JPS6224617Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、スキツドステアリング式産業車両に
おけるステアリングの中立保持装置に関する。

スキツドステアリング装置は、第１図（片側に
ついては省略）に示すように左右のステアリング
レバー１を前後に傾動操作し、エンジン（図示し
ない）にて駆動される左右の可変容量形油圧ポン
プＰのトラニオン軸２上に取着されたトラニオン
レバー３を前後に揺動させて該油圧ポンプＰの吐
出量及び吐出方向を制御することにより左右の油
圧モータＭを個別的に駆動し、さらにこれよりチ
エーン伝動装置４を介して前後の車輪Ｈを同調駆
動することによつて、車両の走行・操舵を行うよ
うに構成されている。そして、前記トラニオンレ
バー３は中立保持装置５によつて常に油圧ポンプ
Ｐの斜板角度が０になる位置に保持されるように
なつている。

従来の中立保持装置５は、第２図に示すように
シリンダ状のホルダー６内に１つの復帰用のコイ
ルバネ７を内装したものであつて、ホルダー６側
をたとえばフレーム８側に球面継手９を介して連
結する一方、コイルバネ７と２枚のシートプレー
ト１０を介して結合されたロツド１１側をトラニ
オンレバー３に球面継手１２を介して連結した構
造となつているが、このような形式の中立保持装
置５はコイルバネ７の自由長状態を中立位置とし
て設定するものであるから、中立保持機能（復帰
力）が必然的に甘いものとなり、僅かな抵抗や球
面継手９，１２自体及びその取付部分の“ガタ”
により復帰しないことがある。

本考案の目的は、上述した従来の欠点を除去し
て、優れた中立保持機能を発揮することの可能な
スキツドステアリング式産業車両におけるステア
リングの中立保持装置を提供することにある。

以下、本考案の実施例を図面に基いて具体的に
説明する。まず、第３図及び第４図に示す実施例
について説明する。図において、２０はエンジン
にタンデム状に連結された可変容量形の油圧ポン
プ（図示しない）の斜板角を制御するトラニオン
軸であり、該トラニオン軸２０にはステアリング
レバー（図示しない）の前後傾操作によりステア
リングロツド２１を介して揺動されるトラニオン
レバー２２が固着されている。また、トラニオン
軸２０にはほぼコの字形に形成された回転レバー
２３がそのほぼ中央部を回転可能に取付けられ、
該回転レバー２３は回転中心を挾んで一側にはス
トツプ片２４を有し、他側には前記トラニオンレ
バー２２の突片２５と当接可能の係合片２６を有
している。

回転レバー２３はそのストツプ片２４が、ポン
プ本体または車両のフレーム等の固定部材２８に
ブラケツト２９を介して位置調整可能に取付けら
れた中立位置規定用のストツパボルト２７と当接
可能に対向されており、そして回転レバー２３と
固定部材２８に設けたブラケツト３０との間に張
設された第１の復帰バネ３１によつて常にストツ
プ片２４がストツパボルト２７に当接する方向
（図示時計方向）に付勢されている。また、回転
レバー２３の係合片２６は前記第１の復帰バネ３
１によつて与えられる回転方向においてトラニオ
ンレバー２２の突片２５に当接可能とされてお
り、そしてトラニオンレバー２２は該トラニオン
レバー２２と回転レバー２３との間に張設された
第２の復帰バネ３２によつて常に係合片２６と当
接する方向（図示反時計方向）に付勢されてい
る。

本実施例の中立保持装置は上述したように、回
転レバー２３を第１の復帰バネ３１にて中立位置
規定用のストツパボルト２７に当接させることに
より一定角度に制止させるとともに、トラニオン
レバー２２を第２の復帰バネ３２にて回転レバー
２３の係合片２６に当接させることにより一定角
度に制止させるよう構成したものである。従つ
て、中立位置規定用のストツパボルト２７を適宜
進退調整することによつて油圧ポンプの斜板角が
０となるようにトラニオンレバー２２を中立位置
に調整することができる。

また、車両前後進のためのステアリングレバー
の操作時において、ステアリングロツド２１を介
して揺動されるトラニオンレバー２２は、第４図
に示すように図示時計方向に関しては第２の復帰
バネ３２に抗して単独で揺動（回転レバー２３は
ストツパボルト２７にて制止）され、図示反時計
方向に関しては突片２５及び係合片２６を介して
回転レバー２３と共に第１の復帰バネ３１に抗し
て揺動されるものであり、この場合トラニオンレ
バー２２の中立位置において第１及び第２の復帰
バネ３１，３２にはそれぞれ所定の初張力が付加
されていることから、トラニオンレバー２２は機
構上にガタツキを生ずることなく確実に中立位置
へ復帰され保持される。

つぎに、第５図に示す本考案の他の実施例につ
いて説明する。この実施例は回転レバー２３を支
持するための支持軸３３をトラニオンレバー２２
にトラニオン軸２０と同心的に固着するととも
に、トラニオンレバー２２を回転レバー２３の係
合片２６に当接させるべく付勢する第２の復帰バ
ネ３２をねじりバネとしたものであり、該ねじり
バネ３２の一端は支持軸３３にボルト３４を介し
て掛止され、他端は回転レバー２３に掛止されて
いる。従つて、この実施例によれば前述の実施例
を同様の中立保持機能を奏することは勿論のこ
と、とくに回転レバー２３を小形化でき、取付ス
ペースを小さくし得る点で有利である。

以上詳述したように、本考案によれば従来装置
と異なり、中立位置において常に中立を保持する
ようにバネ力を作用させることができるととも
に、機構上に“ガタ”の発生がないため、中立状
態への復帰及びその保持を確実になし得るもので
あり、また中立の位置調整を容易に行うことがで
き、スキツドステアリング式産業車両用のステア
リング中立保持装置として有効なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はスキツドステアリング装置を示す説明
図、第２図は従来の中立保持装置を示す一部切断
側面図、第３図は本考案の実施例の中立保持装置
を示す斜視図、第４図は同じくその動作態様を示
す説明図、第５図は他の実施例の中立保持装置を
示す斜視図である。 ２０……トラニオン軸、２２……トラニオンレ
バー、２３……回転レバー、２６……係合片、２
７……ストツパボルト、３１……第１の復帰バ
ネ、３２……第２の復帰バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンにタンデム状に連結された左輪用と右
   輪用の２個の可変容量形の油圧ポンプを備え、各
   油圧ポンプのトラニオン軸上に一体回転するよう
   に取付けられたトラニオンレバーを個別的に回転
   操作することにより車両の走行・操舵を行うスキ
   ツドステアリング式産業車両において、前記トラ
   ニオン軸上またはそれと同一軸線上に回転可能に
   取付けた回転レバーを、ポンプ本体等の固定側に
   設けた中立位置規定用の調整可能のストツパに当
   接可能になすとともに、該回転レバーを常に第１
   の復帰バネにてストツパに当接するように付勢
   し、さらに回転レバーには前記第１の復帰バネに
   て与えられる回転方向において前記トラニオンレ
   バーと当接することにより該トラニオンレバーを
   中立位置に規制する係合片を設けるとともに、ト
   ラニオンレバーを常に第２の復帰バネにて係合片
   に当接するように付勢してなるを特徴とするスキ
   ツドステアリング式産業車両におけるステアリン
   グの中立保持装置。