JPS6138530Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ミシンにおける布押え装置のための
押え圧解放装置に関する。

〔従来技術〕

一般に、ミシンにおいては種々の厚さの加工布
に縫製を施すことが要求され、この要求に対処す
るために、出願人は、加工布の厚さの増減に拘ら
ず、常に略一定の布押え圧が得られる布押え装置
を提案した。その布押え装置は、同出願人が先に
出願した特願昭55−10769号（特開昭56−106689
号）の明細書に開示されている。上記布押え装置
は、種々の厚さの加工布に縫製を行う際に一定の
良好なる送りを確保するために有効であつた。

しかし、上記布押え装置は押え圧の解放機構を
持たないため、押え棒から押え圧を解除した状態
で押え足により加工布の浮上がりを防止しながら
行う縫製作業、例えば、刺繍縫い及び仕付け縫い
等のための布押え装置としては利用できないもの
であつた。

〔考案の目的〕

そこで、本考案は、定荷重ばねを用いた布押え
装置の押え圧の解放装置を提供することを第１の
目的とし、また、簡単な構成、簡便な操作で刺繍
縫い、仕付け縫い等の縫製のための布押え装置と
して利用可能となるように作動する解放機構を提
供することを第２の目的とする。

〔解決手段〕

前記目的を達成するために、本考案は、(a)作用
位置及び解放位置の間で切換操作し得るようにミ
シン機枠に回動可能に支持された手動操作体を設
け、(b)その手動操作体に設けられた第１取付部と
押え棒に固着された第２取付部とに定荷重ばねの
両アーム部の先端を回動自在にそれぞれ係止し、
(c)前記押え棒への所定のばね力を発生する撓み状
態とそのばね力を発生しない自然状態との間で前
記定荷重ばねの状態を切換えるために、前記第１
取付部が前記手動操作体の回動支点と前記第２取
付部とを結ぶ線分と交叉する方向に変位し得るよ
うにしてミシンの布押え装置のための押え圧解放
装置を構成している。

〔実施例〕

以下に本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図及び第２図は共に、公知の押え上げレバ
ー（図示せず）が下げられ、後述の押え足が加工
布Ｗに係合している状態を示す。

中空アーム１はベツド２の上方を横方向に延び
ている。その中空アーム１の頭部に装着され上下
方向に延びる押え棒３は、中間部及び上端部が中
空アーム１及びその延出部４に設けられた貫通穴
５及び６に摺動可能に嵌挿されており、下端部に
は押え足７が締めねじ８によつて着脱可能に取付
けられている。

手動操作体９はＬ字形状をしており、その一端
において、枢軸１０により前記延出部４に回動可
能に取付けられ、且つ、延出部４に立設されたピ
ン１１と１２によつて、その回動範囲が制限され
ている。一方、前記手動操作体９の他端の操作部
１３は、前記回動範囲内において常に前記中空ア
ーム１の背面から突出している。

定荷重ばね１４は、密着巻のコイル部１５と、
その両端から延びる一対の等長のアーム部１６，
１６とからなる。そのアーム部１６，１６の先端
には環状の係止部１７，１７が形成されており、
前記手動操作体９の中間部に設けられた第１取付
部１８と、前記押え棒３に固着された第２取付部
１９とに回動可能に係止されている。

以上の構成よりなる布押え装置の動作について
説明すると、第１図は、刺繍縫い及び仕付け縫い
以外の一般的な縫製を行うために、定荷重ばね１
４が撓み状態に保持され、そのばね力により加工
布Ｗに押え圧が付与されている状態を示してい
る。この状態においては、手動操作体９はピン１
２に当接されており、定荷重ばね１４は湾曲さ
れ、所定の押え圧によつて押え棒を３を付勢して
いる。更に、第１取付部１８が枢軸１０と第２取
付部１９とを結ぶ線分よりもピン１２側にあるた
め、定荷重ばね１４は手動操作体９を枢軸１０を
中心として図中における反時計方向に回動付勢し
ている。それによつて、手動操作体９がピン１２
と当接した状態に位置決めされるため、定荷重ば
ね１４の前記撓み状態が保持される。

一方、刺繍縫い及び仕付け縫いを行うために手
動操作体９の操作部１３を上方に操作すると、第
１取付部１８が枢軸１０を中心にして図中におけ
る時計方向に回動される。そして、第１取付部１
８が枢軸１０と第２取付部１９とを結ぶ線分より
ピン１１側に回動されると、第２図に示すように
定荷重ばね１４が自然状態に復帰し、手動操作体
９はピン１１と当接した位置に保持される。この
状態において、押え棒３は定荷重ばね１４のばね
力を受けないため、作業者は押え足７とベツド２
の上面との間に挿入された加工布Ｗを任意の方向
に自由に移送案内することができ、また、押え足
７によつて縫製中の加工布Ｗの浮上がりを防止し
ながら刺繍縫い及び仕付け縫い等を遂行すること
ができる。

逆に、押え圧が必要とされる一般的な縫製を行
うため、押え棒３にばね力を付加しようとすると
きには、作業者は操作部１３を下方に操作し、第
１取付部１８が枢軸１０と第２取付部１９とを結
ぶ線よりもピン１２側に回動されるようにする。
そうすれば、定荷重ばね１４が手動操作体９を図
中における反時計方向に回動付勢するため、手動
操作体９がピン１２と当接した状態に位置決めさ
れ、定荷重ばね１４は再び撓み状態に保持され、
押え棒３の所定ばね力が付与されるようになる。

上述のように、本実施例においては、手動操作
体９の操作部１３を中空アーム１の背面に設けた
から縫製作業の妨げにならず、且つ、ミシンの前
面外観を損なうことがない。更に、その操作部１
３の操作方向が上下方向となるように手動操作体
９を設けたから操作が簡便である。

〔考案の効果〕

以上詳述したことから明かなように、本考案は
定荷重ばねを用いた布押え装置に押え圧の解放装
置を設けたものであるから、その布押え装置は刺
繍縫い、仕付け縫い等の縫製に利用され得る。し
かも、本考案は、回動支点と前記定荷重ばねの第
１取付部とを有する手動操作体を、その第１取付
部が手動操作体の回動支点と定荷重ばねの押え棒
側における第２取付部とを結ぶ線分と交叉する方
向に変位し得るように設けたものであるから、簡
単な構成でその手動操作体を作用位置または解放
位置に切換可能のトグル機構が得られ、ミシンの
コスト低減に寄与すると共に、その切換に要する
操作力が定荷重ばねのばね力と略直交する方向に
与えられるため、軽い操作力によつて押え圧の付
与及び解放がなされる等、実用上優れた効果を有
するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は押え圧が付与されている状態、第２図は押
え圧が解放されている状態を示す。 尚、図中３は押え棒、７は押え足、９は手動操
作体、１０は回動支点（枢軸）、１４は定荷重ば
ね、１５はコイル部、１６，１６はアーム部、１
８は第１取付部、１９は第２取付部である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下端に押え足７が取付けられる押え棒３に下方
   への略一定のばね力を付与するために密着巻のコ
   イル部１５及びその両端から延びる一対の等長ア
   ーム部１６，１６を有する定荷重ばね１４を用い
   たミシンの布押え装置において、 作用位置及び解放位置の間で切換操作し得るよ
   うにミシン機枠に回動可能に支持された手動操作
   体９が設けられ、 その手動操作体９に設けられた第１取付部１８
   と前記押え棒３に固着された第２取付部１９とに
   前記定荷重ばね１４の両アーム部１６，１６の先
   端が回動自在にそれぞれ係止され、 前記押え棒３への所定のばね力を発生する撓み
   状態とそのばね力を発生しない自然状態との間で
   前記定荷重ばね１４の状態を切換えるために前記
   第１取付部１８が前記手動操作体９の回動支点１
   ０と前記第２取付部１９とを結ぶ線分と交叉する
   方向に変位し得るようにしたことを特徴とするミ
   シンの布押え装置のための押え圧解放装置。