JPS6228359B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はLPGやLNG等の低温液化ガスを貯蔵
する球形タンクを船体に搭載する支持装置に関す
る。

（従来技術） 一般に低温液化ガスの輸送に当たつてこの低温
液化ガスを貯蔵する球形タンクを船体に搭載する
に際しては、温度差により球形タンクが熱収縮す
るため、この変形が支持部で拘束されると、タン
ク支持部周辺に大なる熱応力が発生し、支持部周
辺が損傷する危険性がある。

そこで、球形タンクを船体に固着する支持構造
にしないでタンクの熱変形を許容する支持構造が
採用される。

しかしこの場合は、ピツチングやローリング等
の船体運動、および衝突時にタンクに生ずる加速
度等によつてタンクが移動することにより安全性
が損なわれる危惧が生じる。

また、船体より支持部を通じて低温の球形タン
クに対する熱侵入も極力減少させる配慮も必要と
される。

そこで、特開昭50−136714号公報に見られるよ
うに、球形タンクの外周面に水平状に支持リング
を突設し、該支持リング下面に等間隔おきに荷重
支持チヨツクを設け、該支持チヨツクを耐圧断熱
材を介して船体の支持甲板上に配列したＵ型支持
台によつて支持する構成の支持装置が提案されて
いる。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、上記する支持装置では、多数の支持
チヨツクをタンク周りに等配して断続的（間欠
的）に多点に於いて支持する構成のため、支持点
への荷重集中が生じ、支持部近傍には大きな応力
が働き、且つこの応力を求めるためには荷重が軸
対象でないため、複雑な解析が必要となり、精度
面に問題がある。

また、構造面からして球形タンクをその赤道部
で支持する構成を採用すると、船体にはタンク支
持用甲板を特設する必要があり、船殻構造が複雑
となり、船殻部材重量も増加して船価に大きく影
響する。

本発明は上述の点に鑑がみなされたものであつ
て、低温液化ガスを貯蔵する独立形の球形タンク
を船体等に搭載するに際し、その支持構造を簡素
化すると共に、信頼性の高い支持装置を提供する
ことを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するための本発明の基本的構
成は、船体に設けた支持台に対し、独立形の球形
低温液化ガス貯蔵タンクを搭載するものに於い
て、タンク本体の最低部位より適宜の高さ位置に
筒状の取付部材をタンク緯度線に沿つて垂設し、
該取付部材と船体側支持台上に設けた頂板間に環
状の断熱支持材を挟装してタンク本体を支持台に
連続的に支持させ、前記取付部材下端に水平突縁
を外方に向けてフランジ状に設け、該水平突縁の
複数個所に外方に向けて形成した突出部を支持台
頂板に設けた周方向移動止め挟み込み部材間に緩
挿すると共に、水平突縁と支持台頂板とを浮上抑
止部材によつてタンク本体の熱収縮による放射線
方向への変位を拘束することなく結合したことを
特徴とする低温液化ガス貯蔵タンク支持装置を要
旨とする。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図において、１はタンク本体で、低温液化ガス
を貯蔵するための周知構成の独立形の球形タンク
である。

３はこのタンク本体下部、つまりタンク本体１
の南半球において、タンク本体最低部位より適宜
の高さ位置に緯度線に沿つてタンク本体１を一周
して垂設した筒状をなす取付部材で、この取付部
材３に還状をなす断熱支持材２が付設してある。

而して、取付部材３に付設する断熱支持材２の
材料としては、断熱性良好で圧縮強度の強い材
料、例えば木材や合成樹脂等が使用され、タンク
本体１に対しては、第３図ａに示すように断熱支
持材２の一部がタンク本体１面に直接当接するも
のの他、第３図ｂ〜ｄに示すように断熱支持材２
はタンク本体１から離す構成のものであつてもよ
い。

４は上記取付部材３に対応して船体Ａの船殻部
材Ｂと一体化して船倉Ｃ内に立設した支持台で、
前記断熱支持材２下面が水平面で接合する環状を
なす頂板５を有し、タンク側からの全荷重を断熱
支持材２を介して受ける。

６は上記取付部材３にフランジ状に外方に向け
て設けた水平突縁で、この水平突縁６の複数個所
にはこれより更に水平外方に向けて突出部６′が
形成され、この突出部６′を支持台４の頂板５上
に立設した一対の挟み込み部材７間に緩挿し、ピ
ツチング、ローリング等の船体運動、および衝突
時にタンク本体１に生じる加速度等によるタンク
本体１の水平周方向の移動をタンク本体１の熱収
縮による放射線方向への水平変位を拘束すること
なく抑止する。

９は上記水平突縁６と支持台４の頂板５間の複
数個所に設けた浮上抑止部材で、これは断熱材１
１を介して水平突縁６から垂設したボルト９を支
持台４の頂板５に穿設した放射線方向に長軸を有
する長孔８に緩挿し、ボルト９上部および下部に
抜止部材１０を固着してなり、タンク本体１が支
持台４上方に浮き上がることをタンク本体１の熱
収縮による放射線方向への水平変位を拘束するこ
となく抑止する。

（効果） 本発明は球形タンクを船体に搭載するに当た
り、タンク本体にはその最低部位より適宜の高さ
位置にタンク緯度線に沿つて筒状をなす取付部材
を垂設し、該取付部材に環状をなす断熱支持材を
付設し、タンク本体を支持する側の船体には、上
記取付部材に対応して船殻部材と一体化して船倉
内に頂板を有する支持台を設け、前記断熱支持材
の下面と支持台の頂板とが水平面で連続的に接合
してタンク本体側からの全荷重を受けるようにし
たから、支持部での荷重集中がなく、支持部構造
及び荷重も完全な軸対称となり、過大な応力が局
部的に働くことがなく、且つ簡単な解析で支持部
近傍の応力が精度よく得られるとにより、容易に
信頼性の高い設計を可能にする。

また、タンク本体に垂設した取付部材下端にフ
ランジ状に外方に向けて設けた水平突縁の複数個
所に形成した突出部を支持台側に設けた周方向移
動止め挟み込み部材間に緩挿すると共に、水平突
縁と支持台頂板の複数個所を、浮上抑止部材によ
つて結合したから、タンク本体の熱収縮による放
射線方向の水平変位を拘束することなくタンク本
体の水平周方向の移動を抑止し、ピツチング、ロ
ーリング等のいかなる船体運動、及び衝突時にタ
ンク本体に生じる加速度等によつてタンク本体が
移動することにより安全性が損なわれるような危
惧は全くなく、また、仮令船倉に対する海水の侵
入等があつてもタンク本体の浮き上がりが抑止さ
れてタンク本体の浮き上がりでタンク本体及び船
体を損傷させることなく安全性を確保することが
出来る。

更に、球形タンクをタンク赤道部で支持する場
合には、船体にはタンク支持用の甲板を特設する
必要があり、船殻構造が複雑となると共に、船殻
部材重量が増加するが、本発明のようにタンク本
体の最低部位より適宜の高さ位置にタンク緯度線
に沿つて筒状をなす取付部材を垂設して支持する
構造では、タンク支持用甲板の特設は不要で、タ
ンク側の取付部材に対応してコンパクトな円筒状
のタンク支持台を船底部に設けるだけでよく、赤
道部位で支持するよりも船倉のスペース上、また
部材の経済上有利となる。

尚、一般に球形タンクを緯度線に沿つて支持す
る場合、タンク赤道部位に沿つて支持すればタン
ク支持部周辺のタンク殻に働く応力を最小とする
ことが出来ると考えられるが、タンク本体の大き
さ、荷重条件等によつては、本発明の支持装置の
如く、タンク本体の南半球の緯度線に沿つてタン
クを支持した場合でも、支持部周辺のタンク殻に
働く応力を、若干のタンク殻支持部周辺に対する
増厚等の補強等により強度的に問題のない許容応
力内に充分抑えることが出来ることは解析的に確
認されている。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は概略的全体斜視図、第２図は船倉内に適用
した装置の概略全体側面図、第３図ａ〜ｄは要部
の拡大図、第４図は第２図Ｘ−Ｘ線における断面
図、第５図は同Ｙ−Ｘ線における断面図、第６図
は第５図の一部詳細図である。 １……タンク本体、２……断熱支持材、３……
取付部材、４……支持台、５……頂板、６……水
平突縁、７……挟み込み部材、８……長孔、９…
…ボルト、１０……抜止部材、１１……断熱材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 船体に設けた支持台に対し、独立形の球形低
   温液化ガス貯蔵タンクを搭載するものに於いて、
   タンク本体の最低部位より適宜の高さ位置に筒状
   の取付部材をタンク緯度線に沿つて垂設し、該取
   付部材と船体側支持台上に設けた頂板間に環状の
   断熱支持材を挟装してタンク本体を支持台に連続
   的に支持させ、前記取付部材下端に水平突縁を外
   方に向けてフランジ状に設け、該水平突縁の複数
   個所に外方に向けて形成した突出部を支持台頂板
   に設けた周方向移動止め挟み込み部材間に緩挿す
   ると共に、水平突縁と支持台頂板とを浮上抑止部
   材によつてタンク本体の熱収縮による放射線方向
   への変位を拘束することなく結合したことを特徴
   とする低温液化ガス貯蔵タンク支持装置。