JPS6213261B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は複数のフイラメント束を引き取るフイ
ードローラにフイラメント束を供給する方法に関
する。

フイードローラは、紡糸炉から引き出され集束
されたガラス繊維ストランド（フイラメント束）
をパツケージとして巻取ることなく切断装置によ
り直接チヨツプドストランドに切断したり振り落
し装置により走行コンベア上に振り落して直接ウ
エブに形成したりする場合にガラス繊維ストラン
ドに延伸繊維化に必要な張力を与えるために使用
される。このフイードローラには１対のローラを
１組として使用しその間にストランドを挾持して
ストランドを引取るものと、１個のローラを使用
しその周面にストランドを所定の角度範囲にわた
り接触させ摩擦粘着力によりストランドを引取る
ものがある。

最近生産性を向上させるため複数個の紡糸炉か
ら紡出形成された複数本のストランドをストラン
ドの各々を案内する複数の溝をもつた１個のガイ
ドローラを通して１個のフイードローラに引取
り、これ等のストランドを纒めてチヨツプドスト
ランドへの切断、連続ウエブへの形成等の最終処
理を施す装置が使用されている。このような複数
本のストランドを１個のフイードローラで引取る
場合の問題点は１本のストランドが破断した場合
にこれを高速で回転しているフイードローラに再
巻付することが困難なことである。従つて一旦１
本のストランドが破断するとフイードローラを再
巻付け可能な安全な速度に低下させるか全面的に
停止して破断してストランドの巻付けを行なつた
後正規運転を再開する手順が必要となる。このた
め１本のストランドの破断によつて全ストランド
の延伸繊維化作業の中断が余儀なくされ生産能率
が低下するのみならず正規運転が再開されるまで
に形成される未繊維化ストランドは不良品として
処分されなければならない。

このような問題点をガラス繊維チヨツプドスト
ランド製造装置において解決する一方法が特開昭
54−38926号公報に開示されている。この公開公
報に開示のものは、フイードローラの一端に隣接
してフイードローラを別個に駆動される補助フイ
ードローラを同軸線上に並設すると共に該補助フ
イードローラの周面に圧接回転する補助カツター
ローラを設け、チヨツプドストランドの製造作業
中フイードローラに供給される多条ストランドの
うちの１本が何等かの原因で破断した場合フイー
ドローラを高速回転に維持したまま他のストラン
ドの切断作業を続け、補助フイードローラを殆ど
静止状態または30〜50ｍ／分の低速回転にして、
未繊維化状態にあるストランドの端部を補助フイ
ードローラに巻掛け次いで補助フイードローラの
速度を徐々に主フイードローラの回転速度800〜
3000ｍ／分に近づけ破断ストランドの完全な繊維
化状態が得られてから主フイードローラに移行さ
せるものである。しかしながら、この方法では補
助フイードローラから主フイードローラにストラ
ンドを移行させるさい、極めてまれではあるが、
主フイードローラに巻付かないことがある、スト
ランドがフイードローラ間の軸に巻付くことがあ
る、或はフイードローラのカツター刃に接触しな
い部分を通過するため長いストランドが生じてチ
ヨツプドストランドに混入し、後で選別を必要と
する等の欠点があり、必ずしも満足すべきもので
はなかつた。

従つて本発明は一般的に複数のフイラメント束
を引き取るフイードローラを使用する装置におい
て、上記問題点を解決するためにフイードローラ
を正規の回転速度に保持したまま１本のフイラメ
ント束をフイードローラに巻付けることのできる
フイラメント束のフイードローラ供給方法を提供
することを目的とするものである。

上記目的を達成するために、本発明はフイード
ローラの側方に平行に配置され複数のフイラメン
ト束を個別に案内するように構成された主ガイド
ローラを通して複数のフイラメント束を引き取る
フイードローラにフイラメント束を供給する方法
にして、前記主ガイドローラの端部外周に被嵌さ
れ主ガイドローラと独立して回転するように同軸
に配置された補助ガイドローラに１本のフイラメ
ント束を掛け渡し、前記補助ガイドローラに掛け
渡されたフイラメント束を前記主ガイドローラに
より案内されるフイラメント束の速度にほぼ等し
い速度に増速し、前記増速されたフイラメント束
を前記補助ガイドローラから前記主ガイドローラ
に移行せしめると共に前記フイードローラに導糸
するようにしたことを特徴とするフイラメント束
のフイードローラ供給方法を提供する。

以下本発明をその周面にガラス繊維ストランド
を所定の角度範囲にわたり接触させ摩擦粘着力に
よりストランドを引き取る形式のフイードローラ
を使用し、ガラス繊維のチヨツプドストランドを
製造する装置に適用した実施例を添付図面につい
て説明する。

第１図を参照するに、紡糸炉底部のブツシング
１は多数（例えば400〜2000個）のノズル孔を有
し、多数のガラスフイラメント２を吐出してい
る。フイラメント２は塗布装置３で潤滑剤などを
含む被覆剤が塗布され更に集束ローラ４で１本の
ストランド５ａに集束されている。同様にして、
別の紡糸炉（図示せず）によつてストランド５
ｂ，５ｃが形成されている。これらのストランド
５ａ，５ｂ，５ｃは各ストランドに対応した溝を
有するガイドシユー６を経て切断装置７に供給さ
れる。切断装置７はガイドローラ組立体８、フイ
ードローラ９、カツタローラ１０を有している。
ストランドはフイードローラ９の円周面上に接触
し、所定角度θ回転してからカツタローラ１０で
切断され、一定長のチヨツプドストランド１１と
なつてコンベヤ１２の上に落下し製品として運び
出される。ストランド５ａ，５ｂ，５ｃを構成す
るガラスフイラメントはストランドのフイードロ
ーラ９の周面への所定角度θに亘る接触による摩
擦粘着力のみにより引張られ延伸繊維化される。

ガイドローラ組立体８は第２図、および第３図
に詳細に示す如く各ストランドに対応した溝を有
する主ガイドローラ４７と、その近傍に配置され
単一の溝を有する補助ガイドローラ４９とから構
成されている。主ガイドローラ４７は可動スリー
ブ５１に回転自在に支持されており、補助ガイド
ローラ４９は主ガイドローラ４７の一部にかぶさ
り、かつ固定軸５３に回転自在に支持されてい
る。かくして、ガイドローラ４７，４９はそれぞ
れ独立して回転自在である。固定軸５３は、フイ
ードローラ９を支持する支持台２９に固定された
ブラケツト５５に固定されており、一方可動スリ
ーブ５１は固定軸５３上に摺動可能に保持されて
いる。更に、可動スリーブ５１には主ガイドロー
ラ位置調整用シリンダ５７のピストンロツド５７
ａが連結され、主ガイドローラ４７の溝によつて
案内されフイードローラ９上に巻き付くストラン
ドによりフイードローラ周面が摩耗したとき該周
面上のストランドの位置を変化させるようになつ
ている。

ガイドローラ組立体８の近傍にはガイドピン５
９が設けられている。ガイドピン５９は先端に、
ほぼ直角に曲つたフツク５９ａ（第４図参照）を
有している。ガイドピン５９は主ガイドローラ４
７の溝に掛けられているストランド５の下方で、
かつ補助ガイドローラ４９に掛けられたストラン
ド５′の上方に位置するよう配置され、更に第４
図の二点鎖線で示す位置に回転させ軸線方向に移
動させたとき、フツク５９ａがストランド５′に
係合しうるよう配置されている。ガイドピン５９
の末端は揺動シリンダ６１に連結されており、該
揺動シリンダ６１は支持板６３に保持されてい
る。支持板６３は、ブラケツト５５に設けられて
いる支持スリーブ６５に摺動可能に保持されたガ
イドバー６７に支持され、更に、ガイドピン移動
用シリンダ６９のピストンロツド６９ａに連結さ
れている。かくして、ガイドピン５９は第４図に
示す揺動とガイドローラの軸線方向の移動が可能
である。ガイドピン５９は補助ガイドローラ４９
に掛けられたストランド５′を引つかけて、移動
し、ストランドを補助ガイドローラから主ガイド
ローラ上に移す作用をする。

フイードローラ９は回転ハウジング２３に軸受
２５を介して回転自在に保持された軸２１に固定
され、回転ハウジングは支持台２７にボルト３１
で固定された支持部材２７に回転自在に支持され
ている。フイードローラ９はカツタローラ１０と
接触し、カツタローラ１０がモータ４３によりベ
ルト４５、プーリ４１を介して駆動されるとき回
転する。

回転ハウジング２３にはフレーム７１が一体に
回転するように保持され、フレーム７１の先端に
可変速モータ７３が取付けられ、モータ７３の回
転軸７３ａにコレツト７５が保持されている。コ
レツト７５はフレーム７１の回転によつて第２図
に二点鎖線で示す第１位置から実線で示す第２位
置に移動させることができる。このためハウジン
グ２３の端部にピニオンギヤ７７が取付けられ、
支持台２９にピニオンギヤ７７とかみ合うラツク
（図示せず）とそれを往復動させるシリンダ７９
が設けられ、シリンダ７９の操作でフレーム７１
が回転しコレツト７５が移動する。

以上に説明した各シリンダ及びモータは図示し
ない制御装置に連結され、以下に説明する糸掛け
動作を行うよう、シーケンス制御されるよう構成
されている。制御装置の詳細構造は本発明に直接
関係がないので省略し、以下にシーケンス動作の
みを説明する。

まず全紡糸装置を停止した状態から、紡糸及び
切断を開始する時の糸掛け動作を説明する。な
お、以下の説明において正常な紡糸速度（フイー
ドローラ速度）は1000ｍ／分と仮定する。紡糸開
始時にはコレツト７５は第２図の二点鎖線で示す
第１位置（待機位置）にあり、ガイドピン５９は
第３図に示す如く前方に伸び出した位置でかつ第
４図に実線で示す回転位置にある。

まず、カツタローラの駆動が開始されカツタロ
ーラ及びフイードローラが定常速度（1000ｍ／
分）にされる。次いで、第１番目のストランド
５′を引き揃え、補助ガイドローラ４９の溝を通
して、待機位置のコレツト７５に巻き付け、同時
にコレツトの駆動を開始させる。コレツト７５は
徐々に加速され、数秒後に高速（正常な紡糸速度
よりわずかに高く、例えば1050ｍ／分に設定され
ている）に達する。なお、ストランド５′をコレ
ツトに掛ける前に、コレツトを低速（例えば200
ｍ／分）或いは高速であらかじめ回転させてお
き、回転中のコレツトにストランドを巻き付けて
もよい。次にガイドピン５９が下向きに90度回転
され、ストランド５′をフツクする。0.5秒後、ガ
イドピン５９が後退を開始し、補助ガイドローラ
４９の溝にかかつていたストランド５′を主ガイ
ドローラ上に糸入れ位置Ｅ（第３図参照）に移動
させる。ストランドが主ガイドローラ上に移され
ると、同時にコレツト７５を保持したフレーム７
１が回動されて、コレツトは第２図に実線で示す
第２位置即ち導糸位置に移動される。従つて、コ
レツトに巻き取られているストランドはフイード
ローラ９に所定の接触角αに亘つて接触する。こ
の後、コレツトを停止させるとストランドはフイ
ードローラに対する粘着接触によつて自然にチヨ
ツピング位置（フイードローラとカツタローラの
接触位置）に侵入し、切断が開始され、導糸が完
了する。

続いて、ストランドをＥ位置に拘束していたガ
イドピン５９がさらに後退され、ストランドを主
ガイドローラ４７の所定の溝に導く。その後ガイ
ドピン５９は第４図の実線位置にまで回転され、
かつ更に後退してストランド５′から外れ、スト
ランドは実線で示す正常走行位置となる。以上
で、第１番目のストランドのフイードローラへの
糸掛け操作が終了し、その後第１番目のストラン
ドの正常速度での紡糸及び切断が行なわれる。

次いで、第２番目以降の各ストランドの糸掛け
が、第１番目のストランドの正常速度での紡糸及
び切断を妨げることなく、第１番目のストランド
の糸掛けと同様な手順で行われる。

以上において紡糸および切断を開始する際に複
数本のストランドを１本１本順に糸掛けする際の
動作を説明したが、正常運転中に１本のストラン
ドが破断した際の糸掛けも同様の手順で他のスト
ランドの紡糸切断作業を中断することなくなし得
ることは明かであろう。

以上の実施例は補助ガイドローラ４９に糸掛け
されたストランドの増速と増速されたストランド
のフイードローラ９への糸掛けを回転するフレー
ム７１に支持されたコレツト７５を使用して行
い、また補助ガイドローラ４９から主ガイドロー
ラ４７へのストランドの移行をガイドピン５９の
油圧操作で行うものであるが、これ等の構成は本
発明にとつて本質的なものでない。本発明にとつ
て重要な特徴は正常運転時に複数のストランドを
フイードローラに案内する主ガイドローラに対し
同軸に配置されかつ主ガイドローラの端部に被嵌
するように構成された補助ガイドローラを使用
し、フイードローラに糸掛けすべきストランドを
先ず繊維ガイドローラに掛け渡した状態で繊維化
速度に増速させた後フイードローラに導くことに
よりフイードローラの正規運転速度を低下させる
ことなくストランドの糸掛けができる点にある。
従つて補助ガイドローラに掛け渡されたストラン
ドの増速およびフイードローラへの導糸作業は手
持式回転巻取ローラまたはアスピレータを使用し
て手作業でなすことも可能であり、同様に補助ガ
イドローラから主ガイドローラへの移行も手作業
でなすことが可能である。

更に上記実施例は摩擦粘着力でストランドをフ
イードする１個のローラから成る型式のフイード
ローラを使用しストランドをチヨツプドストラン
ドに切断する装置を示しているが、本発明はこれ
に限定されず２個のローラでストランドを挾持す
るニツプ型式のフイードローラを使用し、更にフ
イードローラによつて引き取られたストランドを
切断することなく走行コンベヤ上に振り落すよう
に構成されたフイラメントマツト製造装置に対す
るフイードローラ供給装置としても適用可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例として本発明を適用したガラ
ス繊維チヨツプドストランド製造装置の全体を示
す概要図。第２図は第１図の実施例の要部の詳細
を示す正面図。第３図は同側面図で構造を明かに
するためにコレツトはフイードローラの上方に位
置する状態で示されている。第４図はガイドピン
５９の拡大正面図。 １……紡糸炉、５，５′，５ａ，５ｂ，５ｃ…
…ストランド、７……切断装置、９……フイード
ローラ、１０……カツタローラ、１１……チヨツ
プドストランド、４７……主ガイドローラ、４９
……補助ガイドローラ、５９……ガイドピン、７
１……フレーム、７３……可変速モータ、７５…
…コレツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フイードローラの側方に平行に配置され複数
   のフイラメント束を個別に案内するように構成さ
   れた主ガイドローラを通して複数のフイラメント
   束を引き取るフイードローラにフイラメント束を
   供給する方法にして、前記主ガイドローラの端部
   外周に被嵌され主ガイドローラと独立して回転す
   るように同軸に配置された補助ガイドローラに１
   本のフイラメント束を掛け渡し、前記補助ガイド
   ローラに掛け渡されたフイラメント束を前記主ガ
   イドローラにより案内されるフイラメント束の速
   度にほぼ等しい速度に増速し、前記増速されたフ
   イラメント束を前記補助ガイドローラから前記主
   ガイドローラに移行せしめると共に前記フイード
   ローラに導糸するようにしたことを特徴とするフ
   イラメント束のフイードローラ供給方法。