JPS6153245B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は可撓性のある補強材を被補強パネルに
装着硬化するときの位置決め構造に関する。

軽量化は省エネルギ省資源の有効な対策である
ことが知られている。しかし、単純に軽量化する
と強度剛性の低下があらわれて実用上の問題が生
じる。このような場合に、パネルの剛性を補強す
るものとして後述のような補強材がある。

この補強材は使用前は可撓性を有しており、被
補強パネルの形状に容易に追従して装着でき、そ
の後硬化して補強性能を得るものである。

ところが、補強材は使用前あるいは装着前には
可撓性を有しているため、その形状等を利用して
位置決め装着することが困難である。しかも、立
面等では貼着することになるので、装着作業時に
他所に貼り付いたり、位置ズレが生じたりすると
作業がやりにくく、補強材が損壊してしまつたり
する。

第１図に示すように、自動車のドア１を例にと
ると、作業孔１１あるいは作業孔１２より補強材
２をドア１の内部に搬入し、しかもその中で位置
決めし装着しなければならない。狭い場所での装
着は作業性が悪い。そこでパネル面に位置決めピ
ンを突設したりすることは外板面の性質上不可能
であり、ドア１自体のいずれかの場所に位置決め
手段を設けることも、ドア１自体に余分な加工を
要し、必ずしも得策ではない。

本発明は上記問題点に着目してなされたもの
で、被補強パネルの一辺に係止フツクを有するク
リツプを嵌入し、その係止フツクに補強材の一端
を係止することにより位置決めをし、被補強パネ
ルには何らの加工も要さず補強材の位置決めがで
きる補強材の位置決め構造を提供するものであ
る。

以下、図示実施例に基づき本発明を説明する。

なお、同一部位には同一符号を付する。

第２図乃至第４図に示すように、クリツプ３は
ウエストモールあるいはウエストウエザストリツ
プの取付クリツプを兼ねており、断面はＵ字形を
互に逆にして接続した形状でドア１の外板パネル
１３の上辺に形成したフランジ１４へ嵌入するフ
ランジ係止爪３１とモール係止爪３２とが両端に
形成されており、ドア１の内部に向かう部位には
係止フツク３３がクリツプ３本体より延長して形
成されている。一方、補強材２は、補強樹脂層４
の一端を延長し、係止フツク３３に嵌合する係合
環５１が穿設された係止部５が延設されている。

補強材２の装着手順を第３図を主として参照し
ながら説明すれば、先ず補強材２をドア１の作業
孔１１あるいは作業孔１２よりドア１内に搬入
し、係合環５１を係止フツク３３に嵌合させ垂下
すれば第３図ａに示す状態となる。次に係止部５
を基準にしてドアの外板パネル１３の裏面に補強
材２の裾部２１の下面の装着面２２を押し当てて
貼着すれば第３図ｂに示すように、補強材２は外
板パネル１３の形状に追従して貼着される。本実
施例では、ビード形成材６が発泡膨張して補強樹
脂層４を押し上げてビード状膨出部２３を形成し
第３図ｃに示す状態となる。ビード状膨出部２３
が形成されると補強樹脂層４は硬化し、使用状態
の補強材２となる。補強材の発泡硬化は通常加熱
によりなされるので、その後に第４図に示すよう
に、ウエストモールＭおよびウエストウエザスト
リツプＷがクリツプ３に嵌入して取り付けられ
る。

第５図は本発明の他の実施例を示し、フランジ
係止爪３１と係止フツク３３だけが形成された専
用クリツプ３としたものである。

次に補強材について第６図乃至第９図により説
明する。

第６図乃至第８図に示す例では、補強材２は、
使用前は未硬化ないし半硬化状態で可撓性を有
し、好ましくはエポキシ樹脂であるが、メラミン
系、フエノール系、ウレア系等の熱硬化、常温硬
化性樹脂、さらに使用条件が許せば熱可塑性樹脂
でも良く、それらがプリプレグ状態に調製されて
いる補強樹脂層４の下に、補強樹脂層４より巾の
狭いビード形成材６を添わせて成り、ビード形成
材６の巾より広く張り出した補強樹脂層４の裾部
２１の下面が装着面２２をなしている。この例で
は、ビード形成材６は第６図および第７図に示す
補強材の装着前には未発泡で、補強樹脂層４が硬
化する前に発泡して膨張し、第８図に示すように
ビード状膨出部４１を形成する発泡性の発泡ポリ
エチレンシートが用いられている。断面は長方形
断面でなく円形その他の断面をとり得、熱可塑
性、熱硬化性の他の材料でも良く、発泡前には可
撓性を有する。また、装着時に発泡するものでは
なく、既発泡済の可撓性のある発泡材料、あるい
は、段ボール、ロープ等可撓性があつて断面を形
成する材料でも良い。

補強材２の装着面２２は立面に装着する場合は
粘着性を備えさせて貼着する。ビード形成材６が
発泡性シートの場合は、第７図に示すようにビー
ド状膨出部４１が形成されない段階で装着され、
その後ビード形成材６が発泡して第８図に示すよ
うにビード状膨出部４１を形成する。ビード形成
材６に発泡性材料を用いない場合は、当初より第
８図に示すようにビード状膨出部４１が形成され
たまま装着される。そして、装着後に補強樹脂層
４は硬化して高い剛性を有する使用状態になる。
装着時には可撓性を有して補強対象の形状に追従
し易く、その後は強固になるわけである。

第９図は、前記補強材２をさらに改良した他の
例で、付加した構成は前記例の構成に適宜付加適
用できるものである。すなわち、補強樹脂層４は
上層の、ガラス繊維、カーボン繊維、金属線、ナ
イロン、麻、クラフト紙等の有機質、無機質の各
種繊維を、織布、不織布、単繊維混練、埋設、添
着等により強化した補強樹脂層４２と、樹脂の膨
張収縮を原因とする補強対象の面のヒケを防止す
るため、少なくとも、装着面２２には設けられ、
ヒケを防止できる程度の軟らかさに硬化し、しか
も、補強効果を著しく減じない程度の弾性は維持
する軟質樹脂層４３との二層構成にしてあり、補
強樹脂層４の表面が粘性を有して取り扱いにくい
場合はポリエステル等のフイルム４４が添着さ
れ、補強対象の表面には亜鉛処理膜、塗膜等の防
錆膜７が施こしてある。

本発明に係る補強材の位置決め構造によれば、
装着時に補強対象の形状への追従性が良い反面、
形状が定まらず位置決めしにくい補強材を、クリ
ツプにより位置決めするようにしたもので、補強
対象は特に加工する必要はなく、設定し易い位置
決め構造とし、軽くて補強効果が高く、軽量化に
極めて有効な補強材を装着する際の作業性を向上
させ、補強材を使用し易くするから軽量化のため
広汎に補強材料を利用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車のドアの斜視図、第２図乃至第
４図は本発明の一実施例を示し、第２図は分解斜
視図、第３図は補強材の装着状態を説明するドア
の垂直断面図、第４図はクリツプ付近の完成状態
の部分垂直断面図、第５図は本発明の他の実施例
を示すドアの部分垂直断面図、第６図乃至第８図
は補強材の一例を示し、第６図は斜視図、第７図
は硬化、発泡前の装着状態の斜視図および横断面
図、第８図は同様に硬化、発泡後を示し、第９図
は補強材の他の例の硬化、発泡後を示す斜視図お
よび横断面図である。 １……ドア、１１，１２……作業孔、１３……
外板パネル、２……補強材、３……クリツプ、３
３……係止フツク、４……補強樹脂層、５……係
止部、５１……係合環、６……ビード形成材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被補強パネルの上端に形成されているフラン
   ジに、係止フツクを有するクリツプを嵌入し、一
   方、使用前は末硬化ないし半硬化状態で可撓性を
   有する補強樹脂層に、該補強樹脂層より巾が狭
   く、少なくとも補強材の装着前は可撓性を有し、
   該補強樹脂層が硬化する前に該補強樹脂層にビー
   ド状膨出部を形成するビード形成材を添わせ、該
   ビード形成材の巾より広く張り出した該補強樹脂
   層の裾部の下面が装着面をなす補強材の上端部
   に、該クリツプの該係止フツクと係合する係止部
   を延設したことを特徴とする補強材の位置決め構
   造。 ２ 被補強パネルはドアアウタパネルであつて、
   クリツプはドアアウタパネルのウエストフランジ
   に嵌入されたウエストモールおよびウエストウエ
   ザストリツプを取り付けるためのクリツプである
   特許請求の範囲第１項記載の補強材の位置決め構
   造。