JPS6134562Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、レコードプレーヤにおけるトーン
アーム部のインサイドフオースを打消すためのス
プリング式インサイドフオースキヤンセラに関す
る。

従来のスプリング式インサイドフオースキヤン
セラとしては、第１図乃至第３図に示すようなも
のがある。

第１図の例は、トーンアーム１の回転軸に固定
されたレバー２の先端部と、キヤンセラつまみ３
の回動軸に固定されたレバー４の先端部との間に
引張りコイルばね５を係着したもので、同じスプ
リング式でも常にトーンアーム１を引つ張つてい
るため、完全に無接触とすることはできない。

第２図及び第３図の例は、トーンアーム軸に固
定されたレバー２の先端に設けたピン６をキヤン
セラつまみ軸に中間を巻き付けたトーシヨンばね
７あるいは８の一端で一方へ押すように付勢する
もので、完全に無接触とすることはできるが、ば
ねの製造工程でのバラツキによつて、キヤンセラ
つまみとの位置出しをすることが難しい。第２図
の例の場合、ばねの狂いを補正する複数のピン９
があつて調整可能であるが、工数を多く必要とす
る。

なお、第２図及び第３図の例においては、キヤ
ンセラつまみ１０あるいは１１を廻すことによ
り、トーシヨンばね７あるいは８の先端でピン６
を押し、これがトーンアームの回転モーメントに
なり、アウトサイドフオースとなる。

この考案は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、キヤンセラスプリングの製造時でのバラツキ
が有つたとしても、必ず一定位置に定位するよう
にして、組付後の調整を全く必要としないように
して、組立工数を低減したプレーヤにおけるイン
サイドフオースキヤンセラを提供するものであ
る。

以下、添付図面の第４図乃至第６図を参照し
て、この考案の実施例を説明する。

第４図は、この考案の一実施例を示す縦断面図
であり、第４ａ図はつまみの平面図、第５図は第
４図におけるキヤンセラスプリング２１の組立前
の状態を示す平面図、第６図は組立時におけるキ
ヤンセラスプリング２１の状態を示す平面図であ
る。第６図においては、キヤンセラスプリング２
１と、キヤビネツト２２に回動自在に取付けられ
たつまみ２３に設けたキヤンセラ突起２４と、ト
ーンアーム（図示せず）を取付けるトーンアーム
軸２５に固定したレバー２６に設けたキヤンセラ
バー２７と、ストツパ２８との各相対位置関係を
示している。

第４図に示すつまみ２３には、ボス状の軸部２
３ａとそれより大径の頭部２３ｂとからなり、こ
の頭部２３ｂの表面には第４ａ図に示すように調
整位置目盛が施してある。そして、この頭部２３
ｂから軸部２３ａと平行に下方へ延びるキヤンセ
ラ突起２４が一体に形成してある。このつまみ２
３は、キヤビネツト２２の下方に突出するボス部
２２ａの貫通孔に、軸部２３ａを上から挿通し、
平形ワツシヤ２９と波形ワツシヤ３０および平形
ワツシヤ３１を介してねじ３２で下から締付け、
回動自在に組付けられており、波形ワツシヤ３０
のばね効果で、キヤビネツト２２との間に適当な
フリクシヨンを持ち、任意の調整位置にとどめる
ことができるようになつている。

さらに、このつまみ２３の組立時に、キヤンセ
ラスプリング２１のループ部２１ａを軸部２３ａ
に挿通しておき、平形ワツシヤ２９によつてキヤ
ビネツト２２のボス部２２ａの先端の段付部に位
置させて、キヤンセラスプリング２１を回動自在
に取付けてある。

組立前のキヤンセラスプリング２１は、第５図
に示すように、中間にほぼ円形のループ部２１ａ
を形成し、両端をそれぞれループ部２１ａの接線
方向に延長した直線部２１ｂ，２１ｃを有する形
状の弾性線材からなり、この直線部２１ｂ，２１
ｃの開き角αを小さく作つて鋭角となるようにし
ておく。

組立時、キヤンセラ突起２４にキヤンセラスプ
リング２１の直線部２１ｂ，２１ｃの一方を掛け
ることにより、２本の直線部２１ｂ，２１ｃによ
つてキヤンセラ突起２４を第６図に示すように両
側から挾み込む（第５図では２点鎖線で示してあ
る）。このとき、キヤンセラ突起２４の位置が定
つた所にある場合、常に直線部２１ｂ，２１ｃは
一定位置に定位し、キヤンセラスプリング２１の
製造時でのバラツキが有つたとしても、必ず一定
位置に定位する。したがつて、組付後の調整を全
く必要としない。

第４図に示すように、キヤンセラスプリング２
１をつまみ２３のキヤンセラ突起２４に組付けす
ることにより、第６図に示される位置（第４図に
示すつまみ２３の０目盛位置）で、キヤンセラス
プリング２１がトーンアームに対して完全に無接
触の状態となる。

そして、つまみ２３は波形ワツシヤ３０のばね
効果で適当なフリクシヨンを持つているので、つ
まみ２３の回転に伴つてキヤンセラ突起２４も回
転し、キヤンセラスプリング２１がトーンアーム
と同動するキヤンセラバー２７に触れることによ
りトーンアームにアウトサイドフオースを生じさ
せることができる。トーンアームの動作角θが広
い場合、キヤンセラスプリング２１とキヤンセラ
バー２７とがはずれる恐れがあるため、ストツパ
２８を設け、キヤンセラ効果を必要とする範囲で
のみキヤンセラバー２７とキヤンセラスプリング
２１とが接触するようにしてある。

また、つまみ２３には針圧に対応して目盛を刻
み、つまみ２３の回転角に応じて最適なアウトサ
イドフオースを生じさせるようにしてあり、この
量はキヤンセラスプリング２１の線径や、ループ
部２１ａ（うず巻きばね部）の巻き数により最適
となるように設計されている。

なお、このインサイドフオースキヤンセラの特
色として、トーンアームに係着されていないた
め、完全に無接触にすることができ、トーンアー
ムとキヤンセラを別々にプレーヤに組込めるとい
う利点も持ち合わせている。従来の引張りコイル
ばね等による場合、トーンアームとキヤンセラス
プリング間の引掛け工程が必要であり、工数の増
大が見られる。

以上述べたように、この考案によれば、インサ
イドフオースキヤンセラにおけるキヤンセラスプ
リングに製造上のバラツキがあつても、組立後の
位置調整を行なう必要がなく、特にばねの精度を
高める必要もないという効果を奏し、組立工数を
低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、従来のスプリング式イン
サイドフオースキヤンセラの例を示す斜視図であ
る。第４図及び第４ａ図は、この考案の一実施例
を示す縦断面図及びつまみの平面図である。第５
図は、第４図におけるキヤンセラスプリングの組
立前の状態を示す平面図である。第６図は、第４
図におけるキヤンセラスプリングの組立時におけ
る状態を示す平面図である。 ２１……キヤンセラスプリング、２２……キヤ
ビネツト、２３……つまみ、２４……キヤンセラ
突起、２５……トーンアーム軸、２７……キヤン
セラバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレーヤのキヤビネツトに回動自在に取付けら
   れたつまみと、このつまみの回動位置に応じ所定
   の大きさのアウトサイドフオースをトーンアーム
   に与えるキヤンセラスプリングとを有してなるイ
   ンサイドフオースキヤンセラにおいて、前記キヤ
   ンセラスプリングが、中間にほぼ円形のループ部
   を形成し、両端をそれぞれ前記ループ部の接線方
   向に延長した弾性線材からなり、前記つまみには
   その回動軸に平行に延びる突起を設け、前記キヤ
   ンセラスプリングのループ部を前記つまみの軸に
   挿入すると共に該キヤンセラスプリングの両端延
   長部によつて前記つまみに設けた突起を挾み込む
   ように掛け、前記つまみの回動によつて前記キヤ
   ンセラスプリングの両端延長部の一方をトーンア
   ームと一体に回動するキヤンセラバーに係脱可能
   にしたことを特徴とするプレーヤにおけるインサ
   イドフオースキヤンセラ。