JPS6227398Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、樹脂の熱圧着に使用される熱圧着
機、特に手芸用の熱圧着機に関する。

従来のこの種の熱圧着機は、発熱源としてニク
ロム発熱体を使用していたため、たやすく過熱
し、発熱温度が圧着すべき樹脂の軟化点を超え、
樹脂が溶け過ぎて製品の仕上りを悪くするという
欠点があつた。このような欠点を除去しようとす
れば、温度制御装置を付加しなければならず、回
路、装置の複雑化や、大幅なコストアツプを招
き、特に簡便性の要求される手芸用の熱着機とし
て不適当なものとなつてしまう。

本考案は上述する従来の欠点を除去し、過熱の
危険がなく、安全で信頼性が高く、しかも簡便で
取扱いの容易な熱圧着機を提供することを目的と
する。

この目的を達成するため、本考案に係る熱圧着
機は、上面に把手を設けた耐熱性絶縁基体と、平
板状の熱圧着部分を持ち、この熱圧着部分が前記
耐熱性絶縁基体の下面と間隔をおいて対向するよ
うに、前記耐熱性絶縁基体の下面側に取付けられ
た放熱体と、板厚方向の両面に電極を有して平板
状に形成され、両電極面のそれぞれが前記耐熱性
絶縁基体の下面及び前記熱圧着部分の内面と間隔
を隔てて対向するように配置された正特性発熱体
と、前記正特性発熱体の前記電極の一方と前記耐
熱性絶縁基体の下面との間、及び、前記電極の他
方と前記熱圧着部分の内面との間にそれぞれ圧設
介在され、少なくとも一方は板バネとした一対の
電極板とを備えることを特徴とする。

以下実施例たる添付図面を参照し、本考案の内
容を具体的に説明する。

第１図は本考案に係る熱圧着機の斜視図、第２
図は同じく側面部分断面図であり、手芸用として
構成した場合の実施例を示している。図において
１はセラミツク等の耐熱絶縁材料によつて構成さ
れた基体である。この実施例では、円形状に形成
された上面の中央部に、手で握るのに適した高さ
大きさ、形状を有する把手２を一体に連設してあ
る。基体１の外形は、円形である必要はなく、角
形状であつてもよい。

３は、前記基体１の下面側に、ネジ４等によつ
て装着された放熱体である。該放熱体３は、例え
ばステンレス等の伝熱性に優れた金属板によつて
構成されたもので、平板状の熱圧着部分３ａを持
ち、この熱圧着部分３ａが基体１の下面と間隔を
おいて対向するように、基体１の下面側に取付け
られている。

５は放熱体３を加熱するために正特性発熱体で
ある。この実施例では、厚み方向の両面にオーム
性もしくは非オーム性接触電極５ａ，５ｂを有す
る円板状に形成し、前記基体１の下面側に設けた
内洞１ａの底面と、前記放熱体３との間に、バネ
性を有する電極板６，７によつて圧設させてあ
る。

正特性発熱体５は、周知のように、正の抵抗温
度係数を有するチタン酸バリウム係半導体磁器発
熱体より成るものであつて、特定温度に達すると
電気抵抗値が急激に増加して自己発熱を自動的に
制御する自己温度制御機能を有し、ニクロム発熱
体と違つて過熱の危険がない。したがつて、正特
性発熱体５を発熱源とすることにより、過熱によ
る樹脂の溶け過ぎをなくし、熱圧着の仕上がりを
良好に保ち得る。

信頼性の高い熱圧着機を実現することができ
る。しかも、これらの定温発熱動作は、正特性発
熱体５自体の特性に基づいて得られるもので、他
の温度制御装置等は必要としないから、小型、軽
量で取扱い易く、しかも信頼性が高くて安価な熱
圧着機を実現することができる。また、正特性発
熱体５は、チタン酸バリウムBaTiO₃のBaの一部
をストロンチウムSrまたは鉛Pbで置換すること
により、キユリー温度を任意に選定し、これによ
つて発熱温度を任意の温度に設定することができ
るから、発熱温度を、熱圧着すべき樹脂の軟化点
に合わせて設定し、熱圧着の仕上りを非常に良好
に保つことができる。

８は、電極板７と放熱体３との間に介在させた
電気絶縁板であつて、たとえばマイカ或はアルミ
ナ等のように、耐熱性、伝熱性に優れた電気絶縁
材料によつて構成する。正特性発熱体５に発生し
た熱は、電極板７、電気絶縁板８を介して放熱体
３に伝達される。ただし、放熱体３を電気絶縁材
料によつて構成した場合には、該絶縁板８は省略
することができる。

前記正特性発熱体５に圧接させた電極板６，７
は、リード線９，１０によつて、基体１の側部に
設けたソケツト１１Ａ，１１Ｂに接続してあり、
このソケツト１１Ａ，１１Ｂに対して電源側のプ
ラグ（図示しない）を挿着することにより、正特
性発熱体５を動作させるようにしてある。

上記の熱圧着機を使用して塩化ビニル或はポリ
エチレン等の合成樹脂Ａ，Ｂを圧着するには、合
成樹脂Ａ，Ｂの熱圧着しようとする部分に放熱体
３の熱圧着部分３ａを押圧すればよい。この場
合、正特性発熱体５の自己温度制御機能に基づく
定温加熱動作が得られるから、合成樹脂Ａ，Ｂは
過熱されることなく、適当な温度で熱圧着され、
その仕上りが非常に良好になる。また過熱の危険
がないので、安全であり、さらに小型、軽量で取
扱いが容易であるので、特に、手芸用の熱圧着機
として、誠に好適なものとなる。

また、正特性発熱体５を、電極板６，７のバネ
圧によつて、熱圧着部分３ａの内面と基体１の下
面との間で弾力的に支持した構造となるので、熱
圧着作業の加圧力が、電極板６，７によつて緩和
吸収される。このため、熱圧着作業に伴う加圧力
による正特性発熱体５の破損、割れ等を確実に防
止できる。

更に、熱圧着部分３ａと基体１との間に形成さ
れた間隔内に、正特性発熱体５を配置する構造と
したことにより、正特性発熱体５から外部への無
駄な熱放散が抑えられ、熱利用効率が高くなる。

また、正特性発熱体５の電極５ａ，５ｂと基体
１の下面及び放熱体３の熱圧着部分３ａの内面と
の間に、板バネである電極板６，７を圧設介在さ
せてあるから、正特性発熱体５、電極板７及び熱
圧着部分３ａの熱結合度が高くなり、熱伝導効率
が良くなる。

なお、合成樹脂Ａ，Ｂはその種類によつて、軟
化点が異なるので、それぞれの樹脂に合わせた発
熱温度を有する熱圧着機とすることは勿論である
が、一台の熱圧着機の中に、キユリー点の異なる
複数の正特性発熱体を組込んでおき、外部スイツ
チ等の切替えによつて、その樹脂に適したキユリ
ー点を有する正特性発熱体を、選択的に動作させ
る構成としたり、或は正特性発熱体５の部分だけ
をユニツト化し、熱圧着すべき樹脂に合わせて、
適宜交換するような構造とすることも可能であ
る。

以上述べたように、本考案に係る熱圧着機は、
上面に把手を設けた耐熱性絶縁基体と、平板状の
熱圧着部分を持ち、この熱圧着部分が前記耐熱性
絶縁基体の下面と間隔をおいて対向するように、
前記耐熱性絶縁基体の下面側に取付けられた放熱
体と、板厚方向の両面に電極を有して平板状に形
成され、両電極面のそれぞれが前記耐熱性絶縁基
体の下面及び前記熱圧着部分の内面と間隔を隔て
て対向するように配置された正特性発熱体と、前
記正特性発熱体の前記電極の一方と前記耐熱性絶
縁基体の下面との間、及び、前記電極の他方と前
記熱圧着部分の内面との間にそれぞれ圧設介在さ
れ、少なくとも一方は板バネとした一対の電極板
とを備えることを特徴とするから、次のような効
果が得られる。

(イ) 放熱体の熱着部分を有する放熱体を正特性発
熱体によつて加熱する構成となり、正特性発熱
体の自己温度制御機能により、合成樹脂を過度
に熱することなく、適度の温度で加熱でき、熱
圧着の仕上りの良好な熱圧着機を提供すること
ができる。

(ロ) 正特性発熱体は、キユリー点の選定により、
その発熱温度を熱圧着すべき合成樹脂に適した
温度となるように簡単に設定することができ
る。

(ハ) 上記(イ)及び(ロ)の効果は、正特性発熱体自体の
特性に基づいて得られるもので、特別の温度制
御装置を必要とするものでないから、小型、軽
量で取扱いが容易であり、しかも安価で信頼性
の高い熱圧着機を実現することができる。

(ニ) 過熱の危険がなく、しかも小型軽量であるか
ら、安全で取扱いが容易であり、手芸用として
好適な熱圧着機を提供することができる。

(ホ) 耐熱性絶縁基体の上面に把手を突設してある
ので、この把手を持つて熱圧着作業を行なうこ
とができ、熱圧着作業がし易い。

(ヘ) 放熱体が平板状の熱圧着部分を持つているの
で、合成樹脂に対して熱圧着部分を平面的に押
付けて熱圧着作業を行なうことができる。従つ
て、シート状合成樹脂等の面接合熱圧着作業を
能率良く行なうことができる。

(ト) 放熱体を、熱圧着部分が耐熱性絶縁基体の下
面と間隔をおいて対向するように、前記耐熱性
絶縁基体の下面側に取付け、その間隔内に正特
性発熱体を配置する構造としたことにより、正
特性発熱体から外部への無駄な熱放散が抑えら
れ、熱利用効率が高くなる。

(チ) 正特性発熱体は、板厚方向の両面に電極を有
する平板状に形成すると共に、電極面が耐熱性
絶縁基体の下面及び放熱体の熱圧着部分の内面
と間隔を隔てて対向するように配置し、正特性
発熱体の電極と耐熱性絶縁基体の下面及び放熱
体との間に、少なくとも一方が板バネでなる一
対の電極板を圧設介在させてあるから、正特性
発熱体に発生した熱が、電極板を通して放熱体
の熱圧着部分に効率良く伝わる。このため、熱
伝導効率が良くなる。

(リ) 正特性発熱体を、板バネ電極板によつて、熱
圧着部分と基体との間で弾力的に支持した構造
となるので、熱圧着作業時の加圧力が、板バネ
電極板によつて緩和吸収される。このため、熱
圧着作業中における正特性発熱体の破損、割れ
等を確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る熱圧着機の斜視図、第２
図は同じくその側面部分断面図である。 １……基体、２……把手、３……放熱体、３ａ
……熱圧着部分、５……正特性発熱体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面に把手を設けた耐熱性絶縁基体と、平板状
   の熱圧着部分を持ち、この熱圧着部分が前記耐熱
   性絶縁基体の下面と間隔をおいて対向するよう
   に、前記耐熱性絶縁基体の下面側に取付けられた
   放熱体と、板厚方向の両面に電極を有して平板状
   に形成され、両電極面のそれぞれが前記耐熱性絶
   縁基体の下面及び前記熱圧着部分の内面と間隔を
   隔てて対向するように配置された正特性発熱体
   と、前記正特性発熱体の前記電極の一方と前記耐
   熱性絶縁基体の下面との間、及び、前記電極の他
   方と前記熱圧着部分の内面との間にそれぞれ圧設
   介在され、少なくとも一方は板バネとした一対の
   電極板とを備えることを特徴とする熱圧着機。