JPS6156465B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPS6156465B2
JPS6156465B2 JP51042348A JP4234876A JPS6156465B2 JP S6156465 B2 JPS6156465 B2 JP S6156465B2 JP 51042348 A JP51042348 A JP 51042348A JP 4234876 A JP4234876 A JP 4234876A JP S6156465 B2 JPS6156465 B2 JP S6156465B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
residual chlorine
electrode
concentration
test water
potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP51042348A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS52126286A (en
Inventor
Masuo Nakagawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Cosmos Electric Co Ltd
Original Assignee
New Cosmos Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by New Cosmos Electric Co Ltd filed Critical New Cosmos Electric Co Ltd
Priority to JP4234876A priority Critical patent/JPS52126286A/ja
Publication of JPS52126286A publication Critical patent/JPS52126286A/ja
Publication of JPS6156465B2 publication Critical patent/JPS6156465B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、遊離残留塩素濃度と、遊離残留塩
素と結合残留塩素との総量である全残留塩素濃度
を精度よく測定できる残留塩素濃度測定装置に関
するものである。
例えば水の消毒には一般にCl2が用いられる。
10℃の水は容量比にして約2.7倍のCl2を溶かし、
水に溶解したCl2は次のように水と反応してHClO
およびHClを生ずる。
Cl2+H2OHClO+H++Cl- …(1) この反応の平衡定数Khは25℃において、 Kh=〔HClO〕〔H+〕〔Cl-〕/〔Cl2〕 =4.5×10-4(mol/l) …(2) である。またHClOはその一部がClO-とH+の両
イオンに解離する。
HClOH++ClO- …(3) この反応の平衡定数Kiは25℃において、 Ki=〔H+〕〔ClO-〕/〔HClO〕 =2.7×10-8(mol/l) …(4) である。こゝで、Cl2,HClO,ClO-を総称して
遊離残留塩素という。この遊離残留塩素は強い殺
菌作用をもつので、水中に含まれるこの濃度を知
ることにより、水が飲用に適するか否かヾわかる
ので、その濃度を測定する必要がある。
一方、現実に消毒を必要とする河川原水、水泳
プール用水、廃水等にはアンモニア化合物や、有
機性窒素化合物が存在する場合が多い。有機性窒
素化合物は遊離残留塩素と反応し、NとClが結
合してN−Clボンドが形成され、各種の有機ク
ロラミンとなる。この有機クロラミンは次のよう
に加水分解する。
RR′NCl+H2OHClO+RR′NH …(5) この反応の平衡定数Khは、 Kh=〔HClO〕〔RR′NH〕/〔RR′NCl〕 …(6) で表わされ、有機性窒素化合物の種類によつて
10-4〜10-10(mol/l)まで種々の値をとる。
一方、アンモニア化合物は遊離残留塩素と次の
ように反応して、無機クロラミンを生成する。
NH3+HOCl→NH2Cl+H2O …(7) NH3+2HOCl→NHCl2+2H2O …(8) NH3+3HOCl→NCl3+3H2O …(9) NH2Clをモノクロラミン、NHCl2をダイクロラ
ミン、NCl3を三塩化窒素という。第(7)式の平衡
定数は、2.8×10-10であるため、HOClはほとん
どすべてモノクロラミンに転換されることにな
る。無機クロラミンの存在形態はPHに依存して変
化し、モノクロラミンとダイクロラミンの間に
は、次のような平衡関係がある。
2NH2Cl+H+NH+ 4+NHCl2 …(10) この平衡定数Keは25℃において、 Ke=〔NH+ 4〕〔NHCl2〕 /〔H+〕〔NH2Cl〕2 =6.7×105(mol/l)-1 …(11) である。
モノクロラミン、ダイクロラミンおよび有機ク
ロラミンを総称して結合残留塩素と呼ぶ。結合残
留塩素は遊離残留塩素ほどではないが殺菌作用を
有する。したがつて水が飲用に適するか否かの判
定のためには、遊離残留塩素および結合残留塩素
の両者の濃度を測定しなければならない。この両
者を合計したものを全残留塩素と呼ぶ。
従来、アンペロメトリー式残留塩素計において
全残留塩素を測定する場合は、被検水に緩衝液お
よびKIを添加して、全残留塩素がI-と反応して
生じた当量のI2の電解電流を測定して全残留塩素
の定量を行い、また遊離残留塩素濃度を測定する
場合は、被検水に緩衝液のみを加えてHClOの電
解電流を測定するか、あるいは被検水に緩衝液と
KBrを添加して、遊離残留塩素がBr-と反応して
生じた当量のBr2の電解電流を測定して遊離残留
塩素の定量を行い、全残留塩素濃度から遊離残留
塩素濃度を減ずることによつて結合残留塩素濃度
を算出していた。
この遊離および全残留塩素濃度を各々別の残留
塩素計で測定する場合は良いが、一台の残留塩素
計で両者を交互に測定する場合には次のような問
題があつた。すなわち、遊離残留塩素濃度の測定
において、被検水に緩衝液のみを添加する時、カ
ソードの測定電極上で、 HClO+H++2e→Cl-+H2O …(12) の反応が生じ、同時にアノードの比較電極Mにお
いて、 M+Cl-→MCl+e …(13) の反応が生じるため両電極間に電流が流れるが、
この時アノードの比較電極M上にMClが形成され
アノード電位Eは、 E=E0+RT/Fln〔Cl-〕 …(14) の値をとる。こゝでE0は第(13)式の反応の平
衡電位、Fはフアラデー定数、Rは気体定数、T
は温度である。
あるいは被検水に〔H+〕の大なる緩衝液とBr-
を生じるKBrを添加する時、遊離残留塩素とBr-
の下記の反応によつて前者と当量のBr2が遊離さ
れる。
HClO+H++2Br-→Br2+Cl-+H2O …(15) この時カソードの測定電極上で、 Br2+2e→2Br-(E0=1.065) …(16) の反応が生じ、同時にアノードの比較電極で、 M+Br-→MBr+e …(17) の反応が生じ、アノード電位E′は第(17)式の
平衡電位をE0′とすると、 E′=E0′+RT/Fln〔Br-〕 …(18) となる。
一方、全残留塩素濃度の測定において、被検水
に緩衝液とKIを添加すると下記の反応によつてI2
が遊離される。
HClO+H++2I-→I2+Cl-+H2O …(19) NH2Cl+2H++2I-→I2+NH4Cl …(20) NHCl2+3H++4I-→2I2+NH4Cl+Cl- …(21) この遊離したI2はカソードの測定電極上で、 I2+2e→2I-(E0=0.535) …(22) の反応を生じ、同時にアノードの比較電極は、 M+I-→MI+e …(23) の反応をする。この時アノード電位は第(23)式
の平衡電位をE0″とする時、 E″=E0″+RT/Fln〔I-〕 …(24) となる。
アンペロメトリーでは液相中の成分分子を電解
するカソードの測定電極電位は、アノードの比較
電極電位とほヾ等電位であり、この電位は第
(14),(18),(22)式によつて定まるので、遊離
塩素測定時と全残留塩素測定時のカソード電位は
必然的に変化する。
次にHClO,Br2,I2のポーラログラムを第1図
に示す。この図で曲線はHClO、曲線は
Br2,曲線はI2のポーラログラムを表わし、そ
れぞれHClO,Br2,I2を2ppm有効塩素当量を含
む被検水を用いて測定した。これ等のポーラログ
ラムはそれぞれ異なつた電位でプラトーを示すの
で拡散律速条件でこれらの電解電流を測定するた
めには、それぞれに応じた電位に測定電極電位を
調整しなければならない。したがつて、いずれに
しても遊離残留塩素の測定後、次に全残留塩素を
測定する場合、測定電極と比較電極の間に加える
電圧を変えて、測定電極電位が特定の値をとるよ
うに調整する必要があつた。また、遊離残留塩素
を測定した直後はアノードの比較電極表面には
MClまたはMBrが形成されており、この比較電極
を用いて全残留塩素を測定する場合、アノード電
位は第(24)式のみで定まらず、いわゆる混合電
位を示し、しかも第(23)式の反応の進行にとも
なつて経時的に変化する。したがつて、残留塩素
測定の精度が悪くなるという問題があつた。ま
た、同様にして全残留塩素を測定した直後はアノ
ード表面にはMIが形成されており、このとき遊
離残留塩素の測定に不安定性をもたらす難点があ
つた。
この発明は上記の問題点を解決し、容易に精度
良く残留塩素濃度を測定することのできるアンペ
ロメトリー式の残留塩素濃度測定装置に関するも
のである。以下この発明について詳細に説明す
る。
第2図はこの発明の一実施例を説明するための
電解電流測定装置の構成を示すもので、1は測定
用の白金電極、2は比較用の銀電極、3は飽和カ
ロメル電極、4は電圧印加用の電源、5は電圧
計、6は電流計、7は槽、8は被検水である。
さて、第1式の平衡を保つている被検水8にお
いて、この遊離残留塩素を含む被検水8に緩衝液
を加えて、そのPHを5にする時、例えば、
3.55ppm(10-4mol/l)のHClO濃度の場合、第
(2)式より、 〔HClO〕/〔Cl2〕=4.5×105 となる。また第(4)式より 〔HClO〕/〔ClO-〕=3.7×102 となり、遊離残留塩素はほとんどすべてがHClO
の形態で存在することになる。
この被検水8中にHClOと反応して侵されるこ
とのない貴金属からなる測定電極すなわち白金電
極1と、被検水8中の成分分子と反応することに
よつて被検水8に対して常に一定の電位を保持す
る比較電極すなわち銀電極2とを浸漬して両電極
を短絡すると、HClOは強い酸化力をもつので、
白金電極1上で次のような反応を生じる。
HClO+H++2e→Cl-+H2O …(25) (E0=1.5V) 比較電極が銀電極2であるからこゝでは次の反
応が生じる。
Ag+Cl-→AgCl+e …(26) (E0=0.22V) したがつて、被検水8中にHClOが存在する時
は、白金電極1と銀電極2の間に電流が流れる。
HClO濃度が2ppmでPHが5の被検水8を一定速
度でかくはんし、これに白金電極1と銀電極2お
よび飽和カロメル電極3を槽7に入れて白金電極
1の電位を変化させた時の電解電流iと白金電極
1の電位vとの関係を第3図の曲線に示す。
曲線において、白金電極1の電位vが高い正
電位の時は第(25)式の反応は生じないが、電位
vが低くなるにしたがつて、第(25)式の反応の
進行速度は単調に増加する。しかし電位が+
0.2V以下になると電極表面での第(25)式の反
応の進行速度が、電極表面へのHClOの拡散速度
よりも速くなる(拡散律速となる)ので、電流は
電位にあまり依存しなくなる。この領域をプラト
ー領域といゝ、このプラトー領域では電解電流i
は電極電位vや電極の活性にあまり依存せず、
HClO濃度に比例するので、白金電極1の電位v
をこの値に設定することにより、電解電流iの値
からHClO濃度を知ることができる。
電位vが0.1V以下になると、溶存酸素によつ
て次のような反応が白金電極1上で生じるので、
電解電流iはさらに増加してHClO濃度に比例し
なくなる。
O2+2H2O+4e→4OH- …(27) 第3図の曲線はHClO濃度は零であるが、空
気中に放置されたために溶存酸素を含んだ蒸溜水
のポーラログラムを表わす。
以上の様なHClOの電解電流iを測定するアン
ペロメトリー式残留塩素計においては、プラトー
領域が狭く、白金電極1の電位vや活性の大きな
変化によつて電解電流iの変化を招きやすいとい
う欠点がある。そこで、HClOを含む水の中に電
解してBr-を生ずるような薬液を添加すると、次
のような反応が生じてBr2が遊離する。
HClO+H++2Br-→Br2+Cl-+H2O …(28) このBr2は次のように加水分解して、一部が次
亜臭素酸(HBrO)になる。
Br2+H2OHBrO+H++Br- …(29) この反応の平衡定数Khは25℃において、 Kh=〔HBrO〕〔H+〕〔Br-〕/〔Br2〕 =5.8×10-9(mol/l) …(30) である。したがつて例えば、被検水8のPHを4、
Br-濃度を10-2mol/lとすると、〔HBrO〕が
〔Br-〕より十分小さい時は第(30)式より、 〔HBrO〕/〔Br2〕=5.8×10-3 …(31) となり、〔Br2〕はほとんど加水分解しない。白金
電極1と銀電極2を用いて測定したBr22ppm有
効塩素当量を含む被検水とHBrO2ppm有効塩素
当量を含む被検水のポーラログラムを第4図の曲
線,に示す。Br2の電解電流iは、HBrOや
HClOのそれに比べてプラトー領域が広いため、
白金電極1の電位vや活性の変化によつて変化す
ることがほとんどないという利点がある。したが
つて第(30)式において〔HBrO〕/〔Br2〕が十
分小さくなるような〔H+〕と〔Br-〕値を実現する
ための薬液、例えばPH4の酢酸緩衝液と
10-2mol/lのBr-濃度になるようなKBrを被検水
8に添加し、HClOがBr-と反応して生じた事実
上HClOに当量のBr2の電解電流iを白金電極1
の電位vをプラトー領域内に設定して測定するこ
とにより、白金電極1の電位vや活性が多少変化
しても、HClOの濃度を正確に知ることができ
る。
しかし、比較電極である銀電極2に銅電極を用
いると、この場合には添加したBr-は次のように
反応する。
Cu+Br-→CuBr+e …(32) このCuBrは水に難溶なため、銅電極上にこれ
が蓄積するにしたがつて抵抗性の被膜を生じ、電
解電流iが流れた時の電位降下(抵抗分極)によ
つて白金電極1の電位vが変化する。この影響を
除くためには、常時銅電極の表面を研摩して新し
い金属銅が水と接するようにする必要がある。
一方、比較電極が銀電極2である場合には、こ
れはBr-と次のように反応する。
Ag+Br-→AgBr+e …(33) AgBrはCuBrと同様難溶性であるが、感光性は
ハロゲン化銀中で最も大きく、第5図に示すよう
な吸収スペクトル特性を示し、吸収した光による
光還元反応によつてAg微粒子が析出される。し
たがつて銀電極2上に光が照射されている限り、
銀電極2の表面は常にAg微粒子が存在し、第
(33)式の反応の進行が阻害されることはないの
で、電極研摩の必要がないという利点が生ずる。
以上のように遊離残留塩素のみを含む被検水8
の場合には、被検水8にBr-を加えることによ
り、遊離残留塩素の酸化作用によつて遊離した当
量のBr2の拡散電流を白金電極1と銀電極2を用
いて検出すれば、遊離残留塩素濃度を正確に測定
することができる。
一方、結合残留塩素を含む被検水8の場合に
は、被検水8にBr-を添加しても結合残留塩素と
Br-の反応によつて前者と当量のBr2が遊離され
ることがなく、被検水8にI-を添加した場合には
じめて結合残留塩素とI-の反応によつて前者と当
量のI2が遊離すると従来は信じられていたため、
このI2の電解電流を測定することによつて結合残
留塩素濃度を求めていた。第(16),(22)式より
Br2の解離反応の平衡電位がI2よりも高い、すな
わち、Br-からBr2を遊離する反応の方が、I-から
I2を遊離する反応よりも生じにくい事から従来こ
れは当然の事と考えられていた。
しかし、被検水8にI-を添加して結合残留塩素
濃度を測定した場合は、銀電極2上にAgIが形成
され、このAgIは光還元されないので、常に銀電
極2を研摩しなければならなかつた。
本発明者は結合残留塩素とBr-の反応に関する
詳細な研究の結果、特定の条件下では結合残留塩
素と、Br-が反応して前者と当量のBr2が遊離す
ることを見出した。さらに具体的に述べると、結
合残留塩素とBr-とからBr2が遊離する反応の平
衡はPHとBr-濃度に依存し、〔H+〕および〔Br-〕が
ある値以上大きい時この反応は事実上完了して結
合残留塩素と当量のBr2が遊離されることが判明
したのである。この新しい事実に基づくならば遊
離残留塩素の測定の場合と同じく被検水8に緩衝
液とKBrを添加する(たヾし〔H+〕および
〔Br-〕は遊離残留塩素測定時と異なる)ことによ
り、全残留塩素と当量のBr2が遊離し、このBr2
電解電流を測定することにより全残留塩素濃度を
求めることができる。以下さらにその原理につい
て詳しく述べる。
結合残留塩素、例えば無機クロラミンはBr-
次の様に反応する。
NH2Cl+2Br-+2H+Br2+NH4Cl …(34) NHCl2+4Br-+3H+2Br2+NH4Cl+Cl-
…(35) この反応の平衡定数Kは、 K1=〔Br2〕〔NH4Cl〕/〔NH2Cl〕 〔Br-2〔H+2 …(36) K2=〔Br22〔NH4Cl〕〔Cl-〕 /〔NHCl2〕〔Br-4〔H+3 …(37) で表わされる。一方、第(20),(21)式の反応の
平衡定数は、 K3=〔I2〕〔NH4Cl〕/〔NH2Cl〕 〔I-2〔H+2 …(38) K4=〔I22〔NH4Cl〕〔Cl-〕/ 〔NHCl2〕〔I-4〔H+3 …(39) で表わされる。従来第(34),(35)式の反応が見
逃されてきたのは、K1,K2がK3,K4にくらべて
小さかつたことによる。すなわち、第(20),
(21)式にくらべて第(34),(35)式の反応の平
衡は左寄りであり、クロラミンを含む被検水8に
通常濃度のBr-を添加してもBr2はほとんど遊離
されない。こゝで第(36),(37)式を変形する
と、 〔Br2〕/〔NH2Cl〕 =K1〔Br-2〔H+2/〔NH4Cl〕
…(40) 〔Br22/〔NHCl2〕=K2〔Br-4 〔H+2/〔NH4Cl〕〔Cl-〕 …(41) となる。第(40),(41)式よりK1,K2が小さく
ても、〔Br-〕,〔H+〕を増加するとき〔Br2〕とクロ
ラミンの濃度の比が増大することが明らかにな
る。またこの比が充分大きいということは、被検
水8に含まれていたクロラミンと事実上当量の
Br2が遊離していることを意味する。したがつて
通常の被検水温度範囲についてクロラミンとほヾ
当量のBr2が遊離する条件を満足する〔H+〕およ
び〔Br-〕の濃度範囲を限定することができる。
そして、この濃度範囲は〔Br2〕/〔クロラミン〕
の〔H+〕および〔Br-〕依存性を調べることによつ
て決定できる。
〔Br-〕をパラメータとして測定した〔Br2〕/
〔結合残留塩素〕のPH依存性を第6図に示す。
この図で、直線は1.2ppmの無機クロラミン
のみを含む被検水8に3×10-1mol/lのBr-
度になるようなKBrと緩衝液を加え、平衡状態に
達する迄静置した後、アンペロメトリーによつて
求めたBr2濃度と残存しているクロラミン濃度の
比のPH依存性を表わす。直線およびは添加す
るKBrの濃度を変えて、被検水8のBr-濃度を
各々3×10-2mol/l、3×10-3mol/lとした
場合に対応する。
〔H+〕および〔Br-〕が高くなるにしたがつて
〔Br2〕/〔クロラミン〕が増加し、定性的に
(40),(41)式に従う結果が得られているが、各
直線〜の勾配が整数にならないのは、前述の
ごとくクロラミンとBr-からBr2が遊離される反
応が単一のプロセスによるものではないことを示
している。
実用的な見地からクロラミンとBr-の反応によ
つて遊離されるBr2濃度がクロラミン当量濃度の
99%以上、すなわちクロラミン当量濃度のBr2
遊離されるとした時、その濃度の誤差を10%以内
にするためには、第6図において点線よりも上
の領域内から〔H+〕と〔Br-〕の組み合わせを選ば
なければならない。Br-濃度3×10-1mol/lの
時はPH4.9以下、Br-濃度3×10-2mol/lの時は
PH4以下、Br-濃度3×10-3mol/lの時はPH3.2
以下が上述の条件を満足する具体例であるが、こ
の他のBr-濃度についても〔Br2〕/〔結合残留塩
素〕のPH依存性を測定することにより上述の条件
を満足するPH範囲を容易に求めることができる。
また、K1,K2の温度依存があることにより、
〔Br2〕/〔結合残留塩素〕のPH依存性も温度によ
つて変化する。したがつて被検水8の温度の上限
と下限が与えられたとき、それに応じた測定結果
から〔H+〕と〔Br-〕の組み合わせを決めるべきこ
とは当然である。第6図は通常の水温範囲の中央
値として選んだ17.5℃における特性を例示したも
のである。また、第6図はアンモニアと塩素の反
応によつて生じた無機クロラミンの酸化作用によ
つてBr-からBr2を遊離させる場合の実験結果で
あつて、その他の各種有機クロラミンの酸化作用
によつてBr2を遊離させる場合、有機クロラミン
の種類によつて酸化力が異なるため、当然異なつ
た結果が得られる。したがつて、測定対象とする
水に含まれるクロラミンの種類に応じて〔Br2〕/
〔クロラミン〕の〔H+〕および〔Br-〕依存性を測
定して被検水に添加する緩衝液のPHと〔Br-〕を
決定すべきことは言うまでもない。
大阪市の水道水に含まれるクロラミンに関して
測定した〔Br2〕/〔クロラミン〕の〔H+〕依存性
を第7図に示す。これは〔Br-〕=10-2mol/lと
した時の結果である。この場合は前記クロラミン
からほヾ当量(90%以上)のBr2を遊離するため
には、〔Br-〕=10-2mol/lの時、PH1.5以下にす
る必要があることが明らかである。
第8図はこの発明の一実施例の構造を示す一部
切欠側断面図である。10は塩素濃度を測定すべ
き被検水を所定量採取して貯めておくためのガラ
スまたはプラスチツクなどでできたたとえば筒状
の透明の水槽であり、側部に被検水を注入及び排
出するための孔11を有し、上部に撹拌棒12が
通り抜ける穴を有している。撹拌棒12はベーク
材などの電気絶縁材からできた円筒棒であり、先
端が封じられ、かつ他端に中央より大きい径の開
口部13を有している。また撹拌棒12は開口部
13とそれにつづくわずかの部分を除いて水槽1
0の中心軸付近に納められ、水槽10の上部に取
り付けられた例えばゴムなどのような屈曲可能な
材料からなる部材14が撹拌棒12を取り囲むよ
うにして固定されている。
水槽10に納まつている撹拌棒12の先端に近
い部分にはそれぞれ独立に測定電極である白金電
極15と、比較電極である銀電極16なる2つの
電極が設けられ、それぞれの電極15.16に通
じるリード線15A,16Aが撹拌棒12の内部
を通つて水槽10の外に導かれている。銀電極1
6は被検水中の遊離残留塩素及び全残留塩素を検
出するためのものである。白金電極15は上記の
検出の際に使用され、白金のみならず銀よりもイ
オン化傾向の小なる金のような貴金属又は炭素か
らつくられていてもよい。
水槽10の上面に取り付けられた外箱17の内
部にはモータ18が固定されており、また外箱1
7から水槽10内部へ向つては試薬注入ノズル1
9が貫通して設けられている。この試薬注入ノズ
ル19は手動ポンプ20を介して試薬タンク21
に連通しており、ハンドル22の1操作ごとに一
定量の試薬を水槽10内に注入する。またハンド
ル22のストロークは、外周にねじをもつ筒の調
整により変化できる。
撹拌棒12の開口部13にはその内壁に接する
ように中心に軸棒をもつ球23がはめ込まれてい
る。球23の軸棒とモータ18の回転軸とは、偏
心カム24を通じて接続されている。従つてモー
タ18が回転すると、球23は偏心カム24の偏
心量に等しい半径で回転運動をする。外箱17の
外部には塩素量を指示するための電流計等のメー
タ25が設けられている。スイツチ26はモータ
18の始動を行うスイツチである。なお試薬タン
ク21には弁27が設けられ、注液のため必要な
空気の流入は許すが、液の溢出は防ぐように作ら
れている。28は把持部、29は被検水である。
第9図は上記第8図の実施例に使用されている
残留塩素の測定回路図である。30は前記白金電
極15と銀電極16間に電圧を印加する為の電
源、31は前記電圧を調節する為のポテンシオメ
ータである。
残留塩素濃度を測定する場合には、スイツチ2
6を投入してモータ18を始動し、撹拌棒12を
回転させて被検水29を撹拌する。モータ18が
回転すると球23は偏心カム24の偏心量に等し
い半径で回転運動を行う。球23は撹拌棒12の
開口部13の内壁と接触しているため、撹拌棒1
2は球23と同様の回転運動をしようとする。し
かしながら、撹拌棒12は部材14により水槽1
0の上面に固定されているため、撹拌棒12はそ
の固定部を頂点とし開口部13が円周を描く円錐
運動をする。その結果水槽10内にある撹拌棒1
2の部分も同じく固定部を頂点とし、撹拌棒12
が母線となる円錐運動をして水槽10内の被検水
29を撹拌する。
このように水槽10内で撹拌棒12を撹拌しな
がらハンドル22を往復操作してポンプの作用で
試薬タンク21内の試薬を定量水槽10内に注入
する。この注入によつてメータ25の針が動く
が、数秒後に安定するのでその時の指示値を読み
とれば、残留塩素濃度を知ることができる。
以上詳細に説明したように、この発明によれば
遊離および全残留塩素のいずれを測定する場合も
被検水にBr-を加えればよいので、比較電極表面
は常にAgBrとなつており、遊離、全残留塩素を
交互に続けて測定した場合においても、比較電極
電位が一定しているため、常に精度よく残留塩素
濃度を測定することができる。また被検水中の
Cl-濃度が変化しても比較電極はCl-とは反応し
ないでBr-と反応するためその影響を全く受けな
い。さらに比較電極表面に形成されるAgBrは
AgIと異なり容易に光還元によりAgにもどるた
め、比較電極を研摩する必要がない。また、遊離
および全残留塩素のいずれもBr2の電解電流によ
つて測定できるため、同一目盛の電流計を用いて
両者の濃度を測定できるばかりでなく、両者の濃
度と電流の関係の較正を一回で同時に行うことが
できる。そして、Br2のポーラログラムは拡散律
速電解電流の領域が広いので、比較電極の汚染あ
るいは電極電位変動を受けにくいため、測定値の
経時変化が少なく再現性がよい等の優れた利点が
ある
【図面の簡単な説明】
第1図はHClO,Br2,I2のポーラログラムを比
較するための図、第2図は第1図のポーラログラ
ムを得るための電解電流測定装置の構成略図、第
3図はHClOと溶存酸素のポーラログラム、第4
図はBr2とHBrOのポーラログラムを比較するた
めの図、第5図はこの発明の銀電極上に形成され
た臭化銀の光吸収スペクトル図、第6図はこの発
明を実現するために必要な被検水のPHとBr-濃度
を表わす図、第7図はこの発明によつて測定した
結果を示す〔Br2〕/〔残存クロラミン〕のPH依存
性を示す図、第8図はこの発明の一実施例を示す
一部切欠側断面図、第9図は第8図の実施例に使
用されている残留塩素の測定回路である。 図中、10は水槽、12は撹拌棒、15は白金
電極、16は銀電極、17は外箱、18はモー
タ、19は試薬注入ノズル、20は手動ポンプ、
21は試薬タンク、24は偏心カム、25はメー
タである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 比較電極に銀電極、測定電極に貴金属電極を
    用い、緩衝液と臭素の塩の水溶液を用いるアンペ
    ロメトリー式残留塩素濃度測定装置において、遊
    離残留塩素のみがBr-と反応して当量の臭素を短
    時間に生ずるため〔HBrO〕/〔Br2〕が十分小さ
    くなるようなPHおよびBr-濃度の被検水を実現す
    る為に被検水に添加する遊離残留塩素測定用薬液
    と、遊離残留塩素と結合残留塩素がBr-と反応し
    てそれぞれ当量の臭素を短時間に生ずるため
    〔Br2〕/〔クロラミン〕の〔H+〕および〔Br-〕依
    存性から定まるPHおよびBr-濃度の被検水を実現
    する為に被検水に添加する全残留塩素測定用薬液
    と、Br2の拡散律速電流が得られると同時に溶存
    酸素の電解電流を生じない値に前記測定電極の電
    位を保持する手段とを具備せしめたことを特徴と
    する残留塩素濃度測定装置。
JP4234876A 1976-04-16 1976-04-16 Measuring apparatus for residual chlorine Granted JPS52126286A (en)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4234876A JPS52126286A (en) 1976-04-16 1976-04-16 Measuring apparatus for residual chlorine

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4234876A JPS52126286A (en) 1976-04-16 1976-04-16 Measuring apparatus for residual chlorine

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS52126286A JPS52126286A (en) 1977-10-22
JPS6156465B2 true JPS6156465B2 (ja) 1986-12-02

Family

ID=12633514

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4234876A Granted JPS52126286A (en) 1976-04-16 1976-04-16 Measuring apparatus for residual chlorine

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS52126286A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02112876U (ja) * 1989-02-22 1990-09-10
JPH0424979U (ja) * 1990-06-21 1992-02-28

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1158856B (it) * 1978-06-16 1987-02-25 Sclavo Inst Sieroterapeut Sistema elettrodico con elettrodo di riferimento senza giunzione liquida per misure voltammetriche
JP4320025B2 (ja) * 2006-07-10 2009-08-26 日科ミクロン株式会社 オゾン水濃度検出センサ

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS506397A (ja) * 1972-12-11 1975-01-23

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS506397A (ja) * 1972-12-11 1975-01-23

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02112876U (ja) * 1989-02-22 1990-09-10
JPH0424979U (ja) * 1990-06-21 1992-02-28

Also Published As

Publication number Publication date
JPS52126286A (en) 1977-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4734097B2 (ja) 残留塩素測定方法及び残留塩素測定装置
JP6469687B2 (ja) 電気化学センサ装置及び電気化学センシング方法
JPS6222424B2 (ja)
US20130313128A1 (en) Electrochemical Sensor Apparatus and Electrochemical Sensing Method
JP6856867B2 (ja) 無試薬式遊離残留塩素測定装置および無試薬式遊離残留塩素測定方法
JP4463405B2 (ja) 酸化還元電流測定装置のセンサ及び酸化還元電流測定装置
Navratil et al. Analytical application of silver composite electrode
US3902982A (en) Apparatus for measuring residual chlorine
US20120103823A1 (en) Method for detecting individual oxidant species and halide anions in a sample using differential pulse non-stripping voltammetry
JP6579315B2 (ja) 残留塩素測定装置および残留塩素測定方法
Baker et al. Determination of microgram quantities of fluoride and cyanide by measurement of current from spontaneous electrolysis
US4028197A (en) Method for monitoring available chlorine in swimming pools
JPS6156465B2 (ja)
JP7231814B2 (ja) 残留塩素測定装置の校正方法
JP4463382B2 (ja) 残留塩素測定装置
JPS6156464B2 (ja)
JPH02296146A (ja) 二酸化塩素と亜塩素酸イオンの同時測定方法
Myers et al. Development of an automated on-line electrochemical chlorite ion sensor
JP7093005B2 (ja) 無試薬式全有効塩素測定装置とその校正方法および無試薬式全有効塩素測定方法
JP3469962B2 (ja) 遊離塩素測定装置
JP7177341B2 (ja) 無試薬式残留塩素測定装置及び無試薬式残留塩素測定方法
JPH02296143A (ja) 溶存二酸化塩素の測定方法
JP2000221165A (ja) 残留塩素濃度計測装置
US20230002252A1 (en) Method for optical activation of the sensor surface, in particular for zero chlorine sensors
JP2005345222A (ja) 残留塩素計