JPS6216229B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は防錆塗料とくに無公害防錆塗料に関す
る。 従来、鉄面等を保護するため防錆塗料が使用さ
れている。しかしながら防錆塗料に使用されてい
る公知の防錆顔料例えば鉛系顔料、クロム系顔
料、亜鉛系顔料等は、それらが大地、河川、大気
中に分散することにより公害発生の問題が生じて
いる。 また塗料は生産、塗装、残渣処理時の過程にお
いて普通廃水中にあるいは大気中に分散していく
ため、無公害塗料を使用するとか、その他適切な
処理施設が必要である。 ところで現在無公害塗料として無溶剤型塗料、
水系塗料、粉体塗料等が開発されてきている。し
かし優れた防錆性を有する無公害防錆顔料の開発
が強く要望されている。 本発明の目的は、従来の防錆顔料の欠点である
公害の発生を、できうる限り未然に防止しうる、
防錆塗料を提供することにある。 このような目的は防錆顔料として一般式Al³⁺
〔PMo₁₂O₄₀〕^3-で示されるリンモリブデン酸アル
ミニウムを含む防錆塗料によつて達成される。防
錆顔料としてのリンモリブデン酸アルミニウムは
キジン構造を有しており、例えば以下の通り製造
される。モリブデン酸ナトリウム（Na₂MoO₄）
210ｇを水１に溶解し、約40℃に加温後、濃硝
酸（68％：15N）１を加え強く撹拌する。次い
で74％リン酸水溶液100ｇを撹拌しながら徐々に
加え、さらに前記濃硝酸0.7を加え、約30分間
撹拌後、過処理する。その液は次いで約５
のエーテルと強く撹拌混合し、得られたリンモリ
ブデン酸（H₃〔PMo₁₂O₄₀〕）をエーテル層に抽出
し、水と分離する。さらにエーテル層に水約2.5
を加え混合撹拌しながらエーテルを蒸留分離
後、残留水溶液のPHを1.0以下に調整し、撹拌し
ながら38％硝酸アルミニウム（Al（NO₃）₃・
9H₂O）水溶液１を徐々に加え、沈殿物（Al
〔PMo₁₂O₄₀〕）を分離、乾燥する。 化学反応式で示すと以下の通りである。 H₃PO₄＋12Na₂MoO₄＋24HNO₃→ H₃〔PMo₁₂O₄₀〕＋24NaNO₃＋12H₂O H₃〔PMo₁₂O₄₀〕＋Al（NO₃）₃→ Al〔PMo₁₂O₄₀〕＋3HNO₃ しかしながらリンモリブデン酸アルミニウムの
防錆機構は、完全には解明されるに至つていな
い。しかしその驚くべき強力な防錆性からみて、
リンモリブデン酸アルミニウムが徐々に分解し、
PO₄ ^3-あるいはMoO₄ ^2-イオンを供給し、これら
が鉄面と反応し、リン酸鉄あるいはモリブデン酸
鉄等の縮合イオン錯化合物を生成し、鉄の酸化を
防止し密着性良好な防錆皮膜を形成するものと思
われる。 また被塗物が亜鉛、アルミニウム等の非鉄金属
製品においても素地面と反応し、リン酸亜鉛、モ
リブデン酸亜鉛あるいはリン酸アルミニウム等の
縮合イオン錯化合物を生成し、密着性良好な防錆
皮膜を形成するものと思われる。 さらにリンモリブデン酸アルミニウムは、塗料
中の樹脂が活性水酸基を有する場合、架橋反応を
おこし、そのため密着性良好で、緻密な防錆皮膜
を形成するものと思われる。 本発明の防錆塗料は下塗塗料として利用する
が、その形態は溶剤型塗料、油性塗料、水系塗料
のいずれも可能であり、また自然乾燥タイプ、焼
付タイプのいずれのタイプも可能である。 例えば自然乾燥タイプとしては、エポキシ樹脂
塗料、亜麻仁油や大豆油等で変性したフタル酸樹
脂塗料、スチレン化アルキツド樹脂塗料、アクリ
ル変性アルキツド樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、ア
クリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料等が代表的な
ものとして挙げられる。 逆に前述の如く樹脂中に活性水酸基を含むもの
が望ましい。 本発明の塗料はさらに体質顔料、着色顔料を含
むこともできる。 本発明の防錆塗料に使用するリンモリブデン酸
アルミニウムの量は防錆効果、塗膜性能の観点か
ら、塗料全量に対して0.5〜40重量％、特に好ま
しくは２〜20重量％が適当である。 防錆顔料としてはリンモリブデン酸アルミニウ
ム単独でもよいが、他の無公害顔料例えばモリブ
デン酸系顔料、タングステン酸系顔料との併用も
可能である。 本発明の防錆塗料は前述の如く、密着性良好な
防錆皮膜を形成する特徴を有するが、さらに、金
属下地処理程度の低いものにも適用出来る特徴を
有する。例えば従来のエポキシ樹脂塗料の場合、
厳しい下地処理が必要で、通常SiS.Va2.1／２以
上のブラスト処理が必要であるが、リンモリブデ
ン酸アルミニウムを配合したエポキシ樹脂塗料
は、ジシククロメートを防錆顔料として用いた金
属用プライマーと同様、ブラスト処理していない
被塗物にも適用可能である。 以下本発明を実施例により説明する。 なお、実施例中「部」は重量部を示す。 実施例 １ 〔主剤成分〕 ビスフエノールＦ型エポキシ樹脂 35部 （エピクロン＃830：大日本インキ化学工業社
製） キシレン 10部 インブタノール ５部 弁 柄 ５部 炭酸カルシウム 30部 リンモリブデン酸アルミニウム 10部 沈殿だれ防止剤 ５部 〔硬化剤成分〕 ポリアミドアミン 15部 （サンマイドＭ―1400：三和化学工業社製） トリス（ジメチルアミノメチル）フエノール
１部 （DMP―30：シエル化学社製） キシレン ５部 メチルイソブチルケトン ２部 エチルセロソルブ ２部 上記主剤成分および硬化剤成分を撹拌混合し、
得られた塗料をサンドブラスト板およびみがき軟
鋼板に乾燥膜厚約80μになるように刷毛にて塗布
し、１週間自然乾燥させた。 比較例 １ 実施例１においてリンモリブデン酸アルミニウ
ムの代りにジンククロメートを使用する以外は同
様にして塗布、乾燥させた。 実施例 ２ 中油アルキツド樹脂ワニス 55部 （油長45、加熱残分50％） コールタール抽出油 ５部 弁 柄 ５部 炭酸カルシウム 20部 リンモリブデン酸アルミニウム ５部 ミネラルスピリツト ７部 沈殿だれ防止剤 ３部 上記組成物を実例例１と同様にして塗布、乾燥
させた。 比較例 ２ 実施例２においてリンモリブデン酸アルミニウ
ムの代りにジンククロメートを使用する以外は同
様にして塗布、乾燥させた。 実施例１，２および比較例１，２より得られた
塗膜につきクロスカツトし耐候性、耐塩水噴霧
性、耐湿性および密着性試験をし、その結果を第
１表に示す。

【表】 第１表より明らかの如く、本発明の無公害顔料
であるリンモリブデン酸アルミニウムを使用した
防錆塗料は、従来の優れた防錆性を有するものと
して知られているジンククロメート顔料を使用し
た防錆塗料より同等以上の塗膜性能を有してい
た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 防錆顔料としてリンモリブデン酸アルミニウ
   ムを含むことを特徴とする防錆塗料。 ２ 上記リンモリブデン酸アルミニウムを0.5〜
   40重量％含むことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の防錆塗料。