JPS621018B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ケン切紡績法で得られるフアンシー
ヤーンの製造法に関する。

従来より、フアンシーヤーンは衣料用、インテ
リヤ用、産業用等多岐にわたつて用いられてい
る。従来のフアンシーヤーンの製造には複雑な工
程を必要とし、労力が多く掛り、生産速度が遅い
等の問題点があつた。

本発明は、前記問題を解決すると同時に、従来
にない野趣に富むフアンシーヤーンの製造を可能
にする方法を提供することにある。

即ち、本発明は、連続した長繊維トウを２本以
上同時に供給ローラとケン切ローラからなるケン
切域に供給するに際して、前記長繊維トウのうち
少なくとも１本を屈曲したケン切経路に導いてケ
ン切し、しかる後他のケン切繊維束と合流せし
め、次いで、抱合することを特徴とするフアンシ
ーヤーンの製造方法にある。

以下、本発明を詳細に説明する。

本発明方法に使用する繊維は、連続した長繊維
トウであつて、特にその繊維の種類に限定されな
いが、抱合するに際して、熱処理を行い熱固定に
よつて抱合を強固なものとするときには、熱可塑
性の合成繊維を用いることが好ましい。

本発明では、前記の長繊維トウを２本以上同時
にケン切域に供給するのである。この２本の長繊
維トウは、トウ間で、物性差、融点差、染着差が
あるもの、更にトウ内で、物性差、融点差、染着
差があるものを組合せるもの等が用いられること
がフアンシー効果の巾を広げるためには好まし
い。

以下、図面により本発明を説明する。

第１図イ〜ニは、本発明の方法の例を示めす工
程図であつて、第１図イに示めすように長繊維ト
ウ１と同じく他の長繊維トウ２と供給ローラ３，
３′に同時に供給する。供給ローラ３，３′とケン
切ローラ６，６′からなるケン切域の途中に、例
えば屈曲ガイド板４を設けて、長繊維トウ２を屈
曲したケン切域経路によりケン切する。一方、屈
曲ガイド板を経ない長繊維トウ１は、通常のケン
切域経路によりケン切する。しかる後、これらケ
ン切された繊維を合流せしめる。又、前記の屈曲
したケン切経路によるケン切繊維は、集団カツト
を起し易く、不規則にケン切されるので、シユー
ト板５，５′を設けるのがよい。（このシユート板
５，５′はケン切ローラ６，６′が回転する際発生
する乱流により、トウの乱を防ぐと共に集団カツ
トが発生した場合でも、シユート板５，５′に沿
いながら、集団カツト繊維をケン切ローラ６，
６′に送り込ませるものである。） 次いで、前記のようにケン切、合流せしめたケ
ン切繊維束を抱合せしめるが、これには吸引ノズ
ル７により吸引・集束し、ついで仮撚ノズル８に
より仮撚をかけ、前記ケン切繊維束を抱合するの
が望ましい。

又、前記の屈曲したケン切経路には、屈曲ガイ
ド板４を設けるものの他に、回転するガイドロー
ラを用いることが出来る。

又、この屈曲ガイド板は、その一部が凹凸のつ
いたものでもよく、鋭いエツジを有するものでも
よく、要は屈曲ケン切域経路の長繊維トウの全部
又は一部が集団カツトを起すように、繊維間の相
互摩擦力が増加することが好ましい。

屈曲ガイド板を配置する位置は、ケン切域であ
つて、第１図ニに示めすように屈曲角θが５度以
上、好ましくは15度以上になるようにするのが好
ましい。

又、本発明の方法に用いるケン切域は、第１図
ロに示めすように、長繊維トウ１を前部ローラ１
３，１３′から熱板１４を経て、供給ローラ３，
３′に供給し、長繊維トウ１の物性を変化させた
後、ケン切するものでもよい。

又、第１図ハに示めすように、ケン切ローラ
６，６′の直前で、他の糸条１５（フイラメント
糸、若しくは他の紡績糸）を挿入供給するもの、
又は／および吸引ノズル７と仮撚ノズル８の間に
他の糸条１６（フイラメント糸若しくは紡績糸）
を挿入供給するものを適宜つけ加えることはさし
つかえない。

さらに、本発明の方法では、前記仮撚手段によ
り繊維束に抱合を付与した場合には、引取ローラ
９とセパレートローラ１０に操作するに際して、
引取ローラ９に加熱ローラを使用することも可能
である。１１は捲取りトラバースガイド、１２は
捲取られた糸条パツケージを示めす。

本発明は以上述べたように、長繊維トウの一部
を屈曲ケン切経過に導いてケン切し、集団カツト
を起させ、この集団カツトを利用して、従来にな
い自然なパターンを呈する凹凸感にあふれた新し
い形態のフアンシーヤーンを得ることが出来る。

即ち、本発明の方法により得られる糸は、その
太さが大きく変化して糸条を構成するため、複雑
で不均一性に富むものであつて、糸条中に紡錘形
状した部分、ネツプ部分、スラブ部分、ループ部
分等がランダムに混在している。さらに、糸条は
単繊維数本が頑固に捲付いている部分と、単繊維
数本がゆるやかに捲付いている部分を含み、捲付
方向も首捲状である部分、Ｓ−Ｚ交互撚の部分等
がある。

即ち、第２図は本発明方法で得られるフアンシ
ーヤーンの各部分の例を示めす斜視図であつて、
ａの部分は実質的に無撚の繊維束に単繊維が首捲
状態で捲いたものを示し、さらにはｂの部分のよ
うに単繊維が実撚状態でランセン状に捲ついたも
の、ｃの部分のように吸引ノズル７や仮撚ノズル
８を多量のケン切繊維が通過する際、一時的に仮
撚ノズルの旋回力が低下し、インターレースと同
じような作用が発生したことにより交絡したもの
や、ループ状をしているもの、又、ｄの部分のよ
うに吸引ノズル内に繊維が一時に停滞することに
よりネツプ状の部分が出来るもの、さらにｅの部
分のように、ゆるやかな撚を有した紡錘形状をし
たもの、ｆの部分のように、殆んど無撚状態でか
つ、単繊維が開繊したような太い部分となるもの
等が含まれる。

これらのフアンシーヤーンを使用して織物とし
た場合は、従来に見られない外観、風合をなし、
衣料用に限らずカーテン等のインテリヤ用途にも
広く使用し得る。

特に本発明の方法では、前記の屈曲ケン切経路
により、その屈曲部が集団切断点となつて、集団
カツトが起り、そのためケン切ローラに送り込ま
れる量に変動が起りフアンシーヤーンが得られる
が、前記の送り込まれる量が、本発明方法では全
くランダムであるので、全く自然なフアンシー効
果を得ることが出来るのである。

又、第１図ニに示めすように、屈曲角θを種々
変化させることにより、集団カツトの発生を変え
ることが出来るので、一層複雑な形態のフアンシ
ーヤーンを得ることが出来ること、第１図ロに示
めすように異なる熱履歴を附与して収縮に変化を
持たせたり、第１図ハに示めすように、他の糸条
を加えることによつても、変化のあるフアンシー
ヤーンとすることが出来る。

次に、本発明の方法では屈曲ケン切経路により
長繊維トウを切断するものの他に、屈曲ケン切経
路によらず、通常のケン切経路により長繊維トウ
を連続的に切断するものを含むので連続的に、且
つ、トラブルなく高速でフアンシーヤーンを製造
することが可能となる。

本発明方法において、抱合方法として、流体仮
撚ノズルを使用したような場合は、従来の方法、
例えば精紡機で意匠糸を作る場合の数10倍の速度
で生産が可能となり（例えば100〜800ｍ／分）生
産性が極めて高い。

以下、実施例により説明する。

実施例 １ 長繊維トウとして、ポリエステル繊維トウ1300
デニールとポリエステル繊維トウ1500デニールと
を用いて、第１図イの装置によつてフアンシーヤ
ーンを製造した。即ち、前記のポリエステル繊維
トウを同じ速度で、供給ローラ３，３′に送り込
み、ポリエステル繊維トウ1300デニールは屈曲ガ
イド板４により30度に屈曲され、又、ポリエステ
ル繊維トウ1500デニールはストレートでケン切
し、これをケン切ローラ６，６′の直前で前記
1300デニールのトウによるケン切繊維と合流せし
め、ケン切ローラ６，６′に導かれた後に吸引ノ
ズル７で吸引され、さらに仮撚ノズル８で抱合せ
しめる。

この抱合をせしめた後に、加熱ローラ９で熱処
理しながら、巻取装置１１によつて巻取る。

得られたフアンシーヤーンは、第２図において
示めしたａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ，ｆの部分を含んだ
ものであつた。

又、運動操作状況も、極めて良好で、屈曲ケン
切経路によるものは、集団カツトを起し、屈曲ケ
ン切経路によらないものは、スムースなケン切状
態を得ることが出来た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施態様を示めす工程図、第
２図は本発明の方法で得られるフアンシーヤーン
の各部分の例を示めす斜視図である。 １，２……長繊維トウ、３，３′……供給ロー
ラ、６，６′……ケン切ローラ、４……屈曲ガイ
ド板、８……仮撚ノズル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 連続した長繊維トウを２本以上同時に、供給
   ローラとケン切ローラからなるケン切域に供給す
   るに際して、前記の長繊維トウのうち少なくとも
   １本を、屈曲ケン切経路に導いてケン切し、しか
   る後に他のケン切繊維束と合流せしめ、次いで流
   体仮撚ノズルにより抱合することを特徴とするフ
   アンシーヤーンの製造方法。