JPS6146090Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、プレハブ住宅の例えば２階床梁に対
し、２階床構造を設置するための根太受を取付け
るに当り、床梁の断面形状が変つても同一の取付
金物を用い、かつ同一の取付方法によつて、迅速
容易かつ安定堅牢な取付け施工が可能であるよう
にしたものに関する。

プレハブ住宅における２階部分において、２階
床梁に対し床構造の基礎となる根太受を取付ける
に当つては、その施工に際して以下の問題点があ
る。即ち２階床梁に対しかかる根太受を取付ける
場合、プレハブ住宅ではその床梁がＨ形鋼梁や角
鋼管梁のように形状が異なる事があり、また床梁
の上面には通常２階パネルの下端が建て込まれる
ので、２階パネルから逃げた位置に根太受を取付
け、この根太受上に根太、床板等を設置して床を
構成することになる。このため従来はその床梁の
形状によつて取付長さの相違した腕木状の取付金
物を用い、同金物の一端を床梁の多くは側面側に
固定するのであるが、腕木状の長さが大きな時に
は、その変形を防ぐために取付金物と床梁との間
に補強用の控え金物を取付ける事も必要とされ、
床梁の断面形状に対応した各種の取付金物の準備
や、補強構造の施工等は、きわめて面倒である。

また一方では、プレハブ住宅の建設に当り、各
種鉄鋼材による柱や梁による骨組の組立が完了し
て後、外壁パネルを柱、梁間に建て込むことにな
るが、パネル建込みに当つて、それ以前に根太受
を床梁側に取付けることができれば、根太受によ
つて外壁パネル建込みのための作業床を仮りに設
置することができて利便であるが、従来の根太受
取付金物による取付構造ではこれを行なう事が困
難である。これらはプレハブ住宅の大きな特徴で
あるローコスト、スピード建設の利点を減殺する
ものであつて、その解決が望まれる処である。

本考案は上記のような問題点を解決するために
なされたものであり、従つてその特徴とする処
は、プレハブ住宅における２階その他の階の床構
造を設置するための根太受を取付ける金物であつ
て、同金物はその断面形状が略柄杓形をなす根太
受取付本体と、同本体を可調整に支持すると共に
床梁側に接支される移動当板とから成り、前記根
太受取付本体の柄部分には床梁側への取付孔が設
けられると共に杓部分には移動当板への取付孔が
設けられた点にある。

以下図示の実施例について本考案を詳述する
と、第１図は本考案に係る取付金物をＨ形鋼によ
る２階床梁に対して取付けたものを示し、第２図
は同取付金物を角型鋼管による２階床梁に対して
取付けたものを示しており、両図において１は２
階における外壁パネルであり、２はＨ形鋼による
床梁、２ａは角型鋼管による床梁を示し、両図に
おいて明かなように、本考案ではこれら形状の異
なる床梁２及び床梁２ａに対し、何れも本考案に
よる根太受取付本体３及び移動当板４の両者を用
いて、目的の根太受（木製）１５を容易に取付け
ることが可能であり、第１図において１６は根太
受１５上に架設される根太、１７は同根太１６上
に敷設される床板をそれぞれ示している。

本考案の根太受取付金物を構成する前記根太受
取付本体３及び移動当板４の詳細構造は、第４図
及び第５図に示す通りであつて、根太受取付本体
３はその断面形状が略柄杓状の形状をなすプレー
ト体であつて、柄部分に当るストレートな取付腕
３ａには、床梁２乃至２ａに対して固定するため
の複数個の取付孔８が、図例では直列状に列設さ
れ、これに対し杓部分に当る垂直に平行する両側
壁３ｃ，３ｃ、両側壁３ｃ，３ｃをつなぐ底壁３
ｄとから成る略コ字形乃至Ｕ字形の支承部３ｂに
おいては、その底壁３ｄに移動当板４に対して所
要の位置に固定するための取付孔９が設けられ、
また外側の側壁３ｃには根太受１５を固定する
釘、ネジ等の止着具１４のための取付孔１８が設
けられたものである。また移動当板４は第４図に
示すように、頂壁４ａの長手方向両側より垂直状
に両側壁４ｂ，４ｂが下向き突出された略倒樋形
のプレート体であつて、その頂壁４ａには前記付
本体３を目的の床梁２乃至２ａに対して適切に取
付けられるように、支承部３ｂを任意の位置に固
定できるための複数個の取付孔１０が、図例では
適宜間隔下に直列状に並設されたものであり、従
つてこの第４図例の移動当板４においては、支承
部３ｂにおける取付孔９を、所要の取付孔１０上
に重ねて、第１，２図に例示するように、ボル
ト、ナツト等の締結固定具６によつて締着固定す
ることにより、第１，２図に示すように根太受取
付本体３をその位置を変更して設置できることに
なる。この移動当板４における前記取付本体３を
可調整に取付けるための、頂壁４における取付構
造としては、第４図に例示する他、第５図に併せ
て例示するように、各種の変形構造の採用が可能
である。即ち同図上側に図示するように、取付孔
９に対して頂壁４ａに長孔１１を設け、無段階に
任意の位置で締結固定できるようにしてもよく、
同図下側に図示するように、長孔部分の一側に係
止切欠を並設した略櫛形の係止長孔１２としても
よく、この取付孔９を所望の位置で固定可能とす
るための移動当板４における構造は、各種のもの
を採用できる。またこれら根太受取付本体３及び
移動当板４の材料は、原則的には鉄鋼その他の金
属材を用いる。

本考案の前記取付本体３移動当板４によれば、
第１図に示したＨ形鋼による床梁２に対しては、
移動当板４の一方の端面４ｃが床梁２におけるウ
エブ面の一側面に接支され、かつ当板４上におけ
る根太受取付本体３における取付腕３ａが床梁２
における上側のリブ面上に適合し、かつ取付腕３
ａにおける何れかの取付孔８が、前記リブ面に予
じめ穿設されている一側の取付孔（図示省略）と
一致するような位置に、本体３と当板４とを、先
に述べた支承部３ｂの底壁３ｄにおける取付孔９
と、当板４における頂壁４ａにおける取付孔１０
乃至長孔１１，１２を利用して、適切な位置に締
結固定具６によつて組立て、しかる後取付腕３ａ
を床梁２のリブ面上に重合して、取付孔８とリブ
側の取付孔及びボルト、ナツト等の締結固定具５
によつて締着固定することにより、金物全体を床
梁２側に固定できる。次いで本体３の支承部３ｂ
内に目的の根太受１５を嵌合状に架装し、止着具
１４により根太受１５と本体３とを一体化する事
により、Ｈ形鋼により床梁２に対しての根太受１
５の適正な位置における設置連結固定作業が完了
するのである。このさい締着固定具５，６の各ボ
ルト頭部が露出するものである場合、図示のよう
に外壁パネル１及び根太受１５の下端面にはこれ
と干渉しない切欠を予じめ形成して置けばよく、
あるいはボルト頭部を沈頭型式としてもよく、こ
れらは必要に応じて自由に採用できることはいう
までもない。

また第２図に示すような角形鋼管による床梁２
ａを用いる場合でも、本考案の金物をそのまま用
い、図示のようにその移動当板４の端面４ｃが床
梁２ａの内側側壁面に接支され、取付本体３にお
ける腕３ａは床梁２ａの上側側壁面に重合される
位置関係に組立て、全く同様の手順、固定操作に
よつて、同じく根太受１５を適切な位置に架設で
きることは、再説するまでもなく明かである。

本考案との対比の関係上、従来の根太受取付金
物型式について、第３図の１例について述べれ
ば、図例はＨ形鋼による床梁２に対し根太受１５
を取付ける場合を示しており、従来の取付金物７
は１枚のプレート体を屈曲形成した腕木形状のも
のに止まり、外壁パネル１の建込みと干渉しない
ように、パネル１を逃げた位置、即ち床梁２にお
けるウエブ面の一側面に、金物７の一端をボル
ト、ナツト等の締着固定具１９を介して固定し、
その自由な他端に形成した支承部に根太受１５を
止着具１４によつて固着する構造のものである。
かかる型式のものでは、その腕木状の金物７は床
梁２のウエブ内に入り込むので、根太受１５まで
の長さ（図に示したｌ）は可成り大きくなり、床
構造重量負荷による変形や折損のおそれを防ぐた
め、図示のように補強控金物１３を張設する補強
構造が必要とされるのみならず、この金物７では
床梁２が床梁２ａのように異なつた形状のものに
対しては、金物７の取付位置が変るので、当然そ
の長さｌの違つた金物７を準備しなければ設置で
きないのであり、取付も面倒である。

これに対し本考案の金物によれば、根太受取付
本体３と移動当板４により、第１，２図において
説明したように、床梁２，２ａのように形状を相
違したものに対して、同一の金物をそのまま使用
して容易に根太受１５を所定位置に設置できるこ
とになり、しかも取付本体３は床梁２，２ａの各
リブ面（フランジ面）に対して固定するのである
から、これ以外の床梁でも、パネル１の設置支承
面を上面に有する床梁に対して適用でき、各種形
状や断面、板厚等が変化した多くの床梁に対し
て、単一の金物により目的根太受を容易に取付け
られ、その汎用性において著しく優れるのであ
る。しかも本考案では移動当板４の端面を床梁の
側面に対して接支させるので、同当板４による取
付本体３の締結一体化と相まつて、きわめて強固
で堅牢かつ安定した根太受構造が得られ、堅固な
床構造を安全に担持できる。従つてまたこれによ
れば、外壁パネル１を建込む前に、根太受１５を
設置できるので、パネル建込みに当つて仮の作業
床をこの根太受１５上に設置でき、作業を容易化
できる利点も生じるもので、その工作手間におい
ても、床梁に対する結合、本体３当板４の結合の
何れもきわめて容易で作業性を向上させることも
でき、従来のこの種根太受取付施工における問題
点を解決したものとして優れた利点を発揮するの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は何れも本考案金物実施例の取
付状態を例示する側断面図、第３図は従来例の同
じく取付状態側断面図、第４図は本考案金物にお
ける根太受取付本体、移動当板の斜面図、第５図
は同移動当板変形実施例の各斜面図である。 １……外壁パネル、３……根太受取付本体、４
……移動当板、３ａ……取付腕、３ｂ……支承
部、８，９……取付孔、１０，１１，１２……取
付孔、取付長孔、１５……根太受、１６……根
太、１７……床板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレハブ住宅における２階その他の階の床構造
   を設置するための根太受を取付ける金物であつ
   て、同金物はその断面形状が略柄杓形をなす根太
   受取付本体と、同本体を可調整に支持すると共に
   床梁側に接支される移動当板とから成り、前記根
   太受取付本体の柄部分には床梁への取付孔が設け
   られると共に杓部分には移動当板への取付孔が設
   けられたことを特徴とするプレハブ住宅の２階根
   太受取付金物。