JPS6137940B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スリツトランプ殊に角膜内皮細胞観
察可能なスリツトランプに関する。

人眼の角膜裏面には、角膜内皮細胞を呼ばれる
大きさ約20ミクロンの亀甲型の細胞からなる細胞
膜があり、この細胞膜は角膜の透明度を維持する
ために最も大切な役目を果しており、生体のまま
観察撮影することの重要さが呼ばれている。たと
えば、角膜移植手術などにおいて、移植すべき角
膜の内皮細胞の状態を知ること、また手術後にそ
の手術の良否の経過観察のために、角膜内皮細胞
の観察は重要である。さらに、白内障の手術にあ
たつて眼内に器具を挿入したとき或いは人工水晶
体を挿入したときなどにおける細胞への影響を知
るためにも、角膜内皮細胞の観察は必要である。
角膜の内皮細胞膜は、角膜支質と同様に透明で、
周囲とのコントラストが薄いため、通常の顕微鏡
等では観察が困難で、特殊な照明方法が採用され
ている。すなわち、照明光束として細いスリツト
光束を用い、照明光の角膜表面における反射光が
撮影系に入らないように、照明光軸を観察撮影光
軸に対して適度の角度に配置することが必要であ
る。

従来、この目的で製作された装置としては、大
別して、照明系と観察撮影系とが対物レンズを共
用するものと、両系がそれぞれ別の対物レンズを
有するものとがあるが、いずれにしても、角膜内
皮細胞の観察のためには、100倍程度以上の拡大
倍率を必要とし、写真撮影のためには20倍程度以
上の拡大倍率を必要とするため、角膜内皮細胞観
察撮影装置は、従来は専用機として製作され、高
価であり且つ操作にも高度の技術を必要としてい
た。

本発明は、対物レンズ系を交換することのみに
よつてスリツトランプを角膜内皮細胞の観察にも
使用し得るようにすることを目的とするもので、
スリツトランプの観察撮影系である双眼実体顕微
鏡光学系の対物レンズを交換可能とし、交換用対
物レンズユニツトとして、スリツト照明部からの
光束を一旦結像させる対物レンズ及び前記光束を
リレーするリレーレンズと、該リレーレンズから
の光束を双眼実体顕微鏡系の一対の観察光路の一
方に導びく光学素子とを有するユニツトを設けた
ことを特徴とする。この交換用対物レンズユニツ
トにおいては、対物レンズの倍率を５倍程度と
し、リレーレンズの焦点距離を十分に短かくとる
ことにより、必要な拡大倍率を容易に得ることが
できる。また、対物レンズの結像点をリレーレン
ズの焦点面に置くことにより、リレーレンズを出
た光束を平行光として、それより後方の光学系は
そのまま使えるようにすることができる。

従来のスリツトランプの光学系を基にして、そ
の拡大倍率を高めるためには、撮影系の撮影用リ
レーレンズの焦点距離を長くするか、対物レンズ
の焦点距離を短かくすればよいが、前者において
は、拡大倍率を高め得ても、解像力がそれと共に
高まらないという難点があり、後者においては、
対物レンズの焦点距離の短縮にも限度があり、あ
まり短かくなり過ぎると、対物レンズがスリツト
照明系と機械的に干渉し、観察撮影光軸と照明光
軸との間の適度な角度を維持できなくなる。本発
明は、上述したように、対物レンズとリレーレン
ズ、及び光束を双眼実体顕微鏡系の一方の光路に
導びく光学素子からなる交換レンズユニツトを設
けて、これを普通のスリツトランプの対物レンズ
系と交換するようにして、必要な拡大倍率を容易
に得るようにしたものである。

以下、本発明の実施例を図について説明する。
第１図及び第２図は、スリツトランプの光学系の
概路を示す平面図及び側面図で、照明系１は、レ
ンズ２を挾んで共役の位置に置かれた観察用光源
３及び撮影用光源４を有し、光源３，４からの光
は、レンズ５からスリツト絞り６を経て、対物レ
ンズ７により被検眼Ｅに投影される。

観察撮影光学系８は、双眼立体顕微鏡系９と撮
影系１０とからなり、双眼実体顕微鏡系９は、共
通対物レンズ１１と、その後方に設けられ一対の
平行な光路を形成する変倍レンズ１２ａ，１２ｂ
とを有し、変倍レンズ１２ａ，１２ｂを通つた光
束は、レンズ１３ａ，１３ｂ及び正立ポロプリズ
ム１４ａ，１４ｂを経て結像面１５ａ，１５ｂに
結像し、接眼レンズ１６ａ，１６ｂにより観察さ
れる。撮影系１０はレンズ１２ａ，１２ｂとレン
ズ１３ａ，１３ｂとの間に設けられたハーフミラ
ー１７ａ，１７ｂを有し、これらハーフミラー１
７ａ，１７ｂは、変倍レンズ１２ａ，１２ｂを通
つた光束の一部を下方に反射し、この反射された
光束はさらにミラー１８により後方へ反射されて
撮影フイルム面１９に結像する。

第３図は、双眼実体顕微鏡系９の具体的構成を
示すもので、変倍レンズ１２ａ，１２ｂは、光軸
に対し直角な軸まわりに回転可能なように鏡胴２
０に装着された回転部材２１上に取付けられ、該
回転部材２１の回転操作により、変倍レンズ１２
ａ，１２ｂと、該部材２１に設けた素通しの穴２
２ａ，２２ｂとが、交互に観察撮影光路に挿入さ
れる。対物レンズ１１は、鏡胴２０の先端の雄ね
じ部２０ａに係合するリングナツト２３により該
鏡胴２０に取外し可能に取付けられたレンズ枠２
４に装着されている。

第４図は、第３図に示す対物レンズ１１を鏡胴
から取外し、角膜内皮細胞観察のための対物レン
ズユニツト３０を取付けた状態を示すもので、こ
のユニツト３０は、鏡胴２０の先端にリングナツ
ト３１により取外し可能に取付けられるケース３
２と該ケース３２に固定され、先方に突出する小
径のレンズ鏡胴３３とを有し、レンズ鏡胴３３の
先端には対物レンズ３４が装着されている。ケー
ス３２内には、対物レンズ３４の光軸に沿つて入
射する光を、双眼立体顕微鏡系の一方の光軸に沿
つて導びくためのミラー３５，３６が設けられ、
さらにケース３２にはミラー３６の後方にリレー
レンズ３７が設けられている。対物レンズ３４
は、たとえば焦点距離10mm、拡大倍率５倍であ
り、対物レンズ３４を通過した光は３８に示す点
に一旦結像し、リレーレンズ３７はたとえば焦点
距離50mmであり、その焦点位置が結像点３８に重
なるように配置されているため、該レンズ３７を
通る光は平行光となる。したがつて、それ以降の
光学系はスリツトランプのものをそのまま用いる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はスリツトランプの光学系の一例を示す
平面図、第２図はその側面図、第３図は双眼実体
顕微鏡系の具体的構造を示す一部切欠平面図、第
４図は本発明による対物レンズユニツトを取付け
た例を示す第３図と同様な図である。 １…照明系、９…双眼実体顕微鏡系、１０…撮
影系、１１…対物レンズ、２３…リングナツト、
２４…レンズ枠、３０…対物レンズユニツト、３
４…対物レンズ、３５，３６…ミラー、３７…リ
レーレンズ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被検眼に対しスリツト照明光を投影するため
   のスリツト照明系と、スリツト照明部を観察する
   ための一対の観察光路を有する双眼実体顕微鏡光
   学系と、前記双眼実体顕微鏡光学系の光源の少く
   とも一部を有するスリツト照明撮影系とからなる
   スリツトランプにおいて、前記双眼実体顕微鏡系
   の被検眼に対向して置かれる対物レンズ系を交換
   可能とし、交換用対物レンズユニツトとして、ス
   リツト照明からの光束を一旦結像させる対物レン
   ズ及び前記光束をリレーするリレーレンズと、前
   記リレーレンズからの光束を前記双眼実体顕微鏡
   系の一対の観察光路の一方に導びく光学素子とを
   有するユニツトを設けたことを特徴とする角膜内
   皮細胞観察可能なスリツトランプ。 ２ 前記第１項において、対物レンズ系は取外し
   可能に設けられ、交換用対物レンズユニツトは、
   前記対物レンズ系のマウント部に取付けられるよ
   うになつたスリツトランプ。