JP2935539B2 - 切削インサート - Google Patents

切削インサート

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JP2935539B2 JP2161457A JP16145790A JP2935539B2 JP 2935539 B2 JP2935539 B2 JP 2935539B2 JP 2161457 A JP2161457 A JP 2161457A JP 16145790 A JP16145790 A JP 16145790A JP 2935539 B2 JP2935539 B2 JP 2935539B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はチップ形成工作用の切削インサート（植刃）
であって、下記の構成の主にフライス加工に使用するよ
うに企図されている。
このインサートは、上面と端面の間の遷移部に形成さ
れた少くとも１つの切刃を含み、この上面はレーキ面
（すくい面）であり、端面はクリアランス面（逃げ面）
であり、このすくい面は切刃に隣接したチップ転覆面
（切屑を上向きに案内する面）とこの面に接続した湾曲
チップ形成面を含んで成り、このチップ転覆面と湾曲チ
ップ形成面は境界線によって区切られており、切刃の内
側に切刃に沿って位置する相互に分離した多数の凹所群
が当該境界線にまたがった状態に配設されている。
〔従来技術〕
上記タイプの切削インサートはUSP 4,710,069におい
て、公知なものである。従って本明細書では、この特許
文献を参照して説明が為されている。この切削インサー
トでは、凹所群がインサートの切刃に直角な方向に長く
延長している。所謂「チップ流れ面」が通常約５〜15゜
の値を有しているので、チップは凹所群に対し、相対的
に横に移動する。そしてこの横移動がチップとインサー
ト間の摩擦を高める原因となる。この摩擦は熱を発生せ
しめ、結果としてインサートの望ましくない加熱を引き
起す。この加熱が結果としてインサートを損傷せしめ
る。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、チップが小さな接触面積で以って流
れるようにし、結果としてチップと切削インサート間の
摩擦が小さくなるようにすることにより上述の負効果を
回避するように設計した、切削インサートを提供するこ
とにある。
〔発明の構成〕
本発明によれば、上面と、該上面と交差し該上面とで
切刃を形成する少なくとも１つの端面とを含んでいるチ
ップ形成工作用の切削インサートであって、前記上面が
すくい面を形成し、前記端面が逃げ面を形成し、前記す
くい面が、前記切刃に近接して配設されたチップ転覆面
と、該チップ転覆面から内方に延びチップ転覆面とで遷
移縁を形成する凹面にわん曲されたチップ形成面とを含
み、複数の凹所が該チップ形成面に前記遷移縁に沿って
離間されるように形成され、前記凹所が、前記遷移縁と
交差しかつ遷移縁から前記切削インサートを平面で見た
とき前記切刃に対して直角でない方向に内方に延出し、
前記各凹所が、チップ転覆面の中へと前記切刃に平行な
方向に見て0.005mmから0.1mmの範囲の距離だけ延出し、
切削インサートの中心平面に平行な第１の平面と前記チ
ップ形成面に対して接線方向で前記チップ形成面と前記
チップ転覆面との交差部を通る第２の平面との間に、第
１の角度が形成され、該第１の角度10度から40度の範囲
である、チップ形成工作用の切削インサートが提供され
る。
〔実施例〕
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第１図において、において、本発明に係わる切削イン
サートに概して平坦な上面11と下面12及び上下面11,12
に夫々接続した端面（側面）13〜16を含む基本四角形の
ものである。このインサート10は正の外形を有してい
る、即ち各端面が上面11と鋭角を構成している。しかし
本発明によれば、上記例とは別にこの種インサートは負
の外形を有していることを許容される、即ち端面が上下
面に直角に接続することも許容されている。
本例の上面11はその最外周部を構成する連続したチッ
プ転覆面17を含んでいる。チップ転覆面17と端面13〜16
との交差線は主切刃18を構成している。チップ形成面19
はチップ転覆面17の内側に位置している。境界線20がチ
ップ転覆面17をチップ形成面19から分離している。チッ
プ形成面19はインサートコーナ部を除き、切刃18に沿っ
て相互に離間状態で配位した切刃18に交差する方向の延
長体である多数の凹所群21を有している。
第１図から分るように、凹所群21は切刃18に対し直角
には延長しておらず、切刃18に直角な線に対して角度α
で傾斜している。この角度αは５゜〜45゜、好ましくは
10゜〜20゜の範囲にある。角度αの好ましい値は15゜の
オーダーである。
第２図の拡大部分から凹所群21はチップ転覆面17とチ
ップ形成面19間の境界線20と交差していることは明らか
である。第２図拡大部中の距離ｅ、すなわち凹所21がチ
ップ転覆面17の中へと延びている距離ｅは0.005〜0.1mm
の範囲にある。凹所群21の深さは、0.1mmより小さく、
好ましくは0.02〜0.04の範囲にある。
チップ形成面19は、好ましくは一定の曲率半径Ｒで湾
曲している。このＲは、好ましくは3mmより小さく、2mm
の範囲の値が好ましい。しかし本発明によれば、チップ
形成面19が切刃18に交差する方向の延長体であるが、そ
の１部分においてのみその部分に亘って一定値の曲率半
径を有していることも可能である。チップ形成面19にお
けるチップ転覆面17に最寄りの部分は真直にすることが
出来る。第２図では、チップ形成面19の接線Ｔはこの面
19とチップ転覆面17の間の交差点を通っている。接線Ｔ
が下面12に平行な線Ｐとなす角度はδで表す。この角δ
は10゜〜40゜、好ましくは20゜〜30゜の範囲にある。チ
ップ転覆面17に最寄りのチップ形成面部分が真直である
ならば、角度δはチップ形成面19と線Ｐの間のなす角度
になる。
第３図には、チップ流れ角βの定義が示されている。
従って、この角βは切刃Ａに対し直角に延長する線L1と
インサートと最初にチップＤが接触する点からチップＤ
の長手方向に延長している線L2とのなす角度である。こ
の角βの代表値は５゜〜15゜の範囲にある。
第４図には、従来設計の切削インサートの詳細が示さ
れている。第４図から、切刃Ａが上面Ｂと端面Ｃの間の
遷移部から成ることが分かる。チップＤが解放される
と、インサートの上面Ｂと一致するチップ形成面に沿っ
て滑動する。このチップ形成面の設計により、インサー
トの接触長は本発明のものに対し相対的に長く、その結
果チップからインサートへの熱伝導は相対的に大きくな
る。
第５図には、本発明の切削インサートを用いたときの
チップ流れが示されている。チップ23は工作物24から解
放され、チップ転覆面17に沿って滑動する。これと同時
に凹所群21によりチップの転覆が生じると共にチップ23
の下端にランナ25が形成される（第６図参照）。第６図
はチップ23とインサート10のチップ転覆面17とチップ形
成面19の間の遷移部における縦断面を示している。この
遷移部において、ランナ25が形成される。チップ23のこ
の種変形作用はチップの温度を上昇させ、それによりチ
ップ23とインサート10間の摩擦が減少する。チップ形成
面19のカーブ（弯曲）形状により、チップ23とインサー
ト10の接触が減じ、そしてチップ23からインサートへの
熱伝導が低下する。従って大半の発生熱はチップ23の中
に残留される。
チップ23とインサート10の接触を更に減じるには、イ
ンサート10の切刃18に対し直角な線に対して角度αをな
すように凹所群を設計すればよい。この角度αはチップ
流れ角βとは異なるものである。これは、チップランナ
をチップ形成面19の頂部22に向って登らせることにな
る。このチップ登り現象の結果は、チップ23とインサー
トの表面の接触を線接触にしてしまう（第７図参照）、
これはまた、接触域での面圧を高め、その結果インサー
ト10に最寄りのチップの表面肉薄層において温度を増大
せしめ、この増大温度がチップ23とインサート10の間の
摩擦を一層減少せしめる。
切刃18において高温度になるのに対しインサートへの
熱伝導が小さいという問題は回避される。切刃温度が高
くなり過ぎると塑性変形及び／或いは拡散摩耗（diffus
ion wear）が生じる。この結果、切刃が低摩耗性にな
り、高温度であっても寿命が伸びることになる。
本発明の第８図に示す例は上述の例とは凹所群21′が
上面視においてカーブ（曲折）している点で相違してい
る。このカーブ形状の効果はチップ登り現象を容易に生
ぜしめることにある。
第８図において、凹所群の上部が右に曲っているが、
これは勿論左に曲っていてもよい。
インサートの基本形状は上記例の四角形に限らず、三
角形や菱形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明に係わる切削インサートの平面図、第２
図は第１図のII−II線における断面説明図であって、サ
ークル部の拡大説明図を含み、第３図はチップ流れ角の
定義を示す説明図、第４図は従来の切削インサートのチ
ップ形成を示すインサートとチップの説明図、第５図は
本発明に係わる切削インサートのチップ形成を示すイン
サートとチップ説明図、第６図は第５図のVI−VI線にお
けるインサートとチップの断面説明図、第７図は第５図
のVII−VII線におけるインサートとチップの断面説明
図、及び第８図は本発明の別の実施例を示す切削インサ
ートの部分平面図である。 図において： 10……インサート、11……上面、 12……下面、13〜16……端面（側面）、 17……チップ転覆面、18……切刃、 19……チップ形成面、20……境界線、 21,21′……凹所群、22……頂部、 23……チップ、24……工作物、 25……チップランナ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) B23B 27/22

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】上面と、該上面と交差し該上面とで切刃を
    形成する少なくとも１つの端面とを含んでいるチップ形
    成工作用の切削インサートであって、前記上面がすくい
    面を形成し、前記端面が逃げ面を形成し、前記すくい面
    が、前記切刃に近接して配設されたチップ転覆面と、該
    チップ転覆面から内方に延びチップ転覆面とで遷移縁を
    形成する凹面にわん曲されたチップ形成面とを含み、複
    数の凹所が該チップ形成面に前記遷移縁に沿って離間さ
    れるように形成され、前記凹所が、前記遷移縁と交差し
    かつ遷移縁から前記切削インサートを平面で見たとき前
    記切刃に対して直角でない方向に内方に延出し、前記各
    凹所が、チップ転覆面の中へと前記切刃に平行な方向に
    見て0.005mmから0.1mmの範囲の距離だけ延出し、切削イ
    ンサートの中心平面に平行な第１の平面と前記チップ形
    成面に対して接線方向で前記チップ形成面と前記チップ
    転覆面との交差部を通る第２の平面との間に、第１の角
    度が形成され、該第１の角度10度から40度の範囲であ
    る、チップ形成工作用の切削インサート。
  2. 【請求項２】前記遷移縁が前記切刃に平行である請求項
    １に記載の切削インサート。
  3. 【請求項３】前記凹所の外側部分が前記遷移縁から内側
    に向って第１の方向に延び、前記凹所の内側部分が前記
    切削インサートを平面で見たとき前記第１の方向からは
    ずれた第２の方向に延びている請求項１に記載の切削イ
    ンサート。
  4. 【請求項４】前記凹所の全てが、前記切削インサートを
    平面で見たとき前記切刃に直角に延びる仮想線に対して
    同じ角度を形成している請求項１に記載の切削インサー
    ト。
  5. 【請求項５】前記凹所の各々が、前記切刃に直角に延び
    る仮想線に対して５度から45度の範囲の第２の角度を形
    成している請求項１に記載の切削インサート。
  6. 【請求項６】前記第２の角度が10度から20度である請求
    項５に記載の切削インサート。
  7. 【請求項７】前記第２の角度が約15度である請求項６に
    記載の切削インサート。
  8. 【請求項８】前記第１の角度が20度から30度の範囲であ
    る請求項１に記載の切削インサート。
  9. 【請求項９】前記第１の角度が約25度である請求項８に
    記載の切削インサート。
  10. 【請求項１０】前記チップ形成面が3mmより小さい曲率
    半径により形成されている請求項１に記載の切削インサ
    ート。
  11. 【請求項１１】前記曲率半径が約2mmである請求項10に
    記載の切削インサート。
  12. 【請求項１２】前記各凹所が0.1mmより小さい最大の深
    さを有している請求項１に記載の切削インサート。
  13. 【請求項１３】前記深さが0.02mmから0.04mmの範囲であ
    る請求項12に記載の切削インサート。
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