JPS6130661Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、車椅子を必要とする身体障害者用
車輌の改良に関するものである。

近時、身体障害者用の自動車として、身体障害
者が運転席に着席した場合に運転できるように操
縦機構を種々改善したものが提案され、現在使用
されている。しかし、従来のこの種自動車は、車
椅子を必要とする身体障害者が、車椅子から降り
て運転席に着席し、また運転席から降りて車外の
車椅子に乗らなければならず、乗車および降車に
際して、身体障害者が他人の援助を必要とし、ま
た車椅子を自動車に対し積み降ろしする場合にも
身体障害者自身で行うことができないという欠点
があつた。

この考案は、前述した欠点を解消して、身体障
害者が自分で車椅子に乗つたまま自動車のように
車輌に乗車し、かつ車輌を運転し、さらに降車で
きるようにした身体障害者用車輌を提供すること
を目的とするものである。

この目的を達成するために、この考案は、マイ
クロバス型、ワゴン型自動車のような天井高が高
い車輌の床の一部に、車椅子の載置可能な大きさ
の昇降床を、床面と地上面との間で昇降可能に設
け、車輌の外部および内部に前記昇降床の駆動機
構を操作する操作手段を装着すると共に、前記昇
降床および運転席部に車椅子ガイドおよび車椅子
を係脱可能に係止する係止手段を設けたことを特
徴とするものである。

以下、この考案の一実施例につき図面を参照し
て説明する。

第１図、第２図において、１はワゴン型自動車
で、車体２の後部に上端部が枢着されて、上方向
に回動して開くバツクドア３が設けられている。
車体２の床４には後述する車椅子５の載置可能な
前後および幅（左右）方向の寸法をもつ長方形の
昇降床６が、自動車の後輪２１と床４の後端との
間に配設されている。車体２内の両側後部には駆
動機構である左、右縦型油圧ジヤツキ７のシリン
ダ７ａが固定され、これらのピストン７ｂが連結
板８を介して昇降床６に固定されている。なお、
前記油圧ジヤツキ７は昇降床６を床４面と地上面
との間で昇降させ得るストロークを備えている。
前記車椅子５は、フレーム９と、これに装着され
た座席１０と、フレーム９に回転自在にかつ手動
操作による回転可能に取付けられた左、右車輪１
１と、フレーム９の両側に設けたグリツパ１２と
を備えた一般に用いられているものである。そし
て、前記昇降床６および運転席部１３の床面に
は、車椅子５の左、右車輪１１と対向する間隔で
左、右それぞれ２本のガイドレール１４ａ，１４
ｂを車輪１１の厚さと対応する幅で固定した車椅
子ガイド１５，１６が設けられ、前記レール１４
ａ，１４ｂの少なくとも一方の後部には、他方に
対し後端に行くに従つて幅広となる傾斜が形成さ
れている。なお、運転席部１３には通常の自動車
に設置されているような座席は設けられていな
い。前記昇降床６、運転席部１３の車椅子ガイド
１５，１６またはこれらに近接した適所に前記グ
リツパ１２が係脱可能に係止されて車椅子５を固
定するための係止手段１７，１８がそれぞれ固定
されている。前記車体２の後端部外面一側にはキ
ースイツチ１９が設置され、このスイツチ１９は
前記バツクドア３の開閉動作と、油圧ジヤツキ
７，７の昇降動作とを行わせるためのものであ
る。さらに、車体２の後端部内の一側には内部操
作スイツチ２０が設置され、このスイツチ２０は
油圧ジヤツキ７，７の昇降動作と、バツクドア３
の開閉動作を行わせるためのものである。なお、
図示省略したが、このワゴン型自動車１は、車椅
子を必要とする身体障害者による運転が可能な操
縦機構、バツテリを電源とする電動機で油圧ジヤ
ツキ７，７に圧油を送る油圧ポンプ、および前記
電動機または他のバツテリを電源とする電動機で
バツクドア３を開閉するための開閉機構が具備さ
れている。

以上のように構成された実施例の身体障害者用
自動車は、バツクドア３が閉じ、昇降床６が車体
２の床４と平坦な状態で停車している場合に、車
椅子５に乗つた身体障害者が車体２の後端に接近
し、手を伸ばしてキーによりキースイツチ１９を
操作すると、バツクドア３がその開閉機構の動作
により、第１図の鎖線に示すように開くと共に、
油圧ジヤツキ７，７の下降動作により昇降床６が
第１図の鎖線に示すように下降して地上面に支持
された状態となる。この状態で、キースイツチ１
９からキーを抜いて車椅子５を前進させ、その車
輪１１をガイドレール１４ａ，１４ｂ間にそれぞ
れ嵌合させることにより、昇降床６上に位置決め
して載せ、グリツパ１２を操作してこれらを係止
手段１７に仮止めする。その後、内部操作スイツ
チ２０を操作すると、油圧ジヤツキ７，７の上昇
動作により昇降床６が車体２の床４と平坦な位置
まで上昇すると共に、バツクドア３が閉じ、車椅
子５がこれに乗つた身体障害者と共に車体２内に
収容される。なお、この場合にワゴン型自動車は
天井高が高いので、身体障害者の頭が車体２の天
井に当たることがない。次に、グリツパ１２によ
る係止手段１７への係止を解放し、車椅子５を前
進させて運転席部１３のガイドレール１４ａ，１
４ｂ間に車椅子５の車輪１１を嵌合させ、前記グ
リツパ１２の操作により、これらを係止手段１８
に係止する。この状態で身体障害者は、車椅子５
に乗つたままワゴン型自動車１を運転する。自動
車１が目的地に到達してこれを停止させ後、グリ
ツパ１２による係止手段１８の係止を解放し、車
椅子５を後退させて運転席部１３のガイドレール
１４ａ，１４ｂから車輪１１を外し、その後必要
に応じて車椅子５の前後方向の向きを反転させ、
上昇している昇降床６にこれのガイドレール１４
ａ，１４ｂに車輪１１を嵌めて載せグリツパ１２
で係止手段１７に係止する。次に、内部操作スイ
ツチ２０の操作によりバツクドア３を開くと共
に、油圧ジヤツキ７の下降動作で昇降床６を地上
面に接するまで下降させる。その後、グリツパ１
２による係止手段１７の係止を解放して、昇降床
６の後方に車椅子５を移動させ、キースイツチ１
９の操作により昇降床６を上昇復帰させると共
に、バツクドア３を閉じる。

なお、前記実施例ではワゴン型自動車の場合に
ついて述べたが、この考案は床から天井までの高
さが高いマイクロバス、フオークリフトなどにも
適用できる。

また、この考案は、油圧ジヤツキおよびバツク
ドアを手動操作によつて動作させることも、比較
的簡単な車輌の改造で可能である。

さらに、前輪駆動車でプロペラシヤフトが後輪
に向つて延びていない自動車では、前後輪間に昇
降床を設けることも考えられる。

以上説明したように、この考案は、天井高の高
い車輌の床の一部に設けた昇降可能な昇降床を、
地上面まで下降させて車椅子を載せた後上昇させ
ることにより、車椅子と共にこれに乗つた身体障
害者を車内に収容し、これと操作と逆の操作で車
椅子を昇降床に載せて地上面まで下降させて、昇
降床外すなわち車外に移動させることができ、ま
た、上昇している昇降床と運転席部との間に車椅
子を往復移動させることができる。したがつて、
この考案によれば、身体障害者が自分で車椅子に
乗つたまま自動車のように車輌に乗車し、かつ車
輌を運転し、さらに降車でき、車輌に対する乗降
および車椅子の積み降し、を他人の援助なく行う
ことができ、身体障害者用の車輌としてきわめて
便利であるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す側断面図、
第２図は同上部を水平断面した平面図である。 １……ワゴン型自動車、２……車体、３……バ
ツクドア、４……車体の床、５……車椅子、６…
…昇降床、７……油圧ジヤツキ（昇降床の駆動機
構）、１２……車椅子のグリツパ、１５，１６…
…車椅子ガイド、１７，１８……係止手段、１
９，２０……キースイツチ、内部操作スイツチ
（駆動機構を操作する操作手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マイクロバス型、ワゴン型自動車のような天井
   高が高い車輌の床の一部に、車椅子の載置可能な
   大きさの昇降床を、床面と地上面との間で昇降可
   能に設け、車輌の外部および内部に前記昇降床の
   駆動機構を操作する操作手段を装着すると共に、
   前記昇降床および運転席部に車椅子ガイドおよび
   車椅子を係脱可能に係止する係止手段を設けたこ
   とを特徴とする身体障害者用車輌。