JPS6223521Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、最終沈澱池などの沈澱池で、沈澱
汚泥などを掻寄せるための掻寄装置、特に回転式
掻寄装置に関するものである。

この種掻寄装置としては、従来、第１図のよう
に、沈澱池１の中心部に立設された主軸２に水平
方向の支持桁３を設け、その下側に、沈澱池の底
盤４に接するように多数の掻寄板５を固定し、こ
れら掻寄板を支持桁３を介して主軸２回りに回動
させ、底盤４上に沈澱した汚泥や沈砂などを、底
盤４の中心部に設けたピツト６内に落し込み、外
部へ排出させるようにしている。しかし、従来の
沈澱池では、底盤４の上面にはかなりの凹凸が形
成されているばかりでなく、粗大な異物も沈降し
ているため、掻寄板５に異常な力が働くことが多
く、それによつて掻寄板の機能を十分に発揮させ
ることができないばかりでなく、掻寄板その他装
置の各部に損傷を生じるという問題があつた。

この考案は、前述のような掻寄板を回動させる
ようにした沈澱池の掻寄装置において、主軸から
沈澱池の周壁上にわたつて架設された回転桁か
ら、多数の支持アームを進行方向に沿つて揺動自
在に垂下させ、その下端部に底盤上を転動するロ
ーラを設けるとともに、各転動ローラ間には互に
独立して上下方向に移動できる掻寄板を設けるこ
とにより、前述した問題を解決し、底盤の凹凸や
粗大な異物によつて掻寄板に異常な力が働いた場
合、掻寄板が上下方向および進行方向に逃げ働い
て、掻寄板或は他の部分に異常な応力を発生させ
ずに通過し、掻寄機能が十分発揮できる、沈澱池
の掻寄装置を提供することを目的としている。

以下、この考案の一実施例について第２図ない
し第５図を参照して説明する。

図において、１は平面円形状をなした沈澱池
で、その中心部には垂直方向の主軸２が立設さ
れ、底盤４の中心部には汚泥等排出用のピツト６
が設けられ、これに排出管７が接続されている。
主軸２の上端部には、先端部を沈澱池の周壁８上
まで延長させ、周壁８の上面にローラ９を介して
支持した回転桁１０が架設されている。回転桁１
０にはその長さ方向に所要の間隔をおいてブラケ
ツト１１，１１が突設され、各ブラケツト１１に
は、Ｖ字状に形成された支持アーム１２が、その
上端部を回転桁１０の長手方向に沿うピン１３に
より回動自在に枢着されている。すなわち、支持
アーム１２は回転桁１０の進行方向に沿つて揺動
自在な状態で垂下されている。また、支持アーム
１２の下端部にはローラ１４を底盤４上に接する
キヤスター１５と、掻寄板を取付けるためのブラ
ケツト１６が取付けられている。そして、各隣接
する支持アーム１２，１２の下端部間には、掻寄
板５，５が配置され、ブラケツト１６に取付けら
れたチエーン１８，１８によりその両端部を吊り
下げて、上下に移動自在となつて設けられてお
り、通常は掻寄板１７の下縁が底盤４に接した状
態でチエーン１８が十分ゆるんでいるようにす
る。この掻寄板は、一般的には硬質板５ａの下部
にゴム等の軟質板５ｂを取付けて構成されるが、
これに限定されるものではない。また、支持アー
ム１２の長さを、回転桁の先端側にあるものより
後端側のものを長くし、中央部にあるものをさら
に長くしておけば、第３図のように、掻寄板５，
５は底盤４に接した状態で後方に円弧状をなして
膨出されることになり、掻寄せ効果が良好とな
る。

なお、前記実施例には、駆動機構について図示
を略しているが、この考案の装置においては、主
軸２を駆動させる中心駆動方式を用いてもよく、
また、回転桁１０の先端部において駆動させる周
辺駆動方式を用いてもよい。また、前記実施例に
おいては、回転桁１０を単一なものとしてある
が、これは、第２図鎖線で示したように反対方向
に延長させるなど複数用いることもできる。

次に、この実施例の掻寄装置の作動について説
明すると、基本的な作動は前述した従来のものと
同様であるが、この実施例では、掻寄板５を取付
けた支持アームは、回転桁１０に揺動自在に垂下
されているので、回転桁１０の回動によつて、掻
寄板５は底盤４上を引ぎずられたかつこうで移動
されることになる。したがつて、底盤４の凸状部
分や第５図鎖線で示したような粗大異物１７に当
つたときには、支持アームは後方に向けて矢印の
ように揺動し、しかも、キヤスター１５を介して
円滑に粗大異物１７を乗り越えることができ、当
接時の衝撃を吸収するようになる。また、この場
合には、掻寄板５はゆるんだチエーン１８に吊下
げられているため、自重で降下して常に底盤４と
の接触状態を保つことができる。しかも、掻寄板
５は、各支持アーム間に独立した状態で多数設け
られているので、前記の動作はそれに該当した掻
寄板から他の掻寄板に波及することなく行われる
から、底盤４上の汚泥などを効率よく掻寄せてピ
ツト６内に集めることができる。

以上説明したように、この考案の掻寄装置は、
沈澱池の主軸と周壁間に架設された回転桁に、そ
の長さ方向に沿つて多数の支持アームを、回転桁
の進行方向に沿つて揺動自在に垂下させ、各支持
アームの下端部間には、沈澱池の底盤上に接する
キヤスターを有するブラケツトを取付け、それら
各ブラケツト間には、それぞれ掻寄板をその下縁
が沈澱池の底盤上に接する状態で上下動自在に設
けたので、底盤に形成された凹凸や、異物があつ
た場合でも、それに対しての逃げ動作が生じると
ともに、その異物に対してはキヤスターが直接当
るので、円滑に乗り越えることができ、該当した
掻寄板や支持アームに異常な応力の発生するのを
防ぐとともに、これを隣接する掻寄板や支持アー
ムに波及させることがなく、装置の損傷を防止で
き、しかも掻寄せ機能を十分に発揮することがで
きるという効果がある。さらに、掻寄板は沈澱池
上の回転桁から揺動自在に垂下した支持アームに
より吊持されているので、掻寄板の保守点検等
も、沈澱池の水抜きを行うことなく、支持アーム
を揺動引揚げすることも容易にできるとともに、
従来のような掻寄板を支持するための重構造の支
持桁を設ける必要がなく、施設費や経費が安価に
なる等、多くの利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の沈澱池掻寄装置を示す側断面
図、第２図はこの考案の一実施例を示す全体の側
断面図、第３図は同要部を示す平面図、第４図は
同要部の拡大側面図、第５図は掻寄板を取付けた
支持アームの下部を示した拡大正面図である。 １……沈澱池、２……主軸、４……底盤、５…
…掻寄板、８……周壁、１０……回転桁、１２…
…支持アーム、１４……車輪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 沈澱池の中心部に立設された主軸と沈澱池周壁
   間に架設された回転桁に、その長さ方向に沿つ
   て、所要間隔をおいて多数の支持アームを、回転
   桁の進行方向に沿つて揺動自在に垂下させ、各支
   持アームの下端部間には、沈澱池の底盤上に接す
   るキヤスターを有するブラケツトを取付け、それ
   ら各ブラケツト間には、それぞれ掻寄板を上下動
   自在に設けたことを特徴とする、沈澱池における
   掻寄装置。