JPS621300Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は積雪中に混在されたタイヤチエン等
を捕獲する装置に関する。

一般に降雪時にはタイヤチエンを装着して自動
車を運転するが、このタイヤチエンは何らかの理
由により使用不能になり路上に投棄されたり、走
行中に外れてしまいそのまま放置されたりして積
雪中に混入してしまうことがしばしばある。特に
高速道路上においてはタイヤチエンが脱落しても
停車したり後退してこれを拾うことは困難なた
め、タイヤチエンはそのまま放置されてしまうこ
とが多い。

ところで、除雪作業においては、路上に放置さ
れたタイヤチエンはプラウ系除雪車により積雪と
ともに道路側方に積まれる。そして、この道路側
方に積まれた雪を除去するためにロータリ除雪車
が出動することになるのであるが、雪中に混入し
たタイヤチエンが作業中のロータリ除雪車のオー
ガやプロアの回転部分に巻込まれシヤーピンの切
損、オーガやブロアの損傷等オーガやプロアの回
転を不能にせしめる事故が発生することが往々に
してある。これらの事故が一度発生すると場合に
よつては事故車を修理工場に運んだり、現場に溶
接機、溶断機等を持込んで修理作業を行うことに
なり緊急を要する除雪作業の大きな障害となつて
いる。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
オーガに捕獲爪を取り付け、この捕獲爪によつて
積雪中に混在するタイヤチエン等の異物を捕獲す
るようにして、異物の巻き込みを原因とするオー
ガやプロアの損傷および回転不能、シヤーピンの
切損等をなくした除雪機械におけるタイヤチエン
等の巻込防止装置を提供することを目的とする。

以下この考案を図面を参照して説明する。

第１図ないし第３図はこの考案の一実施例をロ
ータリー除雪車（除雪機械）に適用したものを示
している。このロータリー除雪車は各部装置を駆
動するエンジン、油圧ポンプ等の駆動装置を搭載
した自走車両と、この車両の前端部に取付けられ
上記駆動装置によつて駆動される除雪装置２とに
よつて構成されている。また上記除雪装置２は、
前端部に設けられ回転駆動されて積つた雪を切削
し中央に掻きよせるオーガ部３と、このオーガ部
３の背面の周面と両側と上方とを囲う除雪枠４
と、この除雪枠４の後方に設けられ、上記オーガ
部３によつて取込まれた雪を側方に投雪する投雪
用プロア５とによつて構成されている。

上記オーガ部３は、除雪枠４の両側部内方に、
ほぼ鉛直な面内で周方向回転自在に設けられ上記
車両に設けられる駆動機構によつて回転されるオ
ーガ輪３ａ，３ａと、これらオーガ輪３ａ，３ａ
の中心のボス部間に架設された支持軸３ｂと、こ
の支持軸３ｂを中心軸として支持軸３ｂの周囲を
巻くように設けられた螺旋状のオーガ羽根３ｃ…
とから成つている。上記各オーガ羽根３ｃは板体
を螺旋状に巻いて形成されたもので、支持軸３ｂ
の長さ方向右側部周囲と左側部周囲とに各々３条
ずつのオーガ羽根３ｃが、各々一端をオーガ輪３
ａに支持されかつ内周部の数カ所を支持片３ｄを
介して支持軸３ｂに支持されて設けられている。
なお、支持片３ｄは第１図では省略されている。
なおまた、支持軸３ｂの右側のオーガ羽根３ｃ…
と左側のオーガ羽根３ｃ…は相互に逆方向に巻か
れ、各オーガ羽根３ｃ…が各々オーガ部３の中央
部に雪を掻き集めるようにされたのは周知のとお
りである。

そして、上記支持軸３ｂの周囲には、両端に取
付板６ａを設けた６本の取付軸６が、各々の取付
板６ａをオーガ羽根３ｃ…の内周部にネジ止めし
て、以下に説明する位置にほぼ水平に取り付けら
れている。まず、オーガ羽根３ｃ…を第１図に示
すように停止させた際に、支持軸３ｂの長さ方向
中央部前方と後方に支持軸３ｂを挾んで一対の取
付軸６が設けられている。さらに、第１図の支持
軸３ｂの右側下方には、支持軸３ｂを中心として
支持軸３ｂ前方の取付軸６からオーガ３の周方向
に60゜離れた位置に１つの取付軸６が、また、支
持軸３ｂの左側下方には、支持軸３ｂを中心とし
て支持軸３ｂ前方の取付軸６からオーガ３の周方
向に120゜離れた位置に１つの取付軸６が各々設
けられている。さらにまた、第１図の支持軸３ｂ
の右側上方には、支持軸３ｂを中心として支持軸
３ｂ前方の取付軸６からオーガ３の周方向に120
゜離れた位置に１つの取付軸６が、また、支持軸
３ｂの左側上方には、支持軸３ｂを中心として支
持軸３ｂ前方の取付軸６からオーガ３の周方向に
60゜離れた位置に１つの取付軸６が各々設けられ
ている。すなわち、取付軸６…は支持軸３ｂの軸
方向（第１図の左右方向）から見ると、支持軸３
ｂを中心とした同一円周上に60゜間隔で放射状に
配置されている。なお、上記各取付軸６は各々支
持軸３ｂの数分の一程度の長さをなし、オーガ３
の回転によつて各取付軸６が描く回転軌跡で支持
軸３ｂの周囲をほぼ全て覆えるように各取付軸６
の長さが設定されている。そして、上記各取付軸
６には先端部６ｂをオーガ３の回転方向Ｂに向け
たＬ字状の捕獲爪６Ｂが、先端部６ｂを雪を切り
込むオーガ羽根３ｃ…の外周部３_c1より内側に位
置させて多数並設されている。

なお、第２図に７で示すものは積雪Ｓ内に混在
されたタイヤチエン、Ｄはオーガ羽根３ｃの外周
部３_c1が雪を切り込む深さを示している。

次に上記のように構成されたこの考案の作用に
ついて説明する。

除雪装置２は周知のようにオーガ羽根３ｃによ
つて雪を切削除去し、この雪を投雪用プロア５に
送り込み側方に投雪する。ここで、オーガ羽根３
ｃ…の外周部３_c1は積雪Ｓを深さＤだけ第２図に
示すように切り込むと同時に、切り込んだ積雪Ｓ
の一部をオーガ３の中央部方向に押して雪塊とし
て積雪Ｓから分離し、オーガ３の中央部に運ぶよ
うになつている。

ところで積雪Ｓの中には、一般の車両が走行中
に落としたタイヤチエン７が混在していることが
ある。除雪作業中にこのタイヤチエン７にオーガ
３が接近すると、オーガ羽根３ｃ…の捕獲爪６Ｂ
…がタイヤチエン７を引つかけて捕獲する。この
ためタイヤチエン７がブロア５内部に巻き込まれ
ることはない。また、捕獲爪６Ｂ…はオーガ羽根
３ｃの外周部３_c1より内側にあり、捕獲爪６Ｂと
除雪枠４内周面との間の隙間が大きいため、この
隙間にタイヤチエン７が噛み込まれることもな
い。したがつてオーガ３やブロア５の損傷や摩耗
および回転不能、シヤーピンの切損等はいずれも
生じない。

さらに、捕獲爪６Ｂ…はオーガ羽根３ｃの外周
部３_c1より内側にあり、オーガ羽根３ｃが積雪Ｓ
を切り込む際に捕獲爪６Ｂ…は積雪Ｓに触れない
ため、捕獲爪６Ｂ…が摩耗することはない。ま
た、オーガ羽根３ｃが路面に触れることがあつて
も上記と同様な理由により捕獲爪６Ｂ…は路面に
触れないため、捕獲爪６Ｂの摩耗、損傷の虞れは
ない。さらに、捕獲爪６Ｂをオーガ羽根３ｃに取
り付けるに当つてオーガ羽根３ｃの形状は従来と
同じでよいため、除雪性能に何ら悪影響を与える
こともない。

なお、この実施例では取付軸６を６本、オーガ
部３に設けているが、取付軸６の本数は任意でよ
く、取付位置もオーガ部３の回転に影響がなけれ
ば自由である。なおまた、取付軸６は直線状であ
る必要はなく、オーガ羽根３ｃと同様ならせん状
でもよく、長さは、取付軸１本で、あるいは複数
でオーガ部３のほぼ全幅をカバーできれば自由に
設定可能である。さらに、取付板６Ａはオーガ羽
根３ｃに溶接で固定してもよい。ところで、捕獲
爪６Ｂの形状はタイヤチエン等の積雪中の異物を
引つ掛け易いものであれば任意でよく、例えばＴ
字状やＳ字状にしてもよい。

以上説明したようにこの考案は、積雪を切り込
むオーガ羽根の外周部より内側に先端部を位置さ
せた捕獲爪を多数、オーガ羽根のほぼ全幅にわた
つて設けたものであり、積雪中に混在されたタイ
ヤチエン等の異物を捕獲爪が捕獲するため、除雪
中に、オーガ羽根と除雪枠との間、およびブロア
の内部にタイヤチエンが引つ掛かることはなく、
オーガ羽根やブロアの損傷および回転不能は生じ
ない。また、シヤーピンの切損も生じない。さら
に、捕獲爪はオーガ羽根の外周部より内側にあ
り、オーガ羽根が積雪を切り込む際に捕獲爪は積
雪に触れないため、捕獲爪が摩耗することはな
い。また、オーガ羽根が路面に触れることがあつ
ても捕獲爪は路面に触れないため、摩耗、損傷の
虞れはない。一方、捕獲爪をオーガ羽根に取り付
けるのに当つて、オーガ羽根の形状は従来と同じ
でよいため、除雪性能に何ら悪影響を与えること
はない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は正面図、第２図は側面図、第３図は捕獲爪の
斜視図である。 ３ｃ……オーガ羽根、６……取付軸、６Ｂ……
捕獲爪、６ｂ……先端部、Ｄ……切り込み深さ、
３_c1……外周部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 螺旋状のオーガ羽根が車体前部に回転自在に設
   けられた除雪機械において、上記オーガ羽根の内
   側には１つ以上の取付軸が取り付けられ、上記取
   付軸には先端部をオーガ羽根の回転方向に向けた
   捕獲爪が、上記先端部を雪を切り込むオーガ羽根
   の外周部より内側に位置させて設けられて成るこ
   とを特徴とする除雪機械におけるタイヤチエン等
   の捕獲装置。