JPS6152553B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規かつ改良された磁気デイスクカー
トリツジの構造に関するものである。

近年、小型コンピユータの磁気記録媒体とし
て、フロツピイデイスクと称する磁気デイスクが
広く使用されるに至つている。この磁気デイスク
は、一般にその中央に磁気デイスク用回転駆動軸
を挿通するための円形開口を設けると共に、その
周囲に磁気ヘツド用の長円形開口を設けた、熱可
塑性プラスチツクシートからなる袋状カバー内に
収容され、また、このカバーの内側にはデイスク
表面に接触してデイスクを回転自在に接触支持す
る不織布からなるライナーが設けられている。

しかして、上記従来公知の磁気デイスクカート
リツジは、一般に、熱可塑性プラスチツクシート
を所定の外郭寸法形状に截断し、ついで該シート
の内面に熱可塑性プラスチツク繊維の不織布を載
置してこれらを部分的に溶着一体化した後、これ
を袋状に折曲げ加工し、ついで側方の周縁部をス
ポツト溶着し、続いて中央の円形開口ならびにそ
の周縁の長円形開口等を打抜き加工し、最後に袋
状カバーの内部に磁気デイスクを収納し、上記残
りの一方の周縁部を折曲げ加工した後、この周縁
部をスポツト溶着することにより磁気デイスクカ
ートリツジを完成させていた。

しかしながら、かかる従来公知の磁気デイスク
カートリツジでは、カバーシートの折曲げ加工に
際し、その折曲げ角度のわずかな変化によつて袋
状カバーの内部に形成される磁気デイスクを回転
させるための空隙寸法が微妙に変化し、そのため
に磁気デイスクの回転トルクのバラツキが大きく
なるという難点があり、また、通常、上記折曲げ
加工は加熱しながら行なうものであり、しかもこ
の加熱は局部的なものであるために、磁気デイス
クカートリツジの耐熱性評価にあたり、上記局部
加熱時の熱的歪が現われやすく、カバーの表面に
反りとかふくらみ等が出やすいほか、その折曲げ
加工性の見地から、カバーシートの材質選択範
囲、肉厚選択範囲がせまいという問題があり、さ
らに、その製法工程が複雑で製品コストが高いほ
どの不利、欠点があつた。

本発明はかかる従来の磁気デイスクカートリツ
ジにおける種々の問題点を解決するべく提案され
た新規かつ改良された磁気デイスクカートリツジ
に関するものであり、これはそれぞれ別個に成形
された熱可塑性プラスチツクからなる２枚の方形
シート状カバー部材からなり、各カバー部材の周
囲に互に係合する立上り壁部を設けると共に、少
なくとも一方のカバー部材のコーナー部内側に磁
気デイスクの回転空間を規制する立上り段部を設
け、各カバー部材の内面にそれぞれライナー層を
配設し、このライナー層間に磁気デイスクを配置
して上記２枚のカバー部材を上記立上り段部で接
合一体化して成ることを特徴とするものである。

これを説明すると、本発明の磁気デイスクカー
トリツジにおける最大の特徴点は、磁気デイスク
カートリツジをそれぞれ別個に成形された熱可塑
性プラスチツクからなる２枚のシート状カバー部
材を接合一体化することによつて構成する点にあ
り、これによつて１枚の熱可塑性プラスチツクシ
ートを袋状に折曲げ加工した後その周縁部を接合
一体化して製作していた従来の磁気デイスクカー
トリツジにおける種々の問題点を解決しようとす
るものである。

以下、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明
する。

まず、第１図〜第３図は、この種従来公知の磁
気デイスクカートリツジの代表的なものを例示し
てなるものであつて、図中１は熱可塑性プラスチ
ツクシートを２つ折りに折曲げ加工し、さらにそ
の３方の周縁部１ａ，１ｂ，１ｃを折曲加工し
て、該周縁部をスポツト溶着してなるカバーシー
トであり、２は上記カバーシート１の折曲げ加工
に先だつてカバーシートの内面に部分的に溶着一
体化した、たとえば熱可塑性プラスチツク繊維の
不織布からなるライナー層、３は磁気デイスクで
ある。また、４，５はそれぞれ磁気デイスク回転
駆動軸を挿通するための円形開口および磁気ヘツ
ド用の長円形開口である。

第４図以下の図面はいずれも本発明になる磁気
デイスクカートリツジを例示するものであつて、
第４図はその代表的実施例の平面図、第５図は第
４図−線における分解断面図、第６図はその
コーナー部分の拡大断面図である。

第４図〜第６図から明らかなように、本発明の
磁気デイスクカートリツジは、それぞれ別個に成
形された熱可塑性プラスチツクからなる２枚の略
方形シート状カバー部材１１，１２と、その内側
に配設した２つのライナー層１３，１４およびこ
のライナー層間に配置した磁気デイスク１５の５
部材からなるものである。

本発明におけるシート状カバー部材１１，１２
は、通常のカレンダー法、Ｔダイ法等で予め成形
された熱可塑性プラスチツクシートを真空成形法
圧空成形法あるいはプレス成形法等によつて２次
加工することにより得られるもので、これらのカ
バー部材にはその周縁部にほゞ垂直な立上り壁部
１１ａ，１２ａが形成されると共に、一方のカバ
ー部材１２のコーナー部内側に立上り段部１２ｂ
を設けるのか、あるいは第７図に示すように双方
のカバー部材のコーナー部内側にそれぞれ立上り
段部１１ｂ，１２ｂが形成される。

この立上り段部１１ｂおよびまたは１２ｂは、
磁気デイスク１５の回転空間を規制するうえに重
要な役割りを果すと共に、２枚の方形カバー部材
１１，１２を接合一体化するうえにも利用され
る。

本発明においては、カートリツジをそれぞれ別
個に成形された２枚のシート状カバー部材を接合
一体化して構成することによつて、その寸法精度
を向上すると共に、その機械的強度を高め取扱い
に際してたわみにくいものとしているのである。
すなわち、上記カバー部材１１，１２は上述のよ
うに真空成形、圧空成形などにより成形するもの
であるから、従来の折曲げ加工より得られる袋状
のカバーと比較して、その寸法精度がはるかに高
く、特に磁気デイスクの回転空間はその立上り段
部１１ｂおよびまたは１２ｂの立上り高さによつ
て精確に規制され、したがつて回転トルクのむら
が生じるおそれは全くないのである。また、本発
明のシート状カバー部材１１，１２には、それぞ
れ周壁部１１ａ，１２ａが形成され、これらがそ
の一体化時に、第６図、第７図に示すように相互
に係合して密接されるため、このような構成とさ
れたカートリツジは、従来の袋状カバーからなる
ものに比較してその曲げ強度が飛躍的に増大し、
したがつてこのカートリツジを小型コンピユータ
の所定個所に出入れするなどその取扱い中にたわ
みにくく、また、その内部に収納された磁気デイ
スク１５が極めて安全に保護されるのである。そ
の上、本発明のカートリツジは、通常上記立上り
段部１１ｂ，１２ｂにおいて部分的に接着ないし
溶着一体化されるのであるが、接着剤による一体
化の場合は全く問題はなく、溶着の場合にもその
溶着時の部分的加熱に伴なうカバー部材１１，１
２の加熱変形が上記立上り段部１１ｂ，１２ｂだ
けに止まつてその全体に広がりにくく、高い寸法
精度を維持するのに好都合とされるのである。

つぎに、本発明におけるライナー層１３，１４
について説明すると、本発明におけるライナー層
としては上記カバー部材１１，１２をそれぞれ別
個に成形したものとすることに開連して種々の態
様を採ることができるのである。

すなわち、このライナー層１３，１４は、この
種従来のカートリツジと同様に、カバー部材１
１，１２の内面に熱可塑性プラスチツク繊維から
なる不織布を斑点模様に溶着するか、複数の溶着
線によつて部分的に溶着一体化する態様のほか
に、ライナー層を植毛層によつて構成するとか、
たわみにくいライナー層をカバー部材の内面に溶
着一体化することなく単に配置しただけの態様も
採ることができるのである。

従来のカートリツジと同様に、たとえば熱可塑
性プラスチツク繊維の不織布からなるライナー層
をカバー部材に対して部分的に溶着一体化する場
合には、不織布を予め所定の寸法形状、たとえば
円形に裁断しておき、この不織布をカバー部材１
１，１２の周壁部１１ａ，１２ａを利用してカバ
ー部材の内面に配置した後、部分的に溶着一体化
すればよく、この際不織布の位置決めが極めて容
易であるので、その作業性は良好なものとされ
る。

一方、ライナー層１３，１４を植毛層をもつて
構成する場合には、カバー部材１１，１２の内面
にスクリーン印刷法などにより所望の形状に接着
剤層を塗布し、ついで従来公知の静電植毛法にし
たがい植毛層を施せばよい。この植毛層の形成は
カバー部材に対する開口１６，１７の打抜き加工
の前後のいずれでも差支えはない。ライナー層を
植毛層で構成する場合には、磁気デイスクが植毛
層の繊維の先端に接触して支持されるので、不織
布からなるライナーに比較してその接触摩擦抵抗
が大巾に軽減されるほかに、不織布からなるライ
ナーを設けた従来品において問題とされていた高
湿度雰囲気下におけるカバーの反りなどもないの
である。

第８図、第９図はカバー部材１２（あるいは１
１）の内面に植毛層からなるライナー１４（ある
いは１３）を施した状態を例示してなるものであ
つて、図面に示すように、上記植毛層は開口１
６，１７へのはみ出しを防止するために開口周縁
部には若干の空白部を形成することがよく、ま
た、第９図に示すように放射状の空白部を形成す
るときは、この空白部にて脱落繊維、脱落磁気粉
等を捕集できるので好都合である。

他方、ライナー層をカバー部材の内面に溶着一
体化することなく分離した状態で配置する場合
は、このライナー層をある程度の腰の強い剛性あ
る不織布で構成するとか、あるいは適当なバツク
アツプシートを不織布を添着一体化したり、植毛
層を施したりしたものとすることができる。第１
０図〜第１２図は分離形ライナーの平面形状を例
示してなるものであつて、これらはいずれもカバ
ー部材の内面に配置したとき、その外周囲がカバ
ー部材１１，１２の周壁部１１ａ，１２ａおよび
または立上り段部１１ｂ，１２ｂに接してカバー
部材１１，１２の内面でガタつくことのないよう
なものとされている。第１３図はこれら分離形ラ
イナーが剛性ある不織布１３からなるものの場合
の断面図であり、第１４図はライナー１３ａがバ
ツクアツプシート１３ｂによつて裏打ちされた場
合の断面図であり、このバツクアツプシート１３
ｂに接合一体化された層１３ａは不織布層あるい
は植毛層のいずれでもよい。

本発明のカートリツジにおいて、そのライナー
１３，１４を上記のように分離形とする場合の利
点は、カートリツジの製作過程ならびにカートリ
ツジの使用を通じてカバー部材１１，１２の平担
部分に変形が起りにくい点にある。すなわち、た
とえば熱可塑性プラスチツク繊維の不織布をカバ
ー部材の内面に溶着一体化する場合には、その製
作に当り溶着が斑点模様あるいは平行線模様に部
分的に行なわれる場合であつても、その溶着部は
多かれ少なかれ熱歪を起してカバー部材の表面に
微妙な凹凸を生じ、またその使用を通じてカバー
部材とライナー層とは、その材質の違いにより温
度や湿度などの環境条件の変化に伴なつて反りや
たわみが生じ、結果的にその使用に際して磁気デ
イスクの回転状態に悪影響を及ぼすものである
が、ライナーを分離形とするときにはこのような
不利欠点がすべて解消されるのである。また、ラ
イナーを分離形とするときには、磁気デイスクカ
ートリツジを製作するに当り、磁気デイスク１５
をはさんでその両側にライナー１３，１４を重ね
合せ、これらを２枚のカバー部材１１，１２間に
配置したのち、カバー部材のコーナー部に設けた
立上り段部を接着ないし溶着一体化するだけで極
めて容易に製作することができるのである。

以上説明した通り、本発明の磁気デイスクカー
トリツジは、それぞれ別個に成形された熱可塑性
プラスチツクからなる２枚の方形シート状カバー
部材を接合一体化して構成してなるものであり、
これによれば従来公知の１枚の熱可塑性プラスチ
ツクシートを袋状に折曲げ加工し、その周縁部を
接合一体化したものに比較して、(1)その寸法精度
を著しく高めることができ、特に磁気デイスクの
回転空間を精確に規制できる、(2)機械的強度を高
めることができ、カートリツジの取扱いを容易な
ものとすると共に磁気デイスクの保護をより確実
なものとすることができる、(3)環境温度変化、湿
度変化に対して変形しにくく極めて安定したもの
とすることができる、(4)ライナーの取扱いが容易
で、製作を容易なものとすることができる、など
種々のすぐれた効果が与えられ、したがつてその
実用的価値はすこぶる大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来公知の磁気デイスクカートリツジ
の代表的実施態様の平面図、第２図はその正面
図、第３図はその部分拡大断面図である。第４図
は本発明になる磁気デイスクカートリツジの代表
的実施例の平面図、第５図は第４図−線にお
ける分解断面図、第６図は部分拡大断面図、第７
図は他の実施例の部分拡大断面図である。第８
図、第９図は本発明のカートリツジに採用可能な
植毛層からなるライナーのそれぞれ異なる態様の
平面図、第１０図、第１１図、第１２図は本発明
のカートリツジに採用可能な分離形ライナーのそ
れぞれ異なる態様の平面図、第１３図、第１４図
は上記分離形ライナーのそれぞれ異なる態様の断
面図である。 １……カバーシート、１ａ，１ｂ，１ｂ……周
縁部、２……ライナー層、３……磁気デイスク、
４……円形開口、５……長円形開口、１１，１２
……シート状カバー部材、１１ａ，１２ａ……立
上り壁部、１１ｂ，１２ｂ……立上り段部、１
３，１４……ライナー層、１５……磁気デイス
ク、１６……円形開口、１７……長円形開口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ それぞれ別個に成形された熱可塑性プラスチ
   ツクからなる２枚の方形シート状カバー部材から
   なり、各カバー部材の周囲に互に係合する立上り
   壁部を設けると共に、少なくとも一方のカバー部
   材のコーナー部内側に磁気デイスクの回転空間を
   規制する立上り段部を設け、各カバー部材の内面
   にそれぞれライナー層を配設し、このライナー層
   間に磁気デイスクを配置して上記２枚のカバー部
   材を上記立上り段部で接合一体化して成ることを
   特徴とする磁気デイスクカートリツジ。