JPS6140180B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は化粧材の製造方法に関し、詳しくは印
刷模様部を表面において選択的に艶出しした化粧
材の製造方法に関する。

既に木目模様を施した化粧材が種々知られてい
るが、実際の天然板では、その導管部は松や桧の
場合には突出していて、他の組織よりも艶又は光
沢があり、欅やチークの場合には陥没しており、
他の組織よりも艶又は光沢がない。しかしなが
ら、印刷した木目模様によればこのうな導管部に
対応て光沢に差を設けることは困難である。この
ため、化粧材の表面に導管部を表わす模様を艶出
しインキにて別に印刷することも行なわれている
が、この方法においては、艶出しインキによる印
刷部を表面に露出させておかなければ艶出しの効
果が得られないため、耐溶剤性、耐摩耗性に欠け
る。

本発明は上記した問題を解決するめになされた
ものであつて、印刷模様部が保護コート層によつ
て保護されているのみならず、立体的に浮き上が
つて見えるように艶出しした化粧材の製造方法を
提供することを目的とする。

本発明による化粧材の製造方法は、表面に艶消
しエンボス処理面を有し、裏面に光重合禁止剤を
含有するインキによる印刷模様を有する紫外線架
橋性塩化ビニル系樹脂シートの表面から紫外線を
照射し、次いで加熱することを特徴とする。

以下に実施例を示す図面に基づいて本発明を説
明する。

紫外線架橋性塩化ビニル系樹脂シート１（以
下、単に架橋性シートという。）は、塩化ビニル
系樹脂、光反応性可塑剤、通常の可塑剤、光増感
剤、熱重合禁止剤、安定剤、顔料、その他必要に
応じて他の添加剤を含有する。塩化ビニル系樹脂
にはポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体等が含ま
れ、更にこれらを主体とする混合樹脂も含まれ
る。架橋性シートの厚みは30〜500μであるのが
望ましい。

光反応性可塑剤は紫外線照射前においては可塑
剤として作用し、紫外線照射により架橋重合する
モノマー又はオリゴマーをいう。モノマーの例と
しては多価アルコールの（メタ）アクリル酸エス
テルを挙げることができ、具体的には１・６−ヘ
キサンジオールジ（メタ）アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ（メタ）アクリレート、テ
トラメチロールメタンテトラ（メタ）アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ（メタ）アク
リレート等である。また、オリゴマーとしてはオ
リゴエステルアクリレート等を挙げることができ
る。これらの光反応性可塑剤は単独で、又は二種
以上の混合物として用いられる。

通常の可塑剤としてはジ−２−エチルヘキシル
フタレート、ジ−ｎ−オクチルフタレート、ジヘ
キシルフタレート、ジイソデシルフタレート等の
フタル酸エステル系可塑剤のほか、リン酸エステ
ル系、ポリエステル系、トリメリツト酸エステル
系、エポキシ化大豆油等の可塑剤が適宜に用いら
れるが、これらに限定されるものではない。

光増感剤も例えばベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、ベ
ンゾイン等、従来より一般に知られているものが
適宜に用いられる。安定剤としては、熱可塑性樹
脂が塩化ビニル系樹脂の場合、例えば一般的な金
属石ケン、スズ化合物、亜リン酸エステル等が用
いられ、また、顔料も必要に応じて適宜に用いら
れる。

架橋性シートにおける各成分の配合量は、普
通、塩化ビニル系樹脂100重量部について光反応
性可塑剤が５〜60重量部、通常の可塑剤が０〜
120重量部であり、光増感剤が光反応性可塑剤の
１〜５重量％である。

本発明においては、化粧材表面において艶出し
を要する印刷模様２が光重合禁止剤を含有するイ
ンキ組成物にて架橋性シートの裏面に設けられ
る。尚、図面には艶出しを要しない印刷模様は省
略されている。例えば、木目模様のうち、導管部
が印刷模様２で表わされているが、他の組織の印
刷模様は図示されていない。印刷模様を化粧材表
面から透視し得るように、通常は印刷模様を被覆
する不透明の基材層３が設けられる。基材層は着
色印刷層又は着色樹脂シート、例えば着色塩化ビ
ニル樹脂シートでよい。従つて、印刷模様２は架
橋性シートの裏面に印刷してもよく、或いは着色
塩化ビニル樹脂シートの表面に印刷し、架橋性シ
ートの裏面にラミネーシヨン等により積層しても
よい。

艶出しする印刷模様を印刷するためのインキ組
成物に含まれる光重合禁止剤としては、従来より
知られているものが適宜に用いられる。例えばハ
イドロキノン、メチルハイドロキノン、ｔ−ブチ
ルハイドロキノン、Ｎ−ニトロソジフエニルアミ
ン、２−メルカプトベンゾイミダゾール、ｐ−フ
エニレンジアミン、テトラヒドロキノリン、ｐ−
ヒドロキシジフエニルアミン、ｐ−キノン、フエ
ノチアジン、２・６−ジ−ｔ−ブチル−ｐ−クレ
ゾール、ｔ−ブチルカテコール等の一種又は二種
以上の混合物がインキ組成物に0.5〜15重量％程
度混合される。インキ組成物は架橋性シートを構
成する樹脂及び基材層を構成する樹脂等を考慮し
て適宜に選ばれる。

本発明においては、第１図に示すような表面に
艶消しエンボス処理面４を有し、裏面に印刷模様
２を有する架橋性シート１は次のようにして製造
することができる。即ち、架橋性シートの裏面に
印刷模様を施し、この印刷模様に着色印刷層を重
ねた後、架橋性シートの表面を艶消しエンボス処
理する。又は、架橋シートの裏面に印刷模様を印
刷した後、基材層３としての樹脂シートを熱圧着
すると同時に架橋性シートの表面を艶消しエンボ
ス処理する。更に、着色樹脂シートの表面に印刷
模様を施し、印刷模様を架橋性シートの裏面に沿
わせて着色樹脂シートを架橋性シートの裏面に熱
圧着すると同時に架橋性シートの表面を艶消しエ
ンボス処理してもよい。

本発明は上記のような架橋性シートにその表面
から紫外線照射した後、表面を加熱して、模様印
刷に対応して架橋性シートの表面に艶出しを行な
うのである。即ち、その機構は必らずしも明確で
なく、また、本発明は何ら理論により限定される
ものではないが、第２図に示すように、架橋性シ
ート１の裏面に設けられた印刷模様２の有する光
重合禁止剤が印刷模様に沿つて架橋性シートを表
面側に拡散し、印刷模様に沿つて架橋性シートに
含まれることとなり、この結果、架橋性シートの
表面に紫外線照射したとき、架橋性シートは印刷
模様に沿う部分は架橋しないが、他の部分は架橋
し、エンボス処理面を有したまま三次元化する。
従つて、この後にシート１を加熱すると、表面の
架橋した艶消しエンボス処理面の絞はそのまま残
つて表面を艶消ししているが、非架橋のエンボス
処理面は樹脂が軟化、溶融し、絞が消滅し、かく
して模様印刷に対応して艶出し面５が生じるので
ある。

以上のように、本発明の方法によれば、印刷模
様を架橋性シートの裏面に設け、この印刷模様に
沿つて架橋性シート表面の艶消しエンボスの絞を
消滅させて艶又は光沢を与えるから、模様印刷は
架橋性シートによつて保護されており、耐摩耗
性、耐溶剤性等にすぐれ、更に印刷模様に沿つて
表面が艶出しされているから、印刷模様が浮き上
つて見えることとなり、例えば前記したように、
木目模様のうちの導管部を印刷模様にすれば、天
然板に酷似した立体的な木目模様を有する化粧材
が得られる。また、本発明により得られる化粧材
は表面が実質的に架橋しているから、すぐれた耐
熱性、耐摩耗性、強度等を有する。

実施例 カレンダー加工により得た厚さ100μの紫外線
架橋性ポリ塩化ビニルシートの裏面に、光重合禁
止剤ハイドロキノンを２重量％加えたインキにて
木目模様を印刷し、この模様印刷面に厚さ100μ
の着色ポリ塩化ビニルシートを熱圧着すると同時
に架橋性シート表面に艶消しエンボス処理を行な
つた。このシートの表面光沢は60゜反射光にて15
であつた。

紫外線をこのシートの表面に120w/cmの条件で
５秒間照射した後、150℃の温度で10秒間加熱し
たところ、木目模様に対応してエンボスの絞が流
れて光沢は80となり、一方、他の部分の光沢は20
であつた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の方法の一実施例を示し、第１図
は紫外線照射する前の架橋性シートを示す断面
図、第２図は紫外線照射し、次に加熱処理した後
の架橋性シートを示す断面図である。 １……紫外線架橋性塩化ビニル系樹脂シート、
２……模様印刷、３……基材層、４……艶消しエ
ンボス処理面、５……光沢面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表面に艶消しエンボス処理面を有し、裏面に
   印刷インキによる印刷模様を有する塩化ビニル系
   樹脂シートを基材シート上に積層してなる化粧材
   において、上記印刷模様に沿つて上記樹脂シート
   の表面を選択的に艶出しする化粧材の製造方法に
   おいて、 (a) 上記樹脂シートを紫外線の照射によつて重合
   する光反応性可塑剤を含有させて形成すると共
   に、上記印刷インキに上記光反応性可塑剤が紫
   外線の照射によつて重合するのを禁止する重合
   禁止剤を含有させて形成し、 (b) 上記樹脂シートの表面から紫外線を照射し
   て、上記樹脂シートのうち、上記印刷模様に沿
   わない部分を艶消しエンボス処理面と共に架橋
   させ、次いで、 (c) 上記樹脂シートを加熱して、上記印刷模様に
   沿う艶消しエンボス処理面の絞を消滅させて、
   艶出し面とすることを特徴とする化粧材の製造
   方法。