JPS6220513Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はデイーゼルパイルハンマに係り、特に
その燃料溜部と燃焼室との間に新たに副燃焼室を
設けることにより燃料の打撃霧化率及び燃焼効率
の向上を図つたデイーゼルパイルハンマに関す
る。

従来の技術 一般にデイーゼルパイルハンマは第１図に示す
如く直立したシリンダ１内に上下動可能なラム２
が設けられ、このラム２の下方にアンビル３が設
けられている。そしてラム２のアンビル３側中央
には凸状の打撃部２ａが形成され、一方アンビル
３のラム２側中央にはこの打撃部２ａの形状と符
合する凹状の被打撃部３ａが形成されている。ま
たラム２とアンビル３との間でかつ上記打撃部２
ａ外周には環状の燃焼室４が形成されており、ア
ンビル３の被打撃部３ａ上中央に形成される燃料
溜部５をラム２の打撃部２ａで打撃し、燃料を燃
焼室４内に霧化させ、燃焼室４内の高温圧縮空気
でこれに着火し、燃焼させるよう構成されてい
る。

考案が解決しようとする問題点 ところで、上述した従来のデイーゼルパイルハ
ンマにあつては燃料溜部５から燃焼室４までの距
離が長いため、燃料溜部５の燃料がラム２の打撃
部２ａによつて打撃されてから燃焼室４内に霧化
されて出てくるまでかなり時間がかかり、このた
め燃料の点火時期が遅れるという問題点があつ
た。またラム２の打撃部２ａとアンビル３の被打
撃部は燃料によつて濡れ、いわゆる濡れ面を形成
し燃焼室４内の燃焼が進行しその燃焼圧力でラム
２がシリンダ１内を上昇し始め、打撃部２ａと被
打撃部３ａとの間に間隙が生じたとき、上記濡れ
面に付着した燃料が大量に蒸発してくる。このた
め酸素濃度の低くなつた燃焼室４乃至シリンダ１
内で燃料が燃焼し、スモークの発生や必要以上に
燃焼が長引くいわゆる後燃えを生じ易いという問
題点もあつた。

本考案は従来のデイーゼルパイルハンマにおけ
る上記問題点を有効に解決すべく創案するに至つ
たものであり、その目的は燃焼効率を飛躍的に向
上させ得るデイーゼルパイルハンマを提供するに
ある。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本考案は、直立した
シリンダと、該シリンダ内に上下動可能に設けら
れたラムと、該ラムの下方に設けられたアンビル
と、上記ラムの上記アンビル側中央に設けられた
打撃部と、上記アンビルの上記ラム側中央に設け
られた被打撃部と、該被打撃部上に設けられた燃
料溜部と、上記ラムとアンビルとの間でかつ上記
打撃部外周に形成された主燃焼室とを備えたデイ
ーゼルパイルハンマにおいて、上記打撃部と被打
撃部との間に周方向に適宜間隔にかつラムの中心
軸に対して適宜傾斜して主燃焼室へ通ずる複数の
副燃焼室を形成したものである。

作 用 主燃焼室に通ずる副燃焼室を複数設けたことに
より濡れ面の縁の長さが長くなることから、打撃
による燃料の霧化率及び微粒子化が増大し、かつ
傾斜した副燃焼室によつて発生される渦によつて
燃料と圧縮空気を充分混合できるので、燃焼効率
が向上する。また、濡れ面積が減少するので、濡
れ面からの蒸発遅れによる後燃え量が減少し、ス
モークが減少する。

実施例 以下本考案の好適一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。

第２図に示す如くデイーゼルパイルハンマの直
立したシリンダ１内には上下動可能なラム２が設
けられ、このラム２の下方にはアンビル３が設け
られている。そしてラム２のアンビル３側中央に
は凸状の打撃部２ａが形成され、一方アンビル３
のラム２側中央にはこの打撃部２ａの形状と符合
する凹状の被打撃部３ａが形成されている。なお
この被打撃部３ａ上中央には燃料溜部５が形成さ
れている。またラム２とアンビル３との間でかつ
上記打撃部２ａ外周には主燃焼室４が形成されて
いる。

上記凸状の打撃部２ａのアンビル３側端面には
第２図乃至第４図に示すように略半月形状の窪み
がその円弧部を打撃部２ａ中央に向け、またその
弦部を打撃部２ａの側面と一致させて設けられて
いる。この窪みは打撃部２ａの円周方向に等間隔
に複数（図示例では４つ）配設され、ラム２がア
ンビル３を打撃したときにこれらの窪みが燃料溜
部５の周囲に位置する如く設けられている。また
打撃部２ａの側面には、上記夫々の窪みの弦部か
らラム２の中心軸に対して適宜傾斜して立ち上
り、上記主燃焼室４へ通ずる溝部が形成されてい
る。そして上記窪みと溝部とで副燃焼室６を構成
している。

次に上記実施例の作用について述べる。

ラム２とアンビル３との間のシリンダ１内の空
気が圧縮される直前にアンビル３上の燃料溜部５
にシリンダ１に設けられた燃料ポンプ（図示しな
い）から燃料が噴射される。ラム２はシリンダ１
内を落下し、ラムとアンビル３との間の空気を圧
縮しつつその打撃部２ａでアンビル３の被打撃部
３ａを打撃する。同時に被打撃部３ａ上の燃料溜
部５の燃料は打撃され、先ず燃料溜部５に近い副
燃焼室６内へ霧化され次いで主燃焼室４内へ霧化
される。このとき濡れ面の縁の長さ（いわゆる濡
れ縁長さ）が従来のものより長いため燃料は充分
に霧化され、かつ微粒化される。燃料は副燃焼室
６内へ最初に霧化されるため、副燃焼室６内の高
温圧縮空気により副燃焼室６内で先ず燃焼が始ま
る。この燃焼ガスは燃焼膨脹しつつ副燃焼室６の
溝部を通つて主燃焼室４内に噴出する。このと
き、副燃焼室６の溝部はラム２の中心軸に対し傾
斜して設けられているため、噴出する燃焼ガスで
主燃焼室４内に強力な渦を生じる。このため主燃
焼室４内の霧状の燃料と圧縮空気とは充分に混合
されてから燃焼を始める。副燃焼室６と主燃焼室
４内の燃焼ガス圧力によりラム２が上昇を始める
と、副燃焼室６内の燃焼ガスは打撃部２ａと被打
撃部３ａの濡れ面間に膨脹噴出して、これらの面
に付着した燃料を蒸発させ、燃焼させる。

なお、上記実施例においては副燃焼室６をラム
２側に設けたがアンビル３側に設けてもよいこと
は勿論である。

考案の効果 以上の構成によつて明らかな如く本考案によれ
ば次のような効果を発揮する。

(1) ラムとアンビルが衝突してから燃焼が開始す
るまでの時間を短縮でき、ラムの落下衝撃力と
燃焼ガス圧力とを杭打力として効果的に生かす
ことができる。

(2) 濡れ縁長さが長くなつて燃料霧化率の向上及
び燃料の微粒化が図れると共に、主燃焼室と副
燃焼室とで燃焼が進行するため燃焼が瞬時に完
了し燃焼効率の飛躍的な向上が達成できる。

(3) 濡れ面積が縮小されスモークの発生や後燃え
を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のデイーゼルパイルハンマの燃焼
室を示す断面図、第２図は本考案に係るデイーゼ
ルパイルハンマの要部断面図、第３図は同部分断
面図、第４図は同ラムの下面図である。 図中１はシリンダ、２はラム、２ａは打撃部、
３はアンビル、３ａは被打撃部、４は主燃焼室、
５は燃料溜部、６は副燃焼室を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 直立したシリンダと、該シリンダ内に上下動可
   能に設けられたラムと、該ラムの下方に設けられ
   たアンビルと、上記ラムの上記アンビル側中央に
   設けられた打撃部と、上記アンビルの上記ラム側
   中央に設けられた被打撃部と、該被打撃部上に設
   けられた燃料溜部と、上記ラムとアンビルとの間
   でかつ上記打撃部外周に形成された主燃焼室とを
   備えたデイーゼルパイルハンマにおいて、上記打
   撃部と被打撃部との間に周方向に適宜間隔にかつ
   ラムの中心軸に対して適宜傾斜して主燃焼室へ通
   ずる複数の副燃焼室を形成したことを特徴とする
   デイーゼルパイルハンマ。