JPS622751Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、漏電しや断器などに用いる零相変流
器の構成に関する。

漏電しや断器は、受配電設備や制御装置の漏電
や地絡保護を目的として多数使用されているが、
このうち零相変流器は、電路の漏電を検出し、そ
の二次出力により電路に挿入されたしや断機構を
動作させる重要部品である。

第１図は従来技術による零相変流器の断面図、
第２図は第１図の平面図であり、第３図は第１図
の拡大図である。第１図ないし第３図において、
強磁性薄板を積層した環状の鉄心１は、環状の保
護ケース２に収容され、絶縁されるとともに外部
からの衝撃や応力を受けないように保護して、そ
の上に二次コイル３が巻かれている。この二次コ
イル３の上に一次導体の位置による磁気的不平衡
を改善するための第４図に示すような２枚の環状
シールド板４が鉄心１を挟むように鉄心１の両側
に当接している。そしてこの上に保護テープ５が
巻かれ、二次コイル３を絶縁保護するとともに磁
気シールド板４を保持している。３ａは二次コイ
ル３の口出線であり、６は一次導体の貫通孔であ
る。

このような構成に零相変流器は、従来から普及
しているが、保護テープ５を巻付ける作業は手作
業で行わなければならず、自動化が困難である。
またこのような構成では、外部からの衝撃により
保護テープ５に傷がつき易く、二次コイルが断線
するおそれもある。さらに保護テープを巻付ける
際保護テープの相互の重なりにより内側窓が円形
にならず一次導体を幾何学的に対称配置し難いと
いう欠点もある。

本考案は、上述の欠点を除去して簡単な構成で
組立ての自動化が容易で外部からの衝撃に対して
強く、かつ仕上り寸法精度の良好な零相変流器を
提供することを目的とする。

この目的は本考案によれば、有底円筒体で中央
に主回路導体が貫通する貫通孔を有しかつ開口部
周辺に複数の突起を有し、前記開口部から挿入さ
れる磁気シールド板および二次コイルが巻かれた
鉄心を収納する合成樹脂製の環状容器と、この環
状容器の開口部を覆いかつその開口部周辺に設け
た複数の突起と対向する位置に形成した孔を前記
突起に嵌入して熱かしめにより固着したふたを備
え、前記ふたを磁気シールド板として形成するこ
とにより達成される。

次に本考案を実施例による図面に基づいて詳細
に説明する。本考案による零相変流器は、第５図
および第６図に示すように環状の鉄心１が保護ケ
ース２に収容され、この保護ケース２の上に二次
コイル３が巻かれている点は従来のものと同様で
ある。本考案が従来のものと異なる点は、零相変
流器全体が第７図に示すような環状の開口部７ａ
を有し、この開口部７ａの周辺に間隔をおいて立
上つた複数個の突起７ｂを有する環状容器７内に
収容され、第８図に示すような環状容器７の開口
を覆い、開口の突起７ｂが嵌入する孔８ａを有す
るふた８がかぶせられている点である。このふた
８は、磁気シールド板を兼ねる。すなわち環状容
器７の溝底に第４図に示すような磁気シールド板
４が敷かれ、その上に二次コイル３が巻かれた鉄
心１が収容されている。容器７の開口には磁気シ
ールド板を兼ねたふた８がかぶせられ、このふた
８は容器７の突起７ｂがふた８の孔８ａに嵌入し
た状態で、突起７ｂを熱によりかしめて固着され
る。６は一次導体の貫通孔である。二次コイル３
の口出線３ａは容器７の切欠き７ｃから外部に導
出される。容器は予め成形された合成樹脂製であ
るから形状寸法は正確で、衝撃には強い。しかも
組立ては容器に磁気シールド板とコイルを巻いた
鉄心とを収容してふたをするだけであるから簡単
である。

以上に説明したような本考案によれば、二次コ
イルが巻かれた鉄心を合成樹脂製の環状容器に収
納したことにより、二次コイルが外部からの衝撃
により損傷を受けることがなく、環状容器を合成
樹脂で成形することにより寸法精度が良く従つて
主回路導体が貫通する貫通孔を円形とすることが
できるので主回路導体を幾何学的に対象配置する
ことが可能となり零相変流器の平衡特性が向上す
る。また、合成樹脂製の環状容器に磁気シールド
板を挿入した後鉄心を挿入し、その環状容器の開
口部を磁気シールド板を兼用したふたで覆うこと
により磁気シールド効果を得ることができ、鉄心
の外周を磁性体金属からなる容器で覆うものに対
して安価であり、かつ両方の磁気シールド板の板
厚を適当な値に設定することにより、磁気シール
ド効果を任意に設定でき零相変流器の平衡特性の
仕様を複数に設定することが可能である。更に、
環状容器の開口部周辺に設けた突起に磁気シール
ド板を兼用するふたの孔を嵌め込み熱かしめによ
り両者を固着することにより自動組立が可能とな
る利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来の零相変流器を示
し、第１図は側面断面図、第２図は平面図、第３
図は第１図の部分拡大図、第４図は磁気シールド
板の斜視図、第５図および第６図は本考案による
零相変流器を示し、第５図は側面断面図、第６図
は平面図、第７図は第５図に示した環状容器の斜
視図、第８図は容器ふた（磁気シールド板）の斜
視図である。 １：環状鉄心、３：二次コイル、４：磁気シー
ルド板、７：環状容器、７ａ：環状容器の開口
部、７ｂ：環状容器開口周辺の突起、８：容器の
ふた兼磁気シールド板、８ａ：ふたの取付け孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主回路導体が貫通する貫通孔を有し二次コイル
   が巻かれた環状の鉄心と、有底円筒体で中央に主
   回路導体が貫通する貫通孔を有しかつ開口部周辺
   に複数個の突起を有し、前記開口部側から挿入さ
   れる磁気シールド板および前記二次コイルが巻か
   れた鉄心を収納する合成樹脂製の環状容器と、こ
   の環状容器の開口部を覆い、かつその開口部周辺
   に設けた複数の突起と対向する位置に形成した孔
   を前記突起に嵌入して熱かしめにより固着したふ
   たとを備え、前記ふたを磁気シールド板として形
   成したことを特徴とする零相変流器。