JPS6130810Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、上型、下型および側枠との間で適
量のモルタルを加圧してセメント生瓦を成型する
セメント瓦成型装置における生瓦取出し装置に関
し、特に成型後の生瓦の型離れを良好にする該装
置を得ることを目的とした考案である。

セメント瓦成型装置のプレス機により上型、下
型、側枠の間で加圧成型されたセメント生瓦は、
上型、下型を開き、側枠を上型または下型に沿つ
て摺動させ引込ませてから取出されるが、加圧成
型直後の生瓦は、全表面で上型に密着しているた
め、予め上型には剥離剤を塗布してはいるものの
上型から自然に剥離落下し難い傾向がある。下型
には水切板を載せておくので、下型からの剥離は
容易に行なわれる。

そこで生瓦の上型からの剥離、取出しを容易に
するために種々の研究がなされている。その一例
としては、特公昭49−7045号公報に記載されたよ
うな、生瓦取出し時に上型に対して側枠を上下動
させて、側枠内面と生瓦の端面との摩擦作用によ
り生瓦の側縁部を押下げて生瓦の側縁部と上型と
を少しく剥離させ、両者の間に大気を進入させて
生瓦全体の上型からの剥離落下を促進させる発明
もなされたが、モルタルの加圧成型時に絞り出さ
れる水が側枠と生瓦の端面との間に介在して両者
を滑り易くするため、上記の摩擦力の効果が低く
なり、また湿つた生瓦の端面が側枠内面に密着し
てパツキングの如く作用し、大気の進入を妨げる
という不都合もあつた。

ところで、上記の絞り水は石灰分等を多量に含
むため、これが生瓦の上に残つていると、乾燥後
の瓦表面に白い汚れが生じ、商品価値を落すこと
になるため、真空ポンプによりこれを吸収し排除
するようにされている。本考案は、このような真
空排水装置の管路を利用して逆に圧縮空気を吹込
むと同時に受側板から生瓦を吸引し、生瓦の剥離
を良好に行なわせるようにしたものである。

以下、実施例を示す図面により本考案を説明す
る。

第１図は本考案の生瓦取出し装置が組込まれた
セメント瓦成型装置を略示する側面図であつて、
１はラム１ａの下端に上型２を取付けたプレス
機、３は基台４の上を左右に移動するテーブル
で、右端部に下型５を固定し、左端部に昇降駆動
される中空の生瓦受板６を位置させており、テー
ブルが左行すると下型５が上型２の直下に位置
し、テーブルが右行すると、生瓦受板６が上型の
直下に位置し、同時に下型５はモルタル供給装置
７の供給口７ａの直下に位置するようにされてい
る。８は連杆９によりテーブル３を押し引きして
これを上記のように往復動させるクランク、１０
は上型２に嵌合し、上型の側面に沿つて上下に摺
動できる側枠である。

次に、このセメント瓦成型装置に設けた本考案
の装置の構成および作用を第２図以下の実施例に
より説明する。

第２図はテーブル３が左方へ移動し、水切板１
１、モルタル１２を載せた下型５が上型２の直下
に位置した状態を示す。上型２、側枠１０には、
モルタル１１から絞り出される水を吸引し排出す
るための排水路２ａ，１０ａがそれぞれ貫通形成
されており、排水路１０ａは管１３（側枠１０に
接続される付近は可撓管とされる。）により切換
弁１４を介してコンプレツサ等の圧縮空気源１５
または真空吸引機１６に接続され、該切換弁の切
換により圧縮空気源１５または真空吸引機１６が
排水路１０ａ，２ａに接続されるようになつてい
る。

第２図の状態から、プレス機１のラム１ａを下
降させると、第３図のようにモルタル１１は上型
２、下型５、側枠１０の間で圧扁されて生瓦１７
が成型される。このときは、切換弁１は真空吸引
機１６の側に切断えられており、モルタルから絞
り出された水は、大部分は水切板１１、下型上面
の小孔５ａを通つて下型内に落ち、排水口５ｂか
ら排出され、上型２と側枠１０との間隙に侵入し
た一部の水の多くは排水路２ａ，１０ａから真空
吸引機１６により吸引されて排出される。２１は
排水路２ａ，１０ａの上方から空気が出入しない
ために上型２、側枠１０の間に設けたパツキング
である。

プレス機による生瓦成型が終ると、ラム１ａと
共に上型２、側枠５は第４図のように上昇する。
このとき生瓦１７は、通気性のある水切板１１を
容易に離れて、端面を側枠１０に摩擦力により支
えられつつ上型２の下面に密着して共に上昇す
る。このときは真空吸引機１６による吸引を続け
て残留する絞り水をできるだけ排出する。

次に第５図のように、テーブル３を右方へ移動
させて中空で上面に多数の小孔を穿設した生瓦受
板６を上型の直下に位置させ、且つ該受板６をエ
ヤシリンダ１８により、該受板６の上面が生瓦１
７の下面にほとんど接する程度まで上昇させ、切
換弁１４を圧縮空気源１５に切換えて排水路１０
ａ，２ａに圧縮空気を吹込むと同時に、中空の受
板６を真空源に通じさせて該受板６の側からも生
瓦１７を吸引する。このとき、下型５はモルタル
供給口７ａの直下に位置し、エヤシリンダ１９に
連結された押板２０に押出され落下するモルタル
１２を受取る。

排水路１０ａ，２ａに吹込まれた圧縮空気は、
上型２と側枠１０との間隙を通つて生瓦１７の位
置に達し、第６図のようにその端部を押下げる。
生瓦の端部が少しく押下げられて上型の下面と生
瓦の端部の上面とが少しく剥離され、両者間に僅
小間隙が生じると、この間隙に圧縮空気が進入し
剥離が急速に進行して、生瓦は上型２の下面を離
れるとともに受板６に吸引されて該受板６の上に
移る。

水分を含んだ生瓦１７の端面と側枠１０の内面
とはパツキング状に密接した通気を拒むため、上
記の押下げ時に圧縮空気は生瓦と側枠との間から
下方へ漏れ難く、強い力で生瓦の端面を側枠１０
の内面に沿つて滑らせつつ上記の剥離、落下を確
実、迅速に行なわせる。

生瓦を受取つた受板６は、第７図のようにエヤ
シリンダ１８により下降し、テーブル３は左方へ
移動して第２図の状態に戻り、生瓦は取出されて
乾燥工程へ移される。モルタル供給装置７では、
押板２０が後退し一定量のモルタルをホツパから
押板２０の前方に移動させて次のモルタル供給の
準備をする。

以上の実施例から判るように、本考案の生瓦取
出し装置は、圧縮空気を使つて生瓦の縁を押下げ
同時に受板により生瓦を吸着するものであるか
ら、生瓦の端面と側枠内面とが水分を含んでパツ
キング状に密着しても、かえつてこのために圧縮
空気が生瓦を押下げる作用が強化され、また一部
剥離された生瓦の縁部と上型との間に空気を進入
させることも圧縮空気により強力に行なえ、これ
に加えて受板６による吸着があるため、セメント
瓦成型において従来困難を痛感されていた生瓦の
上型からの剥離を確実に且つ能率よく行なうこと
ができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は通常のセメント瓦成型装置を例示する
側面図、第２図以下は生瓦の成型と本考案による
生瓦剥離の工程を示す要部側面図で、第２図は成
型前の状態、第３図は成型時の状態、第４図は成
型後、上型を上昇させた状態、第５図は生瓦受板
を上昇させた状態、第６図は圧縮空気により生瓦
の端部が押下げられた状態、第７図は生瓦を受取
つた受板を下降させた状態をそれぞれ示す。 １：プレス機、２：上型、２ａ：排水路、５：
下型、６：生瓦受板、７：モルタル供給装置、１
０：側枠、１３：管、１４：切換弁、１５：圧縮
空気源、１６：真空吸引機、１７：生瓦、２１：
パツキング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレス機１に取付けた上型２と、該上型に上下
   動可能に嵌合した側枠１０と、下型５との間でモ
   ルタルを生瓦１７に成型するセメント瓦成型装置
   において、成型時にモルタルから絞り出される水
   を吸引し排出するために側枠に設けた排水路１０
   ａに接続されて真空吸引機１６に通じる管１３に
   切換弁１４を設け、成型後の生瓦取出し時に側枠
   １０と上型２との間隙を通して生瓦の端部に圧縮
   空気を送る圧縮空気源１５を真空吸引機１６と切
   換え自在に該切換弁１４に接続し、成型後の生瓦
   を受取る受板６を中空にするとともに上面に多数
   の小孔を穿設し、内部を真空源に通じさせたこと
   を特徴とするセメント瓦成型装置における生瓦取
   出し装置。