JPS6137476Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は交換工具保持ドラムの回転位置決め
装置に関するものである。

一般に交換工具保持ドラムの回転位置決め装置
は、所定の工具を工作機械の主軸に自動的に装置
する場合に、交換用工具を保持する交換工具保持
ドラムをその所望の工具保持部が工具交換位置に
くるよう回転させ、これを該交換位置に精度よく
位置決め固定するための装置である。このような
回転位置決め装置として、従来交換工具保持ドラ
ムに多数の位置決め用ブツシユを設けるととも
に、装置固定部に先端が細く形成され上記ブツシ
ユと嵌合し得る位置決め用ピンを固設し、上記ド
ラムを前後移動させ該ピンに上記ブツシユを嵌合
させることにより、交換工具保持ドラムの位置決
めを行なうようにしたものがあつた。しかしこの
ような従来装置では構造が複雑になつてコスト高
になるという問題があつた。

この考案はこのような従来のものの問題点に鑑
みてなされたもので、周囲に多数の工具保持部を
有し支持軸により装置固定部に回転自在に支持さ
れた交換工具保持ドラムを設け、該交換工具保持
ドラムを前後移動させる前後移動用シリンダを設
け、上記交換工具保持ドラムの前進位置で上記支
持軸のピニオンと噛合する旋回用ラツク、及び上
記交換工具保持ドラムの所定の工具保持部が工具
交換位置にくるよう上記旋回用ラツクを移動させ
る旋回制御機構を設け、さらに上記交換工具保持
ドラムの後退位置で上記支持軸のピニオンと噛合
する位置決め用ラツク、及び該位置決め用ラツク
の前部に位置し、これと同じ歯たけでかつ前方に
なるに従つて下方となるよう傾斜したピニオン案
内用ラツクを設けることにより、部品点数が少な
く構造が簡単で、しかもなめらかな位置決めので
きる交換工具保持ドラムの回転位置決め装置を提
供することを目的としている。

以下本考案の一実施例を図について説明する。

第１図ないし第５図は本考案の一実施例を示
し、図において、１は工作機械のコラム（図示せ
ず）の上面に固設された装置固定部であるドラム
支持部であり、該ドラム支持部１は大略直方体に
鋳造により形成されたもので、その上面部には
左、右側部が平滑なシリンダ載置部２２が形成さ
れており、またその前端部（第１図左端部）、中
央部にはそれぞれ軸支持部２１ａ，２１ｂが形成
され、該各軸支持部２１ａ，２１ｂには軸受取付
孔２１ｃ，２１ｄが貫通穿設され、該各軸受取付
孔２１ｃ，２１ｄには円筒状のガイドブツシユ２
ａ，２ｂが嵌挿固定されている。

そして上記ガイドブツシユ２ａ，２ｂには、支
持軸３が前後方向に移動自在にかつ回転自在に嵌
挿支持されており、該支持軸３の前端部には円板
状のドラム取付フランジ３ａが一体形成されてお
り、その前端面には交換工具保持ドラム４が複数
の取付ボルト４ａで締付固定されている。該交換
工具保持ドラム４は鋼板等を円形に形成したもの
で、その外周縁部には一定角度間隔をあけて多数
の工具保持部が設けられている。該各工具保持部
５にはそれぞれ外方を向いた一対の工具保持アー
ム６が界動ピン６ａで軸支されており、また該工
具保持アーム６はそのスプリング保持部６ｂ間に
介設された付勢スプリング７によつてその爪部６
ｃが内方に回転付勢されており、該爪部６ｃによ
つて工具８を保持する工具ホルダ９の環状の係合
溝部９ａを挾持している。また上記ドラム取付フ
ランジ３ａの外周部は断面Ｌ字状に形成され、該
外周部と上記交換工具保持ドラム４の後表面とで
環状のガイド溝３ｂが形成されており、該ガイド
溝３ｂには環状のガイドプレート１０が回転自在
に嵌装されている。

また上記ドラム支持部１のシリンダ載置部２２
上には、上記交換工具保持ドラム４を前後方向に
移動させる前後移動用シリンダ１１が、上記支持
軸３と同一方向に向けて取付けられており、該前
後移動用シリンダ１１のピストンロツド１１ａ先
端部は、カツプリング１２を介して上記ガイドプ
レート１０の外周縁部に連結されている。

また上記支持軸３の後端部のテーパ状に形成さ
れたピニオン固設部３ｃには、ピニオン１３が拒
装されロツクナツト１４で締付け固定されてい
る。また上記ドラム支持部１の後端部に設けられ
た後壁２３には、上記交換工具保持ドラム４の回
転角を検出するためのロータリエンコーダ１５が
取付けられており、該ロータリエンコーダ１５の
回転検出ロツド１５ａは、上記支持軸３と同軸に
なつており、該支持軸３後端部とスプライン嵌合
している。

そして上記ドラム支持部１の後壁２３の少し前
方には、ラツク支持台２４が形成され、該ラツク
支持台２４の上面には前後に長いガイドキー１７
が埋設されているとともに、装置後方に高くなる
傾斜案内面２４ａが形成されており、該傾斜案内
面２４ａ上には位置決め部材１６が載置されてい
る。該位置決め部材１６の下面には上記ガイドキ
ー１７に嵌装される案内溝１６ａが凹設されてい
るとともに、上記傾斜案内面２４ａと摺接する傾
斜摺動面１６ｂが形成され、またその上面には３
枚の歯からなる位置決め用ラツク１６ｃが形成さ
れている。該位置決め用ラツク１６ｃは上記支持
軸３のピニオン１３と同じ歯たけを有し、これと
上記交換工具保持ドラム４がその後退位置に移動
したとき噛合するようになつている。また上記位
置決め部材１６の上記位置決め用ラツク１６ｃ前
部にはピニオン案内用ラツク１６ｄが形成されて
おり、該ピニオン案内用ラツク１６ｄは上記位置
決め用ラツク１６ｃと同じ歯たけを有し、かつ前
方になるに従つて下方となるよう傾斜しており、
即ち該ピニオン案内用ラツク１６ｄはその歯切加
工の際に、ラツクが下方に傾斜するよう位置決め
部材１６の工作機械への取付角度を変えて取付
け、加工したものである。また、上記位置決め部
材１６にはその左、右に、前後に長い長孔１６ｅ
を有する取付フランジ１６ｄが一体形成されてお
り、該取付フランジ１６ｄは取付けボルト１８で
上記ラツク支持台２４の傾斜案内面２４ａに締付
けられており、また該位置決め部材１６の中心部
には上記ドラム支持部１の後壁２３に回転自在に
取付けられた前後調整用ボルト１９が螺合してい
る。

また上記ドラム支持部１のラツク支持台２４と
軸支持部２１ｂとの間には、装置左右方向にラツ
ク保持部２５が形成されており、該ラツク保持部
２５の装置内方に嵌挿固定されたガイドブツシユ
２５ｂには旋回用ラツク２０が左右方向に移動自
在に嵌挿されており、該旋回用ラツク２０は交換
工具保持ドラム４がその前進位置にあるとき、上
記支持軸３に取付けられたピニオン１３と噛合す
るようになつている。また上記ラツク保持部２５
の側端壁２５ａには、上記旋回用ラツク２０と同
軸に旋回用シリンダ２６が取付けられており、そ
のピストンロツド２６ａは上記旋回用ラツク２０
に連結されている。

次に動作について説明する。

工具交換動作を開始する前に、先ず位置決め部
材１６をラツク支持台２４上に取付調整する場合
は、取付ボルト１８を緩め、前後調整ボルト１９
を締込んだり緩めたりして、位置決め部材１６を
前方又は後方に移動させる。すると該位置決め部
材１６はガイドキー１７に案内されながら傾斜案
内面２４ａに沿つて前後移動するとともに、上下
方向に移動し、所定の高さになつたら上記取付ボ
ルト１８を締込んで上記位置決め部材１６をラツ
ク支持台２４上に固定する。

次に工具交換動作を説明する。先ず主軸に取付
けられている工具を主軸から外す場合は、交換工
具保持ドラム４を、その工具ホルダ９が取付けら
れていない工具保持部５が真下になるよう回転さ
せた後、上記主軸を上昇させる。すると、該主軸
に嵌挿されている工具ホルダ９が、その係合溝部
９ａで上記工具保持アーム６の爪部６ｃを押し拡
げつつ該一対の工具保持アーム６間に進入し、こ
れにより上記工具ホルダ９は上記工具保持アーム
６によつて押圧挾持される。そしてこの状態で、
前後移動用シリンダ１１を伸長させると、上記交
換工具保持ドラム４は、ガイドプレート１０で押
されて前進し、上記工具ホルダー９は該交換工具
保持ドラム４によつて前方に移動され、主軸から
外される。またこのとき上記支持軸３も当然交換
工具保持ドラム４とともに前進しており、そのピ
ニオン１３は第１図に二点鎖線で示す位置に移動
して旋回用ラツク２０と噛合している。

次に所望の工具８を主軸に装着する場合は、上
記交換工具保持ドラム４がその前進位置にある状
態において、旋回用シリンダ２６を駆動し、所望
の工具８を保持した工具保持部５が真下になるよ
う交換工具保持ドラム４を回転させる。このとき
上記支持軸３の後端部にスプライン嵌合した回転
検出ロツド１５ａも上記交換工具保持ドラム４と
共に回転し、ロータリエンコーダ１５によつて該
交換工具保持ドラム４の回転角が検出され、回転
角が所定角度になると上記旋回用シリンダ２６の
駆動は停止され、これにより交換工具保持ドラム
４は粗い精度でもつて所定の回転角度位置に位置
決めされる。

そしてこの状態において前後移動用シリンダ１
１を後退させると、上記支持軸３のピニオン１３
は後退し、その後端部１３ａの下側部が上記ピニ
オン案内用ラツク１６ｂ内に該ラツク１６ｄの歯
に案内されつつ進入する。そして該ピニオン案内
用ラツク１６ｄは前方に向けて下方に傾斜してお
り、そのため同一水平面における歯間の距離は前
方に向けて漸次広くなつており、上記ピニオン１
３と該ピニオン案内用ラツク１６ｄとが多少ずれ
ていても、該ピニオン１３はピニオン案内用ラツ
ク１６ｂにより所定の角度位置に滑らかに案内さ
れることとなる。そして上記ピニオン１３がさら
に後退すると、該ピニオン１３は上記ピニオン案
内用ラツク１６ｄに連続する位置決め用ラツク１
６ｃと噛合して所定の回転角度位置に位置決めさ
れるとともに、上記所望の工具８を保持した工具
ホルダ９は主軸の工具取付穴と嵌合する。

この状態で主軸を下降させると、工具ホルダー
９は上記工具保持アーム６の爪部６ｃを押し拡げ
ながら下降し、これにより所望の工具８が主軸に
装着されることとなる。

このように構成され動作する本実施例装置で
は、位置決め部材１６に位置決め用ラツク１６ｃ
及びピニオン案内用ラツク１６ｄを形成し、旋回
用ピニオン１３を上記ピニオン案内用ラツク１６
ｄで案内しつつ位置決め用ラツク１６ｃと噛合さ
せるようにしたので、部品点数を削減して構造を
簡単化できる。またピニオン案内用ラツク１６ｄ
は、その歯たけを位置決め用ラツク１６ｃの歯た
けと同じものとし、単に前方下方に傾斜させて形
成したので、該ピニオンン案内用ラツク１６ｄの
歯切加工が非常に容易であり、しかも非常になめ
らかな位置決めができる。またラツク支持台２４
に傾斜案内面２４ａを設け、位置決め部材１６に
傾斜摺動面１６ｂを設けたので、位置決め用ラツ
ク１６ｃの高さ調整が非常に容易にできる。

以上のように本考案に係る交換工具保持ドラム
の回転位置決め装置によれば、支持軸により装置
固定部に回転自在に支持された交換工具保持ドラ
ム、及びこれを前後移動させる前後移動用シリン
ダを設け、また上記交換工具保持ドラムの前進位
置で上記支持軸のピニオンと噛合する旋回用ラツ
ク、及び該旋回用ラツクを移動制御して上記交換
工具保持ドラムの回転角を制御するドラム旋回制
御機構を設け、さらに上記交換工具保持ドラムの
後退位置で上記ピニオンと噛合する位置決め用ラ
ツク、及び該位置決め用ラツクの前部に設けら
れ、これと同じ歯たけでかつ前方に低くなるよう
傾斜したピニオン案内用ラツクを設けたので、部
品点数を削減してコストを低減でき、しかも位置
決めを非常になめらかにできる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による交換工具保持
ドラムの回転位置決め装置の断面側面図、第２図
は第１図の−線断面図、第３図は第１図の
−線断面図、第４図は上記実施例の工具保持部
の部分の正面図、第５図はその位置決め用ラツク
及びピニオン案内用ラツクの斜視図である。 １……装着固定部（ドラム支持部）、３……支
持軸、４……交換工具保持ドラム、５……工具保
持部、１１……前後移動用シリンダ、１３……ピ
ニオン、１５，２６……ドラム旋回制御機構（ロ
ータリエンコーダ、旋回用シリンダ）、１６ｃ…
…位置決め用ラツク、１６ｄ……ピニオン案内用
ラツク、２０……旋回用ラツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 交換工具保持ドラムを回転位置決めする装置で
   あつて、周囲に多数の工具保持部を有しかつ後部
   中心に突出させた支持軸により装置固定部に回転
   自在に支持される交換工具保持ドラムと、上記装
   置固定部に取付けられ上記交換工具保持ドラムを
   前後方向に移動させる前後移動用シリンダと、上
   記交換工具保持ドラムの前進位置で上記支持軸に
   取付けられたピニオンに噛合う旋回用ラツクと、
   上記交換工具保持ドラムの回転角を検出しながら
   所定の工具不持部が工具交換位置になるよう上記
   旋回用ラツクを移動させるドラム旋回制御機構
   と、上記装置固定部に固定され上記交換工具保持
   ドラムの後退位置で上記支持軸に取付けられたピ
   ニオンと噛合う位置決め用ラツクと、該位置決め
   用ラツクの前部に位置し該位置決め用ラツクと同
   じ歯たけでかつ前方になるにしたがつて下方とな
   るように傾斜させたピニオン案内用ラツクとを備
   えたことを特徴とする交換工具保持ドラムの回転
   位置決め装置。