JPS622347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は、上下分割のクランクケースを有する内
燃機関の二軸間に張架されたチエンの如き無端回
送体の振れ止め用ガイド装置に関するものであ
る。

自動二輪車用並列多気筒内燃機関においては、
機関のクランクシヤフト等の駆動軸と発電機等の
補機の回転軸とを連結するチエンをクランクシヤ
フトの略中央部に配設するのが殆んであつた。

そして第１図に図示されるように駆動軸ａがク
ランクケースｃの分割面ｄに配置された従来のも
の（被駆動軸ｂが分割面ｄに配置されたものもあ
る）では、駆動軸ａと一体の駆動スプロケツトｉ
と従動スプロケツトｂと一体の従動スプロケツト
ｊとに張架されたチエンｇを案内するために、上
方のクランクケースc₁と下方のクランクケースc₂
とにチエンガイドｅの両端をそれぞれボルトｆで
締付けることは、組立、分解の面で困難であるの
で、例えば上方のケースc₁にチエンガイドｅの両
取付け端e₁，e₂をボルトf₁，f₂で締付けていた。

しかし、チエンガイドｅをチエンｇに押付ける
方向へボルトf₁，f₂を螺合させる場合、チエンガ
イドｅの上方取付け端e₁はチエンｇが張られてい
る範囲より外れた個所に位置しているため、チエ
ンガイド上方取付け端e₁の締付けボスh₁をチエン
ｇの張架面に沿つて上方クランクケースc₁の内面
より下方へ突設させることができるが、チエンガ
イド下方取付け端e₂はチエンｇが張られている範
囲内に位置しているため、チエンｇの張架面に沿
つて上方クランクケースc₁の内面からチエンガイ
ド下方取付け端e₂の締付けボスh₂を突設させるこ
とができず、第２図に図示するようにチエンｇの
張架面より側方へずれた位置で上方クランクケー
スc₁の内面から締付けボスh₂を突設させていた。

このようにチエンガイドｅの下方取付け端e₂や
チエンｇの張架面より側方へずれた位置で取付け
られているため、チエンガイドｅの捩りモーメン
トが働き、チエンｇを長期間に亘り安定して案内
するためには、相当の補強を要し、生産コストの
上昇につながつていた。

また締付けボスh₂がチエンｇの張架面より側方
へずれて突設されているため、駆動軸ａと一体の
クランクアーム等の側面ｋとに間隙ｗが生じ、そ
の分のスペースが余分に必要となつてクランクケ
ース即ち内燃機関の巾が拡大するとゝもに重量が
増加し、クランクシヤフトが長くなつて捩り剛性
が低下する傾向があつた。

本案は、このような不都合を解消した内燃機関
における無端回送体のガイド装置の改良に係り、
その目的とする処は、無端回送体を安定して支持
しうるとゝもに内燃機関の小型軽量化の可能なガ
イド装置を供する点にある。

以下第３図ないし第５図に図示された本考案の
一実施例について説明する。

１は自動二輪車用二気筒四サイクルガソリンエ
ンジンで、同エンジン１は、分割面２で上下二分
割されたクランクケース３，４を有し、上下クラ
ンクケース３，４はケース合せノツクピン５によ
り位置決めされるとゝもにボルト６により相互に
一体に結合されるようになつている。

また上方クランクケース３にシリンダブロツク
７がボルト８により一体に組付けられ、同シリン
ダブロツク７にシリンダヘツド９がボルト１０に
より一体に取付けられている。

さらにクランクケース分割面２にクランクシヤ
フト１１とメインシヤフト１２の各中心が位置す
るように軸受１３を介して両シヤフト１１，１２
は回転自在に枢支されている。

前記上方クランクケス３には、ゼネレータ１４
とモータ１５とが据付けられ、ゼネレータ１４の
シヤフト１６にスプロケツト１７が一体に形成さ
れ、クランクシヤフト１１と一体のスプロケツト
１８とにチエン１９が張架されており、クランク
シヤフト１１の回転力がスプロケツト１８、チエ
ン１９およびスプロケツト１７を介してゼネレー
タシヤフト１６に伝達されるようになつている。

またチエン１９を案内するチエンガイド２０
は、チエン１９の外面および両側面を抱持するよ
うな断面コ字型ゴム製接触片２１と、同接触片２
１の外面に一体に焼付け等により接着された支持
金具２２とよりなつている。

さらに下方クランクケース４には、チエン１９
の張架面に沿つた面に係止凹部２３が一体に形成
され、上方クランクケース３には、チエン１９の
張架面に沿い同ケース３の内面より下方へ締付け
ボス２４が一体に突設されており、同ボス２４に
チエンガイド支持金具２２の上端がボルト２５に
より締付けられるようになつている。

さらにまたチエン１９を挾みチエンガイド２０
の反対側にチエンテンシヨナー２６が配設されて
おり、同テンシヨナー２６中のスプリング２７の
ばね力でチエンテンシヨナー２６のスリツパー２
８がチエン１９に押付けられ、チエン１９が緊張
されるようになつている。

そしてゼネレータ１４のシヤフト１６はワンウ
エイクラツチ２９および歯車減速機構３０を介し
てモータ１５のシヤフト３１に連結されており、
クランクシヤフト１１によるゼネレータシヤフト
１６の回転力はモータシヤフト３１には伝達され
ず、モータ１５の回転力はゼネレータシヤフト１
６に伝達されるようになつている。

第３図ないし第５図に図示の実施例は前記した
ように構成されているので、チエンガイド支持金
具２２の上端を上方クランクケース３の締付けボ
ス２４にボルト２５で締付けた後、ケース合せノ
ツクピン５で上下クランクケース３，４を位置合
せするとゝもにチエンガイド支持金具２２の下端
を係合凹部２３に合せた状態において、上下クラ
ンクケース３，４を重ね合せ、ボルト６により上
下クランクケース３，４相互に一体に組立てる
と、チエンガイド２０も上下クランクケース３，
４に一体に装着することができる。

また前記したと逆の操作を行なうことにより、
チエンガイド２０を外すことができる。

従つて前記実施例では、チエンガイド２０の着
脱を容易に行なうことができる。

またチエンガイド２０はチエン１９の張架面に
沿つた位置で支持されているため、チエンガイド
２０に捩れが働かず、チエンガイド２０はチエン
１９を安定した状態で支持することができる。

さらにチエンガイド２０を支持するための締付
けボスをチエン１９の張架面より側方へずれた個
所に設ける必要がないため、上下クランクケース
３，４の巾を狭くして、エンジン１の小型軽量化
を図ることができる。

さらにまたクランクシヤフト１１の長さも短か
くできるため、同クランクシヤフト１１の捩り剛
性が高い。

前記実施例では、本案をチエン伝導機構に適用
したが、ベルト伝導機構にも勿論適用可能であ
る。

本案では、上下分割のクランクケースを有する
内燃機関において、所定の二軸間に張架された無
端回送体の横方向の振れを規制する側壁を備えた
ガイドの一端を、前記上下ケースの一方にボルト
等を介して取付けるとゝもに、該ガイドの他端
を、上下ケースの他方に設けた係止溝に嵌合固定
したため、前記ガイドの着脱を容易に行なうこと
ができるとゝもに、前記無端回送体を安定して支
持でき、しかも前記ガイドを支持するための締付
けボスを前記無端回送体の張架面に設置する必要
がないので、内燃機関の小型軽量化を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内燃機関における無端回送体の
ガイド装置の縦断側面図、第２図は第１図の−
線に沿つて截断した横断面図、第３図は本案に
係る内燃機関における無端回送体のガイド装置の
一実施例を図示した縦断側面図、第４図は同実施
例の横断平面図、第５図は第３図の−線に沿
つて截断した横断面図である。 １……自動二輪車用ガソリンエンジン、２……
分割面、３……上方クランクケース、４……下方
クランクケース、５……ケース合せノツクピン、
６……ボルト、７……シリンダブロツク、８……
ボルト、９……シリンダヘツド、１０……ボル
ト、１１……クランクシヤフト、１２……メイン
シヤフト、１３……軸受、１４……ゼネレータ、
１５……モータ、１６……ゼネレータシヤフト、
１７……スプロケツト、１８……スプロケツト、
１９……チエン、２０……チエンガイド、２１…
…ゴム製接触片、２２……支持金具、２３……係
止凹部、２４……締付けボス、２５……ボルト、
２６……チエンテンシヨナー、２７……スプリン
グ、２８……スリツパー、２９……ワンウエイク
ラツチ、３０……歯車減速機構、３１……モータ
シヤフト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下分割のクランクケースを有する内燃機関に
   おいて、所定の二軸間に張架された無端回送体の
   横方向の振れを規制する側壁を備えたガイドの一
   端を、前記上下ケースの一方にボルト等を介して
   固着するとゝもに、該ガイドの他端を、上下ケー
   スの他方に設けた係止溝に嵌合固定することを特
   徴とする無端回送体のガイド装置。