JP4673472B2 - アーク加工状態監視方法及びアーク加工電源装置 - Google Patents

アーク加工状態監視方法及びアーク加工電源装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク加工電源装置の出力電圧又は出力電流の検出信号を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して、加工異常信号を出力することによって被加工物の品質不良の発生を監視するアーク加工状態監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アーク溶接、アークプラズマ切断等のアーク加工において、アーク放電の不規則な運動、加工トーチ高さの変動、磁気吹きの発生等の種々の要因によってアーク加工状態に異常状態が発生して、その結果、被加工物が品質不良となることがある。このために、アーク加工状態を監視して、異常発生時にはアーク加工の停止、異常表示灯の点灯等を行うことによって、いち早く被加工物の品質不良を発見して、それに対処するアーク加工状態監視が行われている。
【0003】
上記のアーク加工状態監視には種々の方法があるが、本発明ではアーク加工電源装置に内蔵されて、その出力電圧、出力電流等の電気信号によってアーク加工状態監視を行う方法を対象としている。以下、従来技術のアーク加工状態監視方法について説明する。
【0004】
図1は、従来技術のアーク加工状態監視方法を実施するためのアーク加工電源装置のブロック図である。同図は、アーク加工として消耗電極ガスシールドアーク溶接の場合を例示している。以下、同図を参照して各回路ブロックについて説明する。
【0005】
商用電源ACは、一点鎖線で囲んだアーク加工電源装置PSの入力電源であり、通常は交流3相200[V]が使用されることが多い。出力制御回路INVは、この商用電源ACを入力として出力制御を行い、アーク負荷に適した出力電圧Vwを供給する。一般的に、この出力制御回路INVとしては、インバータ制御回路、チョッパ制御回路、サイリスタ位相制御回路等が慣用されている。例えば、上記のインバータ制御回路は、以下の回路から構成されている。すなわち、上記の商用電源ACを整流する1次側整流回路と、整流されたリップルのある電圧を平滑する平滑回路と、平滑された直流電圧を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク負荷に適した電圧に降圧する高周波変圧器と、降圧された交流を再び整流する2次側整流回路と、整流されたリップルのある直流を平滑する直流リアクトルとから構成されており、後述するドライブ信号Dvに従って上記のインバータ回路を形成する複数組のパワートランジスタが制御されて出力制御が行われる。
【0006】
溶接ワイヤ1は、送給装置の送給ロール5aによって加工トーチ4を通って送給されて、被加工物2との間にアーク3が発生する。このアーク中を出力電流Iwが通電して、出力電圧Vwが印加する。
【0007】
電圧設定回路VSは、電圧設定信号Vsを出力する。同図は、前述したように、消耗電極ガスシールドアーク溶接用のアーク加工電源装置PSの場合であるので、一般的に定電圧特性を有しており、後述するように、この電圧設定信号Vsに等しくなるように上記の出力電圧Vwが制御される。電圧検出回路VDは、上記の出力電圧Vwを検出して電圧検出信号Vdを出力する。誤差増幅回路EAは、上記の電圧設定信号Vsと上記の電圧検出信号Vdとの誤差を増幅して、誤差増幅信号Eaを出力する。ドライブ回路DVは、後述する加工異常信号Arが入力されていないとき(Lowレベルのとき)は上記の誤差増幅信号Eaに従って前述したインバータ回路を形成する複数のパワートランジスタを駆動するドライブ信号Dvを出力し、他方、上記の加工異常信号Arが入力されているとき(Highレベルのとき)は上記のドライブ信号Dvの出力を禁止して出力電圧Vwを停止する。
【0008】
電流検出回路IDは、上記の出力電流Iwを検出して電流検出信号Idを出力する。加工異常判別回路ARは、上記の電圧検出信号Vd及び上記の電流検出信号Idを入力として、アーク加工状態の異常発生を判別して、加工異常信号Arを出力する。この異常発生の判別は、上記の電圧検出信号Vd又は電流検出信号Idの一方又は両方を入力として行う。同図では、この加工異常信号Arが出力されると出力電圧Vwを停止してアーク加工を停止する場合を例示したが、この加工異常信号Arが出力されると異常表示灯を点灯するようにする場合もある。
【0009】
図2は、図1で前述した加工異常判別回路ARの回路構成を例示するブロック図である。同図は、電流検出信号Idのみを入力として、代表的なアーク加工状態の異常発生であるアーク切れを判別して、加工異常信号Arを出力(Highレベル信号を出力)する場合である。以下、同図を参照して説明する。
【0010】
コンパレータCPは、前述した電流検出信号Idと10[A]程度に予め設定したしきい値信号Ithとを比較して、Id≧IthのときはHighレベルの信号となり、逆にId<IthのときはLowレベルの信号となる電流通電信号Cpを出力する。すなわち、この電流通電信号Cpは、出力電流Iwが通電していればHighレベルとなる信号である。オフディレイ回路ODは、上記の電流通電信号Cpを入力として、その信号がHighレベルからLowレベルへと変化する時点を予め設定した遅延時間Td[s]だけ遅延させたオフディレイ信号Odを出力する。したがって、アーク加工中に上記のオフディレイ信号OdがHighレベルからLowレベルへと変化したときは、アーク加工中に上記の遅延時間Td以上の間、出力電流Iwが通電しないというアーク切れが発生していることになる。なお、遅延時間Tdを設けている理由は、微小時間のアーク切れは被加工物の品質に影響を与えないために、そのようなときには異常発生と判別する必要がないためである。
【0011】
フリップフロップ回路FFは、上記のオフディレイ信号Odをセット信号として、その信号がHighレベルからLowレベルへと変化すると(アーク切れが発生すると)Highレベルとなる加工異常信号Arを出力する。リセット回路RSは、リセット信号Rsを出力する。このリセット信号Rsは、上記のフリップフロップ回路FFのリセット信号として入力されて、上記の加工異常信号ArをLowレベルにリセットする。このリセット回路RSは、押しボタン等に対応しており、押しボタンが押されると上記のリセット信号Rsが出力されて加工異常信号Arの出力が解除される。上述したように、加工異常判別回路ARは、電流検出信号Idを入力としてアーク加工中のアーク切れの発生を判別して加工異常信号Arを出力する。
【0012】
図3は、図1及び図2で前述した従来装置の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は出力電圧Vwの時間変化を示しており、同図(B)は出力電流Iwの時間変化を示しており、同図(C)は電流通電信号Cpの時間変化を示しており、同図(D)はオフディレイ信号Odの時間変化を示しており、同図(E)は加工異常信号Arの時間変化を示している。同図は、アーク加工中にアーク切れが発生して加工異常信号Arが出力されるときの上記の各信号のタイミングチャートを示している。以下、同図を参照して説明する。
【0013】
▲1▼ 時刻t1以前の期間
同図は、前述したように、消耗電極ガスシールドアーク溶接の場合であるので、同図(A)に示すように出力電圧Vwは、アーク期間中は電圧値が大きくなり、短絡期間中は電圧値が略零となる波形を繰り返す。一方、同図(B)に示すように出力電流Iwは、アーク期間中は電流値が徐々に減少し、短絡期間中は電流値が徐々に増加する波形を繰り返す。同図(C)に示す電流通電信号Cpは、図2で前述したように、出力電流Iwが通電してIw(Id)≧IthであるのでHighレベルとなる。同様に、同図(D)に示すオフディレイ信号OdもHighレベルとなる。また、同図(E)に示す加工異常信号Arは、上記のオフディレイ信号OdがHighレベルからLowレベルに変化しないために、Lowレベルのままである。
【0014】
▲2▼ 時刻t1〜t2の期間
時刻t1においてアーク切れが発生すると、同図(A)に示すように、出力電圧Vwは、アーク期間中の電圧値よりもさらに大きな値の無負荷電圧となる。一方、同図(B)に示すように、出力電流Iwは、通電しないために0[A]となる。このために、同図(C)に示すように、電流通電信号Cpは、Iw(Id)<Ithとなるために時刻t1においてHighレベルからLowレベルに変化する。しかしながら、同図(D)に示すように、オフディレイ信号Odは、時刻t1から図2で前した遅延時間Td経過するまでの時刻t2直前までは、Highレベルのままである。したがって、同図(E)に示すように、加工異常信号ArもLowレベルのままである。
【0015】
▲3▼ 時刻t2以後の期間
時刻t1に発生したアーク切れが遅延時間Tdの間、継続して時刻t2に達すると、同図(D)に示すように、オフディレイ信号Odは、HighレベルからLowレベルに変化する。図2で前述したように、この変化をセット信号として、同図(E)に示すように、加工異常信号ArがHighレベルに変化する。加工異常信号ArがHighレベルになると、図1で前述したように、アーク加工電源装置の出力制御が停止するために、同図(A)に示すように、出力電圧Vwは0[V]となる。
以上のようにして、アーク加工中のアーク切れ発生を判別して加工異常信号Arを出力することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
図3で前述したように、従来技術のアーク加工状態監視方法では、アーク加工中にアーク切れ、溶け落ち等の種々の異常発生を判別して、加工異常信号Arを出力することができるために、被加工物の品質不良を発見することが容易になる。しかしながら、図3で前述したように、アーク切れ発生を判別して加工異常信号Arを出力する従来方法では、アーク加工中にアーク切れが発生した原因を特定することはできない。このために、従来方法では、被加工物の品質不良は発見することはできても、アーク切れの発生原因を特定して今後は品質不良が生じないようにすることはできなかった。以下、上述した従来方法の解決すべき課題について具体例を挙げて説明する。
【0017】
前述した図3(A)に示すように、アーク切れの発生を判別した時刻t2以前においては、短絡期間の時間長さにバラツキがあり、かつ、通常よりも長い短絡期間の終了直後にアーク切れが発生している。このような波形のときは、ワイヤ送給速度の変動がアーク切れの発生原因になっている。したがって、アーク切れを防止するためには、ワイヤ送給性が良好になるように、加工トーチのコンタクトチップ、コイルライナ等の消耗部品の交換、加工トーチのケーブルの曲がりを緩やかする等の対策を取ることが必要になる。
【0018】
図4は、図3とは異なる原因である磁気吹きの発生によってアーク切れが発生したときの各信号のタイミングチャートである。同図(A)は出力電圧Vwの時間変化を示しており、同図(B)は出力電流Iwの時間変化を示しており、同図(C)は電流通電信号Cpの時間変化を示しており、同図(D)はオフディレイ信号Odの時間変化を示しており、同図(E)は加工異常信号Arの時間変化を示している。同図において、加工異常信号Arが出力される動作の説明は、前述した図3と同様であるのでその説明は省略する。以下、同図を参照して説明する。
【0019】
同図(A)に示すように、アーク切れの発生を判別した時刻t2以前においては、短絡期間の時間長さはほぼ一定であり、かつ、アーク期間中に突然急激に電圧値が上昇した直後にアーク切れが発生している。このような波形のときは、磁気吹きがアーク切れの発生原因になっている。したがって、アーク切れを防止するためには、磁気吹きが生じないように被加工物への溶接ケーズルの接続位置の変更、接続個所を増やす等の対策を取ることが必要になる。
【0020】
上述したように、図3及び図4では時刻t2において同様にアーク切れの発生を判別して加工異常信号Arが出力されるが、その発生原因は全く異なるために、その対策も異なる。しかしながら、従来技術のアーク加工状態監視方法では、アーク切れの発生原因を特定することができないために、発生原因に対応した有効な対策を取ることができなかった。
【0021】
そこで、本発明は、アーク加工中の加工異常信号Arの発生原因を判別することができるアーク加工状態監視方法及びアーク加工電源装置を提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段】
出願時の請求項1の発明は、図5、図8及び図9に示すように、
アーク加工電源装置PSの出力電圧Vw及び出力電流Iwを検出すると共に、それらの検出信号Vd及びIdを入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arを出力することによって被加工物2の品質不良の発生を監視するアーク加工状態監視方法において、
予め設定したサンプリング周期Tsごとに上記電圧検出信号VdをA/D変換した電圧A/D変換信号Vad及び上記電流検出信号IdをA/D変換した電流A/D変換信号Iadを順番に記憶して、その記憶数が予め設定した最大記憶数Nmaxに達した以後は一番先に記憶した上記両信号Vad及びIadに替えて最新の上記両信号Vad及びIadを上書き記憶する記憶処理を繰り返して行い、
アーク加工中に上記加工異常信号Arが出力されると上記記憶処理を停止して、その記憶処理停止時点tstでの時系列の上記電圧A/D変換信号Vad及び上記電流A/D変換信号Iadによって形成される上記記憶処理停止時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが上記加工異常信号Arの発生原因を判別するアーク加工状態監視方法である。
【0023】
出願時の請求項2の発明は、図10に示すように、
出願時の請求項1に記載する記憶処理停止時点tstでの時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを、FAネットワークを介してパーソナルコンピュータPCに送信して、それらの送信された信号群によって形成される上記記憶処理停止時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが加工異常信号Arの発生原因を判別する出願時の請求項1のアーク加工状態監視方法である。
【0024】
出願時の請求項3の発明は、図11に示すように、
アーク加工電源装置PS及び産業用のロボットマニュピュレータRM及び両者との間で制御信号を送受信するロボット制御装置RCを使用するアーク加工作業において、
出願時の請求項1に記載する記憶処理停止時点tstでの時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを、上記ロボット制御装置RCに送信して、それらの送信された信号群によって形成される上記記憶処理停止時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが加工異常信号Arの発生原因を判別する出願時の請求項1のアーク加工状態監視方法である。
【0025】
出願時の請求項4の発明は、図5、図8及び図9に示すように、
出願時の請求項1に記載する加工異常信号Arが、電圧検出信号Vd又は電流検出信号Idの一方又は両方を入力としてアーク加工中のアーク切れ発生を判別して出力される上記加工異常信号Arである出願時の請求項1又は請求項2又は請求項3のアーク加工状態監視方法である。
【0026】
出願時の請求項5の発明は、図5、図8及び図9に示すように、
アーク加工電源装置PSの出力電圧Vw及び出力電流Iwを検出すると共に、それらの検出信号Vd及びIdを入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arを出力することによって加工物2の品質不良の発生を監視するアーク加工電源装置PSにおいて、
出力電圧Vwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、出力電流Iwを検出して電流検出信号Idを出力する電流検出回路IDと、上記電圧検出信号Vd又は上記電流検出信号Idの一方又は両方を入力として加工異常信号Arを出力する加工異常判別回路ARと、
予め設定したサンプリング周期Tsごとに上記電圧検出信号VdをA/D変換して電圧A/D変換信号Vadを出力する電圧A/D変換回路VADと、上記サンプリング周期Tsごとに上記電流検出信号VdをA/D変換して電流A/D変換信号Iadを出力する電流A/D変換回路IADと、予め設定した最大記憶数Nmaxのメモリ容量を有するリングバッファメモリRBMと、上記サンプリング周期Tsごとに上記電圧A/D変換信号Vad及び上記電流A/D変換信号Iadを上記リングバッファメモリRBMに順番に記憶してその記憶数が上記最大記憶数Nmaxに達した以後は一番先に記憶した上記両信号vad及びIadに替えて最新の上記両信号Vad及びIadを上書き記憶する記憶処理を繰り返して行いアーク加工中に上記加工異常信号Arが入力された時点tstで上記記憶処理を停止する記憶処理回路MCと、
上記記憶処理停止時点tstで上記リングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の上記電圧A/D変換信号Vad及び上記電流A/D変換信号Iadを外部出力信号Opとしてアーク加工電源装置PSの外部に出力する外部出力回路OPとから構成されて、
上記外部出力信号Opによって形成される上記記憶処理停止時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが上記加工異常信号Arの発生原因を判別するアーク加工電源装置PSである。
【0027】
出願時の請求項6の発明は、図10に示すように、
出願時の請求項5に記載する外部出力回路OPが、外部出力信号OpをFAネットワークを介してパーソナルコンピュータPCに送信するための通信インターフェース回路I/Fである出願時の請求項5のアーク加工電源装置である。
【0028】
出願時の請求項7の発明は、図11に示すように、
アーク加工電源装置PS及び産業用のロボットマニュピュレータRM及び両者との間で制御信号を送受信するロボット制御装置RCを使用するアーク加工作業において、
出願時の請求項5に記載する外部出力回路OPが、外部出力信号Opを上記ロボット制御装置RCに送信するための通信インターフェース回路I/Fである出願時の請求項5のアーク加工電源装置である。
【0029】
出願時の請求項8の発明は、図5、図8及び図9に示すように、
出願時の請求項5に記載する加工異常判別回路ARが、電圧検出信号Vd又は電流検出信号Idの一方又は両方を入力としてアーク加工中のアーク切れ発生を判別して加工異常信号Arを出力する上記加工異常判別回路ARである出願時の請求項5又は請求項6又は請求項7のアーク加工電源装置PSである。
【0030】
出願時の請求項9の発明は、図12に示すように、
アーク加工電源装置PSの出力電圧Vw及び出力電流Iw並びにワイヤ送給速度Wfを検出すると共に、それらの検出信号Vd及びId及びWdを入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arを出力することによって被加工物2の品質不良の発生を監視する消耗電極ガスシールドアーク溶接のアーク加工状態監視方法において、
予め設定したサンプリング周期Tsごとに上記電圧検出信号VdをA/D変換した電圧A/D変換信号Vad及び上記電流検出信号IdをA/D変換した電流A/D変換信号Iad及び上記ワイヤ送給速度検出信号WdをA/D変換した送給速度A/D変換信号Wadを順番に記憶して、その記憶数が予め設定した最大記憶数Nmaxに達した以後は一番先に記憶した上記3つの信号Vad及びIad及びWadに替えて最新の上記3つの信号Vad及びIad及びWadを上書き記憶する記憶処理を繰り返して行い、
アーク加工中に上記加工異常信号Arが出力されると上記記憶処理を停止して、その記憶処理停止時点tstでの時系列の上記電圧A/D変換信号Vad及び上記電流A/D変換信号Iad及び上記送給速度A/D変換信号Wadによって形成される上記記憶処理停止時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形及びワイヤ送給速度波形によってオペレータが上記加工異常信号Arの発生原因を判別するアーク加工状態監視方法である。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例は、図5及び図10に示すように、
アーク加工電源装置PSの出力電圧Vw及び出力電流Iwを検出すると共に、それらの検出信号Vd及びIdの一方又は両方を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arを出力することによって加工物2の品質不良の発生を監視するアーク加工電源装置PSにおいて、
出力電圧Vwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、出力電流Iwを検出して電流検出信号Idを出力する電流検出回路IDと、上記電圧検出信号Vd又は上記電流検出信号Idの一方又は両方を入力として加工異常信号Arを出力する加工異常判別回路ARと、
予め設定したサンプリング周期Tsごとに上記電圧検出信号VdをA/D変換して電圧A/D変換信号Vadを出力する電圧A/D変換回路VADと、上記サンプリング周期Tsごとに上記電流検出信号VdをA/D変換して電流A/D変換信号Iadを出力する電流A/D変換回路IADと、予め設定した最大記憶数Nmaxのメモリ容量を有するリングバッファメモリRBMと、上記サンプリング周期Tsごとに上記電圧A/D変換信号Vad及び上記電流A/D変換信号Iadを上記リングバッファメモリRBMに順番に記憶してその記憶数が上記最大記憶数Nmaxに達した以後は一番先に記憶した上記両信号vad及びIadに替えて最新の上記両信号Vad及びIadを上書き記憶する記憶処理を繰り返して行いアーク加工中に上記加工異常信号Arが入力された時点tstで上記記憶処理を停止する記憶処理回路MCと、
上記記憶処理停止時点tstで上記リングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の上記電圧A/D変換信号Vad及び上記電流A/D変換信号IadをFAネットワークを介してパーソナルコンピュータPCに送信するための通信インターフェースの外部出力回路OPとから構成されて、
上記パーソナルコンピュータPCの受信信号群によって形成される上記記憶処理停止時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形によって上記加工異常信号Arの発生原因を判別するアーク加工電源装置PSである。
【0032】
【実施例】
[実施例1]
以下に説明する実施例1の発明は、出願時の請求項1及び請求項5の発明に対応している。
図5は、実施例1のアーク加工電源装置のブロック図である。同図において、前述した図1と同一の回路ブロックには同一の符号を付しており、それらの説明は省略する。以下、同図を参照して、点線で示す図1とは異なる回路ブロックである、電圧A/D変換回路VAD、電流A/D変換回路IAD、記憶処理回路MC、リンブバッファメモリRBM及び外部出力回路OPについて説明する。
【0033】
電圧A/D変換回路VADは、図1で前述した電圧検出信号Vdを予め設定したサンプリング周期Ts[s]ごとにA/D変換して、電圧A/D変換信号Vadを出力する。電流A/D変換回路IADは、図1で前述した電流検出信号Idを上記と同様にサンプリング周期Ts[s]ごとにA/D変換して、電流A/D変換信号Iadを出力する。このサンプリング周期Tsとしては、例えば0.1[ms]程度である。
【0034】
記憶処理回路MCは、加工異常信号Arが出力されていないとき(Lowレベルのとき)は、上記の電圧A/D変換信号Vad及び上記の電流A/D変換信号Iadを、サンプリング周期Tsごとに後述するリングバッファメモリRBMに順番に記憶する記憶処理を行う。一方、加工異常信号Arが出力されたとき(Highレベルのとき)は、上記の記憶処理を停止して、停止時点で上記のリングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを記憶信号Mcとして出力する。上記の記憶処理の詳細は、図6で後述する。
【0035】
リングバッファメモリRBMは、予め設定した最大記憶数Nmax組の上記の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを記憶することができる容量のメモリである。外部出力回路OPは、上記の記憶信号Mcを電源装置の外部に出力するためのインターフェース回路である。
【0036】
図6は、上述した記憶処理を説明するためのリングバッファメモリRBMのメモリ構成図である。同図において、第1行目は信号が記憶された時刻t(n)を示しており、第2行目はメモリのアドレス(1〜Nmax)を示しており、第3行目はそのアドレスに記憶されている電圧A/D変換信号Vadを示しており、第4行目はそのアドレスに記憶されている電流A/D変換信号Iadを示している。同図は、最大記憶数Nmax=1000の場合を例示している。以下、同図を参照して説明する。
【0037】
アーク加工を開始すると、サンプリング周期Ts[s]ごとの時刻t(1)、t(2)における電圧A/D変換信号Vad(1)、Vad(2)及び 電流A/D変換信号Iad(1)、Iad(2)をアドレス1、2にそれぞれ順番に記憶する。この記憶処理を時刻t(1000)まで繰り返した後、時刻t(1001)になると記憶数が最大記憶数Nmaxを超えるので、その時刻の電圧A/D変換信号Vad(1001)及び電流A/D変換信号Iad(1001)は、一番先に記憶したアドレス1に上書き記憶する。同様に、時刻t(1002)の電圧A/D変換信号Vad(1002)及び電流A/D変換信号Iad(1002)は、アドレス2に上書き記憶する。上記の記憶処理を、加工異常信号Arが発生しない間は繰り返す。
【0038】
次に、アーク加工中に加工異常信号Arが発生したときのリングバッファメモリRBMに記憶されている信号群及びそれらの信号群を電源装置の外部に出力する処理について説明する。
図7は、加工異常信号Arが発生した時点でのリングバッファメモリRBMのメモリ構成図である。同図は、時刻t(n)の電圧A/D変換信号Vad(n)及び電流A/D変換信号Iad(n)をアドレスm(1<m<1000)に記憶した直後に、加工異常信号Arが発生して、上述した記憶処理を停止した場合である。以下、同図を参照して説明する。
【0039】
同図に示すように、アドレスmには、加工異常信号Arが発生する直前の時刻t(n)の電圧A/D変換信号Vad(n)及び電流A/D変換信号Iad(n)が記憶されており、アドレスm−1には、時刻t(n-1)の電圧A/D変換信号Vad(n-1)及び電流A/D変換信号Iad(n-1)が記憶されており、アドレス1には、時刻t(n-m+1)の電圧A/D変換信号Vad(n-m+1)及び電流A/D変換信号Iad(n-m+1)が記憶されており、アドレス1000には、時刻t(n-m)の電圧A/D変換信号Vad(n-m)及び電流A/D変換信号Iad(n-m)が記憶されており、アドレスm+1には、時刻t(n-999)の電圧A/D変換信号Vad(n-999)及び電流A/D変換信号Iad(n-999)が記憶されている。すなわち、加工異常信号Arが発生した時点tstから前のNmax=1000組の時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadが記憶されており、その記憶期間Tm=Ts×Nmax[s]の期間中の両信号群が記憶されている。これらの時系列の電圧A/D変換信号Vadによって記憶期間Tmの出力電圧波形を形成することができ、同様に、これらの時系列の電流A/D変換信号Iadによって記憶期間Tmの出力電流波形を形成すことができる。
【0040】
図8は、上述した実施例1のアーク加工状態監視方法の効果を示す電圧・電流波形図である。同図(A)は出力電圧Vwの時間変化を示しており、同図(B)は出力電流Iwの時間変化を示しており、同図(C)は加工異常信号Arの時間変化を示している。同図は、前述した図3のときと同一の波形図である。以下、同図を参照して説明する。
【0041】
時刻t(n)においてアーク切れの発生を判別して、同図(C)に示す加工異常信号Arが出力されると(Highレベルになると)、その時点tstでのリングバッファメモリRBMには、時刻t(n)〜t(n-999)の記憶期間Tm中の時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadが記憶されている。前述したように、これらの信号群によって記憶期間Tm中の同図(A)に示す出力電圧波形及び同図(B)に示す出力電流波形を形成すことができる。したがって、加工異常信号Arが出力されてアーク加工が停止したとき又は異常表示灯が点灯したときには、加工異常信号Arが出力された時点tstから前の一定期間Tm中の上記の出力電圧波形及び出力電流波形によって加工異常信号Arの発生原因を判別することができる。
【0042】
例えば、同図の場合には、図3で前述したように、記憶信号群から形成された出力電圧波形及び出力電流波形から短絡期間の時間長さにバラツキがあり、かつ、通常よりも長い短絡期間の終了直後にアーク切れが発生していることがわかる。このような波形のときは、ワイヤ送給速度の変動がアーク切れの発生原因になっているので、アーク切れを防止するためには、ワイヤ送給性が良好になるように対策すれば良い。
【0043】
図9は、上述した図8のときと対応させて実施例1のアーク加工状態監視方法の効果を示す電圧・電流波形図である。同図(A)は出力電圧Vwの時間変化を示しており、同図(B)は出力電流Iwの時間変化を示しており、同図(C)は加工異常信号Arの時間変化を示している。同図は、前述した図4と同一の波形図である。なお、上述した図8と同様の説明は省略して、以下、同図を参照して説明する。
【0044】
同図(A)及び同図(B)に示すように、図8のときと同様に記憶信号群から形成された出力電圧波形及び出力電流波形から短絡期間の時間長さはほぼ一定であり、かつ、アーク期間中に突然急激に電圧値が上昇した直後にアーク切れが発生していることがわかる。このような波形のときは、磁気吹きがアーク切れの発生原因になっているので、アーク切れを防止するためには、磁気吹きが生じないように対策すれば良い。
【0045】
図8及び図9で上述したように、本発明のアーク加工状態監視方法は、記憶信号群から形成された出力電圧波形及び出力電流波形によって加工異常信号Arの発生原因を判別することができるので、発生原因に最適な対策を取ることができ、その結果、被加工物の品質を常に良好にすることができる。
【0046】
[実施例2]
以下に説明する実施例2の発明は、出願時の請求項2及び請求項6の発明に対応している。
実施例2の発明は、前述したように、アーク加工中に加工異常信号Arが出力された時点tstでリングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを、FAネットワークを介してパーソナルコンピュータPCに送信して、それらの送信された信号群によって形成される出力電圧波形及び出力電流波形によって上記の加工異常信号Arの発生原因を判別するアーク加工状態監視方法である。
【0047】
実施例2の発明を実施するためのアーク加工電源装置の回路構成は、前述した図5に示す外部出力回路OPが以下に説明する図10の回路構成となること以外は図5と同一である。
図10は、実施例2に対応する外部出力回路OPの回路構成を示すブロック図である。通信インターフェース回路I/Fは、加工異常信号Arが出力された時点tstでリングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadによって形成される図5で前述した記憶信号Mcを、FAネットワークを介して送信するための外部出力信号Opを出力する。この外部出力信号Opは、FAネットワークを介してパーソナルコンピュータPCに送信される。品質管理者は、パーソナルコンピュータPCによってこれらの受信信号群の解析を行い加工異常信号Arの発生原因を判別する。この解析方法の一例としては、加工異常信号Arの発生原因に対応した出力電圧波形及び出力電流波形の基準パターンと、上記の受信信号群によって形成される出力電圧波形及び出力電流波形とを比較することによって発生原因を判別する方法がある。
【0048】
[実施例3]
以下に説明する実施例3の発明は、出願時の請求項3及び請求項7の発明に対応している。
実施例3の発明は、アーク加工電源装置PS及び産業用のロボットマニュピュレータRM及び両者との間で制御信号を送受信するロボット制御装置RCを使用するアーク加工作業において、
前述したように、アーク加工中に加工異常信号Arが出力された時点tstでリングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを、上記のロボット制御装置RCに送信して、それらの送信された信号群によって形成される出力電圧波形及び出力電流波形によって上記の加工異常信号Arの発生原因を判別するアーク加工状態監視方法である。
【0049】
実施例3の発明を実施するためのアーク加工電源装置の回路構成は、前述した図5に示す外部出力回路OPが以下に説明する図11の回路構成となること以外は図5と同一である。
図11は、実施例3に対応する外部出力回路OPの回路構成を示すブロック図である。通信インターフェース回路I/Fは、加工異常信号Arが出力された時点tstでリングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadによって形成される図5で前述した記憶信号Mcを、上記のロボット制御装置RCに送信するための外部出力信号Opを出力する。ロボット制御装置RCは、予め組み込まれた解析ソフトウェアによってこれらの受信信号群の解析を行い加工異常信号Arの発生原因を判別する。
この解析方法の一例としては、前述したように、加工異常信号Arの発生原因に対応した出力電圧波形及び出力電流波形の基準パターンと、上記の受信信号群によって形成される出力電圧波形及び出力電流波形とを比較することによって発生原因を判別する方法がある。そして、ロボット制御装置RCは、上記のパターン比較によって判別した発生原因をディスプレイ等に表示することができる。
【0050】
[実施例4]
以下に説明する実施例4は、出願時の請求項4及び請求項8の発明に対応している。
実施例4の発明は、図2で前述したように、加工異常信号Arが、電圧検出信号Vd又は電流検出信号Idの一方又は両方を入力としてアーク加工中のアーク切れ発生を判別して出力する加工異常信号Arである実施例1乃至実施例3のアーク加工状態監視方法である。
【0051】
実施例4の発明を実施するためのアーク加工電源装置の回路構成は、前述した図5、図10及び図11と同一である。なお、実施例4に対応する図5に示す加工異常判別回路ARの回路構成の一例は、前述した図2と同一である。
【0052】
[実施例5]
以下に説明する実施例5の発明は、出願時の請求項9の発明に対応している。
実施例5の発明は、溶接ワイヤを予め設定したワイヤ送給速度Wf[m/分]で送給して溶接する消耗電極ガスシールドアーク溶接において、前述した図5の実施例1とは下記の2点が異なり、それ以外は同一である。
【0053】
▲1▼ 実施例1では、出力電圧検出信号Vd又は出力電流検出信号Idの一方又は両方を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arを出力するのに対して、実施例5では、上記の両検出信号Vd又はIdに加えてワイヤ送給速度検出信号Wdの少なくとも1つ以上を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arを出力する。
【0054】
▲2▼ 実施例1では、サンプリング周期Tsごとに上記の電圧検出信号Vd及び電流検出信号IdをA/D変換して順番に記憶し、アーク加工中に上記の加工異常信号Arが出力された時点tstでの時系列の上記の両A/D変換信号Vad及びIadによって形成される上記時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形によって上記の加工異常信号Arの発生原因を判別する。これに対して実施例5では、サンプリング周期Tsごとに上記の両検出信号Vd及びIdに加えてワイヤ送給速度検出信号WdをA/D変換して順番に記憶し、アーク加工中に上記の加工異常信号Arが出力された時点tstでの時系列の上記の3つのA/D変換信号Vad及びIad及びWadによって形成される上記時点tstから前の一定期間Tm中の出力電圧波形及び出力電流波形及びワイヤ送給速度波形によって上記の加工異常信号Arの発生原因を判別する。以下、この実施例5に対応するアーク加工電源装置について説明する。
【0055】
図12は、実施例5の消耗電極ガスシールドアーク溶接用のアーク加工電源装置のブロック図である。同図において、前述した図5と同一の回路ブロックには同一の符号を付しており、それらの説明は省略する。以下、同図を参照して、点線で示す図5とは異なる回路ブロックである、加工異常判別回路AR、ワイヤ送給モータM、ワイヤ送給速度検出回路WD、送給速度A/D変換回路WAD、記憶処理回路MC及びリンブバッファメモリRBMについて説明する。
【0056】
ワイヤ送給モータMは、溶接ワイヤを予め設定したワイヤ送給速度Wfで送給する。ワイヤ送給速度検出回路WDは、上記のワイヤ送給速度Wfを検出してワイヤ送給速度検出信号Wdを出力する。この検出方法としては、ワイヤ送給モータMの電機子電圧を検出する方法、エンコーダによる方法、タコジェネレータによる方法等が慣用されている。加工異常判別回路ARは、図5で前述した電圧検出信号Vd及び電流検出信号Idに加えて上記のワイヤ送給速度検出信号Wdを入力として、アーク加工状態の異常発生を判別して、加工異常信号Arを出力する。このとき異常発生の判別は、上記の3つの検出信号の少なくとも1つ以上を入力として行う。
【0057】
送給速度A/D変換回路WADは、上記のワイヤ送給速度検出信号Wdを図5で前述したようにサンプリング周期TsごとにA/D変換して、送給速度A/D変換信号Wadを出力する。記憶処理回路MCは、加工異常信号Arが出力されていないとき(Lowレベルのとき)は、図5で前述した電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadに加えて上記の送給速度A/D変換信号Wdを、サンプリング周期Tsごとに後述のリングバッファメモリRBMに順番に記憶する記憶処理を行う。一方、加工異常信号Arが出力されたとき(Highレベルのとき)は、上記の記憶処理を停止して、停止時点で上記のリングバッファメモリRBMに記憶されている時系列の電圧A/D変換信号Vad、電流A/D変換信号Iad及び送給速度A/D変換信号Wadを記憶信号Mcとして出力する。リングバッファメモリRBMは、予め設定した最大記憶数Nmax組の上記の電圧A/D変換信号Vad、電流A/D変換信号Iad及び送給速度A/D変換信号Wadを記憶することができる容量のメモリである。
【0058】
【発明の効果】
実施例1乃至4の発明のアーク加工状態監視方法では、アーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arが出力された時点tstから前の一定期間(記憶期間Tm)中の時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadを記憶して、それらの信号群によって形成する出力電圧波形及び出力電流波形を形成することができるので、加工異常信号Arの発生原因を判別することができる。そのために、異常発生原因に対応した対策を取ることができるので、アー加工状態が安定化して被加工物の品質が常に良好になる。
特に、実施例2の発明では、上記の記憶された信号群をパーソナルコンピュータPCによって詳細に解析することができるので、異常発生原因の判別精度が高くなる。
さらに、実施例3の発明では、上記の記憶された信号群をロボット制御装置RCによって解析して異常発生原因を判別すると共に、その判別結果をディスプレイ等に表示することができるので、品質管理者へ迅速かつ的確に異常発生原因を通知することができる。
さらに、実施例5の発明では、アーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号Arが出力された時点tstから前の一定期間(記憶期間Tm)中の時系列の電圧A/D変換信号Vad及び電流A/D変換信号Iadに加えて送給速度A/D変換信号Wadを記憶して、それらの信号群によって出力電圧波形及び出力電流波形に加えてワイヤ送給速度波形を形成すことができるので、異常発生原因をより的確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のアーク加工電源装置のブロック図
【図2】加工異常判別回路のブロック図
【図3】従来装置のタイミングチャート
【図4】磁気吹きによるアーク切れ発生時の従来装置のタイミングチャート
【図5】実施例1のアーク加工電源装置のブロック図
【図6】リングバッファメモリのメモリ構成図
【図7】加工異常信号が発生した時点でのリングバッファメモリのメモリ構成図
【図8】実施例1の効果を説明するための電圧・電流波形図
【図9】実施例1の別の効果を説明するための電圧・電流波形図
【図10】実施例2の外部出力回路のブロック図
【図11】実施例3の外部出力回路のブロック図
【図12】実施例5のアーク加工電源装置のブロック図
【符号の説明】
1 溶接用ワイヤ
2 被加工物
3 アーク
4 加工トーチ
5a 送給装置の送給ロール
AC 商用電源
AR 加工異常判別回路
Ar 加工異常信号
CP コンパレータ
Cp 電流通電信号
DV ドライブ回路
Dv ドライブ信号
EA 誤差増幅回路
Ea 誤差増幅信号
FF フリップフロップ回路
I/F 通信インターフェ―ス回路
IAD 電流A/D変換回路
Iad 電流A/D変換信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
INV 出力制御回路
Ith しきい値信号
Iw 出力電流
M ワイヤ送給モータ
MC 記憶処理回路
Mc 記憶信号
Nmax 最大記憶数
OD オフディレイ回路
Od オフディレイ信号
OP 外部出力回路
Op 外部出力信号
PS アーク加工電源装置
R リセット端子
RBM リングバッファメモリ
RC ロボット制御装置
RM ロボットマニュピュレータ
RS リセット回路
Rs リセット信号
S セット端子
Td 遅延時間
Tm 記憶期間
Ts サンプリング周期
tst 記憶処理停止時点
VAD 電圧A/D変換回路
Vad 電圧A/D変換信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VS 電圧設定回路
Vs 電圧設定信号
Vw 出力電圧
WAD 送給速度A/D変換回路
Wad 送給速度A/D変換信号
WD ワイヤ送給速度検出回路
Wd ワイヤ送給速度検出信号
Wf ワイヤ送給速度

Claims (9)

  1. アーク加工電源装置の出力電圧及び出力電流を検出すると共に、それらの検出信号を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号を出力することによって被加工物の品質不良の発生を監視するアーク加工状態監視方法において、
    予め設定したサンプリング周期ごとに前記電圧検出信号をA/D変換した電圧A/D変換信号及び前記電流検出信号をA/D変換した電流A/D変換信号を順番に記憶して、その記憶数が予め設定した最大記憶数に達した以後は一番先に記憶した前記両信号に替えて最新の前記両信号を上書き記憶する記憶処理を繰り返して行い、アーク加工中に前記加工異常信号が出力されると前記記憶処理を停止して、その記憶処理停止時点での時系列の前記電圧A/D変換信号及び前記電流A/D変換信号によって形成される前記記憶処理停止時点から前の一定期間中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが前記加工異常信号の発生原因を判別するアーク加工状態監視方法。
  2. 記憶処理停止時点での時系列の電圧A/D変換信号及び電流A/D変換信号を、FAネットワークを介してパーソナルコンピュータに送信して、それらの送信された信号群によって形成される前記記憶処理停止時点から前の一定期間中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが加工異常信号の発生原因を判別する請求項1のアーク加工状態監視方法。
  3. アーク加工電源装置及び産業用のロボットマニュピュレータ及び両者との間で制御信号を送受信するロボット制御装置を使用するアーク加工作業において、
    記憶処理停止時点での時系列の電圧A/D変換信号及び電流A/D変換信号を、前記ロボット制御装置に送信して、それらの送信された信号群によって形成される前記記憶処理停止時点から前の一定期間中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが加工異常信号の発生原因を判別する請求項1のアーク加工状態監視方法。
  4. 加工異常信号が、電圧検出信号又は電流検出信号の一方又は両方を入力としてアーク加工中のアーク切れ発生を判別して出力される前記加工異常信号である請求項1又は請求項2又は請求項3のアーク加工状態監視方法。
  5. アーク加工電源装置の出力電圧及び出力電流を検出すると共に、それらの検出信号を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号を出力することによって加工物の品質不良の発生を監視するアーク加工電源装置において、
    出力電圧を検出して電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、出力電流を検出して電流検出信号を出力する電流検出回路と、前記電圧検出信号又は前記電流検出信号の一方又は両方を入力として加工異常信号を出力する加工異常判別回路と、
    予め設定したサンプリング周期ごとに前記電圧検出信号をA/D変換して電圧A/D変換信号を出力する電圧A/D変換回路と、前記サンプリング周期ごとに前記電流検出信号をA/D変換して電流A/D変換信号を出力する電流A/D変換回路と、予め設定した最大記憶数のメモリ容量を有するリングバッファメモリと、前記サンプリング周期ごとに前記電圧A/D変換信号及び前記電流A/D変換信号を前記リングバッファメモリに順番に記憶してその記憶数が前記最大記憶数に達した以後は一番先に記憶した前記両信号に替えて最新の前記両信号を上書き記憶する記憶処理を繰り返して行いアーク加工中に前記加工異常信号が入力された時点で前記記憶処理を停止する記憶処理回路と、前記記憶処理停止時点で前記リングバッファメモリに記憶されている時系列の前記電圧A/D変換信号及び前記電流A/D変換信号を外部出力信号としてアーク加工電源装置の外部に出力する外部出力回路とから構成されて、前記外部出力信号によって形成される前記記憶処理停止時点から前の一定期間中の出力電圧波形及び出力電流波形によってオペレータが前記加工異常信号の発生原因を判別するアーク加工電源装置。
  6. 外部出力回路が、外部出力信号をFAネットワークを介してパーソナルコンピュータに送信するための通信インターフェース回路である請求項5のアーク加工電源装置。
  7. アーク加工電源装置及び産業用のロボットマニュピュレータ及び両者との間で制御信号を送受信するロボット制御装置を使用するアーク加工作業において、
    外部出力回路が、外部出力信号を前記ロボット制御装置に送信するための通信インターフェース回路である請求項5のアーク加工電源装置。
  8. 加工異常判別回路が、電圧検出信号又は電流検出信号の一方又は両方を入力としてアーク加工中のアーク切れ発生を判別して加工異常信号を出力する前記加工異常判別回路である請求項5又は請求項6又は請求項7のアーク加工電源装置。
  9. アーク加工電源装置の出力電圧及び出力電流並びにワイヤ送給速度を検出すると共に、それらの検出信号を入力としてアーク加工状態の異常発生を判別して加工異常信号を出力することによって被加工物の品質不良の発生を監視する消耗電極ガスシールドアーク溶接のアーク加工状態監視方法において、
    予め設定したサンプリング周期ごとに前記電圧検出信号をA/D変換した電圧A/D変換信号及び前記電流検出信号をA/D変換した電流A/D変換信号及び前記ワイヤ送給速度検出信号をA/D変換した送給速度A/D変換信号を順番に記憶して、その記憶数が予め設定した最大記憶数に達した以後は一番先に記憶した前記3つの信号に替えて最新の前記3つの信号を上書き記憶する記憶処理を繰り返して行い、アーク加工中に前記加工異常信号が出力されると前記記憶処理を停止して、その記憶処理停止時点での時系列の前記電圧A/D変換信号及び前記電流A/D変換信号及び前記送給速度A/D変換信号によって形成される前記記憶処理停止時点から前の一定期間中の出力電圧波形及び出力電流波形及びワイヤ送給速度波形によってオペレータが前記加工異常信号の発生原因を判別するアーク加工状態監視方法。
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