JPH0356026Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、終局破壊時に於ける破裂や火災等の
危険を防止するための保安装置を有する保安装置
付コンデンサに係り、特に発生ガスの圧力を利用
してコンデンサ素子への給電を遮断する機構を備
えた保安装置付コンデンサに関する。

［従来の技術］ 従来より、電極金属を蒸着した薄い誘電体フイ
ルムより成る金属化フイルムコンデンサ素子を用
いたコンデンサは、コンデンサ素子に部分的な絶
縁破壊を生じても再び絶縁性を回復する自己回復
性に優れているため、家庭用電気製品をはじめと
する種々の電気・電子機器等に広く用いられてい
る。

しかし、この優れた特性を有する金属化フイル
ムコンデンサ素子も、異常なサージ電圧が幾度も
印加されたり、過負荷状態で長期間に渡つて使用
され続けた場合には、コンデンサ素子を構成する
誘電体フイルムの劣化によつて部分的絶縁破壊の
発生頻度が増大し、絶縁破壊に伴う部分放電及び
温度の上昇によつて更に劣化が促進され、遂には
終局破壊に至ることになる。ところが、この状態
に於いても金属化フイルムコンデンサ素子は、完
全短絡とはならないことから電流ヒユーズやブレ
ーカー等の外部安全装置が完全動作し得ず、コン
デンサ素子に給電が継続されたままの状態とな
る。このため続発する部分放電及び異常な温度上
昇によつて誘電体フイルムが焼損して可燃性ガス
が発生し、ガスの圧力によるコンデンサの破裂或
いはガスの発火による火災が発生する危険性があ
る。

この対策として従来より種々の保安装置付コン
デンサが案出されており、例えば外装ケースを密
閉構造とし、ガス圧によるケースの膨張を利用し
て導電路を切断する保安装置を具備するもの、或
いは異常な電流、温度又は発生ガスを検知して給
電を遮断する保安装置を組み込んだもの等が提案
されている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが上述した従来の保安装置付コンデンサ
は、保安装置の構造が複雑で製造作業が煩雑とな
り、製造コストが嵩む上に外形が大型化する等の
問題がある。

本考案は上述の点に鑑み案出されたもので、発
火や爆発の危険がなく、しかも構造簡単にして製
造が容易であり、安価で小型な保安装置付コンデ
ンサを提供することを目的とする。

［問題を解決するための手段］ 以上の目的を達成するため本考案は、開口部を
有する外装ケースに金属化フイルムコンデンサ素
子を収納すると共に、弾性材より成る一対の外部
端子を備えた端子板を、上記外装ケースの開口部
を密封する様に外装ケースに係合させて、上記コ
ンデンサ素子を上記一対の外部端子で挟持させて
成る保安装置付コンデンサを要旨とするものであ
る。

［作用］ 本考案は上述の如き構成を有するので、内蔵さ
れた金属化フイルムコンデンサ素子が終局破壊に
至つた場合、焼損時に発生するガスによつて外装
ケース内の圧力が高まり、端子板が外方へ押され
る状態となる。そして、上記ガス圧が一定限度を
超えると端子板と外装ケースとの係合が外れて端
子板は外装ケースから離脱することとなる。従つ
て、上記端子板に取り付けられた外部端子はコン
デンサ素子から外れ、コンデンサ素子への給電が
遮断される。

［実施例 １］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明す
る。

第１図は本考案の一実施例を示すもので、第１
図Ａはその概略断面図、第１図Ｂは保安装置が動
作した状態を示す概略断面図である。図に於いて
保安装置付コンデンサ１は、ポリエステルやポリ
プロピレン等の合成樹脂より成る誘電体フイルム
にアルミニウムや亜鉛等の金属を蒸着して形成し
た金属化フイルムを積層巻回して金属化フイルム
コンデンサ素子２を形成し、その両端面にメタリ
コンを施して電極２，３を設けて、これを、ポリ
フエニレンサルフアイド等の高耐熱性合成樹脂や
セラミツク等より成り、一面が開口部と成された
外装ケース４に収納し、エポキシ等の合成樹脂や
ワツクス等より成る固定材５によつて上記外装ケ
ース４底部に固定している。更に上記外装ケース
４の開口部より、一対の外部端子６，６を備えた
端子板７を挿入してこれを上記外装ケース４に係
合させて外装ケース４の開口部を密封し、上記一
対の外部端子６，６でコンデンサ素子２を挟持さ
せて上記外部端子６，６とコンデンサ素子端面の
電極３，３とを接触させた構造を有している。

上記端子板７は、柔軟性を有する材料、例えば
シリコン、ウレタン、ネオプレン等の合成ゴムや
合成樹脂より成り、外装ケース４開口部の密封性
を高めている。また上記外部端子６，６は、リン
青銅等の弾性材より成り、端子板７の下面から突
出した部分が内方へ曲げられてその間隔がコンデ
ンサ素子の両電極面３，３間の長さよりも小さな
ものと成されると共に、先端が外方へ折曲加工さ
れ、コンデンサ素子２が両端子６，６間を押し広
げて挿入されることによつて、上記コンデンサ素
子２を強固に挟持する構造と成されている。

［実施例 ２］ 第２図は本考案の他の実施例を示すもので、第
２図Ａはその概略断面図、第２図Ｂは保安装置が
動作した状態を示す概略断面図である。

本実施例はフエノール積層板等より成る硬質の
中心部材７ａの周端部にシリコンやウレタン、ネ
オプレン等の柔軟性を有する周辺部材７ｂを被着
して端子板７を形成したものであり、他の構成は
実施例１と実質的に同じである。この場合には、
端子板周辺部材７ｂの柔軟性によつて外装ケース
４開口部の気密性は良好に保たれ、しかも外部端
子６，６を保持する中心部材７ａが硬いため、こ
れが柔らか過ぎると取扱いによつては生じる恐れ
がある外部端子６，６のぐらつきを確実に防止す
ることができる。

尚、以上述べた実施例に於いては、外装ケース
を高耐熱性絶縁物で形成した場合を示したが、金
属製の外装ケースを用いても良く、要は耐熱性及
び機械的強度に優れた材質であれば足りる。ま
た、金属ケースを用いる場合には、外装ケースの
内側に絶縁シートを挿入する等の手段により、コ
ンデンサ素子と外装ケースとの間の絶縁を保つ必
要がある。

［考案の効果］ 以上詳述の如く、本考案の保安装置付コンデン
サは、外装ケースの開口部を、柔軟性を有する端
子板で密封し、更に端子板に設けた一対の弾性を
有する外部端子間に金属化フイルムコンデンサ素
子を挟持させた構造を有しているので、コンデン
サ素子の終局破壊時に於ける発生ガスの圧力によ
つて端子板が外装ケースから離脱して外部端子が
コンデンサ素子から外れ、給電が遮断されて発火
や爆発を確実に防止することができる。また上述
の保安装置は、通常のコンデンサ構成部材の材質
を一部変更するだけで形成できるため、製造容易
にして安価に提供でき、外形も小型にまとめるこ
とが可能である等種々の実用的価値を有するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示し、第１図Ａは
概略断面図、第１図Ｂは保安装置が動作した状態
を示す概略断面図で、第２図は本考案の他の実施
例を示し、第２図Ａは概略断面図、第２図Ｂは保
安装置が動作した状態を示す概略断面図である。 １……保安装置付コンデンサ、２……金属化フ
イルムコンデンサ素子、４……外装ケース、６…
…外部端子、７……端子板、７ａ……中心部材、
７ｂ……周辺部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 開口部を有する外装ケースに金属化フイルム
   コンデンサ素子を収納すると共に、弾性材より
   成る一対の外部端子を備えた端子板を、上記外
   装ケースの開口部を密封する様に外装ケースに
   係合させて、上記コンデンサ素子を上記一対の
   外部端子で挟持させて成る保安装置付コンデン
   サ。 (2) 端子板の少なくとも外装ケースと接する部分
   が、柔軟性を有する材料で形成されていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の保安装置付コンデンサ。