JPS6140404Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、スローアウエイチツプに関するもの
であり、とくに切込みおよび送りの変動が大きい
切削条件下においても安定でかつ優れた切屑処理
を行なうことの出来るスローアウエイチツプに関
するものである。

従来のスローアウエイチツプを第１図および第
２図に示す。第１図は平面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ断面拡大図である。従来のスローアウエイ
チツプはその上面又は上下面上に切刃部に沿つて
ブレーカ溝が形成されており、その溝幅ａおよび
曲率半径ｒによつて切屑のカール径を調節してい
る。一般に、ブレーカ溝幅ａは、切込みが大きく
送りが多い重切削条件では広くとり、切込みが小
さく送りが少ない軽切削条件では、狭くとること
が望ましい事は知られている通りである。しかし
ながら、通常一つのチツプに形成されるブレーカ
溝幅ａおよび曲率半径ｒは一定であるため、切込
みが大きく送りが多い重切削条件では第３図に示
されるように切屑のカールする径が小さ過ぎ、切
屑の排出が円滑に行なわれない。また切込みが小
さく送りが少ない軽切削条件では第４図に示され
るように、切屑が十分にカールせず直線的に排出
され、切削作業に支障をおこす問題があつた。

従つて、本考案は、前記の従来のスローアウエ
イチツプの欠点を除去し、旋削加工における倣い
切削等のように、切込みおよび送りの変動が大き
い切削条件に対して切屑処理を広範囲にわたつて
有効に行なうことの出来るブレーカ溝を有するス
ローアウエイチツプの提供を目的とする。

以下本考案スローアウエイチツプの一実施例に
ついて図面を参照して説明する。第５図および第
６図は、本考案の一実施例のスローアウエイチツ
プの平面図と側面図であり、第７図および第８図
は各々第５図のＢ−Ｂ断面とＣ−Ｃ断面の拡大図
である。これらの図において１は３角形板状をな
すスローアウエイチツプであり、切削に使用する
片面である上面には、切刃部２に連続して隣接す
るブレーカ溝３を全周囲にわたつて有し、該ブレ
ーカ溝形状は切刃部からブレーカ溝３の形成によ
り残存する領域にある陸部４に向かいブレーカ溝
最深部付近で凹から凸へ変わつており、かつ陸部
４は外周面６に垂直なる任意断面における底面７
からの高さｈが切刃稜中央部付近で切刃部２の高
さＨより低く位置（第７図を参照）し、ノーズ部
付近でＨより高く位置（第８図参照）し、更に陸
部４の内側稜５はノーズ部付近においてノーズ先
端９に向つて突出している。

なおノーズ部付近から切刃稜中央部付近へかけ
ての陸部４の高さの変化は連続もしくは非連続な
直線的変化でも曲線的変化でもよい。また上下両
面を切削に使用する場合は、中央陸部８を陸部４
の最大高さよりも高くするか、同一の高さの平面
部として支持面を形成すればよい。即ち片面のみ
を切削に使用する場合は第６図に示すように中央
陸部８を陸部４の最大高さよりも高い平面部とし
てもよいし又低くしてもよいが、上下両面を使用
する場合は中央陸部８を陸部４の最大高さと同一
か、これより高い平面部とする必要がある。

本考案スローアウエイチツプによる切込みが大
きく送りが多い重切削条件での切屑排出状態を第
９図に、切込みが小さく送りが少ない軽切削条件
での切屑排出状態を第１０図に示す。更に切込み
が小さく送りが少ない微少切削条件での切屑排出
状態を第１１図に示す。

本考案によるスローアウエイチツプでは、切込
みが大きく送りが多い重切削条件では、第７図の
ように陸部４は、切刃部２より低く位置してお
り、ブレーカ溝幅を広げることと同じ効果を与
え、又ブレーカ溝内凸面での切屑の接触角度θは
小さくなり、ブレーカ溝の曲率半径を大きくした
と同じ効果を与えるため第９図のように切屑を無
理なくカールさせ排出させることが出来る。

又、切込みが小さく送りが少ない軽切削条件で
は第８図のように陸部４は切刃部２より高く位置
しており、ブレーカ溝幅を狭めることと同じ効果
を与え、又切屑の接触角度θも大きくなり、ブレ
ーカ溝の曲率半径を小さくしたと同じ効果を与え
るため第１０図のように切屑を十分にカールさせ
て排出させることが出来る。第５図のノーズ部の
拡大平面図を第１２図に、第１２図のＤ−Ｄ断面
図を第１３図に示す。切込みが小さい微少切削条
件では、ノーズ部の陸部４の内側稜５はノーズ先
端９に向つて突出しているため、第１０図よりブ
レーカ溝幅が狭く形成されるので、接触角度θも
更に大きくなり、ブレーカ溝の曲率半径を更に小
さくしたと同じ効果を与えるため第１１図のよう
に薄い切屑も十分にカールさせて排出させること
が出来る。

以上の実施例において、ノーズ部における陸部
４の突出している内側稜の形状が円弧である例を
示したが、第１４図に示すように楕円の一部でも
よく、その他任意の形状をとることが出来る。ま
た陸部４としてはノーズ部付近から切刃稜中央部
付近へかけての陸部４の高さを変化させると同時
に、陸部４の内側稜を切刃稜中央部付近でわん曲
するようにしてもよいし、平行であつても良い。
また、スローアウエイチツプの上下両面を同一形
状とすることによつて切刃数を増加させることも
可能であり、加えて三角形板状のスローアウエイ
チツプに限らず四角形、菱形等の多角形板状のも
のでもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスローアウエイチツプの平面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面の拡大図、第３
図は従来のスローアウエイチツプで切込みが大き
く送りが多い場合の切屑排出状態を示す図、第４
図は同じく切込みが小さく送りが小さい場合の
図、第５図および第６図は本考案によるスローア
ウエイチツプの平面図と側面図、第７図および第
８図は各々第５図のＢ−Ｂ断面とＣ−Ｃ断面の拡
大図、第９図は本考案スローアウエイチツプによ
る切込みが大きく送りが多い重切削条件での切屑
排出状態を示す図、第１０図は同じく切込みが小
さく送りが少ない軽切削条件での切屑排出状態を
示す図、第１１図は同じく更に切込みが小さく送
りが少ない微小切削条件での切屑排出状態を示す
図、第１２図は第５図のノーズ部の拡大平面図、
第１３図は第１２図のＤ−Ｄ断面図、第１４図
は、変形例のノーズ部の拡大平面図である。 １：スローアウエイチツプ、２：切刃部、３：
ブレーカ溝、４：陸部、５：内側稜、６：外周
面、７：底面、８：中央陸部、９：ノーズ先端、
Ｈ：底面から切刃部２までの高さ、ｈ：底面から
中央陸部４までの高さ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多角形板をなすスローアウエイチツプ１におい
   て、その多角形を構成する少なくとも一面に切刃
   部２に連続して隣接するブレーカ溝３を全周囲に
   わたつて有し、該ブレーカ溝３の形状は切刃部２
   からブレーカ溝の形状により残存する領域にある
   陸部４に向かいブレーカ溝最深部付近で凹から凸
   へ変つており、前記陸部４は外周面６に垂直なる
   任意断面における底面７からの高さｈが切刃稜中
   央部付近で切刃部２の高さＨより低く位置し、ノ
   ーズ部付近でＨより高く位置し、該陸部４の内側
   稜５はノーズ部付近でノーズ先端９に向かつて突
   出しており、更に前記陸部４の最大高さよりも高
   いか、同一の高さの平面部を構成する中央陸部８
   を有することを特徴とするスローアエイチツプ。