JP4115926B2 - 水性エポキシ腐食抵抗性プライマー - Google Patents

Description

本発明は腐食抵抗性プライマー（耐食性プライマー）に関し、より具体的には６価クロム化合物を含まない、水性エポキシ腐食抵抗性プライマーに関する。

アルミニウム、鋼などの合金を含む構造用合金は航空宇宙、船舶、自動車およびその他の用途に広く用いられている。これらの合金は、一般的には、プライマーすなわち腐食防止剤を含む有機コーティングを施すことによって腐食に対して保護されている。通常、構造用合金に用いられる腐食抵抗性プライマーは、溶剤ベースのエポキシプライマーであり、活性の腐食防止顔料添加剤として６価クロムを用いている。これらのプライマーは腐食保護を６価クロムに頼っている。すべての形の６価クロムは合衆国国立環境衛生科学研究所によってグループＩの既知人体発ガン物質として認められている。これに加えて、連邦および州立法府の、塗料およびプライマーにおける６価クロム揮発性有機成分（ＶＯＣ）レベルを低減するための法令の制定とともに、水性および／または水還元性の樹脂バインダーにかなりの関心が向けられている。従って、各形態の６価クロムを含む腐食防止化合物の使用は厳しい規制および管理下に置かれている。この種のプライマーにおいて腐食防止添加剤としての６価クロムを除去することは非常に有益である。

従って本発明の主な目的は、６価クロムを含まない腐食抵抗性プライマーを提供することにある。
特に、本発明の目的は、構造用金属合金に対する侵食を防止するのに有効である、上記の水性エポキシ腐食抵抗性プライマーを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、全面腐食および点食のいずれに対しても有効である、上記の水性エポキシ腐食防止プライマーを提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下において明らかとなろう。

本発明によれば上記の各目的および利点は容易に得ることができる。

本発明は、水性エポキシ、硬化剤、および非クロム酸塩腐食防止顔料を有してなる水性エポキシ腐食抵抗性プライマーについてのものである。本発明によれば、非クロム酸塩腐食防止顔料は、他の顔料増量剤などと組合わされた非クロム酸塩腐食防止顔料添加剤からなる。非クロム酸塩腐食防止顔料添加剤は、バナジウム酸ビスマスを加えたモリブデン酸セリウム、タングステン酸ストロンチウムを加えたモリブデン酸セリウム、タングステン酸ストロンチウムを加えた燐酸セリウム、モリブデン酸ビスマスおよびタングステン酸ストロンチウムを加えたバナジウム酸ビスマス、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。特に好ましい非クロム酸塩腐食防止プライマー添加剤は、タングステン酸ストロンチウムを加えたモリブデン酸セリウムである。

本発明はクロム酸塩を含まない水性エポキシ腐食抵抗性プライマーに指向されたものであり、該プライマーは水性エポキシ、硬化剤、および非クロム酸塩腐食防止添加剤からなる。

本発明によれば、非クロム酸塩腐食防止顔料は、（１）バナジウム酸ビスマスを加えたモリブデン酸セリウム、タングステン酸ストロンチウムを加えたモリブデン酸セリウム、タングステン酸ストロンチウムを加えた燐酸セリウム、モリブデン酸ビスマスおよびタングステン酸ストロンチウムを加えたバナジウム酸ビスマス、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる非クロム酸塩腐食防止添加剤、および、（２）二酸化チタン、粘土または珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、タルクないし珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、バライトないし硫酸バリウムからなる群から選ばれる増量剤顔料を有してなる。非クロム酸塩腐食防止顔料（すなわち非クロム酸塩腐食防止添加剤と増量剤顔料を含む顔料全体）は、最終的なプライマー組成物に対して、２５から６０重量％、好ましくは４０から５５重量％の量で存在する。非クロム酸塩腐食防止添加剤は、顔料組成物全量に対して５から４０重量％、好ましくは２５から３５重量％だけ含まれる。

本発明の好ましい実施形態において、水性エポキシ腐食抵抗性プライマーは、４５０から７００のエポキシ当量（ＷＰＥ）値と、１２０００から１９０００ｃｐｓの粘度を有するジグリシジルエーテルビスフェノールＡ変性エポキシの水性非揮発性分散液からなる群から選ばれる。本発明の一つの実施形態によれば、分散液は中分子量の多官能基樹脂分散液に基づいており、これは硬化されたとき非常に良好な硬度と抵抗性を有する高架橋密度高分子を形成する。他の実施例によれば、分散液は高分子量エポキシ樹脂の半固体の標準ビスフェノールＡエポキシ樹脂の水分散液に基づく。水性エポキシは最終的なプライマー組成物に対して５から５０重量％、好ましくは１５から３０重量％の量で存在する。

本発明によれば、硬化剤は３００から４５０のアミン価を有する水性または水還元性の変性アミンまたはポリアミドアミン付加体からなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態によれば、硬化剤は腐食抵抗性に溌水性を加えるためにさらに疎水性硬化剤を含む。硬化剤は最終的なプライマー組成物に対して２から２０重量％、好ましくは５から１５重量％の量で存在する。

本発明のクロム酸塩を含まない水性エポキシ腐食抵抗性プライマーは、特にアルミニウムの合金、鋼およびステンレス鋼の合金、高強度ステンレス鋼合金などの金属基体の全面腐食および点食を防止するのに特に有用である。本発明のクロム酸塩を含まない水性エポキシの使用は航空宇宙産業、自動車産業、建設業、包装産業、電子産業、ＨＢＡＣおよび船舶を含む全ての産業において有用である。

本発明のクロム酸塩を含まない水性エポキシ腐食抵抗性プライマーの腐食抵抗性能は以下の実施例において明らかとなろう。

４種類の水性エポキシプライマーが、表１に示すように調製された。これらのプライマーの腐食性能を評価するのにアルミニウム表面が用いられた。アルミニウム表面はプライマーを塗布する前に燐酸で陽極酸化されるか、またはサンドブラストされた。試験片はＡＳＴＭのＢ１１７にしたがって塩水スプレー試験に付された。次いで試験片は腐食と点食の兆候について評価され、ベンチマークのＭＩＬ−Ｈ−８５５８２によるクロム酸ストロンチウムに基づくエポキシプライマーと比較された。本発明による水性エポキシ樹脂の腐食抵抗性はクロム酸塩含有プライマーと比較して評価された。４種類のプライマーの腐食防止性能はクロム酸塩含有プライマーと比較し得るような腐食防止性能を示さなかったが、これらのプライマーは健康に対する危険を構成することなく、腐食防止性能を発揮した。

本発明は以上において説明および例示した例に限定されるものではない。すなわち、この例は本発明の最良の実施形態を説明するためのものであり、また形態、寸法、部品の配置および作動の詳細は容易に改変され得るものである。よって、本発明は特許請求の範囲により画定される主旨および範囲に入る全ての改変を包含するように意図したものである。

Claims (16)

1. 水性エポキシ腐食抵抗性プライマーであって、
   水性エポキシと、
   硬化剤と、
   非クロム酸塩含有腐食防止顔料とを有してなり、
   硬化剤が、３００から４５０のアミン価を有する、水性または水還元性の変性アミンまたはポリアミドアミン付加体からなる群から選択されたものであり、
   非クロム酸塩腐食防止顔料が、バナジウム酸ビスマスを加えたモリブデン酸セリウム、タングステン酸ストロンチウムを加えたモリブデン酸セリウム、タングステン酸ストロンチウムを加えた燐酸セリウム、モリブデン酸ビスマスおよびタングステン酸ストロンチウムを加えたバナジウム酸ビスマス、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる非クロム酸塩腐食防止顔料添加剤と、増量剤顔料とからなる、ことを特徴とするプライマー。
2. 前記水性エポキシが、４５０から７００のエポキシ当量（ＷＰＥ）値と１２０００から１９０００ｃｐｓの粘度とを有するジグリシジルエーテルビスフェノールＡ変性エポキシの水性非揮発性分散液からなる群から選ばれたものである、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
3. 分散液が、硬化したときに非常に良好な硬度と抵抗性を有する高架橋密度高分子を形成する、中分子量で、多官能基の樹脂分散液に基づくものである、ことを特徴とする請求項２記載のプライマー。
4. 分散液が、高分子量エポキシ樹脂の半固体の標準ビスフェノールＡエポキシ樹脂の水分散液に基づくものである、ことを特徴とする請求項２記載のプライマー。
5. 前記水性エポキシが、最終的なプライマー組成物に対して５から５０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項２記載のプライマー。
6. 前記水性エポキシが、最終的なプライマー組成物に対して１５から３０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項２記載のプライマー。
7. 硬化剤が、耐水性および腐食抵抗性を増強するための疎水性硬化剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
8. 前記硬化剤が、最終的なプライマー組成物に対して２から２０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
9. 前記硬化剤が、最終的なプライマー組成物に対して５から１５重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
10. 非クロム酸塩腐食防止添加剤が、タングステン酸ストロンチウムを加えたモリブデン酸セリウムである、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
11. 非クロム酸塩腐食防止添加剤が、顔料組成物全量に対して１５から４０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
12. 非クロム酸塩腐食防止添加剤が、顔料組成物全量に対して２５から３０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
13. 非クロム酸塩腐食防止顔料が、最終的なプライマー組成物に対して２５から６０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
14. 非クロム酸塩腐食防止顔料が、最終的なプライマー組成物に対して４０から５５重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１記載のプライマー。
15. 非クロム酸塩腐食防止顔料が、最終的なプライマー組成物に対して２５から６０重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１１記載のプライマー。
16. 非クロム酸塩腐食防止顔料が、最終的なプライマー組成物に対して４０から５５重量％の量で存在する、ことを特徴とする請求項１２記載のプライマー。