JPS6161842B2 - - Google Patents

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JPS6161842B2
JPS6161842B2 JP27909184A JP27909184A JPS6161842B2 JP S6161842 B2 JPS6161842 B2 JP S6161842B2 JP 27909184 A JP27909184 A JP 27909184A JP 27909184 A JP27909184 A JP 27909184A JP S6161842 B2 JPS6161842 B2 JP S6161842B2
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Masato Moritoki
Nobuhiko Nishiguchi
Kazuo Kitagawa
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Kobe Steel Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は固溶体を構成する成分(以下特定成分
という)を相互に分離する方法、特に圧力晶析の
手法を利用して分離する方法に関し、詳細には分
離又は精製しようと考えている特定成分Aが混合
物原料中に含まれている他の特定成分Bと固溶体
を構成する系を対象とし高圧力を利用する晶析法
を適用することによつて特定成分Aを効果的に回
収し、または他の特定成分Bを濃縮する方法に関
するものである。
〔従来の技術〕
固溶体系混合物を対象とし、一回の晶析操作を
行なうだけで特定成分の相互の分離を高率に行な
うこと、例えば一方の成分を高純度に精製するこ
とは原理的に不可能であるとされている。この理
由乃至事情を第6図によつて説明するが、ここで
は理解の便を図るため2成分全率固溶体系(又は
2成分全域固溶体系)について2成分A,Bの融
点がTA,TBであり、固相線、液相線がそれぞれ
s,lで表わされるものとする。今原料中におけ
る特定成分Aの濃度(以下組成と言う場合もあ
る)がx0であり、温度T0の全量液相状態にある
とする。この状態Pを出発点とし、温度T0から
徐々に冷却を行なつていき液相線lと交わる温度
T1に達すると結晶が析出しはじめる。実際には
過飽和現象があつて晶出温度はもう少し低くなる
が、単純化のため、その詳細は割愛する。析出し
はじめた結晶中における特定成分(以下単に成分
と略記することがある)Aの組成は、温度T1
おける固相線sの組成x1で示される。さらに温度
を下げていくと、結晶の量は次第に増加するが、
この過程において析出する結晶中の成分Aの組成
は固相線s上を矢印方向に移動し、一方残された
液相中の成分Aの組成は液相線l上を、同じく矢
印方向に移動する。こうして温度がT2にまで下
つた状態における固相および液相の分率(割合)
Ws,Wlはそれぞれ Ws=a/a+b, Wl=b/a+b (ここでa=x0−x2l,b=x2−x0)である)と
表わされる。これをさらに冷却して温度がT3
達し固相線の組成がx0に一致した時(すなわちb
=0となつた時)には、液相はなくなつており、
全ての原料混合物が固体となる。凝固過程をこの
様に眺めてみると次々に析出してくる固相及び残
された液相における成分Aの濃度は刻々と変化し
ており、凝固が完了した時点で元の原料混合物と
同じ組成の結晶になることが分かる。
さらに温度を下げると、結晶中の成分Aの濃度
(正しくは後述する様に平均濃度)はx0であるか
ら、同図の矢印Qに沿つて組成変化を伴なわずに
温度が下つてくる。
温度を逆に上げていくと、上記とは全く逆の過
程を経て元の液相混合状態にもどる。
固溶体の晶出過程及び溶解過程は、以上述べた
ような性質をもつて進行するものであるから、た
とえば、温度T2における固液共存状態から固液
を分離することによつて得られる固相の量は、前
述の通りa/a+bであり、その組成はx2である、純度 を高めるためにT2を高くすると(T1に近づける
と)、固相の量は当然に少なくなる。したがつて
固相の量が少なくならない範囲でより高純度の特
定成分Aを得ようとすれば温度T2で析出した結
晶を固液分離することによつて得られた結晶を全
量再融解し、再び冷却して同様な操作を繰返すこ
とになる。第7図はこのような繰返し晶析の状態
を示す。結晶中の成分Aの濃度は、晶析の繰返し
によつてx0→x2→x′2→x2″と向上していくが特定
成分を純品として得るには理論的に言えば無限回
の繰返しが必要となる。
一方、回収される固相の量は繰返し回数が増え
るにつれてa/a+b×a′/a′+b′×a″/a″
+b″×……と、指数 函数的に少なくなつてくる。たとえば毎回1/2を回 収して4回繰返したとすると、原料の1/16が回収さ れるに過ぎない。
上記の説明においては、固相と液相は、完全に
分離しうるものと仮定した。しかし固液の完全な
分離は、工業的には不可能に近く、遠心分離やフ
イルタプレスなどを用いても、相当量の液相が結
晶に付着するのが普通であり、分離された固相物
に40〜30%の液相が含まれている事も稀ではな
い。従つて実際の到達純度は、状態図から求めら
れた前記濃度x2,x′2,x2″などよりもはるかに低
い値となる。
さらに補足すれば、第6図、第7図の説明は幾
つかの仮定に基づいている。その中の一つは、結
晶内部の濃度が均一であるとした点である。しか
し第6図の説明で明らかにしたとおり、初期に析
出してくる結晶中の成分Aの濃度はx1であり、冷
却の進行即ち結晶の増加と共に第6図の固相線s
の矢印方向に移動していくものとすれば、後でで
きた結晶中の成分Aの濃度はx1→x2→x0と次第に
低くなつていく。即ち後でできる結晶は、不純物
としての特定成分Bをより多く含むことになる。
この様子を模式的に示すと第8図の通りであり、
S1は高濃度x1部分、S2は中濃度x2部分、S0は低濃
度x0部分を示し、言わば等濃度曲線によつて濃度
が模式的にはリング状に変化していつた様な形態
の結晶が得られることになる実際の結晶には成長
しやすい方向があるので上記はあくまでも模式的
な説明である。しかしながらこのような固相内の
濃度分布は、いわゆる固相内の拡散現象によつ
て、時間の経過と共に均一化する傾向をもつてい
る。したがつて第8図の結晶の中央S1部分におけ
る不純物特定成分Bの濃度は増加の方向に向い、
結晶表面の近くのS0部分の不純物成分Bの濃度は
低下する方向に向う。結晶表面を覆つているS0
分の成分B濃度が低下していくと、熱力学的な平
衡により液相中の特定成分Bが結晶表面から侵入
し結晶内表面部分(S0)における成分Bの濃度を
高めようとする。より正確にいえば、第6図、第
7図はこのような濃度平衡が得られた後の状態図
であつて、固相内拡散が進行しない場合の状態図
は、第9図の点線で示すように固相線s′は液相線
lからかなり離れた位置に存在することになる。
この様な拡散現象の程度は、取扱う系の種類に
よつて大きな差異があるのは当然で、例えば侵入
形固溶体、置換形固溶体のいずれであるか、また
分子の大きさ、形状、温度等も勿論影響するけれ
ども、いずれの固溶体でも、この傾向に変りはな
い。結果的にこの傾向は、結晶中の特定成分Aの
濃度を低下させる方向に作用していることは明ら
かである。
一方通常の工業的晶析操作において固液分離性
を良くしたい場合は、急冷をさけ時には数十時間
といつた長時間をかけて徐冷し、これによつて大
きな結晶を作ることが必要とされる。しかしなが
ら大きな結晶を作るために時間をかけると、固相
内拡散はより一層進行することになり、結晶の純
度が低下しようとする傾向が出てくるという矛盾
がある。
ところで有機化合物においては、結晶構造が類
似し比体積が近似したものは固溶体を作るという
ことが知られている。
たとえば、p―ジクロルベンゼン、p―プロモ
クロルベンゼン、p―ジブロモベンゼン、p―ク
ロルヨードベンゼン、p―ブロモヨードベンゼ
ン、p―ジヨードベンゼン、といつた物質はほと
んどが相互に固溶体を作る〔化学工学協会、第14
回秋季大会講演要旨集(1980)〕。
またたとえばm―クロロニトロベンゼン/m―
クロロニトロベンゼン、ナフタリン/βメチルナ
フタリン、ナフタリン/チオナフテン、ナフタリ
ン/ジフエニル、ナフタリン/ベンゾチオフエ
ン、ナフタリン/キノリン、ナフタリン/β―ク
ロロナフタリン、ナフタリン/α―ナフトール、
α―メチルナフタリン/β―メチルナフタリンな
どといつた構造の類似したものの組合わせでは、
固溶体を作るものは非常に多い〔晶析シンポジウ
ム(1984)(化学工学協会)、化学工学協会第49年
会講演要旨集(1984)〕。
このような構造の類似した物質は、分子量が近
接しており、したがつて沸点が近接しているため
蒸留は非常に困難である。したがつて晶析の効率
化が強く求められているが、固溶体であることが
晶析の障害になつていた。
例えばナフタリンの精製工程をみるとタール中
油の固溶体系不純物の除去のために、複雑な処理
工程が採用されている。例えば社団法人日本芳香
族工業会発行「芳香族およびタール工業ハンドブ
ツク」(昭和53年12月、共立出版社)第76〜78頁
に解説記事が掲載されている。これによれば60%
前後のナフタリンを含む原料から95%ナフタリン
を精製する方法としては自然冷却または強制冷却
等の冷却による回収法並びに蒸留による回収法が
ある。一方ここで得られた95%ナフタリンには中
性成分、塩基性油分、酸性油分、更には硫黄化合
物等多種の不純物が含まれておりそれが固溶体を
構成するものであるため、更に酸による洗浄法、
温水洗浄、アルカリ洗浄、連続晶析法(ブローデ
イ法)等を適用して精製ナフタリンを製造する方
法が知られている。しかしこれらの方法には大略
次の様な欠点がある。
(1) 自然冷却、強制冷却晶析法の問題点 固溶体を構成する不純物が多く含まれているた
め、高純度が得がたい。何回も繰返し処理すれば
純度は次第に向上するがその程度は限られて居
り、収率は指数函数的に低下する。
(2) 蒸留法の問題点 蒸留で分離できない不純物質の中には前述の通
り固溶体系不純物が含まれており晶析で除去しよ
うとしても、精製の効果は非常に少ない。これら
の不純物は結果的に化学的手法で分解し、その結
果生じる分解生成物や反応添加物等を蒸留などの
物理的手法に頼つて分離せざるを得ない。しかし
脱酸、脱硫とも、酸性、アルカリ性の薬品を使用
し、洗浄するなど非常に手数がかかり、設備も大
きくなる。
(3) 晶析法の問題点 95%近傍に達したナフタリンから、晶析法によ
り高純度のナフタリンを得ることは前述の如く一
応可能であるとはされている。しかし例えばブロ
ーデイ法では、一方でナフタリン液を冷却晶析
し、他方で結晶を加熱融解して結晶の洗浄や、結
晶中の不純物の抜出しに利用している。従つて熱
的損失および固液間の物質交換のための装置内滞
留時間など問題が多く、実質99%以上のナフタリ
ンを工業的に安価に得ることがむつかしい。他に
も、95%近傍の純度のナフタリンを、晶析する試
みが報告されているが〔化学工学協会48年会要旨
集(昭和58年)第331頁〕硫化物を含む不純物な
ど固溶体系不純物に防害されて、十分な高純度ナ
フタリンを晶析法によつて工業的に得ることはで
きない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来技術の項で説明した様に固溶体系混合物か
ら特定成分を晶析し分離するに当たつては、 (1) 固相の純度は1回の晶析で高純度にならな
い。
(2) 結晶の純度で上げようとすると、収率が低下
してしまう。
(3) 繰返して晶析すると(以下再結晶という)、
収率は指数函数的に低下する。
(4) 固液分離性のよい結晶を作るために長時間を
かけて徐冷すると、結晶自体の純度が低下する
傾向にある。などといつた多くの原理的困難性
が障害となつてくる。
本発明は、上記のような従来の晶析法における
問題点を詳細に検討した結果、それらの解決手段
を、圧力を変化させる晶析法の中に見出すことに
よつてなされたものである。
〔問題点を解決する為の手段〕
第1発明の要旨は次に示す通りである。
2種以上の成分からなる混合物中の特定成分
が、他の1種又はそれ以上の特定成分と固溶体を
構成する系から特定成分を相互に分離する方法に
おいて、 (A) 高圧容器内に装入されている混合物を、加圧
下において、特定物質と他の特定物質との固溶
体たる固相と、少量の液相との共存状態となす
工程と、 (B) 当該状態から、液相を分離していき、分離さ
れる液相の圧力が分離初期の液相圧力よりも低
下し、且つ固相に加えられた圧力よりも低くな
る様な状態を作る工程とを含む点に要旨が存在
する。
また第2発明は、上記A,Bの2工程に続いて (C) 固相の圧力を下げて固相の一部又は全量を融
解する工程と、 (D) 再び加圧して、固相を増加させ、または、ほ
ぼ全量を固体とする工程と、 (E) 当該状態から、液相を分離していき、分離さ
れる液相の圧力が分離初期の液相圧力よりも低
下し、且つ固相に加えられた圧力よりも低くな
る様な状態を作る工程とを必要回数繰返して行
なうことを含む点に要旨を有する。
〔作用〕
固溶体の状態図を、圧力を変数として書き直す
と第1図の様になる。第6,7,9図等と違つて
固相と液相が上下で逆転している。成分Aの組成
がx0である2成分A,Bの混合物を矢印M方向へ
加圧していくと、圧力P1で、組成x1の結晶が析出
しはじめ圧力をさらに上げると固相および液相の
組成は、固相線s、液相線lの各線上を経て最終
的に圧力P3で全量が固体となる。
上記操作を実施するに際しては、例えば第2図
に示すような装置が使われる。即ち高圧容器1内
の液状混合物2は、ピストン3によつて力Fで加
圧され、固液共存状態が形成される。この状態で
バルブ4を開くと液相成分は流量調整又は圧力調
整器5を経て系外へ流出していく。この際液が流
出している間に高圧容器1の内部圧力が低下する
のを防止する目的で力Fを継続的に加えていくの
が一般的であり、液の流出につれてピストン3は
容器1内へさらに進入してくる。尚容器1内の圧
力は力Fとピストン3の断面積から計算されるも
のとし、また流出する液体の圧力は、圧力計6に
より測定されるものとなる。
さて第1図において凝固が相当程度進行して全
量固相に近い状態が形成される圧力P2で液相を分
離するとすれば、排出される液相は量的にはきわ
めてわずかながら、この系においては最もB成分
に富んだ液相として分離されることとなる。固液
分離が進み容器1内の液相が少なくなつて結晶が
相互に接触しかつピストンの継続的押込みの効果
によつて次第に圧搾されはじめると、たとえピス
トンの圧力を一定に保つていても結晶粒間の液相
に対しては圧搾圧力の伝達が不十分となり結果的
に減圧されはじめる。一方固相はさらに少しずつ
圧搾されて母液を押出し、これが容器外に流出す
ると母液の圧力はさらに低下する。この様な母液
の減圧(例えばP2→P4)にともなつて該母液と接
触している結晶表面は、一部融解し、母液中の成
分Aの組成はx2lからx4lに増加する方向となる
が、固相はすでにこの前の段階から圧搾状態に入
り、母液の割合が非常に少なくなつているから、
結晶の融解量はきわめてわずかでもx2l→x4lの変
化には十分対応できる。この間固相はピストンの
力を一定に保つことによつて、平均圧力P2に保た
れておりこの面からも無用の融解が避けられてい
る。
このような操作によつてA成分の最も少ない即
ちB成分の最も多い母液から順番且つ効果的に少
量の液相を分離することができるので、従来の晶
析法に比して、同じ母液の量を分離したときでも
残つた製品中のA成分の濃度は非常に高められる
ことになるのである。
しかしながら、このようにして得られた残留物
は、まだ十分に高純度とはいえない。残された結
晶中のA成分組成は、x1とx4の間にあるからであ
る。そこで液相の圧力がある程度低下した後、例
えばバルブ4を閉じて、ピストン力Fを十分に低
下させ結晶を一部または全量融解する。次いで再
びこれを加圧して圧力をP′2とし前回操作のとき
と同じ様に大部分を結晶化させる。この時全残留
混合物中のA成分の平均濃度がx0′になつている
ものとすればこの2回目の結晶化における初期の
生成結晶の濃度はx′1(>x1)であり、第1回目の
ものに比べて高濃度である。この圧力P′2から出
発し第1回目と同じ様に操作して再び液を分離し
ていき、液相圧力がP′4まで下降した時に再び同
じ様に液の流出を止める。
この様に液相中のA成分濃度を可能な限り少な
い状態にしてすなわち、少量の液相にしてからこ
れを分離し、さらに再加圧して同じ様に少量の母
液を分離していくという操作を繰返すことによつ
て、少量の母液を除去するだけで、残留物中のA
成分濃度を飛躍的に高めることができるのであ
る。
但し、ここで説明した状態図(第1図)は、第
9図で説明したのと同じ理由により補足を加える
必要がある。固相内拡散が進行していない状態に
おける実際の固相線は、点線s′の方に移動する。
しかし本発明者等のこれまでの研究によると圧力
の変化を利用して固化・融解をさせる場合におい
て断熱的な圧力操作を行なうときには、数秒又は
十数秒の単位で結晶を十分成長させる事ができ
又、固液の分離操作も、圧力下では非常に短時間
に行ないうることが、実験的に確かめられてい
る。従つて圧力晶析法を採用する場合は結晶内の
拡散が進行する余地はほとんどないと考えてよ
く、固相線としてはs′を用いて説明する方がより
実情に近い事が分かる。この場合の結晶中のA成
分濃度は、固相線sを用いる場合よりも高いの
で、本発明による効果が一層大きく表われること
は明らかである。
以上は、本発明の主要な構成要素とその技術的
背景を説明したものであるが、以下若干の補足を
加える。
第1は2成分系固溶体が全量固化するときの圧
力に関する点である。第1図において全量が固化
するときの圧力はP3であるとした。しかし、比較
的速やかに加圧、固化が進行するとすれば固相線
s′上の点P3′で固化が完了することになる。そう
であるならば第3図に示す通り、この場合の排出
液組成はx′3lであり、排出液中のB成分濃度はx3l
よりも高いものとなる。しかし、この説明でもま
だ不十分である。圧力P3′よりやや低い圧力にお
いて成分Aの組成がx3lよりやや高い母液がなお
若干残されているような時点で圧力をさらに高め
てP″3にすると、残されている前記母液が一挙に
結晶になるのではなく、その内の一部が、その系
における平衡分配係数によつて定められる組成
x3″の結晶として析出してくるのである。x′3lの結
晶ができるのではないから、液相は依然として残
つている。この様にして次第に全量固化域に入つ
て行くので、実際には全量固化圧力を特定するこ
とができない。
又上記の説明例では、x3″<x0であつた。即ち
原料混合物よりも更に、成分Aの少ない結晶が第
8図の結晶濃度の模式図の最外層(又は成長面)
として形成されることになるのであるが、このよ
うな組成状態で固液を分離すると、原料組成より
もA成分の少ない結晶x″3が残ることになる。し
かし初期の分離母液中の成分Aの濃度x″3l(第3
図)ははるかに少なく効果的にB成分が除かれて
いる。しかも前に述べた液相減圧分離の初期段階
において、組成x3″の部分が遂次融解し、母液中
の成分B組成x3″の液で稀釈洗浄しながら分離す
るという方向で利用されるので究局的には非常に
効果的に結晶の洗浄が進行する。換言すれば、固
溶体の減圧過程では、結晶の中で最も不純物に富
む部分が融解するので、この融液を遂次分離する
ことにより、極端に少ない液の分離でも相当量の
不純物を除去することが可能となる。
この様な現象は、幾つかの2成分(固溶体)系
における圧力と体積の関係を測定することによつ
ても確められている。これらに共通していた現象
を模式的に示すと第4図の様になる。圧力P1は固
化の開始(又は全量融解)の圧力である。明瞭な
全量固化圧が存在する場合には、固液平衡域と固
相圧縮線の境界に折曲点ができる筈でその圧力は
これまでの説明からしてP3であるべきである。し
かし全ての測定結果によると、第3の不純物がほ
とんど無い系であつても、点線で示すような曲線
で結ばれていた。この事実は圧力P3でも固化が完
了しないことを意味し、第3図に基づく説明と一
致する。
したがつて、本発明の基本構成におけるステツ
プAは、第1,3図に示した状態図における実線
にこだわらず、要は液相が分離できる範囲内にお
いてできる限り高い圧力にもつていつてから固液
分離をはじめることが好ましい。
補足説明の第2は、温度に関する点である。第
1,3,4図は便宜的に等温度状態図として示し
たが現実に取扱う系では、加圧及び減圧による圧
縮熱や潜熱などの影響を受けるので温度変化を生
じる。しかし、その温度変化は圧力を変数とする
晶析法においては原則において例えば第3図の平
衡状態図は加圧により昇温した時にはより全体と
して高圧側に移動する。(但し必ずしも平行移動
ではない)その程度は系によつて異なるが多くの
有機物固溶体及び混合系において30〜60気圧/1
℃程度のものが多い。このように全体がほぼ均一
に、しかも圧力軸方向に移動するので、等温的な
操作の場合と同様に考えることができる。減圧に
より一部又は全部を融解させる場合は、逆方向に
移動することは説明するまでもない。結局温度変
化は操作圧力の基準の変化を招くに過ぎず本発明
の本質的要旨を左右するものではない。
本発明は侵入形及び置換形の如何を問わず全て
の固溶体に適用できる。又有機物、無機物である
とを問わずさらに常温で固体であるか液体である
かの如何も問わない。
本発明の構成に基づく作用は上に述べた通りで
あるが上記の如き操作の具体的実施においては
色々な操作態様が考えられ、以下実施例として説
明する。又最後にナフタリンと固溶体を形成する
化合物を不純物として含有する粗ナフタリン精製
法を実施例として述べる。
〔実施例〕
(a) 本発明の適用対象は、先の説明で述べた2成
分全率固溶体系に止まらない。要は固化の過程
における液相中の組成比によつて定められかつ
液相中の組成比とは異なる結晶組成が得られる
系に全て適用できる。例えば第5図は固溶体と
共晶系が組み合わせられたような系であるが共
晶圧力Pc近くまで加圧しても相当量の液相が
存在する。このようなときには、あらかじめこ
の液を除去することによつて、基本操作のステ
ツプAが達成されるのでステツプB以下の操作
は、これまでの説明に従つて処理すれば良い。
又この発明は多成分系にも適用できる。例えば
第3の成分Cが、目的とする特定の成分Aと共
晶系を作り、かつ成分Bが成分Aと固溶体を作
る系であつてもよい。
(b) 本発明におけるステツプAの「固相と少量の
液相との共存状態」を作るプロセスは、対象と
する系に適した過程が選択されるべきである。
例えば、(イ)加圧下で冷却する(ロ)冷却して、一部
固溶体の結晶が析出している状態から加圧する
又(ハ)大気圧下で過剰な液相を除去したものを加
圧する(ニ)前項(a)で述べたように高圧下で過剰な
液相の分離を行なうなどの方法が例示される。
特に(ニ)項は、原料混合物中に目的とする特定物
質と共晶を作る混合物が含まれている場合など
に適する。
(c) ここで使用される圧力は精製プロセスの後
半において液相を減圧しかつ固相を圧搾しなが
ら固液分離をしていかなければならないこと、
さらに固液分離後に更に減圧して結晶の少な
くとも一部を融解することが必要であることな
どから、経験的には少なくとも50MPa以上でき
うれば、70MPa以上であることが好ましい。上
限については、200MPa、400MPaなどでも問題
はなく、工業的に可能な圧力まで採用できるの
で、特に限定する必要がない。減圧後長時間を
かけて、結晶を融解し、次いで加圧する場合に
は、圧力はさらに低い値で済ませることができ
る。
(d) ステツプDで再加圧するときの圧力は、ステ
ツプA又はステツプBのいずれの圧力とも特別
に関係づける必要がない。一般にはステツプB
の最終の液圧力よりも高く、ステツプAの原料
圧力よりも低い場合が好ましい。
(e) 第2発明における繰返しの回数は、1回以上
任意に選択できる。出発原料の組成比、目的純
度、その系の分配係数、操作条件などによつて
決められる。
(f) ステツプBの「固相に加えられた圧力」は、
ステツプを実施する間常に一定である必要はな
い。
(g) 第2図は本発明を実施する唯一の装置ではな
い。他の多くの構造、機構の装置が使用でき
る。
(h) 製品はケーキ状の固体として、容器内に残留
するもの、或は、減圧によつて液状になるもの
など色々あるが、高圧容器からの取出しは公知
の方法によれば良い。但し第1発明のステツプ
及び第2発明の最終のステツプEにおける固液
分離の開始温度は、大気圧力下における特定成
分の融点以上とすることが好ましい。
(i) 分離されたいわゆる廃液も固溶体であり特定
成分A,B等を含んでいるので、再びこれを原
料混合物とみなして本発明を利用し、特定成分
Aの一層の回収に努めることもできる。同時に
成分Bの濃縮もできる。
(f) 第10図は、成分Aの大気圧下における融点
よりも低い温度における固溶体系混合物の状態
を示す概念図である。すなわち、大気圧下にお
いてすでに成分Aの濃度x1の固体と、x′1の液
体とが存在しうる状態とする。圧力P2において
本発明を適用し、液圧が大気圧になるまで、分
離を継続したとしても、回収固体の純度はx1
上回ることができない。減圧過程では、融解熱
によつて温度が低下するから、一層純度は悪く
なる。したがつてより高い純度の固体を回収す
るためには、特定成分Aの融点以上で、分離を
はじめることが好ましい。又途中で一旦減圧し
て相当量を融解し、再加圧して再び分離を行な
う場合も、減圧による融解量を確保するために
は、より高温で初期の分離を行なうことがより
高純度をうるために必要である。このような操
作を行なえば、たとえば前記ナフタリンの精製
において、ナフタリン中油から固溶体、共晶系
を問わず、少量の母液の分離によつて一挙に多
量の不純物を除去することができ、高純度のナ
フタリンが得られる。もちろん、現有プロセス
の途中の任意の段階からでもより高能率の精製
を行なうことができ、設備コストの低減、エネ
ルギーコストの節約など測り知れない効果をも
たらしうる。今日の化学工業の精密志向にとも
ない、先に述べたように類似分子構造物が副生
物として残留し、かつそれが固溶体を構成する
系の取扱いの問題は、今後も益々増大するもの
と思われ、本発明の果す役割は非常に大きい。
〔発明の効果〕
従来の冷却晶析法による固溶体晶析の問題点が
ほぼ、完全に回避される。すなわち、 (1) 全量固相に近い領域から特定成分Aのきわめ
て少ない組成の液が分離できる (2) 減圧過程で固液分離するので、圧搾によつて
結晶粒間隙が狭まくなりつつ母液が流出する。
又減圧による結晶表面の部分融解が生じること
によつて、結晶自体の平均濃度が高まり、かつ
間隙に存在する母液の純度も高められる。した
がつて、従来法に比し少量の母液を分離しても
格段勝る純度のものが得られる。
(3) 前記(1)(2)により、不純物(例えば成分B)の
濃度が高い液から順次分離されるので、分離効
率がきわめて高い。
(4) 以上は、加圧下で行なわれるので圧力が均
一に作用すること、非常に短時間に調節しう
ること、圧力で相変態が進行することなどを
効果的に組み合せて活用できる。
(5) 同じ理由により、いつたん減圧して結晶の一
部又は全部を融解する操作、又は加圧して、結
晶を増加させる操作が、短時間に且つ容器内全
域に亘つて均一に進められる。この操作により
飛躍的に結晶の純度が高められる。以上の効果
は、温度勾配を必ず付随し、長時間を要する加
熱冷却の繰返しでは決して期待できないもので
ある。
(6) 加圧によつて結晶を増加させるエネルギー
は、冷却による場合に比してはるかに少ない。
(7) 必要に応じて、溶剤を使用することも全く自
由に行ないうる。
(8) 従来技術では、第1段処理の後、中間製品を
貯蔵するタンク、再び融解するタンク、第2段
の晶析機、分離機、洗浄機、第1段の濃度とは
異つた濃度を有する第2段の廃液貯蔵タンクな
どが必要である。又これらの間の輸送手段も必
要である。第3段以降においても同様である。
しかし本発明では、第1段の処理後であつても
同一容器内で処理できるので、上述の如きもの
は一切が不要であり設備コスト、工場面積等に
おいても極度に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1,3図は本発明の原理を示す状態図、第2
図は本発明を実施する為の装置例を示す説明図、
第4図は圧力操作線図、第5図は他の例を示す状
態図、第6,7,9図は温度晶析を行なうときの
状態図、第8図は固溶体結晶の説明図、第10図
は成分Aの大気圧下における融点よりも低い温度
における固溶体系混合物の状態を示す概念図であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 2種以上の成分からなる混合物中の特定成分
    が他の1種又はそれ以上の特定成分と固溶体を構
    成する系から特定成分を相互に分離する方法にお
    いて、 A 高圧容器内に装入されている混合物を、加圧
    下において特定物質と他の特定物質との固溶体
    たる固相と、少量の液相との共存状態となす工
    程と、 B 当該状態から、液相を分離していき、分離さ
    れる液相の圧力が分離初期の液相圧力よりも低
    下し、且つ固相に加えられた圧力よりも低くな
    る様な状態を作る工程 とを含むことを特徴とする固溶体系特定物質を相
    互に分離する方法。 2 固液分離の開始温度を、大気圧力下における
    特定成分の融点以上とする特許請求の範囲第1項
    記載の方法。 3 2種以上の成分からなる混合物中の特定成分
    が、他の1種又はそれ以上の特定成分と固溶体を
    構成する系から特定成分を相互に分離する方法に
    おいて、 A 高圧容器内に装入されている混合物を、加圧
    下において特定物質と他の特定物質との固溶体
    たる固相と、少量の液相との共存状態となす工
    程と、 B 当該状態から、液相を分離していき、分離さ
    れる液相の圧力が分離初期の液相圧力よりも低
    下し、且つ固相に加えられた圧力よりも低くな
    る様な状態を作る工程と、 C 固相の圧力を下げて固相の一部又は全量を融
    解する工程と、 D 再び加圧して、固相を増加させ、または、ほ
    ぼ全量を固体とする工程と、 E 当該状態から、液相を分離していき、分離さ
    れる液相の圧力が分離初期の液相圧力よりも低
    下し、且つ固相に加えられた圧力よりも低くな
    る様な状態を作る工程 とを必要回数繰返して行なうことを含むことを特
    徴とする固溶体系特定物質を相互に分離する方
    法。 4 少なくとも最終回に行なう固液分離の開始温
    度を、大気圧力下における特定成分の融点以上と
    する特許請求の範囲第3項記載の方法。
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