JPS6145380Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は伝動要素の１つであるアーマチユアと伝
導摩擦面との空隙がその摩擦面の摩耗によつて変
化した場合、その空隙長を、アーマチユアの電磁
石による吸引動作の都度、このアーマチユアの移
動を利用して自動的に修正させて常に一定に保持
させると共に同アーマチユアを伝動軸に対してス
プライン嵌合させて両者の動力の受授を行わせる
型の所謂自動空隙調整装置付電磁クラツチ・ブレ
ーキにおいて上記伝動軸のスプライン嵌合部の騒
音の発生を極力避けることのできる騒音防止装置
を提供するものである。

先づ従来のこの種電磁クラツチについて第１
図、および第２図を参照に説明するに同図におい
て１は伝動部材としての機能を兼ね備えた電磁石
装置で電磁コイル２を内蔵し、かつこのコイルを
収納する部分の口部を塞ぐ状態に摩擦板３が設け
られる外、内周部において伝動軸４と一体となつ
ている。５は電磁石装置の磁極面と摩擦板３に亘
つて空隙Ｇを隔て、対向する環状のアーマチユア
で内周部にスプライン歯部６が設けられ、この部
分でスプライン軸７の外周のスプライン歯部８に
スプライン嵌合される。９はスプライン軸７のス
プライン歯部８にやゝきつく嵌合されたスライド
リングで内方端面でアーマチユア５に対接してい
る。１０はアーマチユア５の外周縁部に取り付け
られた復帰ばねで他方端部はスライドリング９の
一方端面に対接しており、アーマチユア５をスラ
イドリング９の方へ引き付けている。１１はアー
マチユア５の外周部に上記復帰ばね１０と共に取
り付けられた係合板で他方端部はスライドリング
９の鍔状部の側面に空隙ｇを隔て、対向してい
る。空隙ｇの大きさはアーマチユア５と摩擦板３
間の空隙長Ｇに等しく設定される。

このような構成においてコイル２に電流が供給
されると電磁石の一方の磁極からアーマチユア５
を介して他方の磁極に至る磁束を生じその電磁吸
引力によつてアーマチユア５がばね１０の力に抗
じて電磁石側に引かれて、摩擦板３に圧接させら
れ、これ等両者の摩擦伝動作用によつてアーマチ
ユア側、従つてこれとスプライン嵌合するスプラ
イン軸７の回転が電磁石側、従つてこれと一体の
伝動軸４に伝達され或は伝動軸４が駆動側であれ
ばその逆に動力が伝達され、次にこの態勢におい
てコイル２に対する給電が断たれるとアーマチユ
ア５は復帰ばね１０の力によつて摩擦板３の伝導
摩擦面から引き離され、両軸間の動力伝達は遮断
される。また摩擦板３の伝導摩擦面が摩耗し、こ
の伝動面とアーマチユア５間の空隙Ｇが大きくな
れば、上記両空隙Ｇとｇが当初等しく設定されて
いるのでコイル２の給電によつてアーマチユア５
が吸引されたとき、係合板１１がスライドリング
９に対接した状態においてアーマチユア５と摩擦
板３、およびこの摩擦板と同時に摩耗する電磁石
の磁極面との間にこれ等の摩耗分だけ空隙が存在
することとなり、同時にこの状態ではアーマチユ
アと移動を共にする係合板１１がスライドリング
９に対接することとなり、そしてこの状態から更
にその残存空隙がなくなるまでアーマチユア５が
引かれる過程でスライドリング９が係合板１１に
よつて押され、そしてまたこのときの押圧力はス
ライドリング９のスプライン軸７のスプライン歯
に対する接触摩擦力により大となるようにこの摩
擦力が設定されているので同スライドリングがス
プライン軸のスプライン歯部上を摺動させられ、
そしてこの摺動量は摩擦板３等の摩耗による空隙
Ｇの増大分に等しく、かつクラツチ釈放時のアー
マチユア５の復帰移動量は常に当初設定された一
定の空隙長に等しいので結局クラツチの結合と釈
放が繰返される毎に空隙Ｇの修正作用がなされる
のである。

しかしこのようにアーマチユア５の軸７に対す
る動力的な結合をスプライン結合によつて行う構
造においてはスプライン歯部にバツクラツシが与
えられているのでクラツチの釈放状態、従つてア
ーマチユア５が伝導摩擦面から離間させられてい
る状態では第２図に拡大図を示すようにそのアー
マチユアとスプライン軸の両スプライン歯車間に
間隙を生じることとなり、アーマチユア空転時、
このアーマチユアのアンバランス或はこのアーマ
チユアに伝わる機械的振動等により、そのアーマ
チユアは微小振動を生じ、これとスプライン軸の
両歯部同志が衝突し合い所謂スプライン騒音を発
生する。

本案はこのような騒音を防止することを目的と
するもので以下第３図乃至第６図を参照にその実
施例を説明する。図面は従来のものと相違する部
分並びにその関連部分のみを示すもので、１２
は、アーマチユア５の復帰用の板ばねで第４図、
および第５図に示すように内周部に、側方に向つ
て延びる複数個の折曲部１３を等間隔に有する円
環状部と、この円環状部から周方向に鎌状に延び
る複数個の脚部１４から成り、折曲部１３の内径
ｄはスライドリング９の筒状部の外径Ｄにより稍
小さくなつており、この各折曲部においてスライ
ドリング９の筒状部に圧入嵌合することによつて
これに結合され、かつ各腕部１４の先端部におい
てアーマチユア５にねじ止めされ、このアーマチ
ユアを支持している。

なお、板ばね１２は、ばねの有効長を長くする
ために、その腕部１４を周方向向つて延長させる
形状を採用したがアーマチユアの外経寸法が大き
い場合は、これ等腕部は半径方向に延びる、いわ
ゆる放射状の板ばねとしても、そのばねの有効長
を大きくとれるので、この腕部の形状自体は本案
にとつて本質的な問題でなく作用効果に直接影響
しない。

本案はこのようにアーマチユアを支持する復帰
用ばねの環状部の内周部に折曲部を形成し、この
部分をスライドリングに圧入させる等の手段によ
つてそのばねをスライドリングに強固に結合させ
るようにしたもので、アーマチユアとスプライン
軸の両者のスプライン歯部の回転方向、並びに半
径方向に対する相対運動についてはその板ばねに
より機械的に位置決めされており、従つてアーマ
チユアはクラツチ釈放状態である空転態勢におい
ても回転方向並びに半径方向に振動を生じること
なく、ためにそのアーマチユアとスプライン軸両
者のスプライン歯部間の衝突音、従つてスプライ
ン騒音を防止或は、その発生を軽減させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、および第２図は従来のものを示す上半
部の断面図、および一部分の断面図、第３図乃至
６図は本案の実施例を示すもので、第３図は一部
分の断面図、第４図、第５図は板ばねの正面図、
および断面図、第６図はスライドリングの断面図
である。 ５……アーマチユア、７……スプライン軸、９
……スライドリング、１１……係合板、１２……
板ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 伝導摩擦面に空隙を隔てて対向するアーマチユ
   アを伝動軸であるスプライン軸にスプライン嵌合
   させ、上記アーマチユアに取り付けられた係合板
   の内方端を上記スプライン軸のスプライン歯部に
   嵌合させたスライドリングの側面に上記アーマチ
   ユアと伝導摩擦面間の空隙長に等しい間隙を隔て
   て対向させた自動空隙調整装置付電磁クラツチ・
   ブレーキにおいて、アーマチユア復帰用の板ばね
   を、少なくとも内周部に側方向きの折曲部を有す
   る環状部と、この環状部の外縁部から延びる複数
   個の腕部によつて形成し、この板ばねの各腕部の
   先端でアーマチユアを支持するとともに、同板ば
   ねの折曲部を上記スライドリングの円筒状部に圧
   入固着させたことを特徴とするスプライン騒音防
   止装置。