JPS6218857Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱交換器に係り、特に積層された複数
個のチユーブを有するアルミ積層型熱交換器に関
する。

自動車用オイルクーラとして使用される従来技
術によるアルミ積層型熱交換器は第１図に示す如
く、入口パイプ１および出口パイプ２を有する上
側の端板３と、取付穴４Ｂを有する下側の端板４
と、これらの端板３，４との間に積層された複数
個のアルミ製のチユープ５とを有する。

上側の端板３には入口パイプ１および出口パイ
プ２に連通するカツプ部３Ａが形成され、下側の
端板４にはカツプ部４Ａが形成される。

チユーブ５は第２図および第３図に示すように
互にろう付けされた１対のチユーブプレート６，
７を有し、これらのチユーブプレート６，７の間
には第３図に示すように流体通路８が形成されて
いる。

各チユーブプレート６，７の両端部附近には、
隣接するチユーブ５の流体通路８と連通するため
のカツプ部６Ａ，７Ａがプレス加工により一体に
形成され、そのカツプ部６Ａ，７Ａには油通路穴
９が形成されている。又、これらのカツプ部６
Ａ，７Ａに隣接してその内側には互に突き合わさ
れて油通路８の形状を保持するための内向きの突
部１３が形成されている。そして、これらの突部
１３，１３の間における油通路８内はオイル側の
フイン１０が挿入されている。

以上の如く構成された複数個のチユーブ５は第
１図に示すように互に積層され、これらのチユー
ブ５の間には空気側のフイン１１が挿入されてい
る。

チユーブプレート６，７は互にろう付け炉によ
つて一体にろう付けされるが、従来技術によるチ
ユーブプレート６，７はこのろう付性を向上する
目的で各チユーブプレート６，７の周縁部に合せ
面に対して逆方向に曲げられた曲げ部１２が全周
にわたつて形成されている。

以上の如き構造の従来技術によるチユーブプレ
ート６，７を製造するためには、アルミニウムの
薄板を材料送り装置で送りながらプレス機で油通
路穴９や曲げ部１２等を連続加工している。この
際チユーブプレート６，７の全周にわたつて曲げ
部１２が形成されているため、油通路穴９の近傍
の曲げ部１２によつて前記アルミニウムの薄板の
プレス残り代にプレス時のしわ即ち隆起部が生
じ、これが送り装置の送り作用の邪魔になる。従
つて、従来技術においては送り装置を一旦停止し
てチユーブプレート６，７の半完成品を切断して
から前述の隆起部を切除して次の工程に送つてい
る。このように、従来技術では、チユーブプレー
ト６，７の連続加工が困難である。

更に、チユーブプレート６，７によつて形成さ
れる油通路８内にオイル側のフイン１０を挿入し
て複数個のチユーブ５を積み重ね、各部品をろう
付けすべく真空加熱炉に入れる際にチユーブプレ
ート６，７の位置がずれる場合があり、油通路８
内にオイル側のフイン１０が確実に保持されずに
油通路８からはみ出したり、確実にろう付されな
ければならない突部１３にオイル側フイン１０が
重なつたりしてチユーブプレート６，７のろう付
の不良が発生する欠点をも有する。

本考案の目的は、以上の欠点を除去し、連続加
工が可能であり且つ効果的にろう付されることが
できるチユーブプレートを有するアルミ積層型熱
交換器を得ることである。

本考案によるアルミ積層型熱交換器は、互にろ
う付けされて内部に流体通路を形成する１対のア
ルミ製のチユーブプレートを有する複数個の積層
されたチユーブを具え、各チユーブプレートの周
縁部にはその合せ面に対して逆方向に曲げられた
曲げ部が形成され、この曲げ部は該曲げ部とほぼ
同じ幅の複数個の平坦部（この平坦部は若干の傾
斜角度があつても差し支えはない。）によつて中
断されており、これらの平坦部を送り機として利
用することによりチユーブプレートの連続加工が
可能になり、更にチユーブ製造時に対向するチユ
ーブプレートのこれらの平坦部を押圧したり、ス
ポツト溶接したりすることにより、対向するチユ
ーブプレートの相対的な移動を防止し、それによ
つてろう付けを確実に行うことができる。

前記平坦部は、曲げ部とほぼ同じ幅であり、比
較的幅が狭いので位置決めのずれが生じず、前記
送り機としての利用や、対向するチユーブプレレ
ートの相対的な移動の防止において、有効にその
効果を発揮させることができる。

次に、本考案の好適実施例を第４図乃至第７図
を参照して説明する。

これらの図面に示されたものは本考案を自動車
用のオイルクーラとして実施したものであり、第
４図乃至第７図に示されたチユーブの構成以外の
全体的な構造は第１図に示された従来技術による
ものとほぼ同一である。

第４図および第５図に示された実施例において
は、チユーブ２１は互にろう付けされた１対のチ
ユーブプレート１４，１５を有し、これらのチユ
ーブプレートの間には従来技術と同様に流体通路
８が形成されている。

各チユーブプレート１４，１５の両端部附近に
は、これもまた従来技術と同様に油通路穴９を有
するカツプ部１４Ａ，１５Ａおよびこれらのカツ
プ部１４Ａ，１５Ａに隣接する突部１３が形成さ
れている。そして、これらの突部１３の間にはオ
イル側のフイン１０が挿入されている。

チユーブプレート１４，１５の周縁部にはその
合せ面に対して逆方向に曲げられた曲げ部１２Ａ
が形成されている。この曲げ部１２Ａは、チユー
ブプレート１４，１５の両端部に形成された平坦
部１６によつて中断されている。この平坦部１６
は若干の傾斜角度があつても差し支えはない。

第４図および第５図に示されたチユーブプレー
ト１４，１５を有する本考案によるオイルクーラ
においては、第１図に示されたと同様な入口パイ
プ１からチユーブプレート１４，１５のカツプ部
１４Ａ，１５Ａに油が流入し、ここから油はチユ
ーブプレート１４，１５の間に形成される多数の
油通路８に分岐され、この油通路８を通過する間
に油側のフイン１０、チユーブプレート１４，１
５および空気側フイン１１を介して冷却空気中に
放熱することにより冷却され、次いで反対側のカ
ツプ部１４Ａ，１５Ａから流出する。

チユーブプレート１４，１５は、真空ろう付け
に適した芯材A3003にろう材としての皮材X4004
を両面に10％クラツドしたアルミ合せ板（一般的
にX8と呼称されている）を使用し、これをフー
プ材として連続加工のプレスに取り付けて、両端
部のカツプ部１４Ａ，１５Ａ、油通路穴９、突部
１３、曲げ部１２Ａおよび平坦部１６を有するチ
ユーブプレート１４，１５を連続的にプレス加工
する。

油側のフイン１０の材質はアルミニウム合金
（A3003）を用い、これもプレス加工により連続
的に加工される。

以上の方法で加工されたチユーブプレート１
４，１５および油側フイン１０は、有機溶剤、例
えばトリクロルエチレン（一般にトリクレンと呼
称される）により洗浄されて、プレス加工時に表
面に付着した油分が除去される。

次に、チユーブプレート１４の突部１３の間に
油側のフイン１０を挿入し、チユーブプレート１
４，１５を合せることにより油通路８を形成す
る。このように合せてから、チユーブプレート１
４，１５の両端の重ね合わされた平坦部１６に外
部から力を加えて押圧して塑性変形を生ぜしめて
互に密着させる。この場合、平坦部１６に外部か
ら力を加える代りに、この平坦部１６をスポツト
溶接によつて密着させて固定することも可能であ
る。このようにして形成された多数のチユーブ２
１をチユーブ５と同様に第１図に示す如く組み付
ける。

当然のことながら、上側の端板３および下側の
端板４は真空ろう付けに適したX8材を使用す
る。

空気側のフイン１１はA3003材を使用し、出入
口パイプ１，２はA1050材を使用し、トリクレン
洗浄を行つた後に組付けて固定治具によつて仮固
定する。

これを、温度600℃、真空度10^-4乃至10^-5Torr
の真空加熱炉に約10分間入れて加熱する。この間
に、熱交換器のアルミニウム母材と表面の酸化皮
膜（Al₂O₃）との熱膨張の差によつてこの酸化皮
膜に亀裂が生じ、アルミニウム母材の清浄な面が
露出するが、この清浄な面は真空の中で再び酸化
されることはない。さらに、ろう材中に添加され
たMgが周囲の雰囲気中の微量の残存酸素および
酸化皮膜の酸素と反応してMgoとなり、アルミニ
ウム母材の清浄な面上を流れて各部材間を一体に
同時にろう付けする。つまり、端板３，４および
チユーブプレート１４，１５の両面にクラツドさ
れたろう材が溶融して表面張力によつて各接合個
所に集つてろう付けが行われる。

このろう付け性を向上するためにはチユーブプ
レート１４，１５の合せ面に対して逆方向に曲げ
られた周縁部の曲げ部１２Ａが必要であるが、こ
の曲げ部１２Ａを中断する平坦部１６は長さにし
て約５mmほどであり、しかもこの平坦部１６は外
力により密着されたり、スポツト溶接等により密
着されたりして強制的に表面張力を発生するよう
になつているので、このろう付け性は向上されて
いる。

第４図および第５図に示された実施例において
は、平坦部１６は各チユーブプレート１４，１５
の端部に形成されているが、これらの端部１６は
第６図および第７図に示されたチユーブ２２にお
けるように曲げ部１２Ｂを中断する平坦部１９を
各チユーブプレート１７，１８の側部に設けるこ
ともできる。この平坦部１９もまた若干の傾斜角
度があつても差し支えはない。

又、図示はされてはいないが、平坦部１６，１
９を同時に形成することも可能である。

以上の如く、本考案においては、各チユーブプ
レート１４，１５；１７，１８の周縁部に形成さ
れた曲げ部１２Ａ，１２Ｂを中断する複数個の平
坦部１６，１９を具えている。従つて、従来技術
に関して説明した前記のしわ又は隆起部が発生し
ないので、この部分を利用して連続的に次工程に
送ることができるので各チユーブプレート１４，
１５；１７，１８を連続加工することが可能であ
ると同時に、チユーブプレート１４，１５；１
７，１８を互に合せて各平坦部１６，１９に外力
を加えて塑性変形を起させて密着させたり、スポ
ツト溶接等により密着させることにより油側フイ
ン１０を効果的に固定することができると共に、
平坦部は曲げ部とほぼ同じ幅であり比較的幅が狭
いので、位置決めのずれが生じないためろう付け
の不良を防止することができ、しかもチユーブプ
レート１４，１５；１７，１８の合せ面のろう付
け性を損うことはない。更に、平坦部は曲げ部と
ほぼ同じ幅であり、比較的幅が狭いので、位置決
めのずれが生じず、送り機として更に有効に利用
できるのでチユーブプレート１４，１５；１７，
１８と油側フイン１０との組付けを自動化するこ
とも可能である。

尚、前記各実施例は本考案を自動車用のオイル
クーラに適用したものとして説明したが、本考案
は自動車用のオイルクーラに限定されることなく
他のアルミ製品の積層形の熱交換器、例えばコン
デンサ、エバポレータ、ラジエータ、ヒータ等に
も適用可能であることは容易に理解できるであろ
う。

又、前記実施例は高真空ろう付け法を使用する
ものとして説明されているが、真空加熱炉中にア
ルミニウム酸化皮膜の生成を抑制する窒素、ヘリ
ウム等の不活性ガスを封入して、低真空度、例え
ば10^-1Torr程度の雰囲気でろう付けを行う低真
空ろう付け法はもちろん、フラツクスを使用する
フラツクスろう付け法を使用することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術による自動車用のオイルクー
ラの平面図、第２図は第１図に示されたオイルク
ーラに使用されるチユーブの平面図、第３図は第
２図の線−における断面図、第４図は本考案
による自動車用のオイルクーラのチユーブの平面
図、第５図は第４図の線−における断面図、
第６図は本考案の他の実施を示す平面図、第７図
は第６図の線−における断面図である。 １……入口パイプ、２……出口パイプ、３，４
……端板、８……油通路、９……油通路穴、１
０，１１……フイン、１２，１２Ａ，１２Ｂ……
曲げ部、１３……突部、１４，１５……チユーブ
プレート、１６……平坦部、１７，１８……チユ
ーブプレート、１９……平坦部、２１，２２……
チユーブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 積層された複数個のチユーブを有するアルミ積
   層型熱交換器において、前記チユーブは互いにろ
   う付けされて内部に流体通路を形成する１対のア
   ルミ製のチユーブプレートを有し、前記１対のチ
   ユーブプレートの各々の周縁部にはその合せ面に
   対して逆方向に曲げられた曲げ部が形成され、該
   曲げ部は該曲げ部とほぼ同じ幅の複数個の平坦部
   によつて中断されていることを特徴とするアルミ
   積層型熱交換器。