JP5123131B2 - ダイヤモンド電極、化学センサ、及び、化学センサの製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド電極、化学センサ、及び、化学センサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、種々の用途に使用できるダイヤモンド電極、そのダイヤモンド電極を使用した化学センサ、及びその化学センサの製造方法に関し、詳しくは、針状突起配列構造を表面に有するダイヤモンド電極、及び、そのダイヤモンド電極を使用した化学センサに関する。
電気化学反応を利用した燃料電池、化学センサ、反応装置等に用いられる電極は、電気伝導性がよく、化学的に不活性で物理的にも強く、大表面積であることが好ましい。これらの条件を満たす電極として、ホウ素等の不純物をドープした導電性ダイヤモンド板からなるダイヤモンド電極が挙げられる。また、この種のダイヤモンド電極では、全体として疎水性領域である電極表面に凹部を形成し、その凹部を構成する導電性ダイヤモンドの表面を陽極酸化処理により酸素終端化して親水性領域とすることが提案されている。この場合、電気化学測定等の対象となる溶液等をその凹部表面に保持して、電気化学測定等を容易に実行することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−86037号公報
ところが、導電性ダイヤモンドの表面を陽極酸化処理により酸素終端化することによって親水性領域を構成する場合、その陽極酸化処理が煩雑であり、酸素終端化された部分の電極の特性も安定しない。また、上記酸素終端化だけでは十分な親水性が得られず溶液等を十分に保持できないため、上記のように凹部を形成する必要があり、製造工程が一層複雑化する。
そこで、本発明は、表面の一部に親水性領域を有するダイヤモンド電極であって、その製造が容易で特性の安定したダイヤモンド電極の提供、並びに、そのダイヤモンド電極を使用した化学センサ及びその製造方法の提供を目的としてなされた。
上記目的を達するためになされた請求項1記載の本発明は、導電性ダイヤモンド板からなるダイヤモンド電極であって、上記導電性ダイヤモンド板の表面の一部に針状突起配列構造を有する親水性領域が形成され、上記親水性領域の周囲が、表面に針状突起配列構造を有さない疎水性領域とされたことを特徴としている。
導電性ダイヤモンド板は、酸素プラズマ等によるエッチングを行うことによってその表面に針状突起配列構造を容易に形成することができる。そして、このように構成された針状突起配列構造は、極めて良好な親水性を呈する。そこで、本発明では、導電性ダイヤモンド板の表面の一部に針状突起配列構造を有する親水性領域を形成し、その親水性領域の周囲に表面に針状突起配列構造を有さない疎水性領域を配設している。このため、電気化学測定等の対象となる溶液等をその親水性領域に保持して、電気化学測定等を容易に実行することができる。また、上記のように針状突起配列構造は簡単な処理によって形成でき、陽極酸化処理による酸素終端化等を必要としないので導電性ダイヤモンドの特性も安定する。更に、針状突起構造によって、比表面積が大きく、そのため保水効果が高まり電気化学測定を行うのに十分な溶液等を保持することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、上記針状突起配列構造の少なくとも一部を構成する導電性ダイヤモンド表面に、触媒が付着されたことを特徴としている。このため、本発明では、請求項1記載の発明の効果に加えて、針状突起配列構造の少なくとも一部を構成する導電性ダイヤモンド表面に付着された触媒の作用により、特異な電気化学測定等を実行することができるといった効果が生じる。
請求項3記載の発明は、請求項1記載のダイヤモンド電極と、該ダイヤモンド電極の上記親水性領域の表面または周囲に設けられ、上記ダイヤモンド電極と絶縁された複数の電極と、を備えたことを特徴とする化学センサを要旨としている。
上記のように、請求項1記載のダイヤモンド電極の親水性領域は、極めて特性が安定しており極めて良好な親水性を呈する。そこで、本発明の化学センサでは、上記親水性領域の表面または周囲に、上記ダイヤモンド電極と絶縁された複数の電極を設けている。このため、本発明の化学センサでは、これら複数の電極及び上記ダイヤモンド電極を作用電極,対電極,参照電極等として使用することにより、電気化学測定等の対象となる溶液等を上記親水性領域に保持して、電気化学測定等を容易に実行することができる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成に加え、上記親水性領域が、上記導電性ダイヤモンド板の同じ側の表面に独立して複数形成され、上記電極が、上記各親水性領域の表面または周囲に、それぞれ複数設けられたことを特徴としている。このため、本発明では、請求項3記載の発明の効果に加えて、上記導電性ダイヤモンド板の同じ側の表面に独立して複数形成された各親水性領域で、複数の異なる電気化学測定等を同時に実行することができるといった効果が生じる。
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の構成に加え、上記針状突起配列構造の少なくとも一部を構成する導電性ダイヤモンド表面に、触媒が付着されたことを特徴としている。このため、本発明では、請求項3または4記載の発明の効果に加えて、針状突起配列構造の少なくとも一部を構成する導電性ダイヤモンド表面に付着された触媒の作用により、特異な電気化学測定等を実行することができるといった効果が生じる。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の構成に加え、上記複数の親水性領域のうち少なくとも2つが、上記針状突起配列構造を構成する導電性ダイヤモンド表面に互いに異なる触媒を付着され、若しくは、上記電極に印加される電圧が互いに異なることを特徴としている。本発明では、導電性ダイヤモンド板の同じ側の表面に独立して複数形成された少なくとも2つの親水性領域が、針状突起配列構造を構成する導電性ダイヤモンド表面に互いに異なる触媒を付着され、若しくは、電極に印加される電圧が互いに異なる。このため、本発明では、請求項4記載の発明の効果に加えて、各親水性領域で異なる電気化学測定等、例えば異なる成分の検出等を同時に実行することができるといった効果が生じる。なお、本発明における電圧が異なるとは、電圧値が異なってもよく、電圧の印加パターンが異なってもよい。
請求項7記載の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の構成に加え、上記各電極と上記ダイヤモンド電極との間に絶縁層を備え、該絶縁層及び上記各電極が、フォトリソグラフィ技術によるパターニングによって形成されたことを特徴としている。本発明では、ダイヤモンド電極の表面に絶縁層及び電極をフォトリソグラフィ技術によるパターニングによって形成している。これによって、上記親水性領域の表面または周囲に、上記ダイヤモンド電極と絶縁された複数の電極を設けることができる。このため、本発明では、請求項3〜6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、製造が一層容易になるといった効果が生じる。
請求項8記載の発明は、導電性ダイヤモンド板の表面に、複数の穴が形成されたマスクを配設した上で酸素プラズマによるエッチングを施し、該エッチングによって上記各穴に対応して形成された複数の各針状突起配列構造の表面または周囲に、フォトリソグラフィ技術によるパターニングによって、絶縁層を挟んで複数の電極をそれぞれ形成することを特徴とする化学センサの製造方法を要旨としている。
このように構成された本発明では、導電性ダイヤモンド板の表面に、複数の穴が形成されたマスクを配設した上で酸素プラズマによるエッチングを施すことによって、その導電性ダイヤモンド板の表面の一部に針状突起配列構造を有する親水性領域を形成することができる。そして、上記エッチングによって上記各穴に対応して形成された複数の各針状突起配列構造の表面または周囲に、フォトリソグラフィ技術によるパターニングによって絶縁層を挟んで複数の電極をそれぞれ形成することによって、上記ダイヤモンド電極と絶縁された複数の電極を形成することができる。このため、本発明では、請求項7記載の化学センサを容易に製造することができる。
[化学センサの構成及び製造方法]
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された化学センサの構成を表す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態の化学センサは、導電性ダイヤモンド板1の表面に、6個の円形の親水性領域3a,3b,3c,3d,3e,3fを有しており、各親水性領域3a,3b,3c,3d,3e,3fの表面には、それぞれ一対の電極5a,7a,5b,7b,5c,7c,5d,7d,5e,7e,5f,7fが形成されている。なお、以下の説明において、親水性領域3a〜3f等を個々に区別する必要がない場合は、添え字のa〜fを省略する。
先ず、本発明が適用されたダイヤモンド電極としての導電性ダイヤモンド板1の製造方法を説明する。図2は、親水性領域3a〜3fを有する導電性ダイヤモンド板1の製造工程を示す模式図である。先ず、図2の(1)に示すように、図示省略した基板上に、導電性ダイヤモンド板1を、ホウ素が添加されたホウ素ドープダイヤモンド薄膜として生成する。なお、導電性ダイヤモンド板1は、基板上に分離不能に生成されたものであってもよく、自立体型のものであってもよい。
この導電性ダイヤモンド板1の生成方法の一例として、マイクロ波プラズマCVD法が挙げられる。この方法では、先ず n-Si(111)基板に機械研磨によってダイヤモンドの種結晶を核付けする。そして、アセトンとメタノールの混合溶媒に酸化ホウ素を溶解させた溶液(ホウ素溶液)を水素ガスでバブリングすることにより発生したガスを、炭素源及びホウ素源として、マイクロ波プラズマCVD法によって上記基板上に導電性ダイヤモンド板1を生成する。
なお、本発明の発明者らが行った実験では、上記ホウ素溶液におけるB/C比が10000ppm、マイクロ波の周波数が2.45GHzという条件下において、7時間の生成処理で厚さが約18μmのホウ素ドープダイヤモンド薄膜(導電性ダイヤモンド板1)が得られた。すなわち、成膜速度は2.6μm/hであった。また、生成したホウ素ドープダイヤモンド薄膜内におけるホウ素原子は、薄膜内に一様に分布しており、その濃度はSIMSの測定結果からおよそ2×1021個/cm3 であり、表面は水素終端化されて疎水性であることが判明した。
次に、図2の(2)に示すように、図2の(1)で得られた導電性ダイヤモンド板1の表面にSiO2 薄膜13をスパッタリングによって製膜する。続いて、図2の(3)に示すように、SiO2 薄膜13の表面にレジスト15を塗布し、図2の(4)に示すように、親水性領域3a〜3fに対応する6個の穴17a(図2では1個のみ図示)が形成されたマスク17を介して露光する。これを洗浄して現像することにより、図2の(5)に示すように、穴17aに対向した部分のレジスト15のみを除去することができる。更に、これをエッチングすることにより、図2の(6)に示すように穴17aに対向した部分のSiO2 薄膜13のみを除去し、更に、図2の(7)に示すように、レジスト15を除去する。こうして、導電性ダイヤモンド板1の表面の、穴17aに対向しなかった部分のみをSiO2 薄膜13でマスクすることができる。
次に、このSiO2 薄膜13が形成された側から導電性ダイヤモンド板1に酸素プラズマによるエッチングを行うことで、図2の(8)に示すように、導電性ダイヤモンド板1の表面に針状突起配列構造を有する親水性領域3a〜3fを形成することができる。この酸素プラズマによるエッチング方法の一例としては、例えば、高周波をプラズマ発生源とする反応性イオンエッチングが挙げられる。この方法は、先ず、平行平板型反応性イオンエッチング装置(サムコ株式会社製、リアクティブイオンエッチング装置RIE−10NR)の電極上に、SiO2 薄膜13が形成された導電性ダイヤモンド板1を置き、100%酸素ガスをエッチングガスとして、ガス圧20Paの雰囲気下で、高周波周波数13.56MHz、高周波出力300Wで所定時間エッチングを行うことによってなされる。このエッチング処理により、導電性ダイヤモンド板1の表面に針状突起30(図3参照)が高密度で規則的に配列した親水性領域3が形成され、その親水性領域3を構成するダイヤモンドは酸素終端化される。
このようにして作成された導電性ダイヤモンド板1の表面(針状突起30を形成した側)に、図3に示すように、絶縁層9と電極5,7とを順次、フォトリソグラフィ技術によるパターニングの一例としてのリフトオフによって形成し、本実施の形態の化学センサが得られる。なお、種々のマスク17を使用して実験を行った結果、400μm程度の微小な親水性領域3も正確な形状に形成することができた。
[化学センサの効果]
このように構成された本実施の形態の化学センサでは、導電性ダイヤモンド板1の表面の一部に針状突起配列構造を有する親水性領域3を形成している。また、その親水性領域3の周囲は、表面に針状突起配列構造を有さない疎水性領域とされている。このため、電気化学測定等の対象となる溶液等を親水性領域3の表面に水滴状に盛り上がって保持することができ、その溶液等に対する電気化学測定等を容易に実行することができる。この電気化学測定は、電極5,電極7,導電性ダイヤモンド板1を参照電極,対電極,作用電極等として周知のポテンシオスタット等に接続することによってなされる。
ここで、本実施の形態の化学センサでは、測定対象の溶液を親水性領域3の表面に水滴状に盛り上がって保持することができるので、ガラス容器等を用意する必要がなく、親水性領域3が形成された面が上になるように導電性ダイヤモンド板1を水平に載置するだけでよい。このため、次のように、ガラス等を溶解させる溶液に対する電気化学測定も容易に実行することができる。
図4は、硫酸銅濃度100μM溶液を用い、析出電位を−1.0V,析出時間を180sとしてCu2+イオンを析出させるリニアスイープボルタンメトリ(以下LSVという)を行って得られたボルタモグラムを表している。図4に示すように、−0.4〜−0.3V間に酸化電位が表れていることが確認できる。
次に、図5は、このLSVを、析出時間を変化させることで得られた電流値を表している。図5に示すように、180s辺りから電流値が飽和していくのが分かる。これは、析出したCu0 が180s辺りで針状突起30の表面を埋め尽くしてしまい、それ以降は既に析出したCu0 上に析出していくためと考えられる。
また、電解質溶液として63−バッファー液(商品名:NH4HF2 ,NH4Fの混合液)を使用した場合と0.1M硫酸を使用した場合とで電流値に差が生じているが、これはそれぞれのpH(63−バッファー液:pH5〜6、0.1M硫酸:pH1以下)が違うためだと考えられる。
Cu2+イオン濃度によっても、Cu0 酸化の電流値が大きく変化してくると考えられる。そこで、各種のCu2+イオン濃度でLSVを行い、得られた電流値に基づいて図6に示す検量線を作成した。いずれの電解質溶液でもCu2+イオン濃度に比例して電流値が上昇しており、定量を行うことが可能なことが分かった。なお、Cu2+イオンの検出方法として、析出時間を180sにしたLSVは、類似の検出方法としてのCV(サイクリックボルタンメトリ)に比べて感度(電流値)の向上が見られた。
また、実際に測定したCVとLSVとのデータを比較すると約10〜20倍の感度であることが確認でき、Cu2+イオン濃度が1mMや100μMでは約10倍であるのに対して10μMでは約20倍と、濃度が低くなるに従って感度は上がった。これは濃度が高い場合は針状突起30に近い場所のCu2+イオンが析出するだけであるのに対し、濃度が低い場合は針状突起30から近い場所だけでなく、離れた場所からもCu2+イオンが析出されるためと考えられる。
このように、本実施の形態の化学センサでは、親水性領域3とその周囲の導電性ダイヤモンド板1との疎水・親水性の差を利用して溶液を保持することができるので、シリコンO‐リングなどで反応面積を規定する必要はなくなり、反応面積を指定でき、かつ簡易な測定ができることが分かった。また、上記実験から、本実施の形態の化学センサは、強酸性溶液中やシリコン溶解用のフッ素系溶液中でも高い耐久性・耐腐食性を示すことが分かった。すなわち、この種の溶液からなる試料を測定する場合、従来のようにガラス容器内でLSV,CV等を行う方法では、容器を構成するガラスが溶解して測定が不可能であったが、本実施の形態の化学センサを用いることにより、そのような溶液に対する電気化学測定が可能となる。
[マルチセンサへの応用]
次に、針状突起30に触媒を付着させることにより、各種の特異的な電気化学測定への応用を試みた。例えば、導電性ダイヤモンド板1に金をスパッタリングし、アニールすることにより、図7に模式的に示すように針状突起30の表面に金粒子31を付着させることができる。
図8は、As23を100ppb含む0.25M硫酸溶液に対して、アノディックストリッピングボルタンメトリ(以下ASVという)による検出を各種電極を用いて行って得られたボルタモグラムを表している。図8に示すように、金をスパッタリングしていない導電性ダイヤモンド板1(Whisker)や、平板状の金電極(bare Au)を電極として使用した場合に比べ、上記のように金をスパッタリングした導電性ダイヤモンド板1(Sputtered Whisker)を電極として使用した場合、ヒ素のストリッピングが早く表れ、ピーク形状も鋭くなった。すなわち、分解能が向上した。
また、図9(A)は、金をスパッタリングした導電性ダイヤモンド板1を使用して、種々のAs23濃度に対して得られた上記ボルタモグラム、及び、それに基づいて作成された検量線を表している。図9(B)に示す金電極を使用した場合のボルタモグラム及び検量線と比較して分かるように、金をスパッタリングした導電性ダイヤモンド板1では、検量線の傾きも大きく、感度を向上させることができることが証明された。
このように、導電性ダイヤモンド板1に上記スパッタリング等の各種修飾を行うことで、特定の成分を良好に検出することができる。また、電気化学的手法としても種々の周知の手法が適用でき、前述のCVやクロノアンペロメトリ、毎回少しずつ違うパルス状の電位を周期的に与えて一定時間ごとに電流を測るようにしたパルスボルタンメトリ、その他に交流インピーダンス法によっても測定することができる。また、溶液中に存在する目的成分を作用電極に濃縮する工程と濃縮させた析出物を再溶解させる工程とからなるストリッピングボルタンメトリでは、濃縮操作を伴うのでより高感度測定が可能となる。
そこで、本実施の形態の化学センサでは、親水性領域3a〜3fの各部で電極の修飾状態または電気化学的手法を異ならせることにより、1つの試料に対する1回の測定で種々の成分を検出可能とすることができる。以下、その一例について説明するが、これ以外にも種々の設定を変更して異なった成分を検出することも可能である。
親水性領域3aでは、導電性ダイヤモンド板1を未修飾の状態とし、クロノアンペロメトリの手法により塩素の検出を可能とした。親水性領域3bでは、導電性ダイヤモンド板1を未修飾の状態とし、ASVの手法でNi,Fe,Crの検出を可能とした。親水性領域3cでは、導電性ダイヤモンド板1を未修飾の状態とし、ASVの手法でPb,Cdの検出を可能とした。但し、この親水性領域3cでは、電圧等のパラメータを親水性領域3bとは異ならせた。親水性領域3dでは、針状突起30の表面に銀粒子を付着させ(上記のようなスパッタリングによっても、蒸着等の他の方法によってもよい)、クロノアンペロメトリの手法によりヨウ素の検出を可能とした。親水性領域3eでは、針状突起30の表面に金粒子31を付着させ(上記のようなスパッタリングによっても、蒸着等の他の方法によってもよい)、ASVの手法によりヒ素の検出を可能とした。親水性領域3fでは、針状突起30の表面に白金粒子を付着させ(上記のようなスパッタリングによっても、蒸着等の他の方法によってもよい)、クロノアンペロメトリの手法により過酸化水素の検出を可能とした。
[本実施の形態の効果及びその変形例]
このように、本実施の形態の化学センサでは、試料を各親水性領域3a〜3fに独立した水滴状に保持して電気化学測定を容易に実行することができ、同一試料に対する異なる成分の検出も同時に実行することができる。また、上記のように針状突起配列構造は簡単な処理によって形成でき、陽極酸化処理による酸素終端化等を必要としないので導電性ダイヤモンド板1の特性も安定する。更に、絶縁層9や電極5,7もフォトリソグラフィ技術によるパターニングによって形成しているので、製造を一層容易にすることができる。
なお、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、電極5,7は親水性領域3の外周に隣接して設けてもよく、絶縁層9を省略して、電極5,7は導電性ダイヤモンド板1の上方から吊るしてもよい。また、導電性ダイヤモンド板1の製造方法としても、上記以外に種々の方法が適用できる。更に、導電性ダイヤモンド板1は、化学センサ以外にも種々の用途に使用することができる。また更に、親水性領域3は円形に限定されるものではなく、矩形等の各種形状に形成することができる。
本発明が適用された化学センサの構成を表す斜視図である。 その化学センサの導電性ダイヤモンド板の製造工程を表す模式図である。 その化学センサの電極の構成を表す模式図である。 その化学センサによってCu2+イオンを析出させるLSVの結果を表すボルタモグラムである。 そのLSVを析出時間を変化させて得られた電流値を表すグラフである。 そのLSVを各種のCu2+イオン濃度で行って得られた検量線である。 上記導電性ダイヤモンド板に金をスパッタリングした状態を表す模式図である。 その導電性ダイヤモンド板によってヒ素を検出するASVの結果を、他の電極との比較において表すボルタモグラフである。 そのASVを各種濃度のヒ素に対して行った結果及びそれによって得られた検量線を、金電極との比較において表すボルタモグラフである。
符号の説明
1…導電性ダイヤモンド板 3…親水性領域 5,7…電極
9…絶縁層 13…SiO2 薄膜 15…レジスト
17…マスク 30…針状突起 31…金粒子

Claims (8)

  1. 導電性ダイヤモンド板からなるダイヤモンド電極であって、
    上記導電性ダイヤモンド板の表面の一部に針状突起配列構造を有する親水性領域が形成され、
    上記親水性領域の周囲が、表面に針状突起配列構造を有さない疎水性領域とされたことを特徴とするダイヤモンド電極。
  2. 上記針状突起配列構造の少なくとも一部を構成する導電性ダイヤモンド表面に、触媒が付着されたことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド電極。
  3. 請求項1記載のダイヤモンド電極と、
    該ダイヤモンド電極の上記親水性領域の表面または周囲に設けられ、上記ダイヤモンド電極と絶縁された複数の電極と、
    を備えたことを特徴とする化学センサ。
  4. 上記親水性領域が、上記導電性ダイヤモンド板の同じ側の表面に独立して複数形成され、
    上記電極が、上記各親水性領域の表面または周囲に、それぞれ複数設けられたことを特徴とする請求項3記載の化学センサ。
  5. 上記針状突起配列構造の少なくとも一部を構成する導電性ダイヤモンド表面に、触媒が付着されたことを特徴とする請求項3または4記載の化学センサ。
  6. 上記複数の親水性領域のうち少なくとも2つが、上記針状突起配列構造を構成する導電性ダイヤモンド表面に互いに異なる触媒を付着され、若しくは、上記電極に印加される電圧が互いに異なることを特徴とする請求項4記載の化学センサ。
  7. 上記各電極と上記ダイヤモンド電極との間に絶縁層を備え、
    該絶縁層及び上記各電極が、フォトリソグラフィ技術によるパターニングによって形成されたことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の化学センサ。
  8. 導電性ダイヤモンド板の表面に、複数の穴が形成されたマスクを配設した上で酸素プラズマによるエッチングを施し、
    該エッチングによって上記各穴に対応して形成された複数の各針状突起配列構造の表面または周囲に、フォトリソグラフィ技術によるパターニングによって、絶縁層を挟んで複数の電極をそれぞれ形成することを特徴とする化学センサの製造方法。
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