のパルス電流をベース電流に重畳させている。このた
め、アーク放電時において、ワイヤ12端部の溶融部は
パルス電流によるピンチ効果のために微粒子化されてワ
ーク14上に付着し、良好なビードが得られる。ここ
で、同図(B)に示すワイヤ電圧は、放電ギャップが一
定であるため、パルス電流の重畳にかかわらずほぼ一定
の電圧となっている。
【0069】また、同図(A)中、時刻t5 におけるワ
イヤ電流の変化は、溶接途中にスティック現象が発生し
てアーク放電切れが生じた場合を示し、この場合一般に
100mS〜150mSの間ワイヤ電流はほぼ0Aとな
る。
【0070】一方、同図(C)に示すように、従来の自
動アーク溶接方法におけるWCR信号は、ワイヤ電流が
WCR信号オン設定電流を超えてから(時刻t1 )、所
定のオンディレイが経過した後(時刻t2 )オンとな
る。
【0071】また、上記したように従来のWCR信号の
オフディレイは、170mS〜230mSであり、これ
より短い時間のアーク放電切れによってはオフしない。
このため、スティック現象によりアーク放電切れが生じ
ても、従来のWCR信号はオフとならず、スティック現
象が生じていることを検知することができなかった。
【0072】これに反して、本実施例の方法ではWCR
信号のオフディレイを、パルス電流の周期より大きく、
かつスティック現象によるアーク放電切れ時間より短い
90mS程度に設定してある。このため、パルス電流が
正常に発生している場合はWCR信号は継続してオンと
なり、スティック現象によりワイヤ電流が0Aになった
時(時刻t5 )には、同図(D)に示すように、オフデ
ィレイ(90mS)が経過した後WCR信号がオフとな
る(時刻t6 )。
【0073】このようにオフディレイを短くすると、ア
ーク放電を形成させるためにワイヤ12とワーク14と
を短絡させて、次いで離間させる際に、ワイヤ電流が、
WCR信号をオンとする設定電流より小さくなる辺り
で、一旦オンとなったWCR信号がオフとなることがあ
る。
【0074】また、WCR信号が無用にオン・オフを繰
り返すと、WCR信号を制御盤15に送信するためのリ
レーが早く劣化する。このため、本実施例の方法におい
ては、同図(D)に示すように、アーク放電開始指令に
よりワイヤ12に電流が流れ始めてから(時刻t1 )所
定の時間が経過するまで(時刻t3 )は、その電流を無
視することとしている。
【0075】このため、本実施例装置では、アーク放電
を開始する際に必ず生じる短絡電流により、WCR信号
送信用のリレーがオン・オフすることがない。従って、
オフディレイを短くしたことによる、このリレーの短寿
命化が防止される。
【0076】図7は、アーク放電開始時にスティック現
象が生じた場合の波形を示す。同図(A)中、時刻t1
において、ワイヤ12に50mS〜70mSの短絡電流
が生じた場合、従来のWCR信号は、同図(C)に示す
ように所定のオンディレイを経過した後オンとなる。
【0077】一方、上記したように本実施例の方法によ
るWCR信号は、アーク放電開始指令後ワイヤ電流が流
れ始めてから(時刻t1 )所定の時間が経過するまで
(時刻t2 )はオンとならない。このため、本実施例の
WCR信号は、少なくとも時刻t2 まではオンとならな
い。
【0078】同図(D)に示すように、スティック現象
のため時刻t2 においてワイヤ電流が切れている場合、
再度ワイヤ電流がWCR信号の設定電流を超えるまでW
CR信号のリレーが駆動されない。時刻t3 においてワ
イヤ電流が再び流れると、この時点からリレーが駆動さ
れ始めて、所定のオンディレイの後WCR信号がオンと
なる。
【0079】同図(A)に示すように、まだスティック
現象は収まっていないため、時刻t 4 において再びワイ
ヤ電流が途切れると、同図(D)に示すように所定のオ
フディレイの後(時刻t5 )WCR信号はオフとなる。
【0080】尚、本実施例装置において、スティック現
象中にWCR信号がオフとなる時間(電流が“0”とな
る時間)は、120mSec〜140mSec程度であ
る。一方、上記したように15内には、WCR信号の継
続性を監視するためのアーク発生記憶用タイマが設けら
れており、0.3Sec以上継続してWCR信号がオン
とならない限り、キャリジ10が動きだすことはない。
【0081】従って、本実施例装置によれば、アーク放
電開始時においては、スティック現象が収まって安定し
たアーク放電が形成された後(時刻t6 )、WCR信号
のオンディレイ及びアーク発生記憶用タイマの設定時間
が経過して始めてキャリジ10が移動を開始する。
【0082】このように、本実施例装置によれば、常に
安定したアーク放電が形成されてから、溶接トーチ11
の移送が開始されるため、開始時アーク切れによるビー
ド長不足を防止することができる。
【0083】更に、本実施例装置は、上記したように溶
接の開始後キャリジ10が溶接終了位置に達するまでW
CR信号を継続して監視し、その信号がオフとなった場
合、途中アーク切れ異常を表示する構成であるため、従
来検出できなかった途中アーク切れ異常を自動で検知す
ることができる。
【0084】このため、本実施例の自動アーク溶接方法
によれば、開始時アーク切れ異常による不良を無くし、
かつ途中アーク切れ異常を確実に表示することができ
る。従って、確実な溶接品質が確保できることに加え
て、溶接品質の検査工程の廃止等による完全自動化が可
能となる。
【0085】尚、本実施例装置においては、途中アーク
切れ異常が生じた場合、異常表示を行いキャリジ10は
溶接終了位置まで動かす構成としたが、これに限るもの
ではなく、例えば、途中アーク切れ異常発生時には、キ
ャリジ10をその場で停止させ、不良ワークを除去した
後再び自動運転を再開させる構成としてもよい。
【0086】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、アーク放
電開始時においてスティック現象が起こった場合でも、
これを検知することができ、所定時間安定したアーク電
流が得られるまで、キャリジが移動しない。このため、
溶接ビード長不足や溶接開始部の溶け込み不足等、アー
ク放電開始時における放電不良による溶接不良を無くす
ことができる。従って、従来の方法に比べて溶接品質が
向上すると共に歩留りを向上させることができる。
【0087】また、本発明の方法では、従来の方法と違
って、スティック現象によりアーク放電が途切れた場
合、これに伴ってWCR信号がオフとなる。このため、
一旦アーク放電が形成されたあと、溶接の途中でアーク
放電が途切れた場合にも、これを異常として検知するこ
とができる。
【0088】従来の方法は、溶接品質を溶接長全体にわ
たって検査する必要があった。これに反して、本発明の
方法では上記したように溶接不良が自動で検知されるた
め、検査工程の廃止が可能であり、全自動化による省人
化及び生産効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動アーク溶接方法の原理図であ
る。
【図2】本発明に係る自動アーク溶接方法を使用する自
動アーク溶接装置の一実施例の構成図である。
【図3】本実施例装置のタイムチャートである。
【図4】本実施例装置の制御に用いる処理の一例のフロ
ーチャートである。
【図5】自動アーク溶接装置により溶接したワークの溶
接部を表す斜視図である。
【図6】自動アーク溶接装置において正常にアーク放電
が形成された場合、及び溶接途中でスティック現象が起
きた場合の電流波形等を表す図である。
【図7】自動アーク溶接装置においてアーク放電開始時
にスティック現象が起きた場合の電流波形等を表す図で
ある。
【図8】従来の自動アーク溶接装置のタイムチャートで
ある。
【符号の説明】
1 第1の処理 2 第2の処理 3 第3の処理 4 第4の処理 10 キャリジ 11 溶接トーチ 12 ワイヤ 13 溶接電源 14 ワーク 15 制御盤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/095 B23K 9/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接棒と溶接すべきワークとの間に流れ
    る電流を測定し、該電流値が所定のしきい値以上である
    場合アーク発生確認信号をオンとし、該アーク発生確認
    信号がオンである場合前記溶接棒を移送するキャリジを
    溶接終了位置に向けて動かす自動アーク溶接方法におい
    て、 前記溶接棒と前記ワークとの間に流れる電流が前記所定
    のしきい値未満に変化したときに前記アーク発生確認信
    号がオンからオフに切り替わる際の遅れ時間を、スティ
    ック現象の際に前記電流が前記所定のしきい値未満に保
    持される時間より短く、かつ前記電流の変動周期より長
    い時間に設定し、前記遅れ時間中に前記電流が前記所定のしきい値以上に
    変化しない場合に、スティック異常として前記キャリジ
    を停止させる ことを特徴とする自動アーク溶接方法。
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