JPS6130259Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンデンサの使用末期または使用中
の異常時に内部ガス圧の上昇で容器の破裂によつ
て起こる爆発、含浸剤の流出、飛散、コンデンサ
及び併設機器の焼損を防止するための密閉型コン
デンサの安全装置に関するものである。

一般に金属化紙、金属化フイルムを使用した密
閉型コンデンサは、使用末期または使用途中にお
ける支配外の条件（高温・過電圧）によつて誘電
体が劣化、分解し誘電正接の増大、異常温度上昇
コロナ発生と一連の複合現象により破壊に至る。
この時には急激な誘電体分解ガス圧により、容器
を膨張させケース許容圧力以上となる。そしてつ
いに破裂し爆発、含浸剤の飛散、流出、コンデン
サ及び併設機器の焼損事故を引き起こす。これを
防止するためには、容器の破裂前にコンデンサを
確実に供給電源から切り離す安全装置が必要であ
る。

以下図面をもちいて従来の密閉型コンデンサの
安全装置の構成およびその欠点を説明する。第１
図ａ，ｂは蓋部に従来の安全装置を組込んだ密閉
型コンデンサを示す。同図において、金属板より
なるプレス成形蓋１、スペーサ２、上板３、遮断
用絶縁体４、パツキング用ゴム５、上絶縁板６、
端子金具７、端子棒８、遮断用金属箔９より蓋部
は構成されている。なお、１２は封印口を形成す
るハトメ、１５は容器胴部、１６はコンデンサ素
子、１７はリード線である。

第２図ａ，ｂは第１図ａ，ｂに示した密閉型コ
ンデンサの遮断機構をつかさどる部品の組立方法
を示すための図である。すなわち端子棒位置に穴
を有する遮断用絶縁板４と遮断用金属箔９をお互
いの端部の小穴を合わせ正置したのちハトメ１０
でかしめ固定させ、しかる後ハトメ１０の上にコ
ンデンサ素子１６のリード線１７を結綜するため
の半田盛り１１を行う。さらに遮断用金属箔９が
固定された遮断用絶縁板４は、端子部と結線する
ために遮断用金属箔９と端子棒８を溶接する。

第３図は第１図ａ，ｂに示した従来の密閉型コ
ンデンサの安全装置が動作した状態を示すもので
ある。つまりコンデンサ内部に発生するガスが増
大し、圧力を高めていくにつれて蓋１は中心部よ
り隆起していく。遮断用絶縁板４は支点作用を有
するスペーサ２の両端に押えられ固定される為、
金属箔９には強い張力がかかり、ついには引きち
ぎられコンデンサはケース破壊前に電気回路から
遮断され事故は防止される。

しかし前記従来の安全装置に組込まれているス
ペーサはコスト的に割高となる欠点があつた。

本考案の密閉型コンデンサの安全装置は蓋の変
形を利用して作動する前記従来例と同様の遮断機
能を有するものであり、しかも低価格で構成でき
ることを特徴としている。

以下本考案の実施例を図面をもとにして説明す
る。

第４図ａ，ｂ本考案の実施例における密閉型コ
ンデンサの安全装置を備えた同コンデンサの平面
図および正面断面図であり、従来例を示す第１図
ａ，ｂ〜第３図と同一箇所には同一番号を付して
あり、従来例と異なる箇所のみ以下に説明する。

第４図ａ，ｂにおいて遮断用絶縁板４の貫通孔
にはハトメ１８が挿通しており、このハトメ１８
の先端部は遮断用絶縁板４の上方に突出してお
り、このハトメ１８の突出した先端部にはプツシ
ユナツト１９が嵌着されている。さらに、このハ
トメ１８の最先端部は折り曲げられた上板３の端
部を介してプレス成形蓋１を下方から押圧してい
る。

本実施例では遮断用絶縁板４に固定され上方に
突出しているハトメ１８は、従来のスペーサと同
じ役目をはたしており、従来のスペーサよりも低
価格に安全装置を構成できる利点がある。

第５図ａ，ｂは本考案の他の実施例による安全
装置を組込んだコンデンサを示すもので、コンデ
ンサの外側よりプレス成形蓋１の貫通孔に挿通さ
れたハトメ１２はその先端部にプツシユナツト１
３が嵌着されてプレス成形蓋１に固定されてい
る。このプツシユナツト１３最先端部は上板３を
介して遮断用絶縁板４を上方から軽く押圧してい
る。また、プツシユナツト１３にはパツキング用
ゴム１４がはめられている。このハトメ１２、パ
ツキング用ゴム１４、プツシユナツト１３は封印
口を形成するとともにスペーサの役割もはたして
いる。一方、コンデンサの図面右側に設けられた
ハトメ１８、プツシユナツト１９の構成は第４図
に示した実施例と同じである。

この実施例ではケース変形時に遮断用絶縁板４
に上板３を固定するハトメ１２はスペーサと封印
口の２つ役目をしているため部品点数が削減され
る効果がある。この場合の安全装置の動作を簡単
に説明するとコンデンサ内部に発生するガスが増
大し圧力を高まつていくにつれてプレス成形蓋１
は中心部より隆起していく。上板３は支点作用を
もつハトメ１２、ハトメ１８により遮断用絶縁板
４またはプレス成形蓋１に押えられ固定される為
遮断用金属箔９には強い張力がかかり、ついに引
きちぎられコンデンサケースは破裂前確実に電気
回路から遮断され事故は防始される。

第６図は遮断用絶縁板４に設けられる貫通体の
各種の例を示すものである。ａはネジ２０、ナツ
ト２１で突起を構成したもの、ｂはタツピングビ
ス２２だけで突起を構成したもの、ｃはピン２
３、プツシユナツト２４により突起を構成したも
のを示した図である。

以上の実施例で示したように本考案の密閉型コ
ンデンサの安全装置においては従来のような高価
なスペーサを用いずハトメ、リベツト、ネジ等の
１端部が他部分より太くなつている貫通体と、プ
ツシユナツト、ビス等の前記貫通体の他端部とは
め合わされる嵌合体との組み合わせによりスペー
サが形成されるためきわめて低価格な密閉型コン
デンサの安全装置を提供できる効果があり、実用
的価値が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来例による安全装置を組込ん
だ密閉型コンデンサの平面図及び断面正面図、第
２図ａ，ｂは同コンデンサの遮断機構をつかさど
る部品の分解内面図及び同組立後の断面図、第３
図は同コンデンサにおいてコンデンサ素子劣化に
より発生したガス圧で容器が膨張し遮断用金属箔
が切断された状態を示す断面正面図、第４図ａ，
ｂは本考案の一実施例による安全装置を組込んだ
密閉型コンデンサの平面図及び断面正面図、第５
図ａ，ｂは本考案の他の実施例における安全装置
を組込んだ密閉型コンデンサの平面図及び断面正
面図、第６図ａ，ｂ，ｃは同コンデンサに組込ま
れる遮断用絶縁板に設けられる貫通体の例を示す
ものである。 １……蓋部（プレス成形蓋）、３……上板、４
……遮断用絶縁板、９……金属箔、１２，１８…
…ハトメ、１３，１９……プツシユナツト、１４
……パツキング用ゴム、２０……ネジ、２１……
ナツト、２２……タツピングビス、２３……ピ
ン、２４……プツシユナツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内部圧が許容値以上になると外部へ向かつて
   変形する蓋部と、前記蓋部の内側に配置され前
   記蓋部とともに変形する上板と、前記蓋部また
   は上板に一端が固定されるとともに他端が前記
   蓋部および上板の変形時に変形しない遮断用絶
   縁板に固定されている金属箔と、前記蓋部およ
   び上板の変形時に前記上板の一部を固定させて
   前記金属箔のひきちぎりの際の支点部の役目を
   するスペーサとを備えた密閉型コンデンサの安
   全装置において、前記スペーサが、前記遮断用
   絶縁板または蓋部を貫通しその先端部が前記上
   板に向かつて突出する貫通体よりなることを特
   徴とする密閉型コンデンサの安全装置。 (2) 貫通体がハトメ、リベツト、ネジ等よりなり
   プツシユナツト、ナツト等の嵌合体とはめあわ
   されて遮断用絶縁板または蓋部に固定されてい
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の密閉型コンデンサの安全装置。