JPS6139433B2 - - Google Patents

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JPS6139433B2
JPS6139433B2 JP53102001A JP10200178A JPS6139433B2 JP S6139433 B2 JPS6139433 B2 JP S6139433B2 JP 53102001 A JP53102001 A JP 53102001A JP 10200178 A JP10200178 A JP 10200178A JP S6139433 B2 JPS6139433 B2 JP S6139433B2
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silk
polyurethane
aqueous solution
silk fibroin
fibroin
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Kyoshi Otoi
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Kanebo Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は絹フイブロイン−ポリウレタン加工絹
紡糸及びその製造法に関するものである。 絹繊維は静かな深い光沢、やわらかい風合、優
美なドレープ性等、他の繊維の追随を許さない独
得の高尚、優雅な品格を持つものであるがそれゆ
えに又製織原糸の品位は他の繊維以上に重要なも
のである。しかしながら、絹紡績糸の一つの欠点
は、いわゆる糸の腰が生糸に比べて小さい性質で
ある。これは製織した布の張りに影響し、ドレー
プ性や風合の面で生糸使いの織物に劣る。しかも
絹紡糸は毛羽を有するため紡績以降の工程で種々
の欠陥を生ずるのみでなく、外観上も見劣りがす
る。又、絹紡糸使い織編物の今一つの改善が望ま
れる面は、耐摩擦性が生糸使いに比べて劣り、着
用時に摩擦部分が毛羽立ち、さらに数十本の毛羽
が絡み合つた毛玉が発生する点である。 斯様に絹紡糸は、その性能にいくつかの問題点
を内在しているのが実情で、これの改善のため従
来種々の方法が検討されたきた。。例えば絹紡糸
に腰を付与すること及び耐摩擦性を向上すること
を目的にして、ビス加工と称してビスコースを糸
段階で塗付した後、通常の再生処理で水不溶性に
する加工方法が知られている。しかしながら、該
方法はビスコースが主として反応性染料、絹が主
として酸性染料と可染染料種が異なるため、染色
後の糸及び織編物に染色むらが激しく、その用途
は限定され、又同じ理由でコーテイング量は1%
以下程度に制限されるため処理効果も小さい。 一方、可染染料種を同じくするコーテイング材
料として牛乳カゼイン、大豆蛋白、酵母蛋白等の
ポリペプチツドが考えられるが、これらの溶液を
コーテイング後再生した加工絹紡糸を絹の通常の
精練方法、即ちアルカリ性石けん水中で煮沸した
処、コーテイングした皮膜は完全に剥離し耐久性
のあるコーテイング加工した絹紡糸は得られなか
つた。即ち、絹繊維特有の加工処理として、かな
り強いアルカリ性(PH=10〜11)での精練でセリ
シンを除去する方法が採られる。この条件に充分
に耐えられるだけ強力に糸本体に接着し、さらに
絹と可染染料種を同じくする皮膜でコーテイング
された絹紡糸は、未だ実用化された例がないので
ある。 本発明者は摩擦堅牢性が良く、繊維の腰の点で
改善され、しかも精練や染色上の問題点を持たな
い絹紡糸について鋭意研究の結果本発明を完成し
た。 本発明の目的は優れた摩擦堅牢性存び腰を有
し、且つ毛羽がなく精練性及び染色性良好な絹紡
糸を提供するにある。他の目的は優れた摩擦堅牢
性及び腰を有し、且つ毛羽がなく精練性及び染色
性良好な絹紡糸を工業的容易且つ安価に製造する
方法を提供するにある。更に他の目的は斯かる品
質良好な絹紡糸を使用した織編物を提供するにあ
る。 本発明の絹フイブロイン−ポリウレタン加工絹
紡糸は繊維表面に実質的に絹フイブロイン−ポリ
ウレタンからなる皮膜を有するものであり、又本
発明方法は銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化
銅−アンモニア水溶液、水酸化銅−アルカリ−グ
リセリン水溶液、臭化リチウム水溶液、カルシウ
ム或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝
酸塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸
ナトリウム水溶液よりなる群から選ばれた少なく
とも1種を溶媒とする絹フイブロイン水溶液に熱
反応型水溶性ポリウレタンを溶解し、得られた混
合水溶液を絹紡糸にコーテイングした後再生する
ことを特徴とする。更に本発明方法は銅−エチレ
ンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニヤ水溶
液、水酸化銅、アルカリ−グリセリン水溶液、臭
化リチウム水溶液、カルシウム或いはマグネシウ
ム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝酸塩又はチオシアン
酸塩の水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種を溶媒とす
る絹フイブロイン水溶液に熱反応型水溶性ポリウ
レタンを溶解し、得られた混合水溶液を絹紡糸に
コーテイングした後再生し、次いでフイブロイン
−ポリウレタン皮膜の熱水不溶化処理をすること
を特徴とするものである。 本発明の絹フイブロイン−ポリウレタン加工絹
紡糸は絹フイブロイン−ポリウレタン皮膜により
繊維表面を覆つているが繊維の柔軟性及び風合を
考慮すると絹フイブロイン−ポリウレタンの付着
量は絹紡糸に対し高々30重量%であり、通常0.5
〜30.0重量%、好ましくは1.0〜10.0重量%であ
る。又皮膜の厚みは、通常0.01〜10μである。更
に絹フイブロイン−ポリウレタン皮膜は耐久性を
向上するために熱水不溶化処理を行なうのが好ま
しい。この場合熱水不溶性フイブロイン−ポリウ
レタン皮膜の割合は全皮膜の少なくとも30重量
%、特に少なくとも50重量%、就中実質的に100
重量%のものが好ましい。 本発明に於いて熱水不溶性フイブロイン−ポリ
ウレタン皮膜とは100℃の熱水中で15分間煮沸し
ても溶解しないものを謂う。 本発明の絹フイブロイン成分とポリウレタン成
分との割合は、加工絹紡糸の風合を考慮すると絹
フイブロイン成分は少なくとも10重量%混合する
ことが必要であり、特に少なくとも30重量%、就
中50重量%以上のものが好ましい。ポリウレタン
成分は少なくとも10重量%以上、特に20重量%以
上が好ましい。絹フイブロイン成分とポリウレタ
ン成分の割合は風合或いは耐久性等目的とする品
質により適宜決定し得るが通常絹フイブロイン成
分60〜80重量%、ポリウレタン成分20〜40重量%
のものが使用される。 本発明に適用する絹フイブロインの溶媒は銅−
エチレンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニヤ
水溶液(シユワイザー試薬)、水酸化銅−アルカ
リ−グリセリン水溶液(ローエ試薬)、臭化リチ
ウム水溶液、カルシウム或いはマグネシウム又は
亜鉛の塩酸塩或いは硝酸塩又はチオシアン酸塩の
水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液が挙げら
れるが、コスト及び使用上の点からカルシウム又
はマグネシウムの塩酸塩又は硝酸塩が好ましい。
又、絹フイブロインは生糸工場又は絹紡工場で副
生する絹の屑繊維をマルセル石けん及びソーダ灰
を用いて通常の方法で精練し、残留セリシンを1
重量%以下にしたものを適用する。絹フイブロイ
ン水溶液の絹フイブロインの濃度は溶媒の種類、
付着量により異なるが通常0.5〜20重量%、特に
1.0〜10.0重量%が好適である。 又、本発明で絹フイブロイン水溶液に溶解する
熱反応型水溶性ポリウレタンは、例えば遊離のイ
ソシアネート基を重亜硫酸塩でブロツクしたウレ
タンプレポリマーと活性水素原子を有する連鎖延
長剤との混合物であり、これはコーテイング後適
度な熱処理をすることで重亜硫酸塩のブロツクを
解離し、活性イソシアネート基を再生して連鎖延
長剤及び絹フイブロインと反応させることで耐熱
水性の優れた皮膜を形成せしめるものである。 本発明方法に於いて絹フイブロイン及び熱反応
型水溶性ポリウレタン水溶液の絹紡糸に対する付
与方法は特に限定されないが、浸漬法、スプレー
法及びローラー法等を適用することができる。
又、このために通常の一本糊付機、綛糊付機及び
ビーム糊付機等の従来の装置をそのまま使用する
ことも可能である。 本発明に適用する絹フイブロイン水溶液はその
まゝ使用してもよいや製品の品質上及び工程上の
点で脱塩基及び/又は脱塩して使用するのが好ま
しい。ここで脱塩基又は脱塩処理は通常チユーブ
又はフイルムの半透膜を使用し透析することによ
り実施する。 脱塩基及び/又は脱塩を行なわない絹フイブロ
イン水溶液と熱反応型ポリウレタン水溶液との混
合物を使用した場合、絹紡糸はコーテイング後、
通常塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリ
ウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナ
トリウム及び硝酸カリウム等の中性塩の水溶液中
に浸漬して再生を行なう。 又、脱塩基及び/又は脱塩を行なつた絹フイブ
ロイン水溶液と熱反応型ポリウレタン水溶液との
混合物を使用した場合の再生は該中性塩の水溶液
を使用してもよいが、単なる風乾又は加熱乾燥に
より実施し得る。 再生された絹フイブロイン−ポリウレタン皮膜
は更に熱水不溶化処理を行なうことにより強固な
皮膜を形成することができる。フイブロイン−ポ
リウレタン皮膜の熱水不溶化処理は例えば蒸熱処
理又は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナト
リウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硝酸
ナトリウム及び硝酸カリウム等の中性塩の熱水溶
液或いはアセトン、アルコール等の有機溶媒中で
加熱することにより達成される。例えば硫酸アン
モニウム等の中性塩の熱水溶液を使用する場合、
再生と熱水不溶化処理が同時に実施し得るので好
適である。 本発明に適用する絹フイブロイン−熱反応型ポ
リウレタン水溶液は柔軟剤、吸湿剤、制電剤、防
腐剤、調色剤、安定剤、反応触媒等を必要に応じ
含有してもよい。 本発明のフイブロイン−ポリウレタン加工絹紡
糸は均一な薄い皮膜が紡績糸及び単繊維を包み込
んでいて、この絹フイブロイン−ポリウレタン皮
膜は熱水及びアルカリ性石けんにもはや溶解せ
ず、精練や染色工程に対する堅牢性には充分なも
のがある。又、本発明の絹紡糸は染色の発色性や
均一性で従来の絹紡糸以上であり、精練や染色加
工及び着用時の摩擦で毛羽立つことが少く、染色
の摩擦堅牢性も良好である。さらに糸に適度の腰
を付与することができるため、織編物の風合いは
スパン調を保持しながらも生糸使いに類似したも
のになり、一段と優雅なものとなる。 以上のように本発明の絹フイブロイン−ポリウ
レタン皮膜でコーテイングされた絹紡績糸は耐摩
擦性、染色性、風合等に優れた性能があり、工業
的に極めて有用である。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中、部となるのはすべて重量部を示
す。 実施例 1 絹フイブロイン原料として絹紡績の紡績屑を用
い、これの100部をマルセル石けん30部、水3000
部の溶液を用いて95〜98℃において3時間撹拌、
精練し、残膠を0.1%以下にまで減少させ、水洗
後80℃で熱風乾燥した。 硫酸カルシウム{Ca(MO32・4H2O}100部
を80℃に加熱し溶解した。これに乾燥した精練ず
みの前記紡績屑30部を投入し、30分撹拌溶解し
た。溶解後直ちに90℃の熱水を加え、絹フイブロ
インの2重量%水溶液を製造した。一方で熱反応
型水溶性ポリウレタン(エラストロン E−37、
第一工業製薬)の2重量%水溶液を調製し、絹フ
イブロインの2重量%水溶液と1:1で混合し
た。 得られた絹フイブロイン−ウレタンプレポリマ
ー溶液を糊剤として、一方糊付機を用いて絹紡糸
に該溶液をコーテイングした。絹紡糸は140番
手/双糸を使用し、糸速50m/分で糊浴に浸漬
し、これを浴から上つた所でピンチローラーを用
いて液のピツクアツプを第1表に示す量に絞り、
3種類のコーテイング糸を製造した。続いて、
110℃の硫酸酸性(PH2)の飽和硫安水溶液に滞
留時間3秒で通し、続いて洗滌水の還流している
水洗浴に導入し、残留している溶媒及び硫安を除
去し、0℃で乾燥後巻取つた。以上のようにして
製造した糸は毛羽がほとんど無く、絹フイブロイ
ン−ポリウレタンのコーテイング量は第1表に示
す通りであり、顕微鏡写真でみるといずれも絹フ
イブロイン−ポリウレタンの薄い皮膜が紡績糸及
び単繊維を包み込んでいるのが観察された。この
皮膜は熱水(沸とう×60分)及びアルカリ性石け
ん水での精練(1%工業用石けん水、PH=11×沸
とう×120分)でほとんど破壊されることなく堅
牢に存在していた。又、熱水煮沸時の減量から計
算して熱水不溶性フイブロイン−ポリウレタン量
は約30重量%であつた。 次に精練及び染色をしたコーテイング糸及びこ
れより成る織編物の性能を測定した。まず染色性
は酸性染料(例、C.I Acid Red 37)、塩基性染
料(例 C.I Basic Blue 9)での染色物で、そ
の光沢及び発色性は未コーテイング糸以上であ
り、良好であつた。摩擦に対する染色堅牢度の試
験はJISL−0849に従つて実施した(摩擦試験機
型)。試験片としては編物を用いた。 その結果を第1表に示す。染色堅牢度は未コー
テイング糸3〜4級に対して3種のコーテイング
糸とも4級以上であり効果が認められた。一方、
摩擦に対する染色堅牢度試験後の試験片の表面状
態で毛羽立ち及び毛玉発生に対する耐摩擦性を比
較した。その判定にJISL−1076のピリング判定
標準写真を準用した結果、未コーテイング糸が2
級であるのに対してコーテイング糸は3〜4級で
あり、耐摩擦性に対する顕著な効果が確認でき
た。 さらに、コーテイング糸は未コーテイング糸と
比較して繊維に若干の腰が付与されていて、これ
より成る織編物の風合はスパン調を保持しながら
も生糸使いの織編物の風合に近いものになり、よ
り優雅なものが得られた。 以上のように硫酸カルシウム溶解液法での絹紡
糸に対する絹フイブロイン−ポリウレタン皮膜の
コーテイングは顕著な好ましい効果がある。
【表】 実施例 2 実施例1に準じて絹紡屑の精練を行ない絹フイ
ブロイン原料とした。 エチレンジアミン8%、水酸化銅6%の水溶液
(銅−エチレンジアミン溶液)100部に、乾燥した
精練ずみの前記絹紡屑10部を室温で5分間で撹拌
溶解し、溶解後直ちに10%酢酸溶液でPH6.8に調
整し、さらに水を加えて絹フイブロインの2重量
%溶液を製造した。 熱反応型水溶性ポリウレタン(エラストロン
E−37)の4重量%水溶液を調製し、絹フイブロ
インの2重量%水溶液と1:1で混合した。これ
を実施例1に準じて72番手/双糸の絹紡糸に液の
ピツクアツプ量を100重量%にコントロールして
コーテイングした。 コーテイング糸は乾燥せず湿つたまま綛状に巻
取り、一定量(例えば100g)巻き上つたところ
で綛枠ごと110℃の硫酸酸性(PH2)の硫酸ナト
リウム飽和水に10分間浸漬し、再生と熱水不溶化
処理を同時に行つた。続いて充分に水洗し、乾燥
後チーズに巻上げた。 以上のようにして製造した糸は毛羽がほとんど
無く、絹フイブロイン−ポリウレタンのコーテイ
ング量4%(重量)であり、顕微鏡写真でみると
絹フイブロイン−ポリウレタンの薄い皮膜が紡績
糸及び単繊維を包み込んでいるのが観察された。
この皮膜は実施例1に準じたアルカリ性石けん水
での精練でもほとんど破壊されることなく堅牢に
存在していた。又は、熱水不溶性フイブロイン−
ポリウレタン量は約60%であつた。 次に精練及び染色をしたコーテイング糸及びこ
れより成る織編物の性能を実施例1に準じて測定
した。その結果、染色性において光沢及び発色性
で未コーテイング糸以上であり、良好であつた。
摩擦に対する染色堅牢度は4〜5級であり、毛羽
立ち、毛玉に対する耐摩擦性は4級で顕著な効果
が認められた。 さらに、コーテイング糸は未コーテイング糸と
比較して繊維に若干の腰が付与されていて、これ
より成る織編物の風合はスパン調を保持しながら
も、生糸使いの織編物の風合に近いものになり、
より優雅なものが得られた。 以上のように、銅−エチレンジアミン法での絹
紡糸に対する絹フイブロイン−ポリウレタンのコ
ーテイングは顕著な好ましい効果がある。 実施例 3 実施例1に準じて絹紡屑の精練を行ない、絹フ
イブロイン原料とした。 塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)66部に水34
部を混合し、50%塩化カルシウム水溶液100部を
調製し110℃に加熱した。これに精練ずみの精紡
屑30部を5分間で撹拌しながら投入後、さらに30
分間撹拌し完全に溶解させた。得られた絹フイブ
ロイン−塩化カルシウム溶液を冷却後、セルロー
スチユーブで透析脱塩した。即ち、セルロースチ
ユーブとして内径7〜8cm、長さ1mのものを用
い、これに絹フイブロイン溶液を充填し、両端を
密閉後流水中で15〜25時間かけて塩濃度を0.1%
以下にまで減少させた。 脱塩された透析液の絹フイブロイン濃度は4.5
重量%程度である。これを熱水で希釈して4重量
%の絹フイブロインのコロイド溶液を製造した。 これに熱反応型水溶性ポリウレタン(エラスト
ロン CT−4)の2重量%水溶液を調製し、絹
フイブロインの4重量%水溶液と1:1で混合し
た。 これを実施例1と同様に1本糊付機を用いて絹
紡糸にローラ・サイジングの方法でコーテイング
した。糸は100m/minで走らせ、糊付ローラの表
面線速度で液のピツクアツプ量を第2表に示す量
にコントロールし、4種類のコーテイング糸を製
造し、続いて熱風乾燥し巻取つた。続いて80℃で
15分間蒸熱処理を施し、フイブロイン−ポリウレ
タン皮膜の熱水不溶化を完壁なものにした。この
方法で製造した糸は毛羽がほとんど無く、絹フイ
ブロイン−ポリウレタンのコーテイング量は第2
表に示すとおりである。顕微鏡写真で見ると絹フ
イブロイン−ポリウレタンの薄い皮膜が紡績糸及
び単繊維を包みこんでいるのが観察された。この
皮膜は実施例1に準じた精練でほとんど破壊され
ることなく堅牢に存在していた。又、熱水不溶性
フイブロイン−ポリウレタン量はほぼ100重量%
であつた。 次に精練及び染色をしたコーテイング糸及びこ
れより成る織編物の性能を実施例1に準じて測定
した。その結果、染色性において光沢及び発色性
でいずれも未コーテイング糸以上であり、良好で
あつた。又、第2表に示すように摩擦に対する染
色堅牢度は4級以上であり、毛羽立ち、毛玉発生
に対する耐摩擦性は3〜5級であり顕著な効果が
認められた。さらに、コーテイング糸は未コーテ
イング糸と比較して繊維に若干の腰が付与されて
いて、これより成る織編物の風合いはスパン調を
保持しながらも生糸使いの織編物の風合に近いも
のになり、より優雅なものが得られた。
【表】 実施例 4 実施例1〜実施例3に準じて下表に示す各種溶
媒で4%のフイブロイン溶解液又はコロイド水溶
液を製造し、これに4%の熱反応型水溶性ポリウ
レタン(エラストロン GT−23)を1:1で混
合し、絹紡糸にコーテイングした。得られたコー
テイング糸の顕微鏡写真は、いずれも絹フイブロ
インの均一な薄い皮膜が紡績糸及び単繊維を包み
込んでいて、毛羽がほとんど無いのが観察され
た。これ等の皮膜は実施例1に準じたアルカリ性
石けん水での精練でも堅牢に存在していた。 次にコーテイング糸及びこれにより成る織編物
の性能を実施例1に準じて測定した。その結果、
いずれも染色性において光沢性及び発色性で未コ
ーテイング糸以上であり、均一性でも遜色は見ら
れず良好であつた。又、コーテイング糸は未コー
テイング糸と比較して、いずれも繊維に若干の腰
が付与されていて、これ等より成る織編物の風合
はスパン調を保持しながらも生糸使いの織編物の
風合に近いものになり、より優雅なものが得られ
た。摩擦に対する染色堅牢度及び毛羽立ち、毛玉
発生に対する耐摩擦性を第3表に示す。
【表】 以上のように、いずれの場合も絹紡糸に対する
絹フイブロイン−ポリウレタンのコーテイングは
顕著な好ましい効果がある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維表面に実質的に絹フイブロイン−ポリウ
    レタンよりなる皮膜を有する絹フイブロイン−ポ
    リウレタン加工絹紡糸。 2 皮膜の少なくとも10重量%が絹フイブロイン
    成分である特許請求の範囲第1項記載の絹フイブ
    ロイン−ポリウレタン加工絹紡糸。 3 皮膜の少なくとも30重量%が絹フイブロイン
    成分である特許請求の範囲第1項記載の絹フイブ
    ロイン−ポリウレタン加工絹紡糸。 4 皮膜の少なくとも50重量%が絹フイブロイン
    成分である特許請求の範囲第1項記載の絹フイブ
    ロイン−ポリウレタン加工絹紡糸。 5 皮膜の少なくとも10重量%がポリウレタン成
    分である特許請求の範囲第1項記載の絹フイブロ
    イン−ポリウレタン加工絹紡糸。 6 絹フイブロインの少なくとも30重量%が熱水
    不溶性フイブロインである特許請求の範囲第1項
    記載の絹フイブロイン−ポリウレタン加工絹紡
    糸。 7 絹フイブロインの少なくとも50重量%が熱水
    不溶性フイブロインである特許請求の範囲第1項
    記載の絹フイブロイン−ポリウレタン加工絹紡
    糸。 8 皮膜の付着量が絹紡糸に対し0.5〜30重量%
    である特許請求の範囲第1項記載の絹フイブロイ
    ン−ポリウレタン加工絹紡糸。 9 皮膚の厚みが0.01〜10μである特許請求の範
    囲第1項記載の絹フイブロイン−ポリウレタン加
    工絹紡糸。 10 銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化銅−
    アンモニア水溶液、水酸化銅−アルカリ−グリセ
    リン水溶液、臭化リチウム水溶液、カルシウム或
    いはマグネシウム、又は亜鉛の塩酸塩或いは硝酸
    塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸ナ
    トリウム水溶液よりなる群から選ばれた少なくと
    も1種を溶媒とする絹フイブロイン水溶液に熱反
    応型水溶性ポリウレタンを溶解し、得られた混合
    水溶液を絹紡糸にコーテイングした後再生するこ
    とを特徴とする絹フイブロイン−ポリウレタン加
    工絹紡糸の製造法。 11 絹フイブロイン水溶液は溶媒に溶解後、脱
    塩基及び/又は脱塩したものである特許請求の範
    囲第10項記載の絹フイブロイン−ポリウレタン
    加工絹紡糸の製造法。 12 銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化銅−
    アンモニア水溶液、水酸化銅−アルカリ−グリセ
    リン水溶液、臭化リチウム水溶液、カルシウム或
    いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝酸塩
    又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸ナト
    リウム水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも
    1種を溶媒とする絹フイブロイン水溶液に熱反応
    型水溶性ポリウレタンを溶解し、得られた混合水
    溶液を絹紡糸にコーテイングした後再生し、次い
    でフイブロイン−ポリウレタン皮膜の熱水不溶化
    処理をすることを特徴とする絹フイブロイン−ポ
    リウレタン加工絹紡糸の製造法。 13 絹フイブロイン水溶液は溶媒に溶解後、脱
    塩基及び/又は脱塩したものである特許請求の範
    囲第12項記載の絹フイブロイン−ポリウレタン
    加工絹紡糸の製造法。 14 フイブロイン−ポリウレタン皮膜の熱水不
    溶化処理は蒸熱で行なう特許請求の範囲第12項
    記載の絹フイブロイン−ポリウレタン加工絹紡糸
    の製造法。 15 蒸熱は少なくとも50℃の温度である特許請
    求の範囲第14項記載の絹フイブロイン−ポリウ
    レタン加工絹紡糸の製造法。 16 フイブロイン−ポリウレタン皮膜の熱水不
    溶化処理は硫酸アンモニウム又は硫酸ナトリウム
    或いは硫酸カリウムの水溶液で行う特許請求の範
    囲第12項記載の絹フイブロイン−ポリウレタン
    加工絹紡糸の製造法。
JP10200178A 1978-08-21 1978-08-21 Silk fibroinnpolyurethane finished silk yarn and method Granted JPS5530434A (en)

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