JPS6125233Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は上蓋に保安機能を備えたコンデンサの
改良に関するもので、誘電体破壊によつて生じる
コンデンサの爆発などの事故とそれに伴つて派生
する二次災害を防止するためのものである。

一般に紙または有機プラスチツクフイルムなど
の材料を誘電体とし、完全密閉構造の容器に収容
したコンデンサが用いられ、このコンデンサに通
電中誘電体内部で何らかの原因により絶縁損傷が
起ると、引続き供給される電気エネルギーによつ
て誘電体が絶縁破壊に至る。このとき誘電体材料
の急激な熱化学分解によつて多量の可燃性ガスが
発生し、その圧力によつて遂にはコンデンサ外装
密閉容器の破裂、あるいは可燃性ガスに引火、爆
発、炎上するなど、当該コンデンサのみの被害に
とどまらず、周辺部の機器に波及災害をみたらす
など最悪事態を招くことになる。このような誘電
体材料のもつ本質的な材料欠陥の除去が現状の誘
電体材料技術では極めて困難であることから、今
日までコンデンサ製造の各社は、きそつて容器の
破裂あるいは可燃性ガスに引火、爆発、炎上によ
る保安をはかるべく開発に努力し、現在その代表
例として熱作動型、圧力作動型、電流作動型など
の各種の保安機能を備えたコンデンサが実用化さ
れている。その実際上の実用に対する主体である
圧力作動型について第１図および第２図に基づき
詳細に説明すると、第１図および第２図は上面一
方開口型金属製密閉容器の上蓋端子部に保安機能
を有するコンデンサの断面図で、第１図は保安機
構の作動前の正常状態のコンデンサ、第２図は保
安機構の作動後のコンデンサの状況を示し、誘電
体が破壊してコンデンサ素子６より発生するガス
が密閉金属容器８内に充満し、その圧力によつて
上蓋７が膨張変形し上部に押し上げられる。この
とき支持板５で支持されたリード線４と上蓋７に
絶縁碍子２を介して固定された端子１との接合部
３が切断されて電気回路が遮断されるもので、コ
ンデンサの外装容器８および上蓋７を金属材料に
して、金属の強じんかつ膨張変形性を利用した典
型的な構造例であるが、容器８、上蓋７が金属で
あるためコンデンサの重量が重くなり、また価格
が高いなどの欠点があつた。

本考案は低価格で軽重量しかも保安機能の安定
作動のはかれるコンデンサを提供するもので、密
閉容器の上蓋を熱可塑性樹脂にして保安機能を備
え、その作動原理は前述の圧力作動型で上蓋を改
良して膨張変形させることにより、コンデンサ素
子と外部端子とを接続する接続導体を切断すると
ころにその特徴を有している。

すなわち、一般の樹脂はその性質が金属と大き
く異なり、金属の強じん性、曲げ性に富まず、ま
たもろいために第１図のコンデンサ構造の条件を
そのまま樹脂容器に変更しても内圧上昇による上
蓋の膨張変形が期待できず、膨張変形する前に材
料が破壊し保安機能作動を有しない。したがつて
樹脂製容器の上蓋を膨張変形させるために板状上
蓋の中央部を凹状にし、かつその凹部側面に溝を
設けたもので、以下本考案の実施例による図面に
基づき詳細に説明する。

第５図は樹脂材料で形成した本考案の容器上蓋
の要部拡大断面図で、１１は端子、１２はパツキ
ン、１３は上蓋、１４は凹部の側面で、その側面
に溝１５を設けている。上蓋１３の中央部に凹部
を設け、この底面部に引出端子１１の取付部１６
を設け、凹部側面１４をテーパ状にし、かつその
側面に溝１５を設け、容器内圧上昇により引出端
子１１部が凸状になるように設計構成したもの
で、凹部側面１４のテーパ角度および溝１５の深
さ、幅の広さ位置により保安機能作動が異なる。
したがつて溝の位置はテーパ部あるいはその周辺
部に設けてその作動圧力値の調整をすることがで
きる。また溝は上蓋の外面であつても内面にあつ
てもよく、さらにテーバ部の肉厚を薄くしてもよ
い。なお図中１７はコンデンサ素子の引出リード
と接続したリード線１８の支持板で、上蓋１３の
凹部が変形して凸状になるとき端子１１とリード
線１８との切断支持のためのものである。また凹
部の形状は円形、楕円などのようにエツジの鋭角
でない形状が最適である。さらに樹脂材料はは使
用条件、また加工条件、内圧作動条件により選定
されるもので、現在熱可塑性樹脂が最も適してい
る。

以上のように構成された本考案の保安機能を備
えた上蓋１３を用いたコンデンサを第３図に、ま
たその保安機構の作動後のコンデンサを第４図
に、さらに第６図に第４図の保安機構の作動後の
要部拡大断面図を示し、詳細に説明すると、プラ
スチツク容器１９内にコンデンサ素子２０を収納
し、引出リード線１８を支持板１７に配置し、中
央部に凹部を有し、その側面がテーパ状で溝１５
を有する上蓋１３を配置し、上蓋１３にパツキン
１２を介して端子１１を取り付け、端子１１とリ
ード線１８を接続し、容器１９と上蓋１３を接着
密閉したコンデンサで、２１はリード線１８とコ
ンデンサ素子２０の電極または電極引出片との接
続部、２２は端子１１とリード線１８の接合部、
２３は容器１９と上蓋１３の接着部を示す。

上記のコンデンサにおいて、コンデンサ素子２
０の誘電体が破壊して密閉容器内にガス発生を伴
うと上蓋１３が膨脹変形し、第４図のように上蓋
１３の凹部が上部に押し上げられる。このとき支
持板１７で支持されたリード線１８と上蓋１３に
固定された端子１１との接合部２２が切断されて
電気回路を遮断してコンデンサの保安をはかるも
ので、上蓋１３に形成した凹部の上部への押し上
げは密閉容器内の圧力上昇による作動し、ある圧
力までは凹部側面のテーパの張り合い効果によつ
てほとんど変形することはない。しかし、それ以
上に圧力が上昇すると溝１５に歪を生じ、変形し
て上蓋の凹部が上方に押し上げられた凸状に隆起
する。

このコンデンサ内部圧力と上蓋中央部の凹部の
変形量（上蓋中央部のふくれ量）の関係特性の一
例を第７図に示し、○イは本考案で容器材質はポリ
プロプレン樹脂、○ロは従来のアルミニウム容器を
用いたもので、Ａ部は保安機構の作動領域、Ｂ部
は容器破壊領域である。

以上のように本考案は容器の上蓋中央部が凹部
となり、その側面をテーパ状とし、該テーパ部も
しくはテーパ部周辺に環状溝が形成されているの
で、容器の内部圧力膨脹が一定圧以上になると凹
部が環状溝を支点にして、ペコ板効果により反転
し、保安装置の作動を確実にすることができる。
また金属で製作される容器あるいは上蓋により製
作されたコンデンサに比較して軽量で価格の安い
樹脂材料を用いられているので、材料によるコス
トダウンが図れるなど工業上有益なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の金属製密閉容器の
上蓋端子部に保安機能を有するコンデンサの断面
図で、第１図は保安機構の作動前の正常状態図、
第２図は保安機構の作動後の状況図、第３図は本
考案のコンデンサの断面図、第４図は第３図のコ
ンデンサの保安機構の作動後の断面図、第５図は
第３図のコンデンサの上蓋部の要部拡大断面図、
第６図は第４図の保安機構の作動後の上蓋部の要
部拡大断面図、第７図は本考案の一実施例のコン
デンサの内部圧力と上蓋中央部の凹部変形量の特
性図を示す。 １１：端子、１２：パツキン、１３：上蓋、１
４：凹部側面、１５：溝、１６：端子の取付部、
１７：支持板、１８：リード線、１９：容器、２
０：コンデンサ素子、２１：接続部、２２：接合
部、２３…接着部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉容器の内部圧力膨張により容器の上蓋が変
   形し、該上蓋に取り付けられた端子とコンデンサ
   素子とを接続する接続導体が切断する保安機能を
   有するコンデンサにおいて、該容器の上蓋は熱可
   塑性樹脂を用い板状で、その中央部を凹状にし、
   かつ該凹部の側面をテーパ状にしてしかも該テー
   パ部もしくはその周辺部に一つ以上の環状溝を設
   け、該凹部に端子を構成したコンデンサ。