JPH05331079A - 2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離精製法 - Google Patents

2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離精製法

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JPH05331079A
JPH05331079A JP13376492A JP13376492A JPH05331079A JP H05331079 A JPH05331079 A JP H05331079A JP 13376492 A JP13376492 A JP 13376492A JP 13376492 A JP13376492 A JP 13376492A JP H05331079 A JPH05331079 A JP H05331079A
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JP
Japan
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dipn
diisopropylnaphthalene
separating
purifying
crystallizer
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JP13376492A
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勝彦 ▲つづ▼籠
Katsuhiko Tsuzukago
Katsufumi Urabe
克文 卜部
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 第一晶析缶1にて2,6-DIPN(ジイソプロピル
ナフタレン)と2,7-DIPNとを含む溶液状原料混合物から
2,6-DIPNを晶析させ、生成したスラリーを圧搾濾過装置
3にて50気圧以上の圧力で加圧圧搾し固液分離して2,6-
DIPNを90%以上含有する粗結晶を生成し、次いで溶解缶
5にて該粗結晶を含む精製用原料溶液を調整し、第二晶
析缶2にて該溶液から2,6-DIPNを晶析させた後、これを
遠心分離機4にて固液分離して2,6-DIPNを99%以上含有
する高純度結晶に精製することを特徴とする2,6-DIPNの
分離精製法。 【効果】 従来法(吸着分離法)に比し、高純度の2,6-
DIPN結晶を高収率で生産し得、所要設備が簡単で設備費
の低減が図れ、更にランニングコストを低減し得るよう
になる。その結果、次世代高機能プラスチックとして注
目されているポリエチレンナフタレートの実用化及び普
及促進に寄与し得るようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は2,6−ジイソプロピル
ナフタレンの分離精製法に関し、詳細には、2,6−ジ
イソプロピルナフタレン(以降、2,6-DIPNと略記する)
と2,7−ジイソプロピルナフタレン(以降、2,7-DIPN
と略記する)とを含む溶液状の原料混合物から2,6-DIPN
を分離精製する方法であり、特には、次世代高機能プラ
スチックとして注目されているポリエチレンナフタレー
ト(以降、PEN と略記する)の原料として最も重要視さ
れている2,6-DIPNの分離精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】PEN は、2,6−ナフタレンジカルボン
酸(以降、2,6-NDCAと略記する)をモノマーとし、これ
とエチレングリコールとを重合させて製造される高強
度、高耐熱性の樹脂であり、長時間録画用VTR テープ用
樹脂或いはリターナブルボトル用樹脂として一部実用化
されているが、モノマーである2,6-NDCAが高価格である
ことが、その普及を阻害している。2,6-NDCAが高価格で
ある原因としては、酸化処理費及び原料コストが高いこ
と、収率が低いこと等々があり、そのコストダウンの方
策が各分野で種々の観点から検討されている。
【0003】2,6-NDCAの製造法として、最も代表的な方
法は、2,6-DIPNを酸化して製造する方法であるが、この
酸化反応には、高価なコバルト系触媒を大量に使用し、
且つ2,6-NDCAの異性体及び副反応物の分離精製が非常に
困難であることから、この酸化工程での不純物生成を極
力抑える必要があり、このためには原料の2,6-DIPNを高
純度に予め精製しておく必要があり、このことが以降の
コストダウンに大きく寄与することになる。
【0004】2,6-DIPNは、ナフタレンとプロピレンとか
ら合成されるが、2,7-DIPNその他の異性体が不可避的に
副生成物として生成する。従って、高純度の2,6-DIPNを
得るには、この異性体混合物より、2,6-DIPNのみを効率
的に分離する技術が必要になる。この2,6-DIPN体と2,7-
DIPN体とは、沸点が殆ど同じであるので、蒸留法の適用
は困難であり、他の合理的な分離法の開発が急務となっ
ている。最近、この分離法として、吸着分離法により2,
6-DIPN体を99%に精製する方法(以降、従来法という)
が発表されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来法
においては、設備費の問題の他、吸着剤の劣化による吸
着剤の交換、補充及び再生工程の必要性からランニング
コストが割高になることは避けられず、量産化に向けて
の分離技術としては、まだまだ多くの問題が残されてい
る。従って、工業化に耐え得る2,6-DIPNの分離精製法は
未だ存在しない現状にあるといえる。
【0006】本発明はかかる現状に鑑みてなされたもの
であって、分離法としては省エネルギーの冷却晶析法を
採用し、且つその合理化を図ることによって、設備費の
低減を図り、更に、前記従来法よりも高純度の製品(2,
6-DIPNの高純度結晶)を高収率で生産し得ると共に、ラ
ンニングコストをも低減させ得る省エネ・高効率の2,6-
DIPNの分離精製法を提供し、以て2,6-NDCAのコスト低減
と共に引いてはPEN の普及を促進することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る2,6-DIPNの分離精製法は次のような
構成としている。即ち、請求項1記載の分離精製法は、
2,6-DIPNと2,7-DIPNとを含む溶液状の原料混合物から2,
6-DIPNを分離精製するに際し、該原料混合物を第一晶析
缶に供給し、2,6-DIPNを晶析して該結晶を含むスラリー
を形成し、該スラリーを圧搾濾過装置に供給し、50気圧
以上の圧力で加圧圧搾して固液分離することにより、2,
6-DIPNを90%以上含有する粗結晶を生成し、次いで少な
くとも該粗結晶を溶解させて含ませた精製用原料溶液を
調整し、これを第二晶析缶に供給し、2,6-DIPNを晶析さ
せて該結晶を含むスラリーを形成し、該スラリーを遠心
分離機に供給し、固液分離することにより、2,6-DIPNを
99%以上含有する高純度結晶に精製することを特徴とす
る2,6-DIPN(2,6−ジイソプロピルナフタレン)の分
離精製法である。
【0008】請求項2記載の分離精製法は、前記加圧圧
搾のときの圧搾濾過圧を80〜300 気圧にする請求項1記
載の2,6-DIPNの分離精製法である。請求項3記載の分離
精製法は、前記圧搾濾過装置から排出される濾液の一部
を第三晶析缶に供給し、2,6-DIPNを晶析し、これを固液
分離機で固液分離して結晶を分離した後、該結晶を前記
精製用原料溶液中に溶解させることにより、この溶液中
の2,6-DIPNの濃度を85%以上に調整する請求項1又は2
記載の2,6-DIPNの分離精製法である。請求項4記載の分
離精製法は、前記遠心分離機から排出される濾液の一部
を前記粗結晶と混合し、前記精製用原料溶液中の2,6-DI
PNの濃度を85%以上に調整する請求項1、2又は3記載
の2,6-DIPNの分離精製法である。請求項5記載の分離精
製法は、前記遠心分離機から排出される濾液の一部を前
記第一晶析缶に供給する請求項1記載の2,6-DIPNの分離
精製法である。請求項6記載の分離精製法は、前記圧搾
濾過装置から排出される濾液の一部を前記第一晶析缶に
リサイクルする請求項1記載の2,6-DIPNの分離精製法で
ある。請求項7記載の分離精製法は、前記固液分離機か
ら排出される濾液の一部を前記第三晶析缶にリサイクル
する請求項3記載の2,6-DIPNの分離精製法である。請求
項8記載の分離精製法は、前記固液分離機が圧搾濾過装
置よりなる請求項3記載の2,6-DIPNの分離精製法であ
る。請求項9記載の分離精製法は、前記圧搾濾過装置で
の圧搾濾過圧を80〜300 気圧にする請求項8記載の2,6-
DIPNの分離精製法である。
【0009】
【作用】本発明に係る2,6-DIPNの分離精製法は、冷却晶
析法を採用し、その晶析工程は濃縮工程と精製工程とで
構成し、且つ冷却晶析法の正否を決定する固液分離機と
して濃縮工程には本出願人が開発した圧搾濾過装置を導
入し、精製工程には通常の遠心分離機を導入して、少な
くとも2段の晶析・分離を行うことにより、容易に99%
以上に精製された2,6-DIPNが高収率で得られるようにし
ている。又、上記圧搾濾過装置の導入により、汎用的な
冷却晶析法の採用が可能になり、そのため量産化技術と
して確立されると共に、設備費及びランニングコストも
従来法より大幅に低減し得るようになる。更に、圧搾濾
過装置や遠心分離機から排出される濾液中の2,6-DIPNを
回収し得、この場合はプロセス収率をより一層高め得
る。
【0010】即ち、本発明に係る2,6-DIPNの分離精製法
は、前記の如く、第一晶析缶にて2,6-DIPNと2,7-DIPNと
を含む溶液状の原料混合物から2,6-DIPNを晶析した後、
圧搾濾過装置にて50気圧以上の圧力で加圧圧搾して固液
分離することにより2,6-DIPNを90%以上含有する粗結晶
を生成し、次いで少なくとも該粗結晶を含ませた精製用
原料溶液を調整し、第二晶析缶に供給し、2,6-DIPNを晶
析した後、遠心分離機での固液分離により2,6-DIPNを99
%以上含有する高純度結晶に精製するようにしている。
【0011】上記第一晶析缶での晶析後、圧搾濾過装置
での加圧により液相分が排出されて結晶分はケーキ状に
なり、圧搾によりケーキ内の結晶粒間の液相分が搾り出
されるのでケーキ純度が向上し、2,6-DIPNを90%以上含
有する粗結晶が得られる。このとき、加圧圧搾による濃
縮度(上記晶析後のスラリー中2,6-DIPN濃度に対する上
記加圧圧搾後の粗結晶中2,6-DIPN濃度の比率)と回収率
とは相反する関係にあり、粗結晶中2,6-DIPN量(%)を
増大させるように濃縮すると、その増大に伴って収率が
低下するが、90%以上になるように濃縮した場合でも収
率は比較的高く、例えば90〜95%程度になるように濃縮
した場合、従来法よりも収率が高い。
【0012】次いで、上記粗結晶を含ませた精製用原料
溶液から第二晶析缶で2,6-DIPNを晶析した後、遠心分離
機で固液分離することにより、更に純度の高い結晶、即
ち2,6-DIPNの高純度結晶が得られる。このとき、得られ
る高純度結晶の純度と上記精製用原料溶液中の2,6-DIPN
濃度とは密接な関係にあり、高純度結晶の純度は、後者
の溶液中に共存する不純物にも影響されるが、通常後者
の2,6-DIPN濃度が85%以上のとき、99%以上となる。一
方、上記粗結晶は前記の如く2,6-DIPNを90%以上含有す
るので、それをそのまま溶解することにより2,6-DIPN濃
度が85%以上の精製用原料溶液を得ることができる。故
に、かかる精製用原料溶液を用いることにより、純度99
%以上の高純度結晶が得られる。
【0013】従って、本発明に係る2,6-DIPNの分離精製
法によれば、前記従来法よりも高純度の製品(2,6-DIPN
の高純度結晶)を高収率で生産し得る。
【0014】又、本発明法に必要な設備は、第一晶析
缶、圧搾濾過装置、精製用原料溶液調整用容器、第二晶
析缶、遠心分離機、配管等からなる設備であるので、従
来法(吸着分離法による方法)に比し、設備が簡単であ
り、設備費の低減が図れる。更に、従来法の如き吸着剤
の交換、補充及び再生工程が不要であり、フィルタ交換
等の簡単な部品交換を要するだけであるので、従来法よ
りもランニングコストを大幅に低減し得る。又、本発明
法は従来法よりも省エネルギーで高効率である。その結
果、2,6-DIPNのコストも大幅に低減し得、例えば数百円
/kg程度にまで低減し得る。
【0015】上記本発明法において、前記遠心分離機で
の固液分離後の高純度結晶中の2,6-DIPN含有量を99%以
上としているのは、純度99%の2,6-DIPNの高純度結晶が
得られる従来法よりも、高純度の2,6-DIPNの高純度結晶
を得るためである。前記加圧圧搾後の粗結晶中の2,6-DI
PN含有量を90%以上としているのは、上記高純度結晶中
の2,6-DIPN含有量を99%以上にするためである。又、前
記加圧圧搾での圧力を50気圧以上としているのは、上記
粗結晶中の2,6-DIPN含有量を90%以上にするためであ
り、50気圧未満では圧搾の液相分搾出し効果が小さく、
引いては純度99%以上の高純度結晶が得られなくなるか
らである。
【0016】前記加圧圧搾のときの圧搾濾過圧について
は、より一層の純度向上の点から80気圧以上にすること
が望ましい。圧力の増大に伴って純度が向上するが、そ
の効果は100 気圧を超えると徐々に減少し、300 気圧を
超えると収率低下が大きくなると共に高圧に対応した圧
搾濾過装置とする必要がある。従って、圧搾濾過圧は80
〜300 気圧にすることが望ましい。
【0017】前述の如く、精製用原料溶液から第二晶析
缶で2,6-DIPNを晶析した後、遠心分離機で固液分離する
に際し、2,6-DIPN濃度が85%以上の精製用原料溶液を用
いると、純度99%以上の高純度結晶が得られる。即ち、
純度99%以上の高純度結晶を得るには精製用原料溶液中
の2,6-DIPN濃度を85%以上にしておけばよい。
【0018】そこで、第三晶析缶を設け、前記圧搾濾過
装置から排出される濾液の一部を該第三晶析缶に供給
し、2,6-DIPNを晶析し、固液分離機(以降、第三晶析缶
系固液分離機という)で固液分離して結晶を分離した
後、該結晶を前記精製用原料溶液中に溶解させることに
より、この溶液中の2,6-DIPN濃度を85%以上に調整する
ようにすることが望ましく、それは上記濾液中の2,6-DI
PNを有効利用し得るからである。更に、前記遠心分離機
から排出される濾液の一部を前記粗結晶と混合し、精製
用原料溶液中の2,6-DIPN濃度を85%以上に調整するよう
にすると、該濾液中の2,6-DIPNを有効利用し得てよい。
【0019】又、前記第一晶析缶に対し、原料混合物の
他に、前記遠心分離機から排出される濾液の一部、又は
/及び、前記圧搾濾過装置から排出される濾液の一部を
供給又はリサイクルするようにしてもよく、この場合は
濾液中の2,6-DIPNも晶析し、その有効利用が図れる。
又、前記第三晶析缶系固液分離機から排出される濾液の
一部を、前記第三晶析缶にリサイクルするようにしても
よく、この場合も濾液中の2,6-DIPNの有効利用が図れ
る。
【0020】上記第三晶析缶系固液分離機としては、通
常の遠心分離機でもよいが、圧搾濾過装置を用いた方が
高い収率が得られてよい。このとき、前記圧搾濾過装置
での圧搾濾過圧は、前述の圧搾濾過圧の場合と同様に純
度、収率、装置の点から80〜300 気圧にすることが望ま
しい。
【0021】
【実施例】
(実施例1)実施例1に係る2,6-DIPNの分離精製プロセ
スのフローシートを図1に示す。先ず、2,6-DIPNと2,7-
DIPNとを含む原料混合物(溶液)を配管10より第一晶析
缶1に供給し、該晶析缶1にて所定温度に冷却すること
により、2,6-DIPNの結晶を析出させ、生成したスラリー
を配管11を介して圧搾濾過装置3に送給する。
【0022】ここで、圧搾濾過装置3の代表例を図2に
示す。この圧搾濾過装置3は、筒状の高圧容器31と、そ
の底部に装着され且つ上面にフィルタ34を固着した下蓋
32と、加圧用ピストン33とで基本的に構成されており、
容器31にはスラリー供給用の配管11が接続されている。
【0023】前記スラリー送給により所定量供給される
と遮蔽弁35を閉じ、次いでピストン33にて容器31内スラ
リーを加圧すると、液相分はフィルタ34を通って下蓋32
内に設けられた排液ライン36及び排液管17を経て装置3
外に排出される一方、結晶分はフィルタ34面にケーキ状
に堆積する。さらに排液が進行すると、ピストン33にて
ケーキは圧搾され、ケーキ内の結晶粒間の液相分が搾り
出され、ケーキ純度が向上する。この圧搾工程の完了後
は容器31及びピストン33を引き上げ、フィルタ34上のケ
ーキを自動取り出し装置(図示していない)にて取り出
す。しかる後、この装置3については容器31が下降して
下蓋32に嵌合し、再度スラリー送給が開始される。ここ
で、上記加圧圧搾のときの圧搾濾過圧を50気圧以上にす
ることにより、2,6-DIPNを90%以上含有するケーキ即ち
粗結晶が得られる。
【0024】次に、上記粗結晶を溶解缶5にて溶解し、
これを精製用原料溶液として配管13を経て第二晶析缶2
に供給し、2,6-DIPNを晶析させてスラリーとなし、これ
を配管14より遠心分離機4に供給し、固液分離して高純
度結晶を得る。このとき、上記粗結晶の純度が90%以上
であるので、高純度結晶は2,6-DIPNを99%以上含有する
ものになる。
【0025】尚、上記圧搾の際の濾液は配管19より系外
に排出されるが、原料混合物中の2,6-DIPN濃度が比較的
高い場合には、更に濾液からの回収を図るため、その一
部を配管17より第一晶析缶1にリサイクルするとよい。
又、上記遠心分離機4から排出される濾液中の2,6-DIPN
の回収を兼ねて、該濾液の一部を配管16から溶解槽5に
供給し、粗結晶と混合して、2,6-DIPN濃度:85%以上の
精製用原料溶液に調整し、これを第二晶析缶に供給する
こともできる。このとき、粗結晶の純度が90%以上であ
ると共に溶解槽5への供給量を調整できるため、精製用
原料溶液の濃度を上記85%以上にし得るのである。更
に、遠心分離機4からの濾液の残部を第一晶析缶1に供
給し、2,6-DIPNの回収率の向上を図ることもできる。
【0026】(実施例2)実施例2に係る2,6-DIPNの分
離精製プロセスのフローシートを図3に示す。前記実施
例1の場合は、圧搾濾過装置3から排出される濾液中の
2,6-DIPN濃度が回収不要な程度に低いときの例である
が、実施例2は元の液状原料混合物中の2,6-DIPN濃度が
比較的高い場合の例を示すものである。
【0027】即ち、晶析缶で精製するスラリー濃度は、
本発明の如く連続的に晶析する方式では、高々30〜35%
程度である。従って、原料混合物中の2,6-DIPN濃度が60
〜70%以上であると、第一晶析缶1での直接回収率は50
%程度となる。そこで、圧搾濾過装置3の濾液の一部を
配管17より第一晶析缶1にリサイクルしてその回収率を
向上させるとよいが、原料濃度が高いと濾液中の濃度自
体も相対的に高くなるので、リサイクルによる回収率向
上にも限界がある。
【0028】そこで、図3に示す如く、新たに濾液から
の回収を目的とした第三晶析缶6を設けてブロセス全体
としての回収率向上を図ったものである。図3におい
て、第一晶析缶1、圧搾濾過装置3、第二晶析缶2、遠
心分離機4及び精製用原料溶解槽5とこれらを結合する
配管とその目的、作用については、実施例1の図1と同
様であるが、圧搾濾過装置3から排出される濾液の一部
は、第一晶析缶1にリサイクルし、残部が配管19を経て
回収用の第三晶析缶6に供給される。
【0029】この第三晶析缶6では第一晶析缶1よりも
低い温度で晶析され、残留2,6-DIPNの一部が析出してス
ラリーとなる。このスラリーを配管20より固液分離装置
7に供給して固液分離を行い、得られた固体分は粗結晶
としてライン21より溶解槽5に供給され、前述の圧搾濾
過装置3で精製した第一晶析缶1系の粗結晶と混合す
る。一方、濾液は、更に2,6-DIPNの回収率を上げるため
に、一部は配管22を経て第三晶析缶6にリサイクルさ
れ、残部は配管23より系外に排出される。
【0030】(実施例3)2,6-DIPNを主成分とし、残部
の殆どが2,7-DIPNであり、一部その他の異性体化合物を
含む種々の組成の原料混合物(溶液)について、第一晶
析缶1にて2,6-DIPNの結晶を析出させた後、圧搾濾過装
置3、又は、遠心分離機により固液分離し、2,6-DIPNを
含む粗結晶を得、その純度(2,6-DIPN含有量)及び収率
を調べた。その結果を固液分離条件と共に表1に示す。
尚、第一晶析缶1及び圧搾濾過装置3は実施例1の場合
と同様のものであり、遠心分離機としては回転数:3000r
pmの試験装置を用いた。
【0031】表1から明らかなように、上記固液分離即
ち原料系の分離においては、圧搾濾過装置による場合
は、遠心分離機による場合に比し、純度及び収率が高
く、安定して90%以上に濃縮されている。特に、収率の
点で数%も高く、大量処理が要求される2,6-DIPNの分離
装置において収率の違いがランニングコストに大きく影
響することを考えると、この数%の違いは大きな差異と
なる。従って、原料系の分離機としては圧搾濾過装置を
用いる方が優れて好適であるといえる。
【0032】
【表1】
【0033】一方、精製用原料溶液の晶析後の分離、即
ち精製系の分離においては、原料組成の違いによる結晶
系の違いにも起因するが、圧搾濾過では結晶粒界中の母
液の完全除去は不可能であるため99%以上への精製は困
難である。これに対し、遠心分離機は99%以上に精製し
得、精製系の分離に好適である。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る2,6-DIPNの分離精製法によ
れば、従来法(吸着分離法による2,6-DIPNの分離精製
法)に比し、高純度の製品(2,6-DIPNの高純度結晶)を
高収率で生産し得、又、所要設備が簡単であって設備費
の低減が図れ、更に、ランニングコストを低減し得ると
共に、省エネルギー化及び高効率化が図れるようにな
る。その結果、2,6-NDCAのコスト低減が図れ、引いては
PEN の実用化及び普及促進に寄与し得るようになるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る2,6-DIPNの分離精製プロセスの
フローシートを示す図である。
【図2】実施例1に係る圧搾濾過装置の概要を示す側断
面図である。
【図3】実施例2に係る2,6-DIPNの分離精製プロセスの
フローシートを示す図である。
【符号の説明】
1--第一晶析缶、2--第二晶析缶、3--圧搾濾過装置、
4--遠心分離機、5--溶解缶、6--第三晶析缶、7--固
液分離装置、10,11,12,13,14,15,16,18,19,20,22,23---
配管、17--排液管、21--ライン、31--高圧容器、32--下
蓋、33--ピストン、34--フィルタ、35--遮蔽弁、36--排
液ライン。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,6−ジイソプロピルナフタレンと
    2,7−ジイソプロピルナフタレンとを含む溶液状の原
    料混合物から2,6−ジイソプロピルナフタレンを分離
    精製するに際し、該原料混合物を第一晶析缶に供給し、
    2,6−ジイソプロピルナフタレンを晶析して該結晶を
    含むスラリーを形成し、該スラリーを圧搾濾過装置に供
    給し、50気圧以上の圧力で加圧圧搾して固液分離するこ
    とにより、2,6−ジイソプロピルナフタレンを90%以
    上含有する粗結晶を生成し、次いで少なくとも該粗結晶
    を溶解させて含ませた精製用原料溶液を調整し、これを
    第二晶析缶に供給し、2,6−ジイソプロピルナフタレ
    ンを晶析させて該結晶を含むスラリーを形成し、該スラ
    リーを遠心分離機に供給し、固液分離することにより、
    2,6−ジイソプロピルナフタレンを99%以上含有する
    高純度結晶に精製することを特徴とする2,6−ジイソ
    プロピルナフタレンの分離精製法。
  2. 【請求項2】 前記加圧圧搾のときの圧搾濾過圧を80〜
    300 気圧にする請求項1記載の2,6−ジイソプロピル
    ナフタレンの分離精製法。
  3. 【請求項3】 前記圧搾濾過装置から排出される濾液の
    一部を第三晶析缶に供給し、2,6−ジイソプロピルナ
    フタレンを晶析し、これを固液分離機で固液分離して結
    晶を分離した後、該結晶を前記精製用原料溶液中に溶解
    させることにより、この溶液中の2,6−ジイソプロピ
    ルナフタレンの濃度を85%以上に調整する請求項1又は
    2記載の2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離精製
    法。
  4. 【請求項4】 前記遠心分離機から排出される濾液の一
    部を前記粗結晶と混合し、前記精製用原料溶液中の2,
    6−ジイソプロピルナフタレンの濃度を85%以上に調整
    する請求項1、2又は3記載の2,6−ジイソプロピル
    ナフタレンの分離精製法。
  5. 【請求項5】 前記遠心分離機から排出される濾液の一
    部を前記第一晶析缶に供給する請求項1記載の2,6−
    ジイソプロピルナフタレンの分離精製法。
  6. 【請求項6】 前記圧搾濾過装置から排出される濾液の
    一部を前記第一晶析缶にリサイクルする請求項1記載の
    2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離精製法。
  7. 【請求項7】 前記固液分離機から排出される濾液の一
    部を前記第三晶析缶にリサイクルする請求項3記載の
    2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離精製法。
  8. 【請求項8】 前記固液分離機が圧搾濾過装置よりなる
    請求項3記載の2,6−ジイソプロピルナフタレンの分
    離精製法。
  9. 【請求項9】 前記圧搾濾過装置での圧搾濾過圧を80〜
    300 気圧にする請求項8記載の2,6−ジイソプロピル
    ナフタレンの分離精製法。
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