JPS6144579Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自脱自走式のコンバインにおいて脱
穀された籾を、コンバインの機体上において籾袋
に受けるための籾受装置に関するものである。

自脱自走式のコンバインは、脱穀された籾をコ
ンバインの機体上において籾袋に順次詰めながら
刈取作業を連続して行うものであるから、その刈
取作業つまりコンバイン作業が長時間にわたつて
連続してできるようにするためには、コンバイン
の機体に籾受ホツパーを複数個設けることによ
り、コンバインに出来る丈多くの籾を貯留できる
ようにすることが必要である。しかし、コンバイ
ンの機体に籾受ホツパーを多数個設けることは、
この各籾受ホツパーに一つの揚穀筒からの籾を分
配供給することが困難となり、例えば実開昭50−
12586号公報のように複数個の籾受ホツパー列に
上部に水平方向に螺旋コンベアを設けて、この螺
旋コンベアによつて籾を各籾受ホツパーに分配す
ることは、構造が著しく複雑になり、且つコンバ
インの重量が増加するばかりか、この螺旋コンベ
アによる籾の分配移送中において籾を粉砕するお
それが大きいのである。また、実開昭51−128884
号公報は、揚穀筒からの籾を傾斜板の上面を自然
流下させることによつて複数の籾受ホツパーに分
配することを、また、実開昭51−159342号公報
は、揚穀筒の上端からの籾を、斜め下向きの通路
を介して複数の籾受ホツパーに分配することを
各々提案しているが、このように傾斜板の上面に
沿う籾の自然流下、又は斜め下向きの通路による
籾の自然流下には、籾の安息角が存在して、この
安息角以上の高さに籾を詰めることができないか
ら、各籾受ホツパー内の上部には、籾を詰めるこ
とができない無駄な大きな空間ができることにな
つて、籾受ホツパーの容積に対する籾の貯留量が
低いのであつた。

本考案は、籾受ホツパーを２個として、この両
籾受ホツパーに、脱穀部からの籾を揚穀筒の上端
に設けた回転式インペラーによつて分配できるよ
うにして前記の欠点を解消することを目的とする
ものである。

このため本考案は、コンバインの機体に、各々
下部に籾取出口を備えた第１籾受ホツパーと第２
籾受ホツパーとをその上部が互いに連通した状態
で列状に配設した籾受タンクを設ける一方、脱穀
部で脱穀した籾に対する揚穀筒を、前記籾受タン
クの側部で且つ両籾受ホツパーの境界部近傍に位
置して、その上端に籾投出用の回転式インペラー
を内蔵した籾投出口を設け、該籾投出口を、前記
籾受タンクの側面に略水平横向きで且つ第１籾受
ホツパーと第２籾受ホツパーとの両方にまたがつ
て開口するように接続し、前記第２籾受ホツパー
を、第１籾受ホツパーの容積より大きい容積に構
成したものである。

以下実施例の図面について説明すると、図にお
いて１は左右一対の走行クローラ２に後部をピン
３枢着し前方のリンク機構４又は油圧シリンダに
て前記ピン３を中心に昇降するように設けた機体
を示し、この機体１の中央上面には脱穀部５を、
前方に刈取前処理部６を各々設けると共に、該刈
取前処理部６で刈取つた穀稈を集めながら前記脱
穀部５におけるフイードチエン７に搬送するよう
にした穀稈配送装置８を備えている。

更にこの機体１の上面には、その進行方向の一
側面に沿つて前方から操作コラム９、座席１０、
エンジンを内蔵したカバー１１、籾受タンク１２
及び籾入り籾袋載置台１３が順番に設けられてい
る。

前記籾受タンク１２は、各々下端に弁１５付き
籾取出口１４を備えた第１籾受ホツパー１６と第
２籾受ホツパー１７とを、その上部が互いに連通
した状態でコンバインの進行方向に沿つて列状に
連接したものに構成し、第２籾受ホツパー１７
を、第１籾受ホツパー１６の容積より大きい容積
に構成する。

１８は、前記脱穀部５で脱穀された籾を籾受タ
ンク１２に移送するための揚穀筒で、螺旋コンベ
ア１９を内蔵し、その上端には、前記螺旋コンベ
ア１９によつて回転するインペラー２０を内蔵し
た籾投出口２１を設ける。

そして、前記揚穀筒１８を前記籾受タンク１２
の側部で且つ第１籾受ホツパー１６と第２籾受ホ
ツパー１７との境界部の近傍の位置に配設し、そ
の上端における籾投出口２１を、籾受タンク１２
の側面に略水平横向きで且つ当該籾受タンク１２
における第１籾受ホツパー１６と第２籾受ホツパ
ー１７との両方にまたがつて開口するようにして
成るものである。

この構成において、脱穀部５から揚穀筒１８に
て送られて来る籾は、籾投出口２１内のインペラ
ー２０の回転により、籾投出口２１から籾受タン
ク１３内に略水平横向きに放出されるから、当該
籾投出口２１を、籾受タンク１２に対して当該籾
受タンク１２における第１籾受ホツパー１６と第
２籾受ホツパー１７との両方にまたがつて開口す
るように接続したことにより、籾投出口２１から
放出される籾は、両籾受ホツパー１６，１７に同
時に分配できることになる。

この場合において、前記籾投出口２１の籾受タ
ンク１２への接続を略水平横向きとする一方、籾
投出口２１内に回転式インペラー２０を設けたこ
とにより、籾投出口２１から籾受タンク１２内に
向かつて放出される籾は、相当の勢いを持つて略
水平横向きに投げ出されて、遠い部分まで届くこ
とになるから、両籾受ホツパー１６，１７への分
配に際して例えば実開昭51−128884号公報のよう
に傾斜板に沿う自然流下、又は実開昭51−159342
号公報のように斜め下向きの通路に沿う自然流下
を利用する場合のように籾の流れに安息角ができ
ることは殆どなくなり、両籾受ホツパー１６，１
７内にその高い位置まで籾を詰めることができ
て、籾受ホツパーの容積に対する籾の貯留量を増
加できるのである。

そして、このように回転式インペラー２０を籾
投出口２１に籾受タンク１２の側面に略水平横向
きに接続する場合であつても、当該籾投出口２１
の籾受タンク１２への接続部が、両籾受ホツパー
１６，１７の境界部から離れた位置にしたときに
は、この籾投出口２１から放出される籾を、当該
籾投出口２１より遠い個所における籾受ホツパー
の隅部まで届かせるためには、インペラー２０の
周速度を早くする必要があり、インペラー２０の
周速度を早くするには、当該インペラー２０の回
転数を多くしたり、インペラー２０の直径を大き
くしなければならないから、インペラー２０に対
する駆動動力が増大すると共にインペラー２０ひ
いては籾投出口２１が大型になる。これに対して
本考案は、籾投出口２１の籾受タンク１２への接
続部を、両籾受ホツパー１６，１７の境界部の近
傍に位置したもので、籾投出口２１から両籾受ホ
ツパー１６，１７の隅部までの距離が短くなり、
従つて、この分だけインペラー２０の周速度を遅
くすることができるから、インペラー２０の駆動
動力の増大及びインペラー２０ひいては籾投出口
２１の大型化を回避できるのである。

また、前記両籾受ホツパー１６，１７の容積が
同じであると、両籾受ホツパー１６，１７に籾が
一杯に詰る時期が略同じになり、籾が籾受ホツパ
ーに一杯になることに応じてコンバイン作業を中
断等しても、脱穀部等に残つている籾が籾受ホツ
パーに引続き移送されて来ることにより、揚穀筒
１８における螺旋コンベア１９及びインペラー２
０を破損する事故を発生したり、脱穀部に残つて
いる籾を籾受ホツパーに送ることができなかつた
りするおそれがある。

これを本考案にては、籾受タンク１２における
両籾受ホツパー１６，１７のうち第２籾受ホツパ
ー１７を、第１籾受ホツパー１６の容積より大き
い容積に構成したもので、このように構成するこ
とにより、両籾受ホツパー１６，１７に籾が一杯
に詰る時期にずれができて、第１籾受ホツパー１
６の方が先に一杯になり、次いで第２籾受ホツパ
ー１７が一杯になる態様となり、従つて、第１籾
受ホツパー１６に籾が一杯に詰つた時点でコンバ
イン作業を中断等することで、脱穀部等に残つて
いる籾を、第２籾受ホツパー１７に詰めることが
できると共に、揚穀筒１８における螺旋コンベア
１９及びインペラー２０の破損に対する安全性を
向上できるのである。

なお、両籾受ホツパー１６，１７に入つた籾
は、その下端の籾取出口１４に籾袋を装着し、弁
１５を開くことにより籾袋を詰めることができる
のであり、籾入り籾袋２２′は籾袋載置台１３に
積み上げるようにする。

以上の通り本考案は、実用新案登録請求の範囲
に記載した構成を要旨とするものであるから次の
ような効果を奏する。

揚穀筒を籾受タンクの側部で両籾受ホツパー
の境界部に近傍に位置すると共に、該揚穀筒上
端におけるインペラー内蔵の籾投出口を、籾受
タンクに対して両籾受ホツパーに両方にまたが
つて開口するように接続したことにより、揚穀
筒からの籾を両籾受ホツパーに分配供給でき、
実開昭50−112586号公報のような分配用の螺旋
コンベアが必要でなく、しかも、前記籾投出口
内におけるインペラーの周速度を遅くできるか
ら、構造が著しく簡単で安価に提供できるばか
りでなく、小型・軽量化ができると共に、籾の
分配に要する動力を低減できる。

揚穀筒の上端におけるインペラー内蔵の籾投
出口を籾受タンクに対して略水平横向きに接続
したことにより、両籾受ホツパーの容積に対す
る籾の貯留量を増加できる。

籾受タンクにおける両籾受ホツパーのうち第
２籾受ホツパーを、第１籾受ホツパーの容積よ
り大きい容積に構成したことにより、第１籾受
ホツパーに籾が一杯になつたことに応じてコン
バイン作業を中断等した場合において、第２ホ
ツパーに引続き籾を入れることができるから、
揚穀筒における螺旋コンベア及びインペラーの
破損に対する安全性を向上できると共に、脱穀
部に残つている総ての籾を籾受ホツパーに排出
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はコンバ
インの側面図、第２図は平面図、第３図は第１図
の−視拡大断面図、第４図は第１図の−
視拡大断面図である。 １……コンバイン機体、５……脱穀部、１２…
…籾受タンク、１６……第１籾受ホツパー、１７
……第２籾受ホツパー、１４……籾取出口、１８
……揚穀筒、１９……螺旋コンベア、２０……イ
ンペラー、２１……籾投出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンバインの機体に、各々下部に籾取出口を備
   えた第１籾受ホツパーと第２籾受ホツパーとをそ
   の上部が互いに連通した状態で列状に配設した籾
   受タンクを設ける一方、脱穀部で脱穀した籾に対
   する揚穀筒を、前記籾受タンクの側部で且つ両籾
   受ホツパーの境界部近傍に位置して、その上端に
   籾投出用の回転式インペラーを内蔵した籾投出口
   を設け、該籾投出口を、前記籾受タンクの側面に
   略水平横向きで且つ第１籾受ホツパーと第２籾受
   ホツパーとの両方にまたがつて開口するように接
   続し、前記第２籾受ホツパーを、第１籾受ホツパ
   ーの容積より大きい容積に構成したことを特徴と
   するコンバインの籾受装置。