JPS6227503Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動二輪車のダブルシートに関するも
のである。

自動二輪車では、装備品の配設スペースが極め
て限定されており、車体自体に物入れ装置を付設
する自由空間は、極く限られたわずかな部分しか
なかつた。したがつて搭乗者の手荷物等を積載す
るためには、別途、車体にサイドバツクやタンク
バツク等を装着することにより行なつていた。

しかしながら、これらサイドバツクやタンクバ
ツク等を装着するには手間も要し、また走行時の
軽快性、外観性を重んじる自動二輪車において
は、これらを装着することは、あまり好まれない
場合もあつた。そこでダブルシートを備えた自動
二輪車においては、搭乗者が一人の場合に、後部
シートにいわゆるスポーツカウルといわれるカバ
ーを取りつけ、この後部シートとカバーにて囲さ
れた空間を小物入れとして使つていた。しかる
に、このカバーで囲まれた空間は左程広くないた
め、多くの荷物を収納することはできなかつた。

本考案は、斯かる事情に鑑みて創案された自動
二輪車のダブルシートの改良に係り、その目的と
する処は、多くの荷物を外観性を損うことなく積
載することができる自動二輪車のダブルシートを
供する点にある。

以下第１図ないし第１０図に図示した本考案の
一実施例について説明する。

１は自動二輪車で、同自動二輪車１のフレーム
ボデイ２には、その前端にヘツドパイプ３が一体
に固着されており、同ヘツドパイプ３の上部には
左右に分岐されて後方に若干後下傾して延出され
たメインパイプ４が固着されている。前記メイン
パイプ４は所定長後方に延長されてから下方に折
曲されて垂下されており、その下端にブラケツト
５が一体に固着されている。

また前記ヘツドパイプ３の下部から左右に分岐
されてダウンチユーブ６が垂下され、さらに同ダ
ウンチユーブ６は彎曲されて後方に延長され、そ
の後端は、左右ダウンチユーブ６間を接続してい
るボトムクロスパイプ（図示せず）に接続されて
いる。

さらに前記メインパイプ４には、車体後方へ延
出されるシートレール７が接続されており、同シ
ートレール７はブラケツト５にその一端が接続さ
れたサブステー８により支持されている。

以上のメインパイプ４、ダウンチユーブ６等で
囲まれた空間内にエンジン９が配設されている。
そしてヘツドパイプ３にはフロントホイール１０
を支持するフロントフオーク１１が操向自在に枢
支されている。

また前記ブラケツト５には、リヤフオーク１２
が摺動自在に枢支され、同リヤフオーク１２にリ
ヤホイール１３が支持されている。

さらにメインパイプ４上には、燃料タンク１４
が跨設されており、この燃料タンク１４の後方
で、かつ一対のシートレール７上にダブルシート
１５が載置され、同ダブルシート１５はシートレ
ール７に掛止されている。またダブルシート１５
の後部は、シートレール７に固定されたリヤーカ
ウル２３にて支持されている。

前記ダブルシート１５は、第２図に図示される
ように、二人が搭乗できるように車体後方に長く
延長されており、前方シート部１６と後方シート
部１７とから構成されている。そして後方シート
部１７は外壁部１８およびシート底板１９を残し
て着脱可能な着脱シート２０が形成されており、
同着脱シート２０は略直方体をなして形成され、
その底面にマジツクテープ（登録商標）２１が貼
着されている。なお、着脱テープ２０と外壁部１
８とは相互に隙間なく密着されており、着脱シー
ト２０嵌装時にはガタが生じないようになつてい
る。一方、着脱シート２０が取り外された後に
は、後方シート部１７には、外壁部１８およびシ
ート底板１９にて囲まれた自由空間である物入れ
２２が形成される。そしてこの物入れ２２は略箱
形の形状をなし、かなり大きな空間となつてい
る。

前記外壁部１８は左右外壁部１８ａ，１８ｂお
よび前後外壁部１８ｃ，１８ｄからなつており、
左右外壁部１８ａ，１８ｂは比較的薄く形成さ
れ、後外壁部１８ｄは上部のみを残して開口部１
８ｅが形成されている。

またリヤカウル２３には、第３図に図示される
ように、その後部空間が小物入れ２４になつてお
り、同小物入れ２４の前部は蝶番式の開閉蓋２５
により開閉自在になつていて、同開閉蓋２５の外
側にマジツクテープ（登録商標）２１が貼着され
るとともに、前記シート底板１９にも同マジツク
テープ（登録商標）２１が貼着されている。そし
てこれら開閉蓋２５およびシート底板１９上のマ
ジツクテープ（登録商標）２１と前記着脱シート
２０に貼着されたマジツクテープ（登録商標）２
１とは相互に係着しうるようになつている。

前記開閉蓋２５は物入れ２２における開口部１
８ｅを閉塞する機能をも兼ねている。

さらにまた、後方シート部１７を一体にカバー
するスポーツカウル２６は、搭乗者が一人の場合
におもに外観性の向上の目的で従来使用されてい
るものであるが、このスポーツカウル２６は、そ
の外形は流線形をなして形成され、繊維強化樹脂
製又は金属製の一枚板を成形したものからなつて
いる。そして同スポーツカウル２６は、その前方
下部両側に枢支部２６ａが形成され、同枢支部２
６ａにボルト挿通孔２６ｂが形成されており、ま
たその前部を被うようにクツシヨン部２７が張設
されている。

一方、スポーツカウル２６の後端部には、第５
図に図示されるようにステー２８が突出して形成
されており、このステー２８にロツク装置２９の
キー操作ボデイ３０が一体に付設され、同キー操
作ボデイ３０にキー操作部材３１が旋回自在に嵌
装されている。

しかして前記キー操作部材３１にはキーが挿入
されうるキー孔３２が設けられ、第８図ないし第
１０図に図示されるように、前記キー操作ボデイ
３０とキー操作部材３１との間隙にコイルスプリ
ング３３が介装されており、同コイルスプリング
３３のばね力によりキー操作部材３１に第１０図
において反時計方向へ旋回賦勢されるようになつ
ている。

前記キー操作部材３１の先端にはピン３４が直
角に突設されている。

また前記リヤカウル２３の後端部には、円筒状
軸受部３５が固定され、同円筒状軸受部３５に
は、案内切欠き３６が形成され、さらにこの案内
切欠き３６は、時計回り螺旋方向に指向した案内
縁３７と同案内縁３７の基端側に反時計方向へ指
向した係止縁３８とを備えており、前記キー操作
部材３１を円筒状軸受部３５に挿入した際に、前
記ピン３４が前記案内縁３７に案内されながら、
コイルスプリング３３のばね力に抗して時計方向
へ旋回された後、同コイルスプリング３３のばね
力により係止縁３８にピン３４が係合されるよう
になつている（第７図参照）。

さらにキー操作ボデイ３０の切欠き３０ａに
は、第７図に図示されるようにＵ字状に切欠かれ
た波状スプリング３９が上方から下方へ嵌装さ
れ、スポーツカウル２６の孔にキー操作ボデイ３
０は旋回しないように固定される。なおクツシヨ
ン４３はキー操作部材３１の挿入時の緩衝作用を
なしている。

第１図ないし第１０図に図示の実施例は前記し
たように構成されているので、ダブルシート１５
の後方シート部１７における着脱シート２０を取
り外し、この後方シート部１７を覆うようにスポ
ーツカウル２６を取り付け、同スポーツカウル２
６の枢支部２６ａに形成されたボルト挿通孔２６
ｂにセツテイングボルト４０を通し、同セツテイ
ングボルト４０をシートベルト４１の下端に螺刻
された螺糸孔４２に螺合することにより、スポー
ツカウル２６の前部をダブルシート１５に取り付
けることができる。次にスポーツカウル２６の後
端部のステー２８に取りつけたキー操作部材３１
の先端のピン３４が円筒状軸受部３５の案内縁３
７に案内されながら、コイルスプリング３３のば
ね力に抗して旋回され、係止縁３８に達した時に
コイルスプリング３３の賦勢力によりピン３４が
係止縁３８に係合されてロツク装置６がロツクさ
れ、かくしてスポーツカウル２６が車体に一体に
装着される（第３図に図示）。

しかして、ダブルシート１５に形成された物入
れ２２をスポーツカウル２６により覆うことがで
き、この物入れ２２をかなり大きな空間とするこ
とができる。そしてこの物入れ２２より荷物を出
し入れするときは、図示されないキーをロツク装
置２９のキー孔３２に挿入し、コイルスプリング
３３のばね力に抗して時計方向へ旋回した後、ロ
ツク装置２９をアンロンクした状態で、スポーツ
カウル２６を枢支しているセツテイングボルト４
０を中心として同スポーツカウル２６を開放すれ
ば、第４図に図示する如く、荷物を物入れ２２よ
り出納することができる。また、このとき開閉蓋
２５を開ければ、リヤカウル２３内の小物入れ２
４からも荷物を取り出すことができる。

このように本実施例においては、ダブルシート
１５の後方シート部１７の着脱シート２０を取り
外すことにより、この着脱シート部分に形成され
た空間を物入れ２２とし、同物入れ２２を車体に
装着して開閉自在なスポーツカウル２６により覆
うことができるため、荷物を収納するスペースを
増加させることができる。しかもスポーツカウル
２６は外観性が極めて良好で、車体に荷物を収納
するためのサイドバツク等の余分な物を装着する
必要がなく、車輌全体をすつきりとした流線形で
まとめることができる。

また本実施例では、スポーツカウル２６を開放
することによつて、リヤカウル２３内に形成され
た小物入れ２４の開閉蓋２５を開閉することがで
き、これにより同小物入れ２４内の荷物を出納す
ることができる。

さらに本実施例においては、物入れ２２および
小物入れ２４を同時にスポーツカウル２６にて覆
つた状態においてロツク装置２９にてロツクする
ことができるため、スポーツカウル２６およびス
ポーツカウル２６で覆われた物入れ２２、小物入
れ２４内の盗難を未然に防止することができる。

以上、実施例の説明から明らかなように、本考
案では、運転者用の前方シートと同乗者用の後方
シートが前後に一体に形成された自動二輪車のダ
ブルシートにおいて、該後方シート部に、それの
上部と両側部を覆うカバーを着脱および傾動自在
に取付けるとともに、前記後方シートをシート枠
とこれに嵌装自在のクツシヨン部とで構成したた
め、この取り外した後方シート部とカバーにて覆
われた容積空間に荷物を収納することができる。
しかもカバーの外観性は非常に良好であり、車輌
全体の外観を損なうことなく、荷物を収納するス
ペースを増加させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動二輪車のダブルシー
トの一実施例を使用した自動二輪車の側面図、第
２図はその要部拡大分解斜視図、第３図はその要
部拡大横断側面図、第４図は同実施例における動
作説明図、第５図は同実施例における要部拡大横
断側面図、第６図は同実施例における円筒状軸受
部の斜視図、第７図はその展開図、第８図はロツ
ク装置の縦断側面図、第９図は第８図の要部平面
図、第１０図は第８図におけるＸ−Ｘ線に沿つて
載断した縦断面図である。 １……自動二輪車、２……フレームボデイ、３
……ヘツドパイプ、４……メインパイプ、５……
ブラケツト、６……ダウンチユーブ、７……シー
トレール、８……サブステー、９……エンジン、
１０……フロントホイール、１１……フロントフ
オーク、１２……リヤフオーク、１３……リヤホ
イール、１４……燃料タンク、１５……ダブルシ
ート、１６……前方シート部、１７……後方シー
ト部、１８……外壁部、１９……シート底板、２
０……着脱シート、２１……マジツクテープ（登
録商標）、２２……物入れ、２３……リヤカウ
ル、２４……小物入れ、２５……開閉蓋、２６…
…スポーツカウル、２７……クツシヨン、２８…
…ステー、２９……ロツク装置、３０……キー操
作ボデイ、３１……キー操作部材、３２……キー
孔、３３……コイルスプリング、３４……ピン、
３５……円筒状軸受部、３６……案内切欠き、３
７……案内縁、３８……係止縁、３９……波状ス
プリング、４０……セツテイングボルト、４１…
…シートベルト、４２……螺糸孔、４３……クツ
シヨン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 運転者用の前方シートと同乗者用の後方シート
   が前後に一体に形成された自動二輪車のダブルシ
   ートにおいて、該後方シート部に、これの上部と
   両側部を覆うカバーを着脱および傾動自在に取付
   けるとともに、前記後方シートをシート枠とこれ
   に嵌装自在のクツシヨン部とで構成したことを特
   徴とする自動二輪車のダブルシート。