JP6469687B2 - 電気化学センサ装置及び電気化学センシング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に電気化学センサ装置及び電気化学センシング方法の分野に関する。特に、本発明は、塩素などの消毒剤を含有する水溶液を測定するための装置及び方法に関するが、これらに限定されるものではない。
水添加剤として塩素を使用することは周知である。例えば、塩素は、水泳プール消毒用、飲料水処理用、又は食品加工時に適用される。従って、水溶液中の塩素の存在を測定するための塩素分析装置には一般的な必要性がある。このような塩素分析装置は、環境又は工業的状況での測定のために広く必要とされている。
水中の塩素をオンラインで監視するための公知の測定技法は、一般に、湿式化学試薬及び光学測定、又は電気化学プローブを基礎とする。米国特許出願公開第2005/029103号(Fengら)は、電気化学分析により塩素種を測定する関連技術の例示的な塩素センサを記載している。
公知の塩素分析装置は、測定されている溶液のpHレベルに対して極めて高感度である。従って、通常、塩素分析装置の測定値を較正するために、pHレベル別個の尺度を用いなければならない。pHを測定するための第2のセンサに対するこの必要性を回避することが望ましい。また、典型的な塩素分析装置は、測定室内の水試料のpHを安定させる緩衝剤(例えば溶液又はゲル)を含むように構成されている。しかし、緩衝剤は、計測器の複雑性や測定値取得の遅延などの、いくつかの欠点をもたらすことが指摘されており、従って緩衝剤の必要性を回避することが望ましい。
更なる検討事項として、センサ装置の感度及び信頼性の向上が望まれる。一例として、センサ装置は、目的とする種の検出を可能にする信号応答を持つべきである。センサは、長期間にわたって、かつ現場での様々な運用条件において、ロバストであり高い信頼性を持つべきである。
一般に、関連技術に付随する1つ又は複数の欠点は、その欠点が本明細書で具体的に考察されていても、当業者が以下の記述を読み欠点ではないと認識するものであっても、対処が望まれる。特に、電気化学センサ装置、及び単純で信頼性が高く費用効果が高い電気化学センシング方法を提供することが望まれる。
本発明に従い、添付された特許請求の範囲に記載されている電気化学センサ装置及び電気化学センシング方法が提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項、及び以下の記述により明らかとなるであろう。
一態様では、電気化学センサ装置での使用に適した電極が提供される。作用電極はホウ素ドープダイヤモンド製基板を備え、基板は使用時に被測定試料を受け取る作用表面を与え;ここで、作用表面は少なくとも1つの融除領域を含む。
一例として、融除領域は非ダイヤモンド成分を含む。一例として、融除領域はsp2材料を含む。一例として、融除領域は1つ又は複数の溝を含む。一例として、融除領域は、作用表面における1つ又は複数の溝又はその周囲に非ダイヤモンド炭素を含む。一例として、基板は、融除領域を除き、最少量の非ダイヤモンド炭素を含有する多結晶ホウ素ドープダイヤモンドを含む。一例として、基板は、融除領域を除き、最少量のsp2材料を含む。
一態様では、電気化学センサ装置が提供される。装置は、その作用表面に融除領域を有するホウ素ドープダイヤモンド(BDD)製作用電極を少なくとも1つ備える。ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)製作用電極を使用してカソード還元プロセスを測定してカソード測定を行い、同様にBDD製作用電極を使用してアノード酸化プロセスを測定してアノード測定を行うように、測定ユニットが配置される。カソード測定とアノード測定の両方を使用して、水溶液系内における2つの平衡種の含有量の総和を示す結果を出力するために、処理ユニットが配置される。
BDD作用電極はレーザで表面を切削するなどして電極の作用表面の一部を融除することで強化できることに注目すべきである。好適には、センサは、表面の少なくとも1つの部分に対して、作用表面内の溝を1つ又は複数形成するために、レーザなどにより融除された作用表面を有するBDD作用電極を備える。
一態様では、水溶液系の測定に適した電気化学センシング方法が提供される。方法は、その作用表面に融除領域を有するホウ素ドープダイヤモンド(BDD)製作用電極を使用してカソード還元プロセスを測定してカソード測定を行うこと、その作用表面に融除領域を有するBDD製作用電極を使用してアノード酸化プロセスを測定してアノード測定を行うこと、及びカソード測定とアノード測定の両方を使用して水溶液系内における2つの平衡種の含有量の総和を示す結果を出力することから構成される。
以下でより詳細に考察する通り、例示的実施形態は関連技術の問題の多くに対処している。少なくともいくつかの例は、水溶液中の塩素種を測定するための単純で信頼性が高く効果的な機構を提供している。
一例として、単一のBDD製作用電極にてアノード及びカソード測定を連続的に実施してもよい。別の例では、2つ以上の別個の作用電極それぞれにおいてアノード及びカソード測定を実施してもよい。驚くべきことに、測定のpH感受性に伴う問題は、上記2つの関連するアノード及びカソード測定を実質的に同時に実施することにより克服できることが見出された。すなわち、アノード及びカソード測定は、実質的に同じ測定試料に関して、同時に又は比較的短時間で連続的に、好適に実施される。
一例として、水溶液中の消毒剤を測定するための電気化学センサ装置及び電気化学センシング方法が提供される。
一例として、消毒剤としての塩素を測定するための電気化学センサ装置及び電気化学センシング方法が提供される。
一例として、消毒特性ために水溶液中に存在する少なくとも1つの塩素原子を測定するための方法及び装置を用意してもよい。少なくとも1つの塩素原子を含む分子の好適例としては、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン、二酸化塩素及び亜塩素酸イオンが挙げられる。
一例として、次亜塩素酸(HOCl)と次亜塩素酸イオン(OCl-)の組合せとして、塩素処理水中の総遊離塩素を測定することには大きな利益がある。好適には、カソード測定によりHOClが測定され、実質的に同時にアノード測定によりOCl-も測定される。2つの平衡種である総遊離塩素は、HOClとOCl-とを総和したものである。これらの種の相対的比率は測定pHにより大きく変化するが、いずれの特定のpHでも[HOCl]/[OCl-]の比は一定である。従って、本例示的実施形態では、HOClとOCl-との測定濃度の合計から総遊離塩素が得られる。当該機構は測定pHに依存しないことに注目すべきである。
別の例として、アノード及びカソード測定により二酸化塩素及び亜塩素酸塩が測定される。この場合、二酸化塩素はカソード(還元)プロセスにより測定され、亜塩素酸塩はアノード(酸化)プロセスにより測定される。
一例において、測定pHを制御するために緩衝剤を用いることは不要である。代わりに、任意の好適なpHにて測定を実施してもよい。代わりに、アノード及びカソード測定で生じる還元及び/又は酸化プロセスの最終的なpH限界内で、広範囲の任意の好適なpHにて測定を実施してもよい。
一例として、試薬がない状態で方法を実施してもよい。通常は、パークロレートなどの試薬が必要とされる。パークロレートイオンはOCl-種に対するアノード反応のピーク形状を鋭くするように見えるが、驚くべきことに、定量反応を得るためにパークロレートを添加することは不要であることが現在判明している。
一例として、作用電極は裸の作用電極である。当該作用電極は、測定される水溶液系に直接与えてもよい。例えば、壁面噴流構成のセンサ装置が現在利用可能である。測定室又は多孔質膜は現在不要であり、いくつかの実施形態では装置が大幅に簡素化されている。
上記及び他の特徴及び利点は、以下の例示的実施形態から更によく理解されるであろう。
本発明をより良く理解するために、そして例示的実施形態をいかに実施するかを示すために、以下の添付図面を参照に用いる。
例示的な塩素センサ装置の斜視図である。 塩素センサの平断面図である。 塩素測定の例示的方法の図式的に概観したフローチャートである。 pHの関数としての水中での塩素種の詳細のグラフである。 比較例としての金作用電極のサイクリックボルタンメトリー走査のグラフである。 遊離塩素に対するBDD作用電極のカソード及びアノード反応を示すグラフである。 BDD作用電極におけるアノード反応をより詳細に示すグラフである。 溶存酸素に対する白金作用電極のカソード反応を示すグラフである。 溶存酸素に対するBDD作用電極のカソード反応を示すグラフである。 比較例として、溶存酸素に対する金作用電極のカソード反応を示すグラフである。 亜塩素酸塩及び二酸化塩素の測定値を示すグラフである。 異なる選択電位にて溶存塩素に対するBDD作用電極のアノード反応の較正データを示す一連のグラフである。 異なる選択電位にて溶存塩素に対するBDD作用電極のアノード反応の較正データを示す一連のグラフである。 異なる選択電位にて溶存塩素に対するBDD作用電極のアノード反応の較正データを示す一連のグラフである。 例示的センサ装置の斜視図である。 例示的作用電極の模式的平面図である。 例示的作用電極の観測された信号応答を示すグラフである。 例示的作用電極の観測された信号応答を示すグラフである。
特に総遊離塩素を測定するために、塩素センサ装置及び方法への参照を用いて例示的実施形態を説明する。以下で説明する例示的実施形態は、HOCl及びOCl-の測定に関する。別の例として、亜塩素酸塩及び二酸化塩素を測定してもよい。装置及び方法は、本明細書の教示から当業者に明らかとなるように、多くの具体的実装に適用することができる。
図1は例示的な塩素センサ装置1の斜視図である。この例では、センサ装置1は、その作用表面に1個以上の作用電極11、12を有する胴部又はハウジング10を備えている。対電極13が提供されてもよい。参照電極Rも提供されてもよい。任意選択で、更なる電極が提供されてもよい。
この例では、ハウジング10は一般に円筒形であり、作用表面14が円筒の一方の端面に提供されている。電気化学分析を実施するために、塩素センサが配置されている。センサは、作用電極11、12を使用して測定値を取得して処理し、適切な通信経路により結果又はデータ信号を出力するのが好都合である。この例では、センサハウジング10は、測定及び制御システムの一部としてセンサを接続又は結合できるようにする出力通信電線15を備える。他の物理的構成についても、当業者に周知のとおりに考えられる。例えば、壁面噴流構成では、全体に円形である作用表面の幾何学的中心又はその周囲に、単一の作用電極を定置することが適切であろう。壁面噴流の幾何学的形状内の「リングディスク」構成として中心円盤電極を有する、同軸作用リング電極を使用することも考えられる。
図2は、センサ胴部10を横断する、例示的センサ1の断面図である。この例では、作用表面14にて作用電極11、12を取り囲むアニュラリングとして対電極又は補助電極13が提供される。本例示的装置は、サンプリングされる水流に直接曝露される裸の作用電極11、12を有する。この例では、「壁面噴流」構成によるセンサが提供される。水流Wは、測定表面14に対して実質的に垂直に進み、測定表面全体に広がり、特に作用電極11、12及び補助電極13に当たる。この例では、作用電極11、12を別個の室内に提供することや、試料Wの主流から電極を分離する多孔質膜を提供することは必須ではない点に注目すべきである。
図2に示すように、センサハウジング10は、電極11、12、13等と電気的に結合された信号処理ユニット20を好適に備える。測定ユニット21は、これらの電極を使用して電気化学分析を行う回路を具備する。出力ユニット22は、電線15を経由するなどしてセンサ装置から出力されるデータ信号23を生成する。
本装置の他の多くの具体的構成も可能であることが理解される。例えば、信号処理ユニット20、測定ユニット21及び/又は出力ユニット22を主要センサハウジング10から離れた位置に提供することや、電極11、12、13の数、物理的構成を変更することなどができる。
一例示的実施形態では、1個のみの作用電極11が必要とされ、装置の構成がより単純で小型のものになる。別の例では、2つの別個の作用電極11、12が提供され、測定の向上が可能になる。好適には、これらの作用電極は、ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)を含む。ドープされたダイヤモンドは汎用電極材料として開発され、この数年で詳細に研究されてきた。しかし現在、特に塩素測定に関して、興味深く驚くべきBDD電極の追加的利点がいくつか明らかになっている。
図3は塩素測定の例示的方法の図式的に概観したフローチャートである。
ステップ301は、アノード酸化プロセスを測定しアノード測定を行うことを含む。このステップは、1つ又は複数の作用電極11、12のうち任意の第1のものを使用して実施される。
ステップ302は、カソード還元プロセスを測定してカソード測定を行うことを含む。ステップ302は、ステップ301の前又は後に、第1の電極11により連続的に再度実施されてもよい。あるいは、ステップ302は、別個の第2の作用電極12により実施されてもよい。ステップ301及び302は、実質的に同一の試料に関して測定値を捕捉できるように、時間的に近接して、例えば互いに同時又は数秒以内に、実施するのが好都合である。
ステップ303は、カソード測定とアノード測定の両方を使用して、水溶液系内における2つの平衡種の含有量の総和を示す結果を出力することを含む。
ステップ301及び302のアノード及びカソード測定は、作用電極に電流の流れを生じさせるために適切な電位差が適用されたときに発生すると理解される。センサの典型的構成では、対応する作用電極11を基準にして対電極13にバイアスを加えられるか、その逆のことが行われ、他方は地電位又はその付近の電位に維持される。ボルタンメトリー、特に電流測定システムでは、電流は時間の関数として測定され、被測定種の濃度の指標となる。
当業者には周知である通り、塩素は水に溶解し、下記の式1及び2により示される平衡が確立される。
Cl2 + H2O <−> HCl + HOCl(次亜塩素酸) (式1)
HOCl <−> H+ + OCl-(次亜塩素酸イオン) (式2)
塩素処理水中に存在する2つの主要な種は、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンである。塩素及びこれらの種の相対的割合は、主に水のpHにより制御される。割合は図4に示されており、この図は、これらの割合がpH0〜pH12の範囲でどのように分布しているかを示す。“Residual Chlorine - A guide to measurement in water applications”, Stephen Russell, WRc Instrument Handbooks, WRc plc, Swindon, Figure 2, Page 4, 1994. (ISBN 1 898920 17 6)も参照されたい。
飲料水に関連するpHの通常の範囲は、溶液中に存在する主要な種が次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンとなるようなものである。pH約5では、種は次亜塩素酸のみとなり、pH約9を超えると、次亜塩素酸イオンが大部分となることに留意されたい。
HOClの曲線とOCl-の曲線との交点は、25°CにてpH7.54のとき生じる。この塩素種のpH依存性は、消毒法の最適化を考える場合と、溶存塩素の測定値をプロセス監視変数として考慮する場合の両方で影響を及ぼす。次亜塩素酸は、溶存塩素種のうちで最も効果的な消毒剤であると考えられている。
アンモニア及び関連する窒素化合物の同時発生源がある場合、塩素消毒水中での化学種は、より複雑になる。上記の場合、下記の逐次反応を通じてクロラミンの形成がもたらされる。
HOCl + NH3 −> NH2Cl + H2O(モノクロロアミン) (式3)
NH2Cl + HOCl −> NHCl2 + H2O(ジクロラミン(dichloamine)) (式4)
NHCl2 + HOCl −> NCl3 + H2O(トリクロラミン) (式5)
上記3つの反応は、塩素処理飲料水によく見られる状態を大幅に単純化している。タンパク質(分解されてアミノ酸を生じる)などの有機窒素源の存在は、クロラミンの化学作用を更に複雑にする。従って、水中の塩素を測定することは単純ではない。関連技術では、水中の無機塩素種(HOCl及びOCl-)の濃度の総和を表す際に、一般に遊離塩素が使用される。結合塩素は、水中の窒素含有塩素種(クロラミン)の濃度の総和を含み、総塩素は通常、遊離塩素と結合塩素種の総和として理解される。
還元電流測定に基づくセンシングシステム内では、センシング溶液中、又は対応する電解液/緩衝剤を使用する場合はその中における溶存酸素の存在による干渉の可能性がある。溶存酸素は、2つの異なるボルタンメトリー還元波として観測される、カソードでの2つのステップによる還元プロセスに従うことが知られている。普通形の第1ステップO + n1e −> R1は二電子還元であり、ここで、生成されたH22は還元生成物R1である。
2 + 2H2O + 2e −> H22 + 2OH- (式6)
普通形の第2ステップR1 + n2e −> R2は、通常、極めて高いカソード(負の)電位で生じる。
22 + 2e −> 2OH- (式7)
従って、溶存酸素による上記の干渉を低減させることが望まれる。
従来の遊離塩素測定プローブは、下記の反応を通じて(カソード作用電極における)電気化学的還元によりHOCl濃度を評価する。
HOCl + 2e- −> Cl- + OH- (式8)
OCl-種は還元を受け得ないため、カソード作用電極でも値が検出されない。カソード作用電極にて測定される電流は、式8の反応を促進するために電極から供給された電子のフラックスによるものである。電子フラックス、従って測定電流は、主としてHOCl濃度と電極面積の関数となる。電極面積は固定であるため、電流はカソード作用電極表面のHOCl濃度に比例することになる。HOClの濃度はまた、下記の式に従い溶液pHの関数となり、ここで種濃度はそれぞれ[HOCl]と[OCl-]によって表される。
log[HOCl]/[OCl-] = pKa − pH (式9)
温度T(K)の関数としての酸解離定数pKaは、近似値で求められる。
pKa = 3000/T − 10.0686 + 0.0253T (式10)
測定溶液pHの変化はHOCl種濃度のOCl-種濃度に対する比率の変化をもたらすため、上記式は典型的な測定プロセスより複雑になっている。pHが上昇すると、溶液中の遊離HOClの濃度が降下し、溶液中の遊離OCl-の濃度は上昇する。pH依存性の実験変数を除去する通常の方法は、カソード作用電極をpH緩衝剤(pHを所定のレベルに固定する化学試薬)に浸漬することにより、カソード作用電極におけるpHを制御することである。図4の種のプロットから、pH5緩衝剤により、HOClの遊離溶液濃度が最大になり、OCl-の濃度が最小になる傾向がある。
上記のように、本例示的実施形態は、pHから独立して各種を特定するため、特にカソード電流測定による遊離塩素測定のpH感受性を克服するためBDD作用電極を使用する、二重測定機構を採用している。二重測定は、カソード(還元)プロセスとアノード(酸化)プロセスの両方を実質的に同時に測定することを特徴とする。この例における遊離塩素測定では、従来の遊離塩素測定プローブで使用される上述のカソード反応が、OCl-の監視に使用され得るアノード反応と共に使用される。含まれる反応は、下記の式によって表される。
6ClO- + 3H2O −> 2ClO3 - + 4Cl- + 6H+ + 3/2O2 + 6e- (式11)
遊離塩素はHOClとOCl-の濃度の総和であるため、同時に行うHOClとOCl-両方の同時定量測定は、任意のpHにおける遊離塩素の測定を可能にする。従って、測定の際に緩衝剤を用いて測定pHを制御することもできるが、(還元及び/又は酸化プロセスの最終的なpH限界内の)任意のpHにて同様に適切に測定することもできる。
このような2つの種(HOCl及びOCl-)の同時測定は、様々な電極材料(従来的には、白金、金、又は炭素、特にガラス状炭素)を使用して行うことができる。しかし、これらの従来の電極材料の電位限界が、それらの電極材料の電位範囲となる。
上記材料のカソード範囲の極限では、溶液中の陽子が、下記の反応に従いバックグラウンド電流をもたらす。
2H+ + 2e- −> H2 (式12)
上記材料のアノード範囲の極限では、溶液中のヒドロキシルイオンが、下記の2段階反応に従いバックグラウンド電流をもたらす。
2OH- + 2e- −> H22 (式13)
次に、
22 − 2e- −> 2H+ + O2 (式14)
残念ながら、貴金属電極は高いアノード電位で酸化皮膜を形成しやすいため、現実はより複雑である。金作用電極について、この点を図5に示すことができる。図5は、比較例としての、pH6のリン酸緩衝液中での金作用電極(2000prmの回転円板電極)のサイクリックボルタンメトリー走査である。
図5に示されているように、アノード電流は、(参照電極に対して)約+0.8Vより高いアノード電位で大幅に上昇し、電流の「こぶ(hump)」が特徴となる。(参照電極に対して)+0.55Vでの負のピークは、カソード方向に電位が走査されたときの酸化物表面の金への還元である。かかる酸化物皮膜形成により、貴金属電極は、表面酸化の開始に伴う電位より高い任意のアノード電位における動作に適さなくなることは明らかである。この例における(参照電極に対して)+0.1Vより低い電位での負(カソード)電流は、上記の反応に従う溶液中の溶存酸素の還元による。類似した特徴は白金電極についても見られ、ガラス状炭素電極は再現性を欠くこと及び高アノード電位で動作するとき徐々に不活性化することが認められる。従って、OCl-種の酸化に必要とされるような高アノード電位での持続的測定実験に、従来の電極材料を使用することは困難である。
一方で、HOClとOCl-の両方の同時定量測定は、実際上、ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)を作用電極として使用することにより達成できる。BDDは、カソード方向とアノード方向両方で非常に広い電位窓にわたり、極めて小さい負のバックグラウンド電流を有する。
BDD作用電極でのアノード測定を通じてOCl-種を監視することが検討されているが、上記の例は、パークロレートイオンを含有する、酸化力の強い対応電解液を連続的に用いている。対照的に、パークロレートイオンの存在は、OCl-種に対するアノード反応のピーク形状を鋭くするように見えるが、驚くべきことに、定量反応を得るためにパークロレートを添加することは不要であることが現在判明している。
図6は、遊離塩素に対する、1つの例示的BDD作用電極のカソード及びアノード反応を示している。図6はまた、カソード(EC)及びアノード(EA)電流測定値に用いることができる典型的な印加電位をも示している。図6は、一定の遊離塩素濃度での、pHの変化に対するBDD電極の近似的応答をまとめている。プロットはpH6.3、pH7.5(すなわち、HOClのpKaに対応するpHであり、HOCl種とOCl-種とは1:1の平衡関係にある)、及びpH9.0での応答を表している。pHが7.5から上昇すると、HOCl(カソード)反応が減少し、OCl-(アノード)反応が増加する。pHが7.5から降下すると、逆のことが起きる。実際、当該相対的反応は、上記の種の平衡に合致している。従って、カソード反応とアノード反応との計算上の総和は、溶液中の総遊離塩素を示すことになる。
図7は、可変pH及び電流測定時のアノード電位に関し、遊離塩素の特定の濃度で充填された試料溶液に対するBDD作用電極でのアノード反応を示している。この実験では、図7は、ある範囲のpHにわたり、異なるアノード電位における、遊離塩素に対するBDD作用電極のアノード反応を示している。電極は1000rpmで回転し、0.05Vs-1にて線形掃引が行われた。
一般に、測定ステップは、電圧範囲全体にわたり掃引又は走査により実施されてもよい。測定試料は、掃引又は走査中に定期的に抽出してもよい。掃引又は走査は、線形でも周期的でもよい。いくつかの種では、まず、ピーク(例えばpH又は温度に基づき変化することがある)の存在を判断するために走査し、次いで、走査又は掃引内で最適な測定点を判断することが適切となる場合がある。
これらの実験例では、HOCl種のカソード測定とOCl-種のアノード測定との間の関連が実証された。また、BDDは、試料中の溶存酸素の存在からの干渉を受けにくいように見える。このことは膜媒介電流測定プローブではさほど重要ではない。なぜなら定常状態が達成されて溶存酸素によるバックグラウンド電流は一定で小規模なものとなるためである。しかし、溶存酸素中の突発的変動がプローブシステムの測定電流に影響する膜なしシステムでは、上記の点は当てはまらない。裸電極式塩素センサが現在実現可能になっていることに注目すべきである。
図8は、溶存酸素に対する白金作用電極のカソード反応を示している。比較のために、白金作用電極のバックグラウンド反応に対する溶存酸素の効果が示されている。走査数は固定間隔により、試料緩衝剤は実験室内空気に曝露されている。走査01は、ヘリウムでスパージすることにより溶存空気/酸素を試料から追い出した後のバックグラウンドである。その際、初期測定(走査01)は空気/酸素遊離緩衝剤中で行われており、従ってバックグラウンド電流はpH6のリン酸緩衝剤中の白金電極でのものである。以降の走査は、溶液が実験室内空気に漸進的に曝露される状態で監視されている。走査40は、実験室内空気との平衡に達した後の、緩衝剤に対する定常状態反応を表している。以降の走査は、走査40のプロットに重なり合って見える。
図9は、溶存酸素に対するBDD作用電極のカソード反応を示している。図9は、脱気及び空気飽和緩衝液(0.5Mリチウムエタノエート、pH5)のプロットである。これらのデータから、バックグラウンドが溶存酸素の影響を受けにくいだけでなく、バックグラウンド電流が実質的に少ないことがわかる。(電流スケールの比較:白金0〜−140μA;BDD 0〜−1.8μA)。
図10は、比較例として、溶存酸素に対する金作用電極のカソード反応を示している。完全性のために、金とBDDとの直接比較として、図9で使用したものと同じ電解液を用いた金作用電極での類似のプロットを図10に示す。この場合も電流スケールの違いに留意すべきである。(+1.0V(アノード)と+0.6V(カソード)でのピークは、それぞれ金表面の酸化と酸化金の還元であることに留意されたい)。
原理は、pH依存の平衡組成物を構成する2つの異なる種がある、遊離塩素測定を参照して図示及び例示されている。2つの測定値を生成する目的は、緩衝剤を通じたpHの意図的固定が望ましくなく、実現不可能であり、又は部分的効果しかないという、観測される任意の試料の種の化学に固有のpH感度を克服することである。
他の可能な分析は、pHにより発生し調整される種の類似した平衡結合を含む。また、自己反転可能なシステムの同時測定も、この方法の候補になり得る。水質監視にとって重要である上記の一例は、二酸化塩素及び亜塩素酸塩という種であり、これらは下記の反応を通じて関係する。
ClO2 + e- −> ClO2 - (式15)
BDD作用電極は、亜塩素酸イオンに対するカソード還元を通じて二酸化塩素を測定するために使用してもよく、同様に二酸化塩素に対するアノード酸化を通じて亜塩素酸イオンを測定するために使用してもよい。従って、単純に印加電位の制御を通じて両方の種を監視するために単一電極を使用してもよい。遊離塩素測定と同様に、カソード分析とアノード分析との組合せを使用して、二酸化塩素と亜塩素酸イオンとを同時に測定してもよい。
図11は、約+1.0Vでの亜塩素酸塩アノード酸化(上側の曲線)のデータを示すグラフである。この亜塩素酸塩酸化のプロセスは、静止した(流れと撹拌がない)BDD作用電極に蓄積する二酸化塩素を生成する。蓄積した二酸化塩素の減少は、約+0.4Vでのカソード測定(下側の曲線)で明らかに目視できる。当該反応は二酸化塩素ではより少ないことに留意されたい。この理由は、バルク溶液は亜塩素酸塩を含有しているが、本実験で測定可能な電極表面付近に残留するのは二酸化塩素だけであるためである。濃度は亜塩素酸塩のバルク値である。
カソード(還元−電子付加)では、上記式15に示される通り、二酸化塩素が亜塩素酸塩に還元される。アノード(酸化−電子除去)では、亜塩素酸塩が二酸化塩素に酸化される。
ClO2 - −> ClO2 + e- (式16)
図12A〜12Cは、異なる選択電位でのBDD作用電極のアノード反応の較正データを示す一連のグラフである。更なる強化において、BDD電極のアノード反応は理想的線形回帰と比較して観測可能な非線形性を示すことが見出された。図12A及び図12Bに示される反応曲線は通常、S字形である。興味深いことに、S字形は理想的線形反応の周囲に偏差しており、電圧が変動すると偏差の方向が反対方向に反映する。この偏差が反転する点又はその周囲に実質的な線形反応を生成するために、印加電位を調整することでセンサ装置を較正できることが見出されている。図12Aに示されているように、電位が理想値より低い場合、S字形はあるモードで偏差し、図12Bに示されるように、高すぎる場合、偏差は反対のモードで観測される。図12Cに示されているように、これらの範囲の間に、線形反応に近くなる電位がある。従って、本方法は、S字形反応曲線のモードの反転を観測することでアノード電位EAを較正するステップを好適に含む。本例示的実施形態では、測定ユニット21がこのような応答的較正機能を実行できる。
上述のように、ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)は、広い溶媒窓及び低いバックグラウンドノイズを含め、電極として多くの利点を有することが理解される。また、BDDは長い実用寿命を持つ本来的に堅牢な材料である。電気分析での使用に適した多結晶酸素終端BDD電極を作製するために、ホウ素でダイヤモンドをドープすることは、当業者にとって公知である。電極において金属と同等の導電性を得るために適切なレベルのホウ素ドープを行うことについての例示的考察は、“Examination of the factors affecting the Electrochemical Performance of Oxygen-terminated Polycrystalline Boron Doped Diamond Electrodes”, Hutton et al, Analytical Chemistry, http://pubs.acs.org, dated 22 June 2013.に記載されている。
上記論文に例示されているように、関連技術は、BDD電極中の非ダイヤモンド炭素(NDC)のレベルを0にする(絶対最小値まで減少させる)ことの重要性を強調している。別の例示的考察が、“Effect of sp2 bonded Non Diamond Carbon impurity on the response of Boron Doped Polycrystalline Diamond thin-film Electrodes”, Journal of The Electrochemical Society, 151 (9) E306-E313 (2004) dated 18 August 2004.に記載されている。
現在、上記のセンサ装置を製造するのに十分である、BDD作用電極の一貫した例を得ることに困難が生じている。特に、下記の電極間で一貫した再現特性を得ることに困難がある。その結果、大量の廃棄物(使用時に応答しないことが判明したBDD電極)とそれによる高い製造コストが生じている。
上記例に示されるように、BDD電極は通常、製造時に未知量のNDC(sp2)炭素を含有する。次に、これらの電極の一部は上記の例のように塩素対する応答が生じるが、他の電極は応答せず、重大な不一致が生じている。興味深いことに、NDC不純物はばらつきを示し制御されないことが現在明らかになっている。NDC不純物のばらつきは、予測可能かつ再現可能な電極の挙動が実現不可能になる程度まで、バックグラウンド及び信号レベルのばらつきを引き起こし、BDD電極を市販センサ製造の工業的用途に適さないものにしている。
溶存酸素検出の精度を改善したBDD電極を製造する可能性を考慮して、白金(Pt)を多結晶ホウ素ドープダイヤモンド(pBDD)に沈着させることが、論文“Amperometric Oxygen Sensor based on a platinum nanopiarticle modified Polycrystalline Boron Doped Diamond disk electrode”, Hutton et al, Analytical Chemistry, Vol 81, No 3, 1 February 2009.において提案されている。ここで、いくつかのsp2種をダイヤモンドの表面に導入することにより、(ダイヤモンドに)望まれる広い溶媒窓と低いバックグラウンドを有し、NDC(sp2材料)の存在により改善された信号応答を有する、電極が現在実現していることが理解される。しかし、本願発明者らは、白金を沈着させたBDD電極は、本明細書で検討されているセンサ装置に必要な塩素の応答を埋没させるおそれのある、酸素からの応答を生成することを認識している。
従って、特に製造コスト、センサの作用効果、及び現場の実際の状況における実用寿命を考慮して、本明細書に記載されている型の電気化学センサでの使用に適した作用電極を作製する必要は、依然として存在する。
図13は、本明細書で全般的に考察されている型の例示的センサの模式的斜視図である。本明細書において、センサ装置は、一例示的実施例に従い、改善された作用電極を備える。図14は、より詳細な例示的作用電極の模式的平面図である。
図13及び14に示されているように、作用電極110は、使用時に測定試料を受けてそれと接触する作用表面112を有する。作用電極は、ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)を含む。図示された例では、BDD作用電極110は、レーザで表面を切削するなどして作用表面112の一部分を融除することにより強化することができる。従って、本明細書で考察されているセンサは、作用表面112の領域の少なくとも1つの部分に対して1つ又は複数の溝114を形成するために融除された、作用表面112を有する、少なくとも1つの作用電極110を含むことが好適である。
一例として、作用電極110は、最少量の非ダイヤモンド炭素(NDC)を含有する多結晶ホウ素ドープダイヤモンド製BDD基板116を含む。従って基板116は最少量のsp2材料を有する。基板116は、上述したように、堅牢であり、低いバックグラウンド等を有する。一方、基板116の作用表面112は、少なくとも1つの融除領域115(全体が点線で示されている)を含む。この例では、融除領域115は、作用表面112に少なくとも1つの溝114を含む。融除領域115は、好都合に、作用表面112、特に電極110の作用界面に、非ダイヤモンド炭素(sp2材料)を導入する。
レーザを使用してダイヤモンド基板116を切削することにより、少量のNDC sp2材料が溝114の切削表面に残ることが観察されている。切削の深さ及びレーザの出力を変化させることにより、意図的にかつ制御された形で作用表面112におけるsp2 NDCの量を変化させることができる。同様に、溝の輪郭(深さ、幅、断面形状)、融除の経路、及び融除の範囲(例えば、表面全体の一部分、又は基板の全体など)を適宜選択できる。従って、特定かつ制御された最少量のNDC sp2材料を導入することにより、特定の種についてバックグラウンドに対する相対的信号が調節される。レーザ切削を適切に制御することにより、特定のセンサ及び特定の用途のために、電極を最適化することができる。
図15Aは、一例として、作用電極が実質的に平面の作用表面を有するBDD作用電極を備える、本明細書で考察される型のセンサ装置の遊離塩素反応を示すグラフである。図15Aに示されているように、NDC sp2汚染が極めて小さい本例のBDD電極は、塩素測定時に安定した信号を与えない。対照的に、図15Bは、少なくとも1つの融除領域に非ダイヤモンド成分を導入することにより、作用電極が上述のように処理された比較グラフである。この例では、融除処理された作用電極の信号応答が顕著に改善されている。この例では、センサは、上述のようにHOCLとOCL-のアノード及びカソード反応を測定している。強化されたBDD作用電極を使用するセンサは、同様に上記で詳細に考察されているとおり、二酸化塩素及び亜塩素酸塩などの他の種を他の例で測定することもできる。
電極は、堅牢で長い実用寿命を有する一方で、良好な信号出力を生成するのが有利である。従って、本明細書で考察されているセンサ装置及びセンシング方法も同様に、大幅に改善されている。
本発明の工業的用途は上記の考察から明らかであろう。本発明の利点も考察され、本発明の利点には塩素種センシングのための単純で信頼性が高く効果的な機構を提供することが含まれる。いくつかの実施形態では、pH緩衝剤又は試薬は必要とされない。更に、BDD作用電極の利点が上記で考察されている。
いくつかの好ましい実施態様が示され考察されているが、当業者には、添付された特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能であることが理解されるであろう。

Claims (20)

  1. ホウ素ドープダイヤモンド製基板を含む、電気化学センサ装置での使用に適した電極であって、
    基板は使用時に被測定試料を受け取る作用表面を与え、
    作用表面は少なくとも1つの融除領域を含み、
    融除領域が非ダイヤモンド炭素を含み、
    基板が、融除領域を除き、最少量の非ダイヤモンド炭素を含む多結晶ホウ素ドープダイヤモンドを含む、電極。
  2. 融除領域がsp2材料を含む、請求項1に記載の電極。
  3. 融除領域が1つ又は複数の溝を含む、請求項1に記載の電極。
  4. 融除領域が、作用表面における1つ又は複数の溝又はその周囲に非ダイヤモンド炭素を含む、請求項3に記載の電極。
  5. 基板が、融除領域を除き、最少量のsp2材料を含む、請求項1に記載の電極。
  6. 電気化学センサ装置であって、
    請求項1から5までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの作用電極と、
    少なくとも1つのホウ素ドープダイヤモンド製作用電極を使用してカソード還元プロセスを測定してカソード測定を行い、又、少なくとも1つのホウ素ドープダイヤモンド製作用電極を使用してアノード酸化プロセスを測定してアノード測定を行うように配置された測定ユニットと、
    カソード測定とアノード測定の両方を使用して、水溶液系内における2つの平衡種の含有量の総和を示す結果を出力するように配置された処理ユニットと
    を含む、装置。
  7. 測定ユニットが、同一の作用電極上でカソード測定とアノード測定の両方を連続的に実施するように構成される、請求項6に記載の装置。
  8. 測定ユニットが、少なくとも2つの各作用電極上でカソード測定とアノード測定とを同時に実施するように構成される、請求項6に記載の装置。
  9. 壁面噴流構成の1つ又は複数の作用電極を呈示する作用表面を有するハウジングを備え、使用時に被測定試料がハウジングの作用表面に対して実質的に垂直に当たり、作用電極の作用表面に達する、請求項6に記載の装置。
  10. 水溶液系の測定に適した電気化学センシング方法であって、
    請求項1から5までのいずれか1項に記載の作用電極を使用してカソード還元プロセスを測定してカソード測定を行うこと;
    請求項1から5までのいずれか1項に記載の作用電極を使用してアノード酸化プロセスを測定してアノード測定を行うこと;及び
    カソード測定とアノード測定の両方を使用して、水溶液系内における2つの平衡種の含有量の総和を示す結果を出力することを含む、方法。
  11. 1つの測定試料に関して実質的に同時に測定ステップを実施することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 別個のホウ素ドープダイヤモンド作用電極にてアノード及びカソード測定をそれぞれ実施することを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 単一のホウ素ドープダイヤモンド作用電極にて測定ステップを連続的に実施することを含む、請求項10に記載の方法。
  14. カソード測定により次亜塩素酸(HOCl)を測定し、アノード測定により次亜塩素酸イオン(OCl-)を測定することを含む、請求項10に記載の方法。
  15. 測定された次亜塩素酸(HOCl)と次亜塩素酸イオン(OCl-)との組合せとして、塩素処理水中の総遊離塩素を示す結果を出力することを含む、請求項10に記載の方法。
  16. カソード測定により二酸化塩素を測定し、アノード測定により亜塩素酸塩を測定することを含む、請求項10に記載の方法。
  17. 緩衝剤を用いて測定pHを制御することなく両方の測定ステップを実施することを含む、請求項10に記載の方法。
  18. 試薬の存在なしに両方の測定ステップを実施することを含む、請求項10に記載の方法。
  19. 作用電極が、測定される水溶液系に直接与えられる裸の作用電極である、請求項10に記載の方法。
  20. ばらつきがある試験電位に関して、S字形応答のモードの反転を観測することにより、アノード測定時に印加される電位を較正するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
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