JPS6139783Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は屋根における棟換気装置、詳しくは瓦
屋根に適用できる棟換気装置であつて、棟部分に
通気路を形成する一方、該通気路の上部に棟換気
体が取付けられ、この通気路ならびに棟換気体に
より換気を行うことができる屋根における棟換気
装置に係る。

一般に夏等には屋根は相当高温になると共に、
小屋裏も屋根よりやや低くなるが、相当高温にな
り、小屋裏に湿気がこもつたり、かびが発生す
る。また、冬においても家の中で温い空気は上昇
し、家中の湿気がほとんど小屋裏にたまり、この
ため、所謂、結露現象が発生して、屋根材等が裏
側から腐食することも多い。このように屋根内外
の温度差の大きいときには、換気効果を高めて家
屋の寿命の向上をはかると同時に、夏に小屋裏が
高温に加熱されたときに換気によつて冷却して冷
房に要するエネルギの低減化をはかることが望ま
しい。

この考案は、上記問題の解決を目的とし、具体
的には瓦屋根において垂木の棟部分に換気のため
に通気路を形成し、この通気路の上部には棟瓦の
内側に起立させた立上げ部材を介して棟換気体を
取付け、これら通気路と棟換気体によつて換気効
果を向上させる屋根における棟換気体を提案す
る。

上記立上げ部材は棟瓦と略面一にする構造、あ
るいは棟瓦より上方に突出する構造の何れであつ
てもよいが、後者構造が通気路の高さを増大させ
て棟換気効果を高め得、好ましい。

立上げ部材は各垂木に個々に釘止めし起立させ
た棒状の立上げ杆、あるいは全垂木に渉り溝嵌合
させて起立させた板状の立上げ板の何れであつて
もよい。

本考案の実施例について図面に基づいて説明す
る。

まず、第１図は、この考案の一つの実施例に係
る棟換気装置の断面図であり、第２図は、第１図
における棟換気体の取付け前の状態を示す断面図
である。これら第１図ならびに第２図において符
号１は屋根の棟木を示し、この棟木１の軸方向に
対して直交するよう所定の間隔をおき、垂木２が
取付けられている。すなわち、垂木２は棟木１を
はさんで左右対称に配置され、左右の各垂木２の
先端は、通常釘等で棟木１の上面に固定され、し
かも、各垂木２は所定の勾配のもとで下向きに傾
斜さている。また、これら垂木２の表面には野地
板３が敷設され、更に、野地板３の表面に所謂ル
ーフイング等の防水シート４が展設されている。
この防水シート４上に瓦５やトタン板が敷設さ
れ、棟部分においては瓦５上には更に棟瓦６が棟
木１の軸方向に沿つて敷設される。従つて、この
構造の屋根においては、棟木１上の隣接垂木２の
間からは、空気が矢印方向に上昇し、この部分に
通気路１３を形成し、換気を促進する。

すなわち、上記構成の屋根において、この通気
路１３の上部に棟換気体７を取付けるが、通気路
１３はその両側に立上げ杆８を備えられ各立上げ
杆８の上面に棟板９を取付け、この棟板９に棟換
気体７を固着する。更に詳しく説明すると通常、 棟板９を取付けるときには、垂木２の側面に立
上げ杆８を釘止めし、立上げ杆８の上端面８′は
傾斜させ、この傾斜上端面８′が棟瓦６の上面と
一致し、直線をなすよう構成する（第２図参
照）。上記立上げ杆８，８……の外側面には全杆
に渉り連接する側板１８を取付ける。この場合棟
瓦６は瓦５と棟板９との間で挾持し、この棟板９
は立上げ杆８の上端傾斜面８′に釘等の固定具１
０で取付け固定する。また、この棟板９に棟換気
体７を取付ける際、予め、棟板９の上面に水返し
板１１及び笠木１２を介在させて両側棟板９間に
棟換気体７を跨設させる。

この棟換気体７は後記の通気路１３から上昇す
る空気流が外部に排出でき、しかも外部からの雨
風の吹込みが防止できるよう通常は第１図に示す
通り構成する。

すなわち、裾部７ａ、側板部７ｂ、内壁部７ｃ
ならびに天板部７ｄから成つて内壁部７ｃならび
に天板部７ｄには、それぞれ排気口７ｅ，７ｆが
形成され裾部７ａが笠木１２に取付けられる。ま
た、内壁部７ｃの内部は、通気路１３に連通さ
せ、家屋の屋根裏の空間ならびに通気路１３を経
て、上昇する空気を排気口７ｅ，７ｆから大気中
に排出させる。屋根裏の換気を行なうようになつ
ているこの棟換気体７は外部の側板部７ｂと内部
の内壁部７ｃを具える二重構造から成つているた
め、屋内に風雨が吹込むことはないが、側板部７
ｂの排気口７ｆからある程度雨水が侵入しても、
側板部７ｂの下部、つまり、裾部７ａ附近に排水
口７ｇを形成しておけば、排出口７ｇから雨水を
外部へ排出できる。

また、以上の通りに、垂木の棟部分に通気路を
形成する際に通気路の高さはなるべく高く構成
し、そのドラフト効果により、一層棟換気を高め
るのが望ましい。

すなわち、第３図は、本考案の他の実施例に係
る棟換気装置の断面図であつて第３図においては
第１図に示すところと同様に符号１は棟木、２は
垂木、３は野地板、４はアスフアルト屋根材、５
は瓦、６は棟瓦、７は棟換気体を示す。

従つて、所定間隔をおいて取付けられた隣接垂
木２間の間隔からは矢印方向に屋内の空気が上昇
し、この空気流は棟換気体７の排出口７ｅ，７ｆ
から大気中に排出される。この空気流の上昇を促
進させるために、第３図に示す例においても、第
１図で示す例と同様に、通気路１３ａを形成する
が、この通気路１３ａの高さを高く構成し、その
ドラフト効果を促進する。

従つて、立上げ杆８ａは長く延長して構成し、
各立上げ杆８ａの上端面８a′上において屋根の棟
方向に全長通しの棟板９ａを取付け、更に、この
棟板９ａを介して棟換気体７を取付ける。なお、
第３図に示す例では、第１図に示すものと相違し
て棟板９ａによつて棟瓦６をおさえることができ
ないが、この場合には、棟瓦６におさえ板９ｃで
おさえると共に、このおさえ板９ｃは、水返し板
１１によつて保持し、この水返し板１１は、第１
図に示す例と同様に笠木１２を介して固定すれば
良い。次に第４図は前記立上げ杆８又は８ａの変
形例である立上げ板２０を示し、該板２０の下端
に垂木２，２……に嵌め合う切欠溝２１，２１…
…を形成した構造であり、この立上げ板２０の溝
２１，２１……を垂木２，２……に嵌め合い状に
起立させ固着して取付けるものである。この立上
げ板２０を使用する場合には前記側板１８は不要
となる。

本考案は叙上の如く、屋根垂木の棟部分に適宜
間隔をおき立上げ部材を起設して両部材間に通気
路を形成したので、この通気路により小屋裏にお
ける空気の集束性及び上昇流れが促進され、しか
もこの通気路の上部に棟換気体を設けたので、小
屋裏の換気効果が高まり、したがつて家中の湿気
が小屋裏に集積することがなく所謂結露現象を除
去できるとともに大気が高温となつても屋根部分
は通気路及び棟換気体の換気によつて冷却される
ため、冷房時のエネルギーが節減できる。

又、立上げ部材の外側に棟瓦を敷設するととも
に立上げ部材の上面に棟板を介して棟換気体を設
置することができ、棟瓦及び棟換気体を配設する
ための収まりがよいとともに棟換気体が単体独立
しているので取付け作業性に優れる。又、立上げ
部材を垂直状に起設したので、傾斜状の立上げ面
とした場合と違つて、換気効果を高めるため立上
げ部材の高さを大きくとる仕様にするときでも両
部材の間隔に変化がなく、したがつて同一寸法の
棟換気体を設置することができ汎用性に優れ、し
かも棟板と棟換気体の裾部との間に水返し板を介
在させ、該板の内端を棟換気体内に突出させ、外
端を棟瓦上に被着せしめたので、棟換気体の取付
けまわりのシール性を高めるとともに万一棟換気
体内に雨水が侵入したときでも屋根裏への落下を
防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一つの実施例に係る棟換気
装置の断面図であり、第２図は第１図における棟
換気体の取付け前の状態を示す断面図、第３図は
この考案の他の実施例に係る棟換気装置の断面
図、第４図は立上げ部材の変形例を示す斜視図で
ある。 符号１……棟木、２……隣接垂木、３……野地
板、４……防水シート、５……瓦、６……棟瓦、
７……棟換気体、７ａ……裾部、７ｂ……側板
部、７ｃ……内壁部、７ｄ……天板部、７ｅ……
排気口、７ｆ……排気口、７ｇ……排水口、８…
…立上げ杆、８′……上端傾斜面、８ａ……立上
げ杆、９……棟板、９ａ……おさえ板、１０……
固定具、１１……水返し板、１２……笠木、１３
……通気路、１３ａ……通気路、２０……立上げ
板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 屋根垂木の棟部分に適宜間隔をおき立上げ部材
   を垂直状に起設して両部材間に通気路を形成し、
   各立上げ部材の外側に棟瓦を敷設し、各立上げ部
   材の上面に棟板を取付けるとともに各棟板上に水
   返し板を介し単体独立した棟換気体の裾部を跨設
   して取付け、前記水返し板の内端を棟換気体内に
   突出させ、外端を棟瓦上に被着せしめた屋根にお
   ける棟換気装置。