JPS6133252Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、燃料タンクの燃料をエンジンに供給
する燃料供給装置、とくに燃料タンク内における
燃料通路の構造上の改良に関するものである。

従来より、燃料ラインの凍結対策として、燃
料、ラインに水を混入させないため、燃料通路の
吸込口の設定位置を上に上げたり、インタンクフ
イルタを設けて、タンク内のデツドスペースの燃
料に混入した水分をトラツプする対策が施されて
いる（例えば実開昭56−127133号公報参照）。

しかしながら、かかる対策は不十分であつて、
燃料タンク内の水の量が多くなれば、いずれは燃
料ラインに水分を多量に含んだ燃料が入つて極端
な場合には、エンジンの吸気系に凍結を生じ、ま
た、水分が燃料タンクから排出されないため、タ
ンク内に錆を発生させるといつた不具合があつ
た。

本考案は、かかる従来の問題に鑑みてなされた
ものであつて、水分の混入により凍結するおそれ
のある低温時には、水分の混入する余地のない燃
料を供給し、水分の混入がさほど問題とならない
高温時には、燃料タンクの底部に溜りうる水分を
徐々に除去することができる自動車の燃料供給装
置を提供することを目的としている。

このため、本考案においては、燃料タンクの燃
料をエンジンに供給する燃料通路に、燃料タンク
底部に開口する第１燃料通路と、第１燃料通路の
開口位置より適当な高さだけ上方に開口する第２
燃料通路とを設けるとともに、第１燃料通路には
低温時該通路の燃料を遮断もしくは制限するバル
ブ部材を設けたことを特徴としている。

以下、図示の実施例に基いて本考案をより具体
的に説明する。

第１図において、１は自動車の燃料タンク、２
は燃料タンク１内の燃料Ｆを燃料ポンプ等の燃料
供給装置（図示せず）に送給し、燃料供給装置か
ら、エンジンに燃料を供給するようにした燃料通
路で、この燃料通路２は燃料タンク１内で第１燃
料通路３と第２燃料通路４とに分岐させている。

上記第１燃料通路３はその燃料吸込口３ａを燃
料タンク１の底面１ａに接近させて設定する一
方、第２燃料通路４の燃料吸込口４ａは、第１燃
料通路３の燃料吸込口３ａより適当に高い位置、
より具体的には燃料タンク１内に溜まりうる水の
最大高さより適当に高く設定し、水分が混入する
余地のない部分から燃料Ｆを吸込むことができる
ようにしている。

さらに、第１燃料通路３の途中には、具体的構
造を図示しないが、燃料タンク１内の液温が設定
値より低い温度時には第１燃料通路３の燃料を遮
断するか、もしくは制限し、高温時には第１燃料
通路３を開通させるバルブ部材５を介設し、この
バルブ部材５により、低温時において、第１燃料
通路３による燃料の送給を停止するかもしくは制
限する。

なお、第２燃料通路４には、温度に応じて燃料
流量を制御するバルブ部材を設ける必要はない
が、吸込口４ａを高いレベルに設定した関係で、
燃料レベルが低下した際、エアを吸込まないよう
に、低液位時を検出して第２燃料通路４を閉じる
ことができるバルブ部材６を介設することが好ま
しい。

また、第１燃料通路３の途中には、燃料流量を
規制する絞り７を介設し、図示の如く、燃料タン
ク１の底部に多量の水が溜つていた場合に、多量
の水が一時に第１燃料通路３から吸込まれるのを
防止するようにすることが好ましい。

上記の構成とすれば、液温が設定値以下の低温
であるときには、バルブ部材５によつて第１燃料
通路３が実質的に閉じられるため、燃料タンク１
の底部に溜りうる水Ａの吸込みは行なわれず、第
２燃料通路４から水分の混入のおそれのない燃料
Ｆが燃料通路２を通して燃料供給装置に送給さ
れ、該装置は吸気系に凍結を生じさせるおそれな
しに燃料を吸気系に供給する。

一方、液温が設定値を越えているとき、もしく
は越えたときには、バルブ部材５は第１燃料通路
３を開通し、吸込口３ａからは、底部に溜つた水
Ａを徐々に吸込んで、第２燃料通路４を通して吸
込まれてきた純粋の燃料Ｆ中に、エンジンの燃焼
性を損なうことなしに混入させ、底部に溜つた水
Ａをほゞ完全に燃料タンク１外に排出する。

なお、前記バルブ部材５としては、例えばワツ
クスペレツトタイプ等の温度感応弁を使用するこ
とができるが、第２図に示すように、バイメタル
式のバルブとしてもよい。

即ち、第１燃料通路３と第２燃料通路４との分
岐部８を共通の燃料通路２との間でＴ字路に形成
し、この分岐部８の第１燃料通路３側および第２
燃料通路４側を夫々仕切る一対の仕切板９，１０
を設けて、両仕切板９，１０の対向位置に連通開
口１１，１２を夫々開設し、これら連通開口１１
を低温時閉じ、高温時開くバルブ本体１３を、上
端を共通の燃料通路２に支持突起１４により固定
したバイメタル１５に支持した構成とすることも
できる。

この場合、バイメタル１５は、低温時バルブ本
体１３で第１燃料通路３側の連通開口１１を閉塞
する特性を与えるようにする。ところで、連通開
口１２は弁体１３で閉じられることなく常時開か
れている。

なお、上記第１燃料通路３側の仕切板９には連
通開口１１とは別にさらに小径のバイパス穴１６
を設け、このバイパス穴１６から、少量の燃料も
しくは水混入した燃料を常時供給するようにして
もよい。この場合、このバイパス穴１６からの燃
料の量は第２燃料通路４からの量に比べ少ないた
め、たとえ、バイパス穴１６から水の混入した燃
料が供給されたとしても、全体の燃料の量に占め
る水分の割合は小さく凍結の恐れはほとんどな
い。

また、第１図，第２図においては、説明の便宜
上水Ａが燃料タンク１の底部に相当量溜つた状態
を図示したが、本考案を適用した場合には、かか
る状態はほとんど生じえない。

以上の説明から明らかなように、本考案は燃料
タンクの燃料を送給する燃料通路に、燃料タンク
の底部に開口する第１燃料通路と、第１燃料通路
の開口位置より上方に開口する第２燃料通路とを
設けるとともに、第１燃料通路に液温が設定値以
下となる低温時に、第１燃料通路の燃料を遮断す
るか制限するバルブ部材を介設したことを特徴と
する燃料通路構造を有する燃料供給装置を提供す
るものである。

本考案によれば、低温時燃料タンクの底部に溜
つた水の吸出しを抑制して燃料ラインや吸気系の
凍結を防止することができ、高温時にはタンク底
部に溜つた水を徐々に排出することができるので
燃料タンクにおける錆の発生有効に防止すること
ができ、しかも簡単な構造なので安価に実施でき
るといつた利点が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る燃料通路構造
を示す燃料タンクの断面説明図、第２図は本考案
に係るバルブ部材の一例を示す燃料通路の要部断
面説明図である。 １……燃料タンク、２……燃料通路、３……第
１燃料通路、４……第２燃料通路、５……バルブ
部材、１３……バルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料通
   路に、燃料タンク底部に開口する第１燃料通路
   と、第１燃料通路の開口位置より上方に開口する
   第２燃料通路とを設けるとともに、低温時第１燃
   料通路からの燃料の供給を停止もしくは制限する
   バルブ部材を第１燃料通路に介設したことを特徴
   とする自動車の燃料供給装置。