JP4699665B2 - 溝切り加工用切削インサート - Google Patents

Description

【０００１】
発明の背景
本発明は、溝切り加工作業用の切削インサートに関する。特に、本発明にしたがう切削インサートは、半径方向の溝切り加工に対して適切るであるが、軸方向溝切り加工作業、並びに軸方向と半径方向との長さ旋削加工作業に使用することができる。
【０００２】
このような機械加工作業の際、切屑の破断と切屑の成形とが、拘束されない生産性のためには決定的に重要である。最近の高生産性装置は、良好な切屑の輸送処理に非常に大きな重きがおかれている。長くて制御ができない切屑は、装置を容易に中断及び休止させることになる。このため、切屑の制御は、工具の設計に対して、大いに配慮と管理とが必要となる。
【０００３】
溝切り加工及び突っ切り加工作業用の切削インサートは、一般的にホルダに締結され、このホルダは製造されたスロットを有用にするために、ブレード形状とする。用語「ブレード形状のホルダ」は、またスロットミル(slot mills)を含むことを意図する。このような切削インサートは、例えば、米国特許第４，７７８，３１１号、第４，９９２，００８号、第５，１３５，３３６号及び第５，４２３，６３９号から既知である。同時に最近、可能であるならば、製造されたスロットの表面が改良された表面仕上げを達成できることが要求される。
【０００４】
本発明の目的及び概要
本発明の第１の目的は、改良された強靭な切れ刃が得ることを十分満足する切削インサートを製造することである。
【０００５】
さらに、繰り返し半径方向溝切り加工を十分満足する切削インサートを製造することを本発明の目的とする。
【０００６】
高速送りと組み合わせが達成するために、良好な軸方向停止が可能な切削インサートを製造することを第３の目的とする。
【０００７】
長手方向の旋削加工に使用可能である切削インサートを製造することを、本発明の第４の目的とする。
【０００８】
本発明は、上面と、下面と、二つの側面と、ボディの長さ方向端部に配置され端面とを有する長さ方向に伸びたボディを備えた切削インサートに係わる。この端面の上側切れ刃は、主切れ刃を形成する。主切れ刃から下方に向かって延在している端面の一部が、逃げ面を規定する。二つの側部切れ刃が主切れ刃のそれぞれの端部から延在する。逃げ面は、平面形状でなく一方の切れ刃端部からもう一方の端部へと変化する曲率を有する。湾曲したコーナ切れ刃が、主切れ刃の端部と側部切れ刃の一つによって定義される第２の切れ刃との間に延在する。この湾曲したコーナ切れ刃が、主切れ刃のそれぞれの端部から延在し且つ第１の半径を有する湾曲した第１の部分と、上記第１の部分から延在し且つ第１の部分より大きな半径を有する湾曲した第２の部分とを含む。
【０００９】
発明の好ましい実施態様の詳細な説明
図１から図３は、上面１と、底面２と、二つの側面５、６と、二つの端面３との一般的に平行四辺形状のボディを備える本発明にしたがう溝切り加工用の切削インサートＣを示す。インサートの前方部のみを図示するが、この反対側の後方部は好ましくは同一形状である。この端面３は、それぞれ前逃げ面を規定する上側部分３ａと、停止面を規定する下側部分１０とが備わる。切削インサートＣは、一体と成って配置されるシャンク部Ｓと切削ヘッドＨとを備えるようにすることが可能であるが、好ましくは長さ方向のシャンク端部の双方に備えるようにすることが可能である（一つの切削ヘッドのみを図示する）。シャンクに沿って存在する側面５、６の部分５ａ、６ａは、平面で且つ平行である。上面１の部分１２は切削ヘッドＨの切屑頂面を形成し、且つ側面５、６のそれぞれの部分１１は切削ヘッドの側部逃げ面を形成する。逃げ面３ａは、切削ヘッドの前端面を構成する。
【００１０】
この逃げ面の向かい合う側部のそれぞれには傾斜面３ｂを備えることができる。図２ｃは、傾斜した逃げ面を正面で示し、一方図２ｃは、傾斜していない逃げ面を備える切削インサートＣ’を示す。
【００１１】
図２ａ及び図２ｃに示されるように、停止面１０の幅はインサートの最大幅より小さい。また、図４に示されるように、停止面１０は、インサートの最前部（すなわち、切れ刃によって規定される部分である）より長さ方向内側に片寄っている。
【００１２】
切削インサートは一般的に被覆した超硬合金または被覆していない超硬合金で作られ、上面１と底面２とにはそれぞれ長さ方向に凹んだＶ字状のキー手段４及び７が形成される。キー手段４は底面全体に沿って延在し、一方キー手段４は切削ヘッドの頂面１２に沿っては延在しない。図２ｂに示す別の形状の切削インサートＣ”は、底面２”に中央の凹んだスロット７ａと、このスロットの側部のそれぞれに配列する二つの傾斜面７ｂ、７ｃとを備える。これらの面７ｂ、７ｃは、ブレードホルダーの対応する傾斜支持面で支持されるために傾斜している。このブレードホルダーは、スウェーデン願書第９７０３４３４-２に記載されるそれによって具体化される。頂面１２と主逃げ面３ａとの交差部は、横断主切れ刃８ａを形成し、この切れ刃は切削コーナＲ１を経由して切削ヘッドの側部切れ刃８ｂ、８ｃまで延在する。このコーナ半径には、図３に示されるように、複数の半径Ｒ１０、Ｒ２０、Ｒ３０が含まれる。第２の半径Ｒ２０は、第１の半径Ｒ１０より実質的に大きく、後方切れ刃８Ｗ２まで後方に延在するワイパー切れ刃８Ｗ１を備えるようにして、その切れ刃半径Ｒ３０がＲ１０及びＲ２０のそれぞれよりも小さくするようにする。
【００１３】
逃げ面３ａは、下面１０の横断破断線９で停止面１０と交差する。この面１０は、すなわち底面２に対して垂直なインサートの長さ方向中心線に対して垂直に延在する。この面１０は、ホルダー内で軸方向停止面として作用する。側部逃げ面１１は、切削インサートの残部から横に突き出ているインサート部分に備わり、垂直破断線１３を経由して側面５、６まで延在する。切屑頂面１２は、主切れ刃８から内側に向かって延在し且つ切屑フォーマ１４が形成される。この切屑フォーマは、凹んだ横断面を有する複数のリセス状にすることができる。代わりに、この切屑フォーマは、主切れ刃の中央部分で主切れ刃８ａの中央部分を貫通するリセスのように延在させ、且つ、スウェーデン願書第９８０１０１２−７に記載されるそれによって具体化されるように、後方に向かって深さが増加しその後深さが減少することができる。この目的は、５〜３０度のポジの逃げ角を有する切屑頂面１２を備え、一方切屑を破断することが容易であるように切屑を塑性的に変形させることである。
【００１４】
本発明にしたがって、逃げ面３ａは、逃げ角（α）を備え、且つ改良した強度を備えた主切れ刃８ａを備えるために平らでない形状を有する。
【００１５】
図４〜図６に示す一つの実施態様において、上記逃げ面３ａの形成は、主切れ刃８の一方の端面近くの位置（断面Ｃ−Ｃ）で測定された逃げ角（α）が、もう一つの向かい合う同一の切れ刃８ａの端部近くの位置（断面Ａ−Ａ）で測定された逃げ角（α”）（例えば８．８５°）の大きさより小さな値（例えば５．１８°）を有し、並びに、これらの角度α及びα”の間に位置する逃げ角α’（例えば、７．０４°）より小さい。この実施態様において、長さ方向の平面（Ａ、Ｂ及びＣ）は、直線に沿う逃げ面（３ａ）と交差するが（図４〜６を参照）、この不規則な逃げ角の特徴は、より強い主切れ刃となる湾曲する（平面でない）逃げ面となる。
【００１６】
図７〜９に、代わりの実施態様のインサート１Ａが示され、この逃げ角αは、一定であるが、この逃げ面３ａは、図７と図９との比較から明らかのように、主切れ刃の一方の端部近くの逃げ面３の曲率半径Ｒａは、この刃に向かい合う端部近くの曲率半径Ｒｃより実質的に小さいような曲率変化で横に反り返る。半径Ｒｃは、中間半径Ｒｂ（図８参照）よりも小さい。実施例のように、半径Ｒａ、Ｒｂ及びＲｃは、それぞれ１６、２ｍｍ、２７ｍｍ及び８５．６ｍｍとすることができる。
【００１７】
好ましくは、この反り返りは、主切れ刃８’ａ全周に沿う逃げ角（α）の大きさが切削インサートの一方の端部から向かい合う端部まで一定に存在するようにする。図示する実施例においては、この角度αは、７°に達する。
【００１８】
図７〜図９に示す実施態様においては、主切れ刃８’ａの一方の端部近くの上記逃げ面３ａの曲率半径Ｒｃは、主切れ刃８’ａのもう一方の端部近くの横断面での上記曲率半径Ｒｃの大きさより３〜６倍大きい。この点において、インサート１Ａの外見は、曲率Ｒｃの半径の大きさが半径Ｒａの大きさより約５倍大きいように好ましく選択する。
【００１９】
図４〜図９の停止面１０の寸法に関しては、停止面の高さ（ａ）は、端部面３の総高さ（ｂ）の３０〜７０％であるようにする必要がある（例えば、図４参照）好ましくは、高さ（ａ）は、高さ（ｂ）の３５〜５５％にする必要がある（図４参照）。
【００２０】
図４〜図９にしたがう実施態様においては、切れ刃８ａまたは８’ａは、長さ方向のそれぞれの面Ａ〜Ｃに対して好ましくは垂直であるが、所望によりそれらと垂直からわずかに外れる。
【００２１】
本発明は、好ましい実施態様に関して記載したが、特別に記載することなく追加、削除、改良及び置換が、添付した特許請求の範囲に規定するような本発明の精神および分野から離脱することなく行えることは当業者には理解されることである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、斜め上側から見た斜視図にける本発明にしたがう切削インサートを示す。
【図２ａ】 図２ａは、インサートの前端面に傾斜面が存在しない図１のインサートの前側面図を示す。
【図２ｂ】 図２ｂは、別のインサートの実施態様を示し、そのインサートの前側面図を示す。
【図２ｃ】 図２ｃは、図１のインサートの前側面図を示し、そのインサートの前端面は傾斜している。
【図３】 図３は、図１に図示する切削インサートの拡大コーナを示す。
【図４】 図４は、図１のＡ-Ａ面に沿う同様の切削インサートの長さ方向断面を示す。
【図５】 図５は、図１のＢ−Ｂ面に沿う別の実施態様における切削インサートの長さ方向断面を示す。
【図６】 図６は、図１のＣ−Ｃ面に沿う別の実施態様における切削インサートの長さ方向断面を示す。
【図７】 図７は、図４と同様であるが、別の実施態様の切削インサートを示す。
【図８】 図８は、図５と同様であるが、別の実施態様の切削インサートを示す。
【図９】 図９は、図６と同様であるが、別の実施態様の切削インサートを示す。

Claims (12)

1. 上面（１）と、下面（２）と、二つの側面（５，６）と、ボディ長さ方向の端部に配置する端面（３）と、を有する長さ方向に延びたボディを備える切削インサートであって、
   前記端面の上側切れ刃が、主切れ刃（８ａ）を形成し、
   前記端面の一部分が、前記主切れ刃の下方に延在し逃げ面（３ａ）を規定し、
   前記主切れ刃のそれぞれの端部から延在する二つの側部切れ刃（８ａ，８ｂ）が存在し、
   前記逃げ面（３ａ）は平らな形状でなく、前記主切れ刃（８ａ）の一つの端部から他方の端部まで変化する曲率を備え、
   前記主切れ刃（８ａ）の一つの端部と、前記二つの側部切れ刃の一つによって規定する第２の切れ刃（８ｂ）との間に延在する湾曲コーナ切れ刃が存在し、
   前記湾曲コーナ切れ刃が、前記主切れ刃のそれぞれの端部から延在し且つ第１の半径（Ｒ１０）を有する湾曲した第１の部分を備え、且つ
   湾曲した第２の部分が、前記第１の部分から延在し且つ前記第１の部分より大きな半径（Ｒ２０）を備える、切削インサート。
2. 前記逃げ面の上側部分と前記主切れ刃との間に形成される逃げ角（α）は、前記主切れ刃の一方の隣接端部より前記主切れ刃のもう一方の隣接端部で小さい、請求項１記載の切削インサート。
3. 上面と下面との双方の通って延在する長さ方向の平面が、直線に沿う前記逃げ面と交差する、請求項１記載の切削インサート。
4. 前記逃げ面の上側部分と前記主切れ刃との間に形成される逃げ角（α）は、前記主切れ刃の一方の隣接端部より前記主切れ刃のもう一方の隣接端部で小さい、請求項３記載の切削インサート。
5. 上面と下面との双方の通って延在する長さ方向の平面が、曲線に沿う前記逃げ面と交差する、請求項１記載の切削インサート。
6. 前記長さ方向の平面が、凸状に湾曲する線に沿う逃げ面と交差する、請求項５記載の切削インサート。
7. 前記切れ刃の一つの端部に隣接配置される長さ方向の平面が、第１の半径を有する湾曲した線に沿う前記逃げ面と交差し、前記切れ刃の向かい合う端部に隣接配置する長さ方向の平面が、前記第１の半径より３から６倍である第２の半径を有する湾曲した線に沿う前記逃げ面と交差する、請求項５記載の切削インサート。
8. 前記逃げ面の上側部分と前記主切れ刃との間に形成される逃げ角が、前記主切れ刃に沿って一定である、請求項５記載の切削インサート。
9. 前記逃げ面が、前記主切れ刃から下方に向かい、且つ前記ボディの対向する端部に向かって傾いて延在し、端面の下側部分と鈍角を形成する、請求項１記載の切削インサート。
10. 前記端面の下側部分が、前記ボディの長さ方向中心線に垂直に配向され、且つ停止面を規定する、請求項９記載の切削インサート。
11. 前記停止面が、前記下面から、前記停止面と前記逃げ面との間の交差線までの方向において測定される高さを有し、前記高さが前記端面の高さの３０〜７０％である、請求項１０記載の切削インサート。
12. 前記停止面の高さが前記端面の高さの３３〜５５％である、請求項１１記載の切削インサート。

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