JPS6221194Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、各マニホールドに取付けた複数のパ
イロツト式電磁弁からのパイロツト排気圧を共通
の排気通路において処理する共通のパイロツト排
気形のマニホールドに関するものである。

［従来の技術］ 従来、電磁弁からの排気圧が外部に直接放出さ
れることを嫌う食品関係、医薬、医療機器等にお
いて使用するマニホールドは、パイロツト排気を
パイロツト弁から直接排出させることなく、マニ
ホールドによつて一括して排出させるために、マ
ニホールドブロツクに共通のパイロツト排気通路
が設けられている。

しかしながら、この種共通パイロツト排気形マ
ニホールドは、複数のパイロツト式電磁弁を同時
に作動させた場合等において、パイロツト弁から
のパイロツト排気によるサージ圧で、他の作動さ
せていない電磁弁のパイロツトピストン室に背圧
がかかり、これによつて主弁が誤動作することが
ある。

上述した誤動作の発生を防止するためには、一
般に、 ａ ロツク機構によるスプールの保持力を大きく
してスプールの摺動抵抗を大きくする。

ｂ スプール弁として弾性体を用いた場合には、
その弾性体の潰し代を大きくして摺動抵抗を大
きくする。

ｃ 共通のパイロツト排気通路の断面積を大きく
して、背圧の低下を図る。

等の手段が考えられるが、上記ａ，ｂの如く、ス
プールの摺動抵抗を増大させれば、弁としての応
答速度が遅くなると共に最低動作圧が上昇し、弁
としての使用範囲が制限されるだけでなく、最低
動作圧の上昇に伴つてパイロツト供給圧力を増大
する必要があり、これにより一層背圧が上昇して
誤動作の発生を誘引することにもなる。

さらに、ロツク機構の保持力を大きくすれば、
摩擦摺動部分の摩耗が促進され、また弾性体製の
スプール弁の潰し代を大きくした場合には、摩耗
により流体漏れが生じ、それぞれ製品の寿命が短
くなるという欠点がある。また、ロツク機構の保
持力を大きくしたり、共通のパイロツト排気通路
の断面積を大きくすれば、マニホールドブロツク
即ち弁自体が大形化するのが避けられない。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は、共通の排気通路からパイロツト式電
磁弁のパイロツト弁部に向う流れに対する抵抗を
増加させ、それによつて他のパイロツト式電磁弁
からのパイロツト排気によるサージ圧の影響を受
けないようにして、主弁の誤動作を防止すること
を、解決しようとする問題点とするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、パイロツト排気通路同士を連通させ
た複数のマニホールドブロツクを備え、各マニホ
ールドブロツクにおける共通のパイロツト排気通
路とそれに取付けたパイロツト式電磁弁のパイロ
ツト排気通路とを通孔によつて連通させ、該通孔
に絞りオリフイスを挿着すると共に、その先端を
マニホールドブロツクにおける共通のパイロツト
排気通路に、排気の流れ方向と直交する方向に突
出させ、それによつて上記問題点を解決したもの
である。

［作 用］ パイロツト弁部から共通のパイロツト排気通路
へのパイロツト排気の流れは、通孔に挿着した絞
りオリフイスによつて若干抵抗が増加するが、特
に、上記絞りオリフイスの先端を、共通のパイロ
ツト排気通路に排気の流れ方向と直交する方向に
突出させているので、パイロツト排気通路を流れ
る排気がその絞りオリフイスの部分で流速を増し
て、圧力が低下し、それによつてパイロツト排気
通路からパイロツト弁部側には排気が流れにくく
なり、即ちパイロツト弁部側に流れる逆向きの流
れに対する抵抗が増加することになる。

従つて、パイロツト弁部からのパイロツト排気
の流れによるパイロツト排気通路の急激な昇圧が
抑制されると共に、パイロツト排気通路からパイ
ロツト弁部に逆向きの流れが抑制され、複数のパ
イロツト式電磁弁相互間において、一旦排気され
たパイロツト排気が他のパイロツト弁部に作用す
るのが防止できる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明するに、マニホールドの縦断面を示す第１図
において、１はマニホールドブロツク、２はそれ
に取付けたパイロツト式電磁弁を示し、該パイロ
ツト式電磁弁２は、スプール弁によつて構成され
た主弁部３とそれを駆動する一対のパイロツト弁
部４ａ，４ｂからなる２位置切換弁である。

上記主弁部３における弁本体５は、供給通路
６、出力通路７ａ，７ｂ、排気通路８ａ，８ｂ、
パイロツト排気通路９ａ，９ｂ、パイロツト出力
通路１０ａ，１０ｂ及び供給通路６に通じるパイ
ロツト供給通路１１を備え、上記供給通路、出力
通路及び排出通路に通じる通孔を穿設したスリー
ブ１２内に各通路間の連通状態を切換えるスプー
ル１３を軸方向に摺動可能に挿嵌し、該スプール
１３における両端の軸杆に設けたピストン１４
ａ，１４ｂによりパイロツト圧力室１７ａ，１７
ｂを区画形成し、該圧力室１７ａ，１７ｂを上記
パイロツト出力通路１０ａ，１０ｂに連通させ、
さらに上記一方のピストン１４ｂの内側にスプー
ル１３の切換位置を保持するロツク機構１８を設
けている。上記ロツク機構１８は、スプール１３
の軸杆に大径部１９とそれを挾む一対の細径部２
０，２１を形成し、それらに拡径変形可能な弾性
リング２２を挿嵌すると共に、弾性リング２２の
両側にその軸方向への変位を規制する一対の規制
リング２３，２４を設けることにより構成され、
スプール１３の切換え摺動に伴つて、大径部１９
が弾性リング２２を拡径しつつ通り抜け、その後
縮径する弾性リング２２を他方の細径部に嵌装さ
せて、スプール１３の切換え位置を保持するもの
である。

上記主弁部３を駆動する一方のパイロツト弁部
４ａは、パイロツト供給通路２５ａ、パイロツト
出力通路２６ａ、及びパイロツト排気通路２７ａ
を備え、それらの通路をそれぞれ主弁部３のパイ
ロツト供給通路１１、パイロツト出力通路１０ａ
及びパイロツト排気通路９ａに連通させ、該パイ
ロツト弁部４ａにおけるパイロツト供給通路２５
ａとパイロツト出力通路２６ａとの間に形設した
パイロツト弁座２８ａ、及び上記パイロツト出力
通路２６ａとパイロツト排気通路２７ａとの間に
形設したパイロツト排出弁座３４ａを、コイル２
９ａへの通電時にばね３０ａの付勢力に抗して固
定鉄心３１ａに吸着される可動鉄心３２ａによつ
て開閉可能に構成している。また、他方のパイロ
ツト弁部４ｂも上記パイロツト弁部４ａと同様に
構成され、パイロツト供給通路２５ｂ、パイロツ
ト出力通路２６ｂ及びパイロツト排気通路２７ｂ
を備え、可動鉄心３２ｂによりそれらを切換え可
能に構成している。

上記構成のパイロツト式電磁弁２によつて流体
流路が切換えられるマニホールドブロツク１は、
その複数に共通の供給通路３７、出力通路３８
ａ，３８ｂ、排気通路３９ａ，３９ｂ及びパイロ
ツト排気通路４０ａ，４０ｂを備え、それらの通
路をそれぞれ通孔４１，４２ａ，４２ｂ，４３
ａ，４３ｂ，４４ａ及び４４ｂによつて上記主弁
部３における供給通路６、出力通路７ａ，７ｂ、
排気通路８ａ，８ｂ及びパイロツト排気通路９
ａ，９ｂに連通させている。さらに、上記パイロ
ツト排気通路４０ａ，４０ｂに連通する通孔４４
ａ，４４ｂには、それぞれ絞りオリフイス４５
ａ，４５ｂを挿通し、この絞りオリフイス４５
ａ，４５ｂの開口面積S₂を、 Ｓ＞S₂≦S₁ Ｓ：パイロツト排気通路４０ａ，４０ｂの断面
積 S₁：パイロツト排出弁座部分の断面積 となるように設定すると共に、該絞りオリフイス
４５ａ，４５ｂの先端の位置（第２図参照）を、 0.25d₁〓ｘ＜d₂ ｘ：絞りオリフイス先端と対壁間の距離 d₁：絞りオリフイスの開口径 d₂：パイロツト排気通路４０ａ，４０ｂの開口
径 となるように設置している。

而して、第２図に示すように、上記構成のマニ
ホールドブロツク１の複数を連設し、その両端に
一対の端末ブロツク４６，４６を固定することに
より、各マニホールドブロツク１のパイロツト排
気通路４０ａ，４０ｂ同士が連通したマニホール
ドが構成される。

次に、上記構成を有するマニホールドの動作を
説明する。

第１図は、パイロツト弁部４ａ，４ｂが非通電
状態で、且つスプール１３が第１切換位置にある
状態を示し、マニホールドブロツク１における供
給通路３７と出力通路３８ｂ、及び出力通路３８
ａと排気通路３９ａがそれぞれパイロツト式電磁
弁２を介して連通すると共に、パイロツト式電磁
弁２における一対のパイロツト圧力室１７ａ，１
７ｂがそれぞれパイロツト出力通路及びパイロツ
ト排気通路を介してマニホールドブロツク１のパ
イロツト排気通路４０ａ，４０ｂに連通してい
る。

今、一方のパイロツト弁部４ａに通電すれば、
可動鉄心３２ａがばね３０ａの付勢力に抗して固
定鉄心３１ａに吸着されるため、固定鉄心３１ａ
のパイロツト排出弁座３４ａが閉鎖されると共に
パイロツト弁座２８ａが開放され、マニホールド
ブロツク１の供給通路３７からの圧力流体がパイ
ロツト供給通路１１，２５ａ、パイロツト弁座２
８ａ及びパイロツト出力通路２６ａ，１０ａを介
してパイロツト圧力室１７ａに流入し、スプール
１３をロツク機構１８の保持力に抗して第２切換
位置に切換える。これによりマニホールドブロツ
ク１の供給通路３７と出力通路３８ａ、及び出力
通路３８ｂと排気通路３９ｂがそれぞれ連通す
る。

その後、通電状態にあつたパイロツト弁部４ａ
への通電を停止し、あるいはそれと同時に他方の
パイロツト弁部４ｂへ通電すれば、可動鉄心３２
ａが原位置に復帰して、パイロツト弁座２８ａを
閉鎖すると共に、固定鉄心３１ａのパイロツト排
出弁座３４ａが開放するため、パイロツト圧力室
１７ａ中の高圧流体がパイロツト出力通路、パイ
ロツト排気通路及びマニホールドブロツク１の絞
りオリフイス４５ａを通つてパイロツト排気通路
４０ａに流出する。

而して、各マニホールドブロツク１における共
通のパイロツト排気通路４０ａ，４０ｂは、第２
図に示す如く相互に連通しているため、絞りオリ
フイス４５ａ，４５ｂを備えていない場合には、
各マニホールドブロツクからのパイロツト排気に
よるサージ圧が他のマニホールドブロツクに取付
けられたパイロツト式電磁弁におけるパイロツト
圧力室に背圧として作用し、スプールを駆動して
誤動作させる虞れがあるが、上記絞りオリフイス
を設けた場合には、パイロツト圧力室への圧力流
体の直接的な逆流を抑止できるため、主弁部が誤
動作するのを防止することができる。

即ち、パイロツト弁部４ａ，４ｂから共通のパ
イロツト排気通路４０ａ，４０ｂへのパイロツト
排気の流れは、通孔に挿着した絞りオリフイス４
５ａ，４５ｂによつて若干抵抗が増加するが、特
に、上記絞りオリフイス４５ａ，４５ｂの先端
を、共通のパイロツト排気通路４０ａ，４０ｂに
排気の流れ方向と直交する方向に突出させている
ので、パイロツト排気通路４０ａ，４０ｂを流れ
る排気がその絞りオリフイス４５ａ，４５ｂの部
分で流速を増して、圧力が低下し、それによつて
パイロツト排気通路からパイロツト弁部側には排
気が流れにくくなり、実質的にはパイロツト弁部
側に向かつて流れる逆向きの流れに対する抵抗が
増加することになる。

従つて、上記絞りオリフイスによりパイロツト
弁部からのパイロツト排気の流れによるパイロツ
ト排気通路の急激な昇圧が抑制されると共に、パ
イロツト排気通路からパイロツト弁部に逆向きの
流れが効果的に抑制され、複数のパイロツト式電
磁弁相互間において、一旦排気されたパイロツト
排気が他のパイロツト弁部に作用して誤動作する
のが防止できる。また、上記絞りオリフイスのパ
イロツト排気通路への突出量を変化させることに
より、パイロツト排気通路からパイロツト弁部に
向う流体抵抗を調整することができる。

なお、上記のようなマニホールドブロツクは、
汎用のマニホールドブロツクに絞りオリフイスを
挿着することにより構成することができる。

［考案の効果］ このように本考案のパイロツト電磁弁付マニホ
ールドによれば、各パイロツト式電磁弁のパイロ
ツト排気圧が他のパイロツト式電磁弁に作用して
誤動作させる虞れがなく、また上記マニホールド
ブロツク汎用のマニホールドブロツクに絞りオリ
フイスを挿着するだけで構成することができ、簡
単且つ安価に製造することができる。

また、絞りオリフイスの先端を、共通のパイロ
ツト排気通路に排気の流れ方向と直交する方向に
突出させたことによつて、パイロツト排気通路か
らパイロツト弁部に流れる逆向きの流れ抵抗を増
加させたために、絞りオリフイスの絞り量を大き
くしなくても排気のパイロツト弁部への逆流を防
止できるので、絞りオリフイスの設置による主弁
の応答速度の遅延を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のパイロツト電磁弁付マニホー
ルドの縦断面図、第２図はその横断面図である。 １……マニホールドブロツク、２……パイロツ
ト式電磁弁、９ａ，９ｂ，２７ａ，２７ｂ，４０
ａ，４０ｂ……パイロツト排気通路、４１，４２
ａ，４２ｂ，４３ａ，４３ｂ，４４ａ，４４ｂ…
…通孔、４５ａ，４５ｂ……絞りオリフイス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. パイロツト排気通路同士を連通させた複数のマ
   ニホールドブロツクを備え、各マニホールドブロ
   ツクにおける共通のパイロツト排気通路とそれに
   取付けたパイロツト式電磁弁のパイロツト排気通
   路とを通孔によつて連通させ、該通孔に絞りオリ
   フイスを挿着すると共に、その先端をマニホール
   ドブロツクにおける共通のパイロツト排気通路
   に、排気の流れ方向と直交する方向に突出させた
   ことを特徴とするパイロツト電磁弁付マニホール
   ド。