JPS6135969B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、新規な毛髪処理用組成物、さらに詳
しくいえば洗髪やパーマネントウエーブ加工の
際、化学薬品により変質硬化した毛髪に柔軟性、
光沢、強力、弾性を付与し、かつ良好な風合を与
えるための毛髪処理用組成物に関するものであ
る。 従来、毛髪のセツト加工は、熱作用を利用する
物理的な方法や、チオグリコール酸塩を主体とす
る環元剤による化学的な方法によつて行われてい
るが、これらの方法は操作が簡単な反面、毛髪が
損傷したり、変質硬化して本来の風合いを失なう
という欠点がある。他方、洗髪に際しても、各種
洗浄剤の化学的作用により毛髪の柔軟性、強力、
弾性、光沢などがそこなわれることがしばしばみ
られる。 このような損傷された毛髪に風合いを与えるた
めに、これまでも各種のヘヤートニツク、ヘヤー
ローシヨン、ヘヤーリンスが提案されているが、
これらの大部分は一時的に毛髪の性質を変え、柔
軟性を付与するものであつて、本質的に毛髪の性
質を復元させ、本来の風合いを回復させるもので
はない。 本発明者らは、いつたん損傷され、その風合い
を失つた毛髪に対し、本来の風合いを回復させる
ための毛髪処理剤を開発するために、鋭意研究を
重ねた結果、タンニン又はタンニン酸とリン酸エ
ステル系陰イオン性界面性剤とを組み合わせて用
いることにより、その目的を達成しうることを見
出し、この知見に基づいて本発明をなすに至つ
た。 従来、タンニン酸は、水、アルコール、アセト
ンなどに易溶で、皮膚タンパク質と反応し収れん
性を示すため、皮膚用の化粧水、アストリンゼン
トローシヨンなどに配合したり、あるいは鉄と化
合して黒色染料を形成するため白髪染めなどに利
用することは行われていたが、特定の界面活性剤
と組み合せたときに毛髪の風合いを改良するため
の活性成分となることは全く知られていなかつ
た。 本発明は、タンニン又はタンニン酸0.5〜5.0重
量％と、高級アルキルリン酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、高
級脂肪アミドオキシエチレン付加物のリン酸エス
テル及び高級アルキルアミンオキシエチレン付加
物のリン酸エステル中から選ばれたリン酸エステ
ル系陰イオン性界面活性剤2.0〜55.0重量％を含
有する溶液を弱有機酸によりPH３〜5.5の範囲に
調整してなる毛髪処理用組成物を提供するもので
ある。 本発明組成物の成分として用いられるタンニン
又はタンニン酸は、天然物質に由来するものでよ
いし、また合成物質であつてもよい。このタンニ
ン又はタンニン酸は、組成物全量当り、0.5〜5.0
重量％の範囲で用いられる。この量が0.5重量％
よりも少ないと、風合いの改善効果が不十分であ
るし、この量が5.0重量％よりも多くなると効果
の点では問題ないが沈殿を形成するようになるの
で好ましくない。 次に、リン酸エステル系陰イオン性界面活性剤
としては、トリス（イソオクチル）リン酸エステ
ルのような高級アルキルリン酸エステルやポリオ
キシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルな
どが用いられる。これらのリン酸エステル系陰イ
オン性界面活性剤は、組成物全量当り2.0〜5.0重
量％の範囲で用いられる。これ以外の界面活性剤
や上記よりも多い量の界面活性剤濃度では、沈殿
を形成するので、安定な組成物を得ることができ
ない。 これらの活性成分は、その所定量を水、アルコ
ールなど毛髪処理剤に慣用されている溶剤に溶解
されたのち、クエン酸、酒石酸、コハク酸などの
弱有機酸でPH3.0〜5.5に調整される。PHがこれよ
りもアルカリ側、強酸側になるとタンニンやタン
ニン酸が分解するので好ましくない。 本発明組成物には、前記した必須成分に加え
て、毛髪処理剤に慣用されている添加成分例えば
色素、香料を加えることができる。 このようにして調製された本発明の毛髪処理用
組成物は、毛髪の損傷、変質硬化などにより失わ
れた風合いを回復するのに非常に有効である外、
キレート形成を利用したセツト処理の仕上げ剤と
しても好適に使用することができる。すなわち、
本発明者らは先に毛髪をキレート形成性金属を含
む溶液で処理することにより、毛髪タンパク質分
子中にキレートを形成させ、毛髪セツトを行う方
法を完成したが、本発明組成物は、このようにし
て形成された毛髪のセツトを固定化する効果を有
しているので、前記の方法と組み合わせることに
より、いつそう優れたパーマネントウエーブやパ
ーマネントストレートを施こすことができる。 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。なお、実施例中における風合いの評価は、振
動リード法（繊維学会誌、第９巻、第617ペー
ジ）に準じ、以下のようにして行つた。 長さ２cmの毛髪の１端を振動子に固定し、他端
の振動振幅を測定し、振幅が最大になる共振周波
数から、次式によつて弾性係数Ｅを求める。 Ｅ＝ρＬ^４／ａ^４ｋ^２（ω′^２＋１／８・△ω
^２） ただし、ω′：共振角周波数（共振動数） △ω：振幅が振幅が最大値の１／√２になる点
の角周波数幅 ρ：試料の密度 Ｌ：試料の長さ（２cm） ａ：振幅の型によつて決まる定数（1.875） ｋ：断面の慣性モーメントを断面積で除した値
（毛髪の場合は円柱体とみることができるから、
断面の半径をｒとすればr²／４） 毛髪30本についてこのようにして求めた数値を
平均してそれぞれの弾性係数とする。 実施例 １ ラウリルリン酸ナトリウム2.0重量部、トリエ
タノールアミン4.0重量部、精製ラノリン0.5重量
部、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト2.0重量部に、それぞれ局方タンニン酸１重量
部、３重量部及び５重量部を加えた試料３種を調
整し、これに水を加えて全量100重量部とし、さ
らにクエン酸によりPH5.5に調節した。 これらの各試料を40±２℃に保ち、この中に毛
髪を浸し、30分間処理したものについて弾性係数
Ｅを測定し、柔軟効果を求めた。その結果を次表
に示す。

【表】 実施例 ２ 次に示す組成の処理剤を調整し、約40℃に加温
したものを用いて毛髪を処理したところ、著しい
風合いの改善が認められた。 成 分 含量（重量％） 局方タンニン酸 1.0 ポリオキシエチレン（５モル）セチルエーテルリ
ン酸ナトリウム 3.0 グリセリンモノステアレート 2.5 セチルアルコール 0.5 メチルセルロース 1.0 コハク酸 PH4.0になるまで 色素、香料 適量 水 100.0になるまで 実施例 ３ 次に示す組成の処理剤を調製し、パーマネント
ウエーブ加工して損傷、変質硬化した毛髪を約40
℃で10分間浸せき処理したところ、柔軟性、強
力、光沢の復元が認められた。 成 分 含量（重量％） 局方タンニン酸 3.0 ジラウリルリン酸ナトリウム 5.0 プロピレングリコール 1.5 ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル
1.0 トリエタノールアミン 4.0 亜硫酸ナトリウム 2.0 酒石酸 PH3.0になるまで 色素、香料 適量 水 100.0になるまで 実施例 ４ 次に示す組成の処理剤を調製した。このものは
損傷し、変質硬化した毛髪に風合いを与えるのに
好適である。 成 分 含量（重量％） 局方タンニン酸 5.0 ヤシ脂肪酸トリエタノールドデシルアミンエチレ
ンオキシド（５モル）付加物のリン酸モノエステ
ル（遊離酸型） 3.0 グリセリン 2.0 ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
2.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 5.0 コハク酸 PH4.5になるまで 色素、香料 適量 水 100.0になるまで 実施例 ５ 次の組成をもつ処理剤を調製し、カルシウムイ
オン含有ウエーブ剤を用いてキレート形成セツト
加工を施こした毛髪の仕上げ処理を行つたとこ
ろ、柔軟性、強力、風合について優れた仕上げ効
果が得られた。 成 分 重量％ 合成タンニン 3.0 ヤシ脂肪酸モノエタノールヤシ油脂肪酸アミドエ
チレンオキシド（５モル）付加物のリン酸ジエス
テル 5.0 エタノール 5.0 亜硫酸ナトリウム 2.5 トリエタノールアミン 4.0 クエン酸 PH5.0になるまで 色素、香料 適量 水 100.0になるまで

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タンニン又はタンニン酸0.5〜5.0重量％と、
   高級アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレ
   ンアルキルエーテルリン酸エステル、高級脂肪酸
   アミドオキシエチレン付加物のリン酸エステル及
   び高級アルキルアミンオキシエチレン付加物のリ
   ン酸エステルの中から選ばれた陰イオン性界面活
   性剤2.0〜5.0重量％を含有する溶液を弱有機酸に
   よりPH３〜5.5の範囲に調整してなる毛髪の風合
   加工のための毛髪処理用組成物。