JPS6130252Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、一つの変圧器により二種類の電圧の
系統で運転できるようにした二系統電圧用変圧器
に関する。

一般に変圧器はある定められた電圧の系統での
み使用されるが、系統の運用および設備機器の有
効活性の面から一つの変圧器で二種類の電圧の系
統で運転できることが望まれる。従来の技術では
特殊な変圧器として１次側あるいは２次側の巻線
を等電圧の２個の巻線で構成し、それらの巻線を
直列あるいは並列に接続換えすることにより定格
電圧とその50％電圧の２種類の電圧を示す方法が
あつた。このような方法では１つの系統電圧に対
し他の系統電圧が丁度1/2でないと使用すること
ができず、一般性がない。

本考案は上記点に鑑みなされたもので一つの変
圧器で二つの系統電圧で運転することを可能にし
た二系統電圧用変圧器を得ることを目的とするも
のである。

本考案によればどのような二系統電圧でも適用
でき極めて有効である。

以下本考案を第１図および第２図に示す実施例
について説明する。第１図は二巻線変圧器におい
て高圧巻線に無負荷タツプ切換器を付属している
場合で高圧巻線が二種類の系統電圧で運転可能な
ように巻線の接続換えを行なうものである。即ち
上下に配置された高圧巻線の一部１と２は同じ巻
回数を持ち、直列および並列に接続換えができる
ように全ての端子を図示しないタンク上部に設け
られた端子切換台６に接続してある。高圧巻線
１，２間の直列および並列接続換えは端子切換台
６の上部に位置するハンドボール７を取りはずし
て外部から接続換えができるようになつている。

高圧巻線１の上部端子８は高圧線路端子へ接続
される。又高圧巻線２の下部端子１１には他の高
圧巻線３が接続され、さらに無電圧タツプ巻線４
および４′が接続される。高圧巻線３は高圧巻線
１と２との巻回数の和と等しい巻回数としてい
る。タツプ巻線４′の下部端子１０は高圧中性点
端子へ接続される。低圧巻線５は高圧巻線１，２
と３の間に配置され、その上下の端子９は低圧線
路端子へ接続される。

一方第２図は第１図と同一部品に同符号を記し
たが第１図における無負荷タツプ巻線４，４′の
代りに無負荷タツプ巻線１２を配置した場合を示
し第１図の場合と同様にして高圧巻線の電圧を切
換することができる。さらに第１図、第２図に限
定されるものではなく高圧巻線１，２を同心配置
とすることもでき、又高圧巻線３を巻線１，２の
線路端側に接続することもできる。

タツプ巻線は、変圧器としては必須の構成要件
ではないが、一般に現在の電力用変圧器は、良質
の電力供給のため必ず電圧調整可能なようにタツ
プ付きが要求されることが多い。

特にタツプなしの変圧器とすることも出来る
が、その場合は別に電圧調整用の変圧器を設定し
なければならないので非常に不経済となる。また
別の点から言えばタツプ付きならば二系統の電圧
の最終的な微調整が可能になる。

次に高圧巻線を１，２と３に分割した理由とそ
の効果を示すと以下の通りとなる。即ち今187KV
系統の送電が行なわれていて近い将来275KVに昇
圧送電しようと考えている場合両系統に使用でき
る二種類の高電圧が選択可能な変圧器、即ち275/
１８７KV切換可能変圧器があれば経済的である。そ
こでこれに対応できる変圧器としては高圧巻線に
中間タツプをもうければよい。しかし高圧低圧巻
線間のアンペヤターンバランスが悪く機械力的に
問題があり採用できなかつたり、また187KVで使
用する時に275KV端子が開放となるためアレスタ
ー等の保護装置が必要となる等の欠点がある。

これに対して本考案で275/187KVの変圧器を得
る場合、高圧巻線１，２及び３をそれぞれ
93.5KV相当の巻回数の巻線としてやれば端子切
換台６にて１と２を並列接続し、これと巻線３を
直列にむすぶと93.5＋93.5＝187KVがえられる。
又１と２を直列接続すると93.5＋93.5＋93.5＝
280.5KVがえられる。これは丁度275KVではない
が、275KVクラスの変圧器では275±10％即ち
302.5〜275〜247.5KV程度の電圧タツプが要求さ
れるのが普通であり、タツプ付の変圧器の場合に
は充分調整可能な電圧であり問題になることはな
い。

この場合の効果は187KVで使用中も275KV端が
開放端にならないので余分な保護アレスターは不
要である。さらに例えば、300MVAの３相変圧器
の場合187KVでは電流は926A、275KVでは630A
となる。

従つて、本考案によれば巻線３即ち93.5KV分
の導体のみ926A流しうるようにすれば巻線１，
２は630A相当の断面で充分である。即ち187KV
時は巻線１，２を並列接続するので電流は両巻線
１，２に分流する。従つて各巻線１，２は630A
の電流を流し得るので187KV時の電流926Aは両
巻線に分流することによつて充分に流し得、巻線
３の導体のみ926A用の太さとすることになり材
料的にも少くてすむことになる。

以上述べたようにこの考案によれば１台の変圧
器で当初低い系統電圧で運転し、将来系統電圧が
高くなつた場合、あるいは二つの電圧の系統間で
設備の融通をはかる場合、切換端子台等で巻線の
接続換えをするだけでもう一つの系統電圧で運転
することが可能になると共に高低圧巻線間にアン
ペヤターンのアンバランスが生ぜず機械が増強さ
れ、更に187KVのような低い系統電圧で使用する
こと場合にも端子開放が生ぜずアレスター等の保
護装置が不要になる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々本案の異なる実施例を
示す回路構成図である。 １，２，３……高圧巻線、４，４′，１２……
タツプ巻線、５……低圧巻線、６……端子の切換
台。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変圧器巻線において高圧巻線を２つに分割し、
   ２つの分割された高圧巻線のうちの一方を同一巻
   回数をもつ２つの巻線に分割し、この同一巻回数
   をもつ２つの巻線を直列または並列に接続したも
   のに他方の高圧巻線とタツプ巻線とを直列に接続
   するようにしたことを特徴とする二系統電圧用変
   圧器。